日本では今回で3回目のX Gamesとなる「X Games Chiba 2024」が幕張メッセ(千葉県千葉市幕張)にて2024年9月20日(金)~22日(日)に開催され、スケートボード競技からは「パーク」、「ストリート」、「バート」、「ストリート・ベストトリック」、「バート・ベストトリック」の5種目にてスタイルとスキルが掛け算されたX Gamesならでは戦いが繰り広げられ、「スケートボードはお家芸」と言われるほどに強さを見せている日本人選手たちはもちろんのこと、オリンピックや世界大会で結果を残している海外選手たちによりX Gamesの歴史に新たな1ページが刻まれる快挙も生まれる大会となった。
今回のX Games Chiba 2024では会場を前回大会のZOZOマリンスタジアムから幕張メッセに移したことで、天候に左右されず、今までより近く目の前で世界最高峰のトップアスリートのパフォーマンスを見られる環境の中で観客たちの熱気は大きな会場を終始包み込んでいた。
そんな環境の中で、毎年好評である日本開催を示すオリジナリティあふれるコースレイアウトも後押しし、パークでは寺社を模したセクション、ストリートでは所々にあしらわれ盆栽もを囲む大小様々なセクションを使ったライダーたちの独創性が見られるライディングが両コースにて見られた。
なお本記事ではいくつものライダーたちの見事なライディングの中から、編集部的に各種目で絶対に抑えておきたい注目ハイライトをまとめて大会レポートとして紹介する。
ストリート種目は日本人男子が大活躍。本戦では白井空良が、ベストトリックでは池慧野巨がX Games初金メダルを獲得!
男子ストリート
男子ストリート決勝は前日の予選を勝ち上がった8名により争われ、45秒間のランを3本走行しその中で最も良い得点のランが採用されるベストランフォーマットでの戦いに。X Games金メダル獲得最多記録を期待されたナイジャ・ヒューストンがフルメイクを決めきれず惜しくもメダル獲得はならなかった一方で日本人選手たちが大活躍。
まず決勝のプレッシャーをかかる中で1本目からフルメイクをしてきたのは小野寺吟雲。「キックフリップバックサイドリップスライドショービットアウト」でランをスタートすると「バックサイド360キックフリップ」や「ビッグスピンキックフリップ」などコース内を大きく様々なセクションを使う。ラストトリックでは12段ステアのハンドレールで「キックフリップバックサイドテールスライドビッグスピンアウト」を完璧に決めるとフ後続にプレッシャーをかけた。自分のランの後にはガッズポーズを見せるも、その後その自身のスコアを上回ることができず惜しくも銅メダルとなった。。
次は序盤のフルメイクで金メダルにはさらにアップデートを狙いたい根附海龍。ラストランで「バックサイドテールスライドビッグスピンアウト」、ハンドレールでの「ノーリーインワードヒールフリップボードスライド」を決めるなどトリックをアップデート、ラストトリックにはバンクトゥバンクでの「バックサイド180レイトショービット」を決め93.00ptをマークすると暫定で首位に立ち、金メダルを確実にしたように思えたが、その後白井に上回られて銀メダル獲得。
そして今回小野寺と根附をさらに上回り勝利を収めたのは白井空良。序盤のフルメイクで暫定3位につけていたが、ラストランでは根附の93.00ptというハイスコアのプレッシャーを物ともせず自分の滑りに集中。フェイキースタンスの「270バックサイドテールスライド」、「アーリーウープバックサイド180スイッチフロントサイド5050グラインド」、「アーリーウープ270ボードスライド」、ラストを白井の伝家の宝刀でもある「ノーリービッグスピンバックサイドテールスライドビッグスピンアウト」にアップデートしフルメイクで終えると94.66ptというハイスコアをメイクするとX Gamesにて自身初の金メダルに輝いた。
パリオリンピックでは直前での体調不良もあり4位でメダルを逃す悔しい思いをしたが、オリンピック後初となる世界大会で見事な成績を残し幸先の良いスタートを切った。
男子ストリート・ベストトリック
異次元のトリックが続々と飛び出すベストトリックは20分間のジャムセッション。各ライダーが自分たちの持つ一般人で理解しがたいコンボトリックをメイクしていく中で一際レベルの高いトリックを見せてメダルを勝ち取ったのは以下の3名だ。
まずはストリート種目同様に今回の金メダル獲得がX Games歴代最多の新記録に繋がるため何とか勝ち切りたいのがナイジャ・ヒューストン。冷静に見事な「ハーフキャブキックフリップクルックドグラインド」を決めるもスコアを伸ばし切ることはできず銅メダル獲得となった。
次は「ノーリービッグスピンバックサイドテールスライド」や「ノーリーバックサイドキックフリップテールスライド」でミスした際も、背筋のバネでホップし跳ね上がるなどで観客を沸かす並外れた高い身体能力を持つコルダノ・ラッセル。彼も他のライダーがやらないオリジナリティとスキルの高さが光るトリックをメイクするのが特徴だが、時間内に見事「ノーリーバックサイドキックフリップテールスライド」をメイクし銀メダルを獲得した。
そして今回何と金メダルに輝いたのは日本が世界に誇るスタイラー池慧野巨。 堀米雄斗の盟友でもある彼は、やはり堀米にも勝るようなレベルのハンマートリックを持つが、今回は直前での出場が決まったものの、大会では落ち着いた様子で「ノーリーバックサイドビッグスピンヒールフリップバックサイドテールスライド」をメイクするとトップの座を守り切りで見事自身初のX Games金メダルを獲得した。
女子ストリート
今回は優勝候補の西矢椛、織田夢海は直前の怪我により出場を回避することになった中で、競われた女子ストリートの決勝。実際に今回のストリートコースはパリオリンピック金メダリストの吉沢恋が「コースが難しい」と公言するほど、女子スケーターにとってかなりハイレベルなレイアウトであったことで、吉沢だけでなく東京オリンピック銅メダリストの中山楓奈らはラインの組み立てに苦戦していた印象が見受けられ、各選手練習からルーティーンを組むのにライダーが苦労していたように思えた。
そんな中で安定したトリックをメイクしてきた赤間凛音は得意の「フロントサイドビッグスピン」や「バーレーグラインドリバート」、ラストはハンドレールで「フロントサイド270ボードスライド」までフルメイクしラン2本目で暫定3位へ。続くラストランでは「フロントサイドビッグスピンヒール」にアップデートを試みるも決めきれず今回は銅メダルとなった。
「X Games Ventura 2024」で初のX Games 女王に輝いた伊藤美優は得意の「キックフリップ」、「バックサイドテールスライド」、クオーターで「ブラントストールバックサイド180アウト」など力強さとフローを合わせたラインで1本目からフルメイク、2本目以降ではラストトリックにステアでの「ハードフリップ」に挑むも惜しくも決まらず銀メダルとなった。
練習からしっかりパークの特性を把握し、いち早く自身のラインを完成させていたクロエ・コベルはステアを得意の「キックフリップ」で飛び出すとバンクで「スイッチキックフリップ」から「ノーリーフリップ」、ラストのハンドレールで「バックサイドテールスライド」まで危なげなくフルメイクし盤石な強さを見せ1本目のスコアを守り切り金メダルに輝いた。
コベルも男子の白井と同様、パリオリンピックではメダルを逃す悔しい思いをしたが、オリンピック後初となるこの世界大会で見事な成績を残して、幸先の良い新たなスタートを切った。
バート種目は新世代の台頭と世界初メイクトリックが現れる歴史的な幕切れ
ストリート種目やパーク種目と同様に日本人選手たちが大活躍を見せているバート種目。今大会では女子カテゴリーの開催はなかったが、男子カテゴリーにて新世代の台頭と競技のネクストレベルを目の当たりにした。バートは招待選手10名、バート・ベストトリックは招待選手8名によって、異次元なトリックの数々が披露されてメダルが争われた。
男子バート
今大会で新世代の台頭として確かな実力を見せたのは日本の猪又湊哉。先日の「X Games Ventura 2024」にてX Gamesデビューを果たし初出場で銀メダルを獲得した彼は、ラン3本目で素晴らしいライディングを見せる。ハイエアーから繰り出される「540」を皮切りに、常に高いエアーを保ちながら「ダブルキックフリップインディグラブ」や「ステールフィッシュ540」「バリアルフリップインディグラブ」そしてラストトリックには「ステールフィッシュ720」という非の付け所のないランで90.00ptをマーク。そのままスコアを守り切り、自身の2個目の銀メダルを2大会連続で獲得した。次世代と言わず既にトップライダーの仲間入りをしている彼は芝田モトの後を追う若手ライダーの一人だ。
今回金メダルを獲得したのは盤石の強さを見せたギー・クーリー(ブラジル)。全体を通して着実にフルメイクを重ねたことにより他のライダーが攻めざるえない状況を作りミスを誘発すつことで優位に進めた。そんな中で迎えたラストランでは圧倒的なライディングを見せる。30秒という限られた時間の中で「ボディバリアルフリップ900」を2度メイクするなどと終始完璧なトリックのフルメイクでランを終えるとさらにスコアを93.33ptまで伸ばし金メダルを獲得した。
そしてしっかり言及しておきたいのは西川有生、河上恵蒔に未来を見た今大会ということだ。西川はラン1本目から「ダブルキックフリップインディグラブ」や「キックフリップバックサイドリップスライド to リバート」を決めきりフルメイクで会場を沸かせた。河上は大会前から多くの注目を集め、大会当日は本調子ではないにも関わらず彼の名を世界に示した「900」をしっかり決めてみせた。まだ西川は11歳で河上は10歳というこれからが末恐ろしい年齢。彼らがX Gamesの舞台で中心人物になる日もそう遠くはないだろう。
男子バート・ベストトリック
異次元のトリックが飛び出したのはストリート種目だけではない。バート・ベストトリックも20分間のジャムセッションだが、今大会では世界初メイクのトリックも数々披露され、バートの競技レベルがまた一段階引き上げられるのを感じた一戦だった。
そんな戦いでまず銅メダルを獲得したのは猪又湊哉。ハイエアーの中に「アリウープバリアルキックフリップインディグラブ540」を2度目のトライで決め切って見せた。今大会での2個のメダル獲得は世界トップライダーの一員としての地位を確実にしたことだろう。
そしてここからがドラマの始まり。芝田モトが4度目のトライでX Gamesにて世界初メイクとなる「フロントフットインポッシブルリーンエアー540」を決めてみせ、本人自身も先日の記者発表会で決めたいと話していたトリックだけに安心した様子を見せた。この時点で暫定1位にジャンプアップ。会場内も彼の金メダル獲得は必至だろうという雰囲気だったがこれでは終わらなかった。
その芝田の直後にライディングしたギー・クーリーが同じく世界初となる「キックフリップボディバリアル900」を決めて1位に浮上したのだ。メイクした瞬間にはクーリーも感情が抑えきれずボードをコーピングに叩きつける姿が見られる中、最初にその快挙を称えに駆け寄ったのは芝田。
銀メダルを獲得した芝田と金メダルを獲得したクーリーの2人の選手による今までに無い世界初トリックの連続達成という歴史的な大会を今回目の当たりにすることができた。次のX Gamesではどんな歴史が生まれるのか期待したい。
パーク種目はオリンピック金メダリストのアリサ・トルーが大逆転劇。彼女の強さ止まることを知らず。
パーク決勝は大会最終日に開催され、前日の予選を通過したトップ8名により45秒間のランを3本走行した後、最も良い得点のランが採用されるベストラン方式で争われた。日本らしい寺院の模したセクションもあるユニークなコースレイアウトの中で各々のスタイリッシュなランが披露された。
女子パーク
決勝序盤からスカイ・ブラウン(イギリス)がフルメイクのランを見せ暫定首位でプレッシャーをかける中、その勢いはそのまま止まることを知らず、2本目ではクオーターでの「マドンナ」でランをスタートさせると、ボックスジャンプでのスタイリッシュな「360」。コーピングもグラインドトリックで綺麗にこなしながら最後はボックスジャンプでのバックワーズの「キックフリップインディグラブ」をメイクし86.66ptをマーク。最終的にはアリサ・トルーに逆転を許すこととなったが、怪我の手術を控えている彼女は本調子ではないながらも銀メダルを獲得する見事なライディングを見せた。
そんなブラウンの親友であり、予選3位通過で決勝を迎えた日本人唯一の決勝進出者の四十住さくらは、直前の練習中ではアクシデントがあり心配されたが本戦ではしっかり状態を上げてきた。1本目ではボックスジャンプでの「バックサイドボードスライド」をはじめ、「ヒールフリップインディグラブ」やコーピングでの「クレイルスライド」、そして最後はボックスジャンプで「フロントサイド180」というフルメイクでスコアメイクするも、2本目はまさかの序盤でミス、ラストランでは「ノーグラブ540」に挑んだが失敗し惜しくもメダルには届かなかった。しかし最近では久しぶりに自分が楽しむランができているように見えたので今後のライディングにも期待したい。
今回見事金メダルを獲得したのは新絶対女王の地位を確実に築き上げているアリサ・トルー(オーストラリア)。ラン2本目を終えた時点で2位に付けた彼女はラストランでは「ボディバリアル540」を皮切りに、「キックフリップインディグラブ」や「スイッチフロント360」などを決めきりフルメイクで終えると大逆転でトップの座を獲得した。今年オリンピック予選から負け知らずでパリオリンピック本戦や「X Games Ventura 2024」でも勝ち続けている彼女の今後どこまで優勝記録を伸ばしてくるかが注目だ。
男子パーク
まずは回転技からグラブトリックまで様々なスタイルのあるエアーを繰り出したギャビン・ボドガー(アメリカ合衆国)。今回は彼のオリジナルトリックである「アラウンドザワールド」の披露こそなかったものの、ラン2本目ではエクステンションでの「キックフリップインディグラブ」や、ボックスジャンプでの「スイッチキックフリップフロントサイド180」など高難度トリックを入れ込むスタイリッシュなランで86.33ptをマークし銅メダルを獲得した。
次にそんなボドガーを上回ったのはノーパッド、ノーヘルメットで力は抜けながらもスピードのある独自のスタイルでセクションをヒットしていたオーストラリアのキーラン・ウーリー。ラン2本目を終えた時点で3位に着けていた彼は、ハイレベルの横回転技やフリップトリックはもちろんのこと、スタイルを活かしたギャップのビックトランスファーエアー、そして最後は高低差のあるボルケーノレッジに「フロントサイドノーズグラインド」を決めきり2位へジャンプアップし銀メダルを獲得。
そんな二人を上回ったのは今大会のバートでも銅メダルを獲得していたトム・シャー(アメリカ合衆国)。彼はバートで培われたハイエアーと安定感をいかんなく発揮し、ラン2本目では「540」や盆栽セクションオーバーの「ノーズグラインド」、「キックフリップフェイキー」から「フェイキーキャバレリアル」まで完璧にフルメイクし金メダルを獲得し今大会で2つのX Gamesメダルを持ち帰った。
日本の永原悠路も銀メダルのウーリーと同様にノーパッド、ノーヘルメットスタイルで「ビッグトランスファー」や「キックフリップボディバリアル540」に挑んだが惜しくもフルメイクとはならなかった。普段ではなかなか見られないX Gamesならではノーパッド、ノーヘルメットのスタイルに永原本人も「こういったスタイルで世界中の人に覚えてもらい認識してもらえたら嬉しい」と語った。最近実力とスタイル共に永原らしさが溢れているので、是非このまま日本が世界に誇るスタイラーとしてスケートボードシーンにおいて更なる活躍をスポーツとカルチャーの両面から期待したい。
大会結果
男子ストリート
優勝 白井 空良(日本)/ 94.66pt
準優勝 中村 輪夢(日本)/ 93.00pt
3位 小野寺 吟雲(日本)/ 89.00pt
4位 ケルビン・ホフラー(ブラジル)/ 83.33pt
5位 池田 大暉(日本)/ 82.66pt
6位 コルダノ・ラッセル(カナダ)/ 79.66pt
7位 佐々木 音憧(日本)/ 73.00pt
8位 ナイジャ・ヒューストン(アメリカ合衆国)/ 71.33pt
男子ストリート・ベストトリック
優勝 池 慧野巨 / 日本
準優勝 コルダノ・ラッセル / カナダ
3位 ナイジャ・ヒューストン / アメリカ合衆国
4位 小野寺 吟雲/ 日本
5位 佐々木 来夢 / 日本
6位 フェリペ・モタ / ブラジル
7位 ケルビン・ホフラー / ブラジル
女子ストリート
優勝 クロエ・コベル(オーストラリア)/ 87.33pt
準優勝 伊藤 美優(日本)/ 84.00pt
3位 赤間 凛音(日本)/ 83.00pt
4位 吉沢 恋(日本)/ 82.66pt
5位 松本 雪聖(日本)/ 79.33pt
6位 中山 楓奈(日本)/ 77.66pt
7位 上村 葵(日本)/ 75.66pt
8位 ST・スカセム(タイ)/ 70.00pt
男子バート
優勝 ギー・クーリー(ブラジル)/ 93.33pt
準優勝 猪又 湊哉(日本)/ 90.00pt
3位 トム・シャー(アメリカ合衆国)/ 89.00pt
4位 JD・サンチェス(アメリカ合衆国)/ 88.33pt
5位 エドアルド・ダメストイ(フランス)/ 83.33pt
6位 西川 有生(日本)/ 80.66pt
7位 エリオット・スローン(アメリカ合衆国)/ 79.33pt
8位 芝田 モト(日本)/ 59.33pt
9位 ジミー・ウィルキンス(アメリカ合衆国)/ 55.00pt
10位 河上 恵蒔(日本)/ 34.66pt
男子パーク・ベストトリック
優勝 ギー・クーリー / ブラジル
準優勝 芝田 モト / 日本
3位 猪又 湊哉 / 日本
4位 エリオット・スローン / アメリカ合衆国
5位 JD・サンチェス / アメリカ合衆国
6位 ジミー・ウィルキンス / アメリカ合衆国
7位 トム・シャー / アメリカ合衆国
8位 エドアルド・ダメストイ / フランス
男子パーク
優勝 トム・シャー(アメリカ合衆国)/ 90.66pt
準優勝 キーラン・ウーリー(オーストラリア)/ 88.33pt
3位 ギャビン・ボドガー(アメリカ合衆国)/ 86.33pt
4位 テイト・カリュー(アメリカ合衆国)/ 84.33pt
5位 アレックス・ソルジェンテ(イタリア)/ 84.00pt
6位 キーガン・パルマー(オーストラリア)/ 77.66pt
7位 リアム・ペイス(アメリカ合衆国)/ 72.00pt
8位 永原 悠路(日本)/ 51.66pt
女子パーク
優勝 アリサ・トルー(オーストラリア)/ 91.66pt
準優勝 スカイ・ブラウン(イギリス)/ 86.66pt
3位 ヘイリ・シルビオ(フィンランド)/ 80.00pt
4位 四十住 さくら(日本)/ 76.00pt
5位 リリー・エリクソン(アメリカ合衆国)/ 73.33pt
6位 ブライス・ウェットスタイン(アメリカ合衆国)/ 72.00pt
7位 ミナ・ステス(アメリカ合衆国)/ 71.33pt
8位 ルビー・トルー(オーストラリア)/ 60.00pt
大会概要
⼤会名称 : X Games Chiba 2024
開催期間 : 2024年9月20日(金)~22日(日) – 3日間 (一般開場は21~22日の2日間)-※詳細は公式HPをご覧ください。
大会会場:幕張メッセ 国際展示場 展示ホール(千葉県千葉市美浜区中瀬2-1)
主催:X Games Japan 組織委員会
主管:千葉市
協賛:Monster Energy、ムラサキスポーツ、スポーツくじ
後援:J-WAVE、BAYFM78
協力:X Games Japan 千葉後援会
SPECIAL EDITION
FINEPLAYはアクションスポーツ・ストリートカルチャーに特化した総合ニュースメディアです。2013年9月より運営を開始し、世界中のサーフィン、ダンス、ウェイクボード、スケートボード、スノーボード、クライミング、パルクール、フリースタイルなどストリート・アクションスポーツを中心としたアスリート・プロダクト・イベント・カルチャー情報を提供しています。
アクションスポーツ・ストリートカルチャーの映像コンテンツやニュースを通して、ストリート・アクションスポーツの魅力を沢山の人へ伝えていきます。
●今日 ○イベント開催日
-
doubledutch日本のダブルダッチがパリ五輪 2024の“エキシビジョンアクト”に!2024.10.11世界を熱狂の渦に巻き込んだパリオリンピック。4年に一度催される“平和の祭典”だが、今回はストリートカルチャーの関係者から一際注目を浴びた回だったように思う。2021年の東京オリンピックで開催されたスケートボード・BMXに加え、ブレイキン(ブレイクダンス)が種目として採用。数々の名勝負が生まれ、そして日本のストリートカルチャーの強さと勢いを世界へと知らしめた。 さて、その傍らで、2本のロープを用いたジャンプロープ(なわとび)である「ダブルダッチ」もパリ五輪と関わりがあったことをご存知だろうか?正式種目としての採択はされていないものの、パリ五輪の様々な会場でパフォーマンスと体験会が行われたのだという。 その取り組みに、日本からは世界三連覇のプロチーム・REG☆STYLEよりKO-YAとKEITA、そして将来を嘱望されているMillennium CollectionよりASUKIの3名が参加。彼らがパリで見た景色とは。そしてダブルダッチ・ジャンプロープがオリンピックの正式種目入りを目指し、世界的に活動を広げている中で、この取り組みは“希望の光”となり得るのだろうか? 現地パリにて、左からKEITA・ASUKI・KO-YA どんなことをしてきたの? まずは、今回の取り組みについて解説しよう。国際オリンピック委員会(IOC)からの依頼を受け、国際ジャンプロープ連合(IJRU)に所属する選手のうち、日本・アメリカ・フランス・香港から4カ国のジャンプローププレイヤーが招聘。ブレイキンやBMX、スケートボードなど、アーバンスポーツ系の会場を中心に取り組みを行ったという。 メンバーのKO-YAはこの取り組みについて、後にこう振り返っている。 「全てのエキシビションコンテンツを見れているわけではないですが、オリンピックの正式種目になっているジャンル以外で、これだけいろんなところで会場を盛り上げられていたのはジャンプロープしかなかっただろう、という印象と手応えはありました」 現地ではショーやバトルなど、さまざまなコンテンツが催されたという。 各国のジャンプローププレイヤーたちと 世界からの思いと“日本流”を背負って 今回、KO-YA・KEITA・ASUKIの3名がパフォーマーとして参加したパリ五輪。国内外のジャンプロープカルチャーにとって重要な影響を与えることになる役割だが、最初にKO-YAがこの話を受けたときの印象について、振り返ってこう語った。 「めちゃくちゃ覚えています。とにかくワクワクしたし、やっぱり『オリンピック』ってものをみんなで目指そうとしている僕らにとって、確実に大きな経験値になるだろうなと。それを直に肌で感じられる場所に行けることは、経験もフィーリングも確実に大きいものを得られるなと思いました」 パフォーマー3名と、JJRU(日本ジャンプロープ連合)事務局長である原竹 純氏 「また先輩たちが築き上げてきてくれたおかげで、僕たちが歴史的通過点に立てるわけで、そこへの感謝と同時に強く責任も感じました。このカルチャーを世界のみんなでオリンピックに、という気持ちはあるけど、日本が育ててきたダブルダッチのカッコよさや面白さ、そして人間的にも成長させてくれるような競技としての奥深い部分、そういったことをシェアできる喜びと、しなければならないという責任感。ジャンプロープ、ダブルダッチ、日本の代表として、しっかり存在感を見せつけないといけないと強く感じました」 実際のジャンプの映像は、ぜひKO-YAのインスタグラムをご覧いただきたい ところで、日本はジャンプロープ強豪国と言われているのをご存知だろうか。KO-YA率いるREG☆STYLEも、世界大会において前人未到の3連覇を果たすほか、ソロバトルやスポーツジャンルにおいてもさまざまなタイトルを獲得。その強さの秘訣について、KO-YAはこう分析している。 「ジャンプロープにも色々なジャンルがありますが、僕らがやっているダブルダッチのフュージョン*に絞って話をすると、音楽と合わせたエンターテイメント性はかなり強みだと認識しています。ショーとしてしっかり成立していて、お客さんを沸かせる技術に特化しているなと。他の国のショーと比べても、日本は緻密に音にハマっているし、もちろんスキルもある。見ている人たちの心を掴む、“会話”する感じのパフォーマンスなんですよね」 *フュージョンダブルダッチのジャンルの一つ。単純に技を点数化するスポーツジャンルとは異なり、音と動きを“融合”(フュージョン)するスタイルのことを指す。 2019年、REG☆STYLEとして世界三連覇を果たした世界大会にて中央がKO-YA、一番右がKEITA 「実は日本でダブルダッチを最初に始めたのはダンサーなんです。でも、それが大きかったのではないかなとも。ロープの中でのグルーヴ感やリズム、そういったダンサブルな動きは日本ならではですね。あと、日本は“カルチャー”として動いている。他の国はスポーツ的なんですよね。良し悪しあると思いますし、それが各国大切にしているスタイルですから否定したい意図はないのですが、ファッションへのこだわりや音楽性に紐づいた演技、歴史的なところを熟知している部分とか、そこは日本流の強みだと思っています」 目の前に広がる“世界の熱気” 話をパリに戻そう。世界のプレイヤーたちが願ってやまないオリンピックの正式種目化。形は違うものの、今回そのステージに立ったKO-YAはどんな景色を見てきたのか。当日を振り返り、“世界的な祭典”の勢いと熱気を、興奮混じりに語ってくれた。 「やっぱり世界的なお祭りだった。うん、やっぱりなんか、みんなの熱気が凄いんですよね。街どころか国ぐるみのイベントだし、ただいろんな人種の人もいて、そのたくさんの人が一体になって作り出している熱気の感覚というのが、本当に凄まじかったです」 ブレイキンの会場にて、日の丸をまとった外国人と 「あと、みんな“お祭り”にきている感覚ということもあるんでしょうか、みんながポジティブな印象も受けました。これがオリンピックの作るPEACEな空気感なんだと。ブレイキンで日本のB-GIRL AMIちゃんが金メダルを獲ったときも、日本人だけじゃなく世界中の人が一緒に沸いてくれて、他の国を称え合うようなムーブメントに肌で触れて、『オリンピックってマジで素敵だな』って、心の底から感じましたね」 その一方で、感じていた“責任感”の部分についても語ってくれた。 「これまで経験してきたステージと比べても、やっぱり文字通り『全世界』が注目している場面だな、凄いなっていう感覚がありました。どうやらオリンピックチャンネル*に自分が映ったみたいなんですけど、それも何カ国の何人が見てるんだろうなっていう。地球丸ごと見られてるんだろうなっていう感覚があって(笑)。もう鳥肌もんでした」 *オリンピックチャンネル国際オリンピック委員会(IOC)が運営するインターネットテレビ局。日本語をはじめとした11ヶ国語に対応し、世界中に配信されている。 KO-YAたちの現地パリでのようすは、KO-YAのインスタグラムにも投稿されている。リールは現時点(2024年10月時点)で多いものだと約70万再生、また数多くのシェア(拡散)もあった。なかには「これを次の種目に入れてくれ」という趣旨のコメントも多々あったといい、未来への手応えや正式種目化への自信も感じたという。 「あくまで通過点」 日本のジャンプロープシーンを牽引し続け、今もなお現役として数々のチャレンジに挑む。長年にわたって現場で戦い続けているKO-YAへ思うところを訊くと、こんな言葉が返ってきた。 「オリンピックにはなってほしい。けど、あくまで通過点に過ぎないとも思っています」 「一番は、このジャンプロープというカルチャーが世界に広がってほしいということ。僕らが『カッコいい』と思って積み重ねてきたものが、より広がってほしいなと思うんです。でも、だからこそオリンピックは重要な通過点になると思うから、絶対になってほしい。それが広がって、いつかジャンプロープのワールドカップが生まれたり、あとは普段から切磋琢磨して高め合っている他のストリートカルチャーと一緒にワールドカップが出来たりしたら、めちゃくちゃ面白いなって」 シーンを“自分ごと”として語る彼の言葉には、決してただの“夢物語”ではない力強さがあった。そんなKO-YAにだからこそ、最後に敢えて彼自身のこと、これからへの思いについて訊いてみた。 「僕個人としては、まずダブルダッチ・ジャンプロープをもっと広めるキッカケになりたいと思っています。そのために、1つは今ジャンプロープをやっている世界の人たちとコミュニケーションを取って、素敵だと思ったものをみんなでシェアしていきたい。もちろん次世代の子たちのことも考えて。そしてもう1つ、ダブルダッチを知らない、やっていない人たちへ『こんなヤベえもんがあるんだ!』ってことを伝えたい。イベントに脚を運んだり、出たりということも大切ですが、今はSNSの時代なので、いわゆる“空中戦”での身捌きも大切だなと思っています」 「自分自身、もしオリンピックになった時にどのような関わり方をするか、出来るかは分かりませんが、きっと正式種目化のキッカケを作る側の立場にはいるだろうと、責任感は感じています。でも欲を言えば……パリ五輪を見て、やっぱりオリンピック出てぇ〜、自分が選手として金メダル獲ってみたいなって思いましたね(笑)。次に可能性があるのが8年後のオーストラリアのブリスベン五輪とのことで、8年後だと自分は42歳。出れるのか、そもそもプレイヤーとしてやっているかすら分かりませんが。ただ、B-GIRL AYUMIさんも40歳でオリンピックのステージに立っているから、別に全く無い話ではないなとも思っています。希望は捨てずに」 KO-YAの言葉がますます熱を帯びる。シーン全体を支える自負と、いちプレイヤーとしてのあくなき探究心が、今日まで彼がトップランカーとして輝き続けてきた理由なのかもしれない。今後の思いを語るなかで、再びKO-YAの言葉がシーン全体の話へと戻っていく。 「あと、さっきジャンプロープの仲間にシェアしていきたいという話もしましたが、むしろ“刺激を与えたい”とか“刺したい”という感覚に近いかもしれませんね。世界一丸となってムーブメントを起こしていく上で、ジャンプロープ全体の持つスポーティーな感覚と、僕ら日本のダブルダッチカルチャーが培ってきたカルチャー的感覚、そこを織り交ぜた唯一無二のものを目指していきたい。輸入したり、逆輸入してもらったり。そのためにも、自分が説得力を持った存在でなければならないなと思っています」 2022年、“個人戦”でチャンピオンに輝いた瞬間 日本のジャンプロープを支えるKO-YAの存在は、表からも裏からもシーンに強い影響を与え続ける、唯一無二のトッププレイヤー。彼が随所に口にした先達への感謝と、未来への希望。インタビュー中盤でも語ってくれた、ダブルダッチというスポーツの〈人間的にも成長させてくれる〉という魅力を体現するような生き様は、まさに彼がダブルダッチそのものであることを証明するようなものだった。 この先のことは分からない。しかし思えば、日本にダブルダッチが“輸入”された1992年から、暗中模索の状態でカルチャーを築き上げてきた。そこから30年余りが経過し、確実にシーンは前進している。まだ見ぬ未来と、感じた手応え。道なき道をジャンプで進む旅人たちの足音が、今日も響き続けている。
-
danceKAZUfreakがインドでの世界大会決勝への切符を獲得!「Red Bull Dance Your Style 2024 Japan Final」2024.10.10日本決勝が名古屋で開催!観客の歓声で新たな日本チャンピオンが決定 多くの観客が押し寄せた会場 歴代のヒットソングに合わせて踊り、会場を最も盛り上げたダンサーが勝者となるシンプルなルールのダンスバトルイベント「Red Bull Dance Your Style」の日本決勝(ジャパン‧ファイナル)が、10月5日(土)に名古屋の中心地の「久屋大通公園」で開催された。 会場は、名古屋のランドマークであるテレビ塔(現‧中部電力 MIRAI TOWER)の真下という絶好のロケーション。「ケンドリック‧ラマー」や「テイラー‧スイフト」、「エド‧シーラン」など誰もが知る洋楽ヒットソングから、「千葉雄喜」や「YENTOWN」、「¥ellow Bucks」など人気のジャパニーズ‧ヒップホップ、そして「新しい学校のリーダーズ」や「Number_i」といった最新のJポップまで幅広い音楽に合わせて、ヒップホップ、ハウス、ロッキングなど多様なジャンルのストリートダンサーたちが熱いパフォーマンスを披露し会場を沸かせた。 審査員は観客の皆さん また勝者を決めるのは審査員ではなく観客というところが他のダンスバトルイベントとは異なるところ。最も心を動かされたダンサーに観客が投票するシステムで、最も多くの歓声を集めたダンサーが勝利を手にするシンプルながらエキサイティングなルール。 予測不可能なDJの選曲に対してダンサーたちはその場で観客の心を掴み、票を勝ち取ることが求められる。実際に当日は会場に大勢の観客が集まり、彼らの手で勝者が決定した。 2022年には本大会から勝ち上がった日本人ダンサーTHE D SoraKiが、「Red Bull Dance Your Style World Final」に出場して世界中の観客や会場を魅了し、30カ国以上のダンサーの中から世界チャンピオンの座を獲得。なお彼がダイアナ‧ロスの「Im Coming Out」で踊った映像が、累計総再生数が1億を超えるバイラルヒットとなり、ダイアナ‧ロス本人やプロデューサーのナイル‧ロジャースから直接コメントが寄せられるなどTHE D SoraKi本人と日本のストリートダンスシーンにとっても伝説の一夜となった。 KAZUfreakのムーブ そして迎えた2024年のジャパン‧ファイナル。日本トップクラスのダンサー16名が集結し、決勝に進んだのはUmiと地元名古屋出身のKAZUfreakの2名。ヒップホップをスタイルとする2人による激しい対決の末、見事KAZUfreakが今年の日本チャンピオンに輝いた。 バトル終了後、 KAZUfreakは「普段はヒップホップばかり踊っているので、今日は正直慣れない音楽が多かったです。でもバトルが大好きなので、世界決勝では自分らしく踊れたら良いなと思います。初めて海外のバトルに出場するので、家族や子供のためにも、より大きな舞台で活躍したいという気持ちが強まり ました」とワールドファイナルへの想いを語った。 今年の世界大会に出場するKAZUfreakとTHE D SoraKi そして今年の日本代表として、今回の勝者KAZUfreakとワイルドカード枠のTHE D SoraKiの2名が 2024年11月9日にインド‧ムンバイで行われる世界大会に出場する。KAZUfreakはプレファイナルに参戦し勝ち抜けばワールドファイナルに出場が決定。THE D SoraKiはワールドファイナル出場が確定しており史上初の2度目の世界王者を狙う。 日本代表たちの世界での挑戦にも注目だ!インドでの熱い戦い、そして新たな伝 説の瞬間がまもなく幕を開ける。 バトルルール DJの音楽にあわせて即興で踊る「1 on 1 All-style」ダンスバトル。16人のトーナメント、1バトル2ムーブ、決勝のみ3ムーブ。「リズム」「スキル」「クリエイティブ性」「カリスマ性」を基準に会場の観衆がジャッジ。カードの赤‧⻘で勝者を決定。優勝者は2024年11月9日インド‧ムンバイで開催のワールドファイナル出場を賭けた「Red Bull Dance Your Style 2024 Pre-Final」への切符を獲得。 Red Bull Dance Your Styleについて 最新のグローバルヒットからクラシックなビートまで、何が流れるか予測がつかないヒット曲を使って、ダンスのスタイルと音楽センスが試されるユニークなフォーマットのストリートダンスイベントシリーズ。ヒップホップ、ハウス、ロッキング、そしてポッピングに至るまで「Red Bull Dance Your Style」に参加するダンサーに求められるのは観客を盛り上げ、票を勝ち取ることだけである。 大会概要 名称: Red Bull Dance Your Style 2024 Japan Final日時: 2024年10月5日(土) 13:00開場∕13:30開演∕15:30終演予定会場: 久屋大通公園内(愛知県名古屋市)協賛: MITSUBISHI MOTORS、 UNDER ARMOUR後援: 名古屋市MC: MACCHANDJ: Yaechi ジャパン・ファイナル出場者 出場者: IKKI、Jenes、KAZUfreak、KEIN、Kotori、LADY TWIGGZ、RYO-TA、SHOW-GO、TsUmU、Twin Twiggz aka Loopz、Umi、UWA、ターザンMIRAI、Ben-jin (東京予選勝者)、Kottie (大阪予選勝者) and more.. *順不同
-
skateJapan Street League 2024 年間王者が決まる最終戦 “BIG YEAR GIG” 大会レポート2024.10.042024年9月29日(日) 埼玉県所沢市にあるSKiP FACTORYにてJapan Street League(以下、JSL)の2024年最終戦となる”BIG YEAR GIG”が開催された。先週行われた「X Games Chiba 2024」でのストリート・ベストトリックにてあのナイジャ・ヒューストン(USA)を抑え優勝し注目を集める池慧野巨(イケ・ケヤキ)をはじめ、北野朝戸(キタノ・セト)原田結衣(ハラダ・ユイ)の2名のガールズスケーターを含めた総勢26名のスケーターが参戦。 こちらの会場であるSKiP FACTORYは2016年にオープンした所沢市にある屋内スケートボードパークで、約1000㎡ほどの面積を有し関東でも最大級の広さを誇る。今年8周年を迎え、8月には大幅なリニューアルを行い、これまでと同様にハンドレールやクォーターなど各セクションのサイズは大きめだが、シンプルでよりストリートを意識したセクションが多くなっているため、スケーターたちがどの様にセクションを攻めるかで高評価に繋がっていくと考えられる。 SKiP FACTORY JSLは今年より国内大会では珍しい男女混合のジェンダーレス大会として行われており、出場選手は完全招待制。オリンピックイヤーの今年は年間を通じて全2戦で開催し、その結果によって年間王者を決めるストリートツアーリーグである。世界の舞台へ繋がるリーグになることを使命と掲げるこのJSLは、より世界を意識する為、国際ストリート大会同様のレギュレーションを採用。出場スケーターは5グループに分かれて予選ラウンドを戦い、獲得点数上位8人による決勝ラウンドで年間王者の座を争う。予選は45秒のラン2本のみで争い、ベストスコア1本(100点満点)が採用され、全てのヒートのポイント上位8名が決勝進出となる。決勝は45秒のラン2本とベストトリック5本の計7本のうちのベストスコア4本の合計点(400点満点)で勝敗が決まる。ただし、ランは最大で1本のみの採用。このことより決勝ではラン2本でミスをしてもベストトリックで逆転も可能となるため、最後の1本までの体力と集中力が必要となる。 最終戦“BIG YEAR GIG”を制し、年間王者になったのは池 慧野巨!! 池 慧野巨のライディング 池 慧野巨は世界最高峰とも言われているスキルの持ち主であり、間違いなく日本ではNo.1と言っても過言ではないだろうか。ランで池はレッジで「キャバレリアルバックテールスライド」、ジャンプボックスで「ワンフットオーリー」、ランの最後にはハンドレールで「スイッチフロントフィーブルグラインド」に挑むもトラックが外れていた為、得点が伸びず70.00ptとなりラン2本終了時には6位となった。 ベストトリックでは5本全てをハンドレールで挑戦。1本目は「スイッチフロントボードスライド」で85.00pt。2本目は「ノーリーバックスピンテールスライド」をミス。3本目には完璧とも言える「ノーリービックスピンバックサイドテールスライドフェイキー」をメイクし86.07ptを獲得した。4本目には「スイッチフリップフロントボードスライド」を85.23ptをメイクしトップに躍り出ると、5本目では「ノーリーバックサイドスイッチフロントフィーブルグラインド」を惜しくもミス。しかしその後の選手に池を越える得点が出なかったため、そのまま2024年の年間王者に輝いた。 「X Gamesがあって、NIKE SBからパートもローンチしていい感じだったんで、その調子を切らさない為にも、今日も頑張ろうと思っていました。これからもJSLをはじめ、出られる試合は出たいです。コンテストに出たら上手くなるし、スケボーの基礎がいろいろできるようになる。そのあとにストリートにいけば、よりストリートの面白さがわかると思うんで、みんなもいろんなところでいっぱい滑ってください。」と喜びとともにストリートで頑張っているキッズたちへメッセージを送った。 田渕利來のライディング 15歳の田渕利來は成長真っ最中で前回大会よりも跳躍力が高く、技のメイク率も高かった。決勝ラン2本目では全体的に安定したライディングで、ジャンプボックス、ステア、ハンドレールと各セクションを上手に使い、フルメイクし84.03ptを獲得してトップへ。ベストトリックでは「ビガーフリップフロントボードスライド」で84.23pt、「バックサイドフィーブルグラインド360アウト」は75.90pt、「オーリーレイトフリップ」が73.57ptと合計317.73ptで2位となった。予選通過時のインタビューでは「緊張しました。滑り終えたら結構楽チンかなぁーって思って、楽になりました。このまま決勝にいけたら、全大会よりも順位を上げて、さらに表彰台目指したいですね!」と語った通り、優勝は逃したものの有言実行でしっかりと表彰台を手にし準優勝した。 村上 涼夏のライディング 今回SKiPFACTORYがリニューアルされたセクションに最もマッチしていたのが村上涼夏。持ち味のスピードを生かした技が炸裂した。ランでは「トランスファー」からの「インポッシブル」、「スイッチクルックドグラインド」と終了間際までフルメイクランするも最後「スイッチバリアルヒールフリップ」でミス。この「スイッチバリアルヒールフリップ」は、予選ランから全て最後で失敗するという痛恨のミス。この技のミスがなかったらどこまでポイントを伸ばせたのか気になるところだ。だがランでは80.83ptと高得点を獲得。ベストトリックでは「バックサイドオーリートランスファーボードスライド・トランスファーアウト」で75.97pt。3本目・4本目と攻めるも惜しくもミスのため、最後5本目で技をメイクしなければ入賞できないというまさに崖っぷち状態に。その緊張の5本目では、3本目・4本目と失敗していた「フロントサイドウォールライドトランスファー」を完璧に決め、見事80.67ptを獲得。なんと村上はベストスコアが3本のみだったが、合計237.47ptで見事3位となった。今回仲間たちとストークし会場を盛り上げた村上は「2023年シリーズはスケジュールの関係でJSLをスキップしてたので、今年は絶対にメイクするために参戦しました。本当にサイコー!みんな楽しみましょう!」と村上らしい言葉で締め喜びを語った。 今大会の特別賞に選ばれたのは原田結衣!! 原田結衣のライディング 男子に負けず劣らず果敢に攻めた女子選手に贈られる特別賞のベストスタリッシュに選ばれたのは神奈川県出身の原田結衣。原田はこのリニューアルされたセクションを余すことなく使い得点を伸ばし42.87ptを獲得する。惜しくも予選通過とはならなかったものの、今大会のベストスタイリッシュを受賞した。その後のインタビューでは「今日は嬉しかったです。これからもストリートやパークにとらわれないで、誰もやってない様なスタイルでやっていきたいです。今回の賞金は将来に為に貯金します(笑)」とにこやかに嬉しさを語ってくれた。 原田結衣(左)と北野朝戸(右)の2名の女子選手が参戦 今回のJSL最終戦参加選手たち アフターパーティーという名のカーブセッション 山附明夢のライディング 今回も最終戦ということで恒例になりつつある「裏JSL」と名付けられたアフターパーティーが行われた。裏というだけあってカーブセクションでの現金取っ払いセッションが行われ、選手・運営・メディア・観客と老若男女関わらず参加。ルールは簡単。技をメイクするのは大前提、その中でクオリティーはもちろんだがオリジナル性を求められる。現金を持った審査員が独断でばら撒くシステムなだけに参加者全員が闘志むき出し、欲むき出しでセクションに挑んだ。 浦野 建隼 もう誰がどれだけ取ったかわからないほど、会場は熱気と歓声に包まれながら2024年シリーズのJSLが締めくくられた。 JSL発起人の3名左から立本和樹、ロス・バトソン、中澤弘純 根附海龍がJSLからSLSへと飛び立ち、現在もその活躍に勢いが止まらない。今後もJSLはネクスト根附を輩出するべく、世界へと繋がる登竜門大会の確立を目指し、現在もSLSとはミーティングを重ねている。2024年シリーズはここで終了するが、来年2025年シリーズも引き続き注目して頂きたい。 大会結果 左から原田、村上、池、田渕の順 優勝 : 池 慧野巨 (イケ ケヤキ) 326.30pt第2位 : 田渕 利來 (タブチ リク) 317.73pt第3位 : 村上 涼夏 (ムラカミ リョウガ) 237.47pt第4位: 八島 璃央 (ヤシマ リオ) 255.47pt第5位: 松本 浬璃 (マツモト カイリ) 159.60pt第6位: 渡邊 星那 (ワタナベ セナ) 157.53pt第7位: 山附 明夢 (ヤマヅキアイム) 148.54pt第8位: 齋藤 吟平 (サイトウギンペイ) 58.63pt特別賞: 原田 結衣 (ハラダユイ) 42.87pt Powered by LiveHeats <JAPAN STREET LEAGUE 2024 最終戦概要> 【タイトル】 BIG YEAR GIG【日程】 2024年9月29日(日) 【会場協力】 SKiP FACTORY skateboard park〒359-0016 埼玉県所沢市新郷220-1【招待選手】浦野 建隼/山附 明夢/浦野 晴/齋藤 丈太郎/齋藤 吟平/池 慧野巨/三星 怜生/田渕 利來/酒井 琥珀/柿谷 斗輝/澤田 莉旺/根間 瀬斗/八島 璃央/渡邊 星那/瀧永 遥句/甲斐 穂澄/高橋 陽太/大場 蓮/安部 来夢/松本 浬璃/和田 陽翔/石井 太陽/村上 涼夏/澤田 莉旺/北野 朝戸/原田 結衣 (順不同)【特別協賛】 FOD / SEIKO 5 SPORTS / Columbia / SKiPFACTORY / ステンレスアート共栄 / RedBullJapan / MARUHAN【協力】 4s sound / Liveheats / Tufleg / GREENFUL【MC】 上田豪 (メインMC) / 寺井裕次郎 (サブMC)【ジャッジ】 謝花明徳 / 橋本貴興 / 宮島大介【ライブ配信】 FODプレミアム(フジテレビオンデマンド)【主催】 JAPAN STREET LEAGUE実行委員会
-
fmxX Gamesを盛り上げたコンテンツの数々。大会の雛形種目である「Moto X・ベストトリック」では東野貴行が銅メダル獲得【X Games Chiba 2024】Moto X & 豪華コンテンツまとめレポート2024.10.032024年9月20日(金)~22日(日)に幕張メッセ(千葉県千葉市幕張)で開催され、まだまだ大会の熱が冷めあらず、その余韻を残している国内最大のアクションスポーツの祭典「X Games Chiba 2024」。 大会最終日には最終競技として「Moto X(フリースタイルモトクロス)・ベストトリック」が行われ、ライダーたちの息をのむ豪快なライディングが「X Games Chiba 2024」の最終日を最高潮に盛り上げて大会を締め括った。なお日本人選手最高位は20大会連続でX Gamesに出場し続けているレジェンドライダー東野貴行選手の銅メダル獲得となった。 また今回は各競技による世界最高峰の戦いはもちろんのこと、イベントを盛り上げる様々な豪華ショーケースやフードフェスなども行われては来場者を楽しませ続け、大盛況の中で今年の「X Games Chiba 2024」は幕を閉じた。 本記事では今大会の雛形種目として会場を盛り上げたMoto Xのメダリストの活躍と、連日イベントを盛り上げた豪華コンテンツをまとめて紹介する。 X Games Chibaでは初開催となる「Moto X・ベストトリック」は天候がライダーたちを苦しめる中、見事メイクしたロブ・アデルバーグが金メダルを獲得。 メダルは惜しくも逃したが会場を盛り上げた渡辺元樹©︎Jason Halayko / X Games 本来は大会2日目に開催される予定だったが、唯一屋外での競技開催ということもあり前日の悪天候により大会最終日に延期し開催された「Moto X・ベストトリック」。大会当日も直前まで強風にさらされ、競技中も天候状況をうかがいながら万全を期した中で行われた。 今大会の競技フォーマットは2本のトライのうちのベストスコア採用方式で争われ、5名の招待選手が出場。そのスタートリストは東野貴行、渡辺元樹、ジュリアン・ヴァンスティッペン(ベルギー)、ロブ・アデルバーグ(オーストラリア)、ジャクソン・ストロング(オーストラリア)となり、どんな世界最高峰のトリックが飛び出してくるのかが楽しみな一戦となった。 以下は入賞者3名が魅せたベストトリックを紹介。 ロブ・アデルバーグのライディング©︎Jason Halayko / X Games まずは今回金メダルを獲得したX Games最多メダリストのロブ・アデルバーグ(オーストラリア)の「レイジーボーイ・フロントフリップ」を紹介。このトリックはバイクのハンドル部分に脚を通してシートに寝そべる「レイジーボーイ」というトリックを前方に1回転する「フロントフリップ」の中で行う超大技。前方に投げ出されるような遠心力に耐えながら両脚だけでバランスを取り1回転するこのトリックを軽々決め切るそのスキルの高さも評価され、94.66ptをマークすると自身4個目のX Games金メダルを獲得し通算18個目のメダルを記録した。 ジャクソン・ストロングのライディング©︎Jason Halayko / X Games そして本種目で銀メダルを獲得したのはジャクソン・ストロング(オーストラリア)。彼がメイクしたのは「フロントフリップ・ノーフットキャンキャン」という前方に1回転する「フロントフリップ」の中で両脚を離してサイドに蹴り出す「ノーフットキャンキャン」のコンボトリック。長年FMX業界を牽引するレジェンドライダーであるストロングのスタイルのあるトリックに会場は歓声と共に盛り上がっていた。 東野貴行のライディング©︎Jason Halayko / X Games 最後はX Games銅メダルを獲得した日本の東野貴行が1本目でメイクした「バックフリップ・スーパーマンシートグラブ to ナッシング」。空中で後方1回転しながら途中でバイクから手足を両方とも離すこのトリック。この環境下でその恐怖にも打ち勝ちメイクできるのは長年この競技で活躍できる彼だから為せることだろう。そんなX Gamesに20大会連続で出場している鉄人・東野はこのトリックで自身のネクストレベルを示し、ベストトリック種目では2013年の金メダル以降の約10年ぶりのメダル獲得となった。現在39歳の東野の今後の更なる活躍にも期待だ。 大会結果 左からストロング、アデルバーグ、東野の順©︎Jason Halayko / X Games 優勝 ロブ・アデルバーグ(オーストラリア)/ 94.66pt準優勝 ジャクソン・ストロング(オーストラリア)/ 94.00pt3位 東野 貴行(日本)/ 86.00pt4位 渡辺 元樹(日本)/ 83.33pt5位 ジュリアン・ヴァンスティッペン(ベルギー)/ 73.66pt X Games Chiba 2024を彩った豪華サイドコンテンツの数々。 「X Games Chiba 2024」では数々の豪華なサイドコンテンツが会場をさらに盛り上げた。その中でも今回はショーケースから「ブレイキンエキシビジョンバトル&ショーケース」と「音楽ライブ」、そして連日来場者のお腹を満たし喉を潤した「Xフードフェス」の様子を紹介。 XII After Ours によるブレイキンエキシビジョンバトル&ショーケース XII After Oursのパフォーマンス©︎Jason Halayko / X Games 最終日にはスペシャルショーケースにて、パリオリンピックで活躍したShigekixを筆頭に世界で活躍する同年代の若手トップブレイクダンサーで構成されたクルー「XII After Ours(Shigekix,AYANE,Ra1on,Tsukki,Y-HI,Ram,Nanoha)」によるショーケースが披露され、世界最高レベルの凄技や音楽にバッチリあったスタイル溢れるムーブの数々に会場は大盛り上がり。最近世界中で注目集めるブレイキンを牽引するメンバーによる貴重なショーケースが世界最大級のアクションスポーツの祭典を彩った。 XII After Oursのパフォーマンス©︎Jason Halayko / X Games Zeebra、HAN-KUN (from 湘南乃風)、MC TYSONによる豪華音楽ライブ MC TYSONのライブパフォーマンス©︎Hikaru Funyu / X Games そしてそんなブレイキンショーケースの後に披露され、最終日を締め括ったのはヒップホップ界のレジェンドZeebra、日本のレゲエシーンを牽引する湘南乃風のHAN-KUN、そして来年1月に待望の日本武道館ライブを控えるMC TYSONという超豪華アーティストによる音楽ライブ。 Zeebraのライブパフォーマンス©︎Hikaru Funyu / X Games アクションスポーツとヒップホップやレゲエが共有するストリートカルチャーを愛するファンたちが一体となり、会場全体がひとつのエネルギーに包まれ、会場の熱気をさらに引き上げ最終日にふさわしい盛り上がりを見せた。 X Food Fes 2024 (Xフードフェス2024) ©︎Jason Halayko / X Games 世界の人気ストリートフードが集結した「Xフードフェス」では全国で3位に輝いた絶品ハンバーガーや自家製ソーセージのホットドッグ、新感覚フライドチキンなど、多彩なストリートフードが勢ぞろい。グルメグランプリ受賞店や人気店も参加し、美味しい料理が来場者のお腹を満たした。どの店舗も列が途切れず、中には売り切れのメニューが出る店舗も続出し来場御礼のフードフェスとなった。 ©︎Jason Halayko / X Games そして今回のフードフェスで何より来場者にとって良心的だったのはスポーツ観戦に最適な「ワンハンドメニュー」の数々だろう。フードフェスの真隣が「Moto X」の競技会場だったこともあり、多くの観客がフードやドリンクを片手に「Moto X」のライディングを楽しむ様子もよく見られた。 最後に ©︎Jason Halayko / X Games 今回も各競技にてたくさんの歴史の1ページが刻まれた「X Games Chiba 2024」。世界トップクラスのアスリートたちによる超絶的なパフォーマンスはさることながら、イベントを盛り上げる様々な豪華コンテンツにより終始大盛況のまま幕を閉じた。世界中をアクションスポーツの熱気に包み込みファンたちの心を離さない「X Games」。それがここ日本にも今浸透しつつある。今後のアクションスポーツの発展と「X Games Japan」の歩みにも目が離せない。 大会概要 ⼤会名称 : X Games Chiba 2024開催期間 : 2024年9月20日(金)~22日(日) – 3日間 (一般開場は21~22日の2日間)※詳細は公式HPをご覧ください。大会会場:幕張メッセ 国際展示場 展示ホール(千葉県千葉市美浜区中瀬2-1) 主催:X Games Japan 組織委員会 主管:千葉市 協賛:Monster Energy、ムラサキスポーツ、スポーツくじ後援:J-WAVE、BAYFM78協力:X Games Japan 千葉後援会
-
doubledutchここから生まれる、伝説の1ページ目。「ITADAKI ダブルダッチ甲子園 2024」Report2024.10.012024年9月29日(日)、 ダブルダッチ業界“唯一”となる高校生を主役とした大会『ITADAKI ダブルダッチ甲子園 2024』が開催された。 2021年からスタートした同大会には、今年もアンバサダーとしてDA PUMPのKIMI、そしてシーンのトップランカーであるREG☆STYLEを起用。 KIMI & REG☆STYLE・YUI©︎ITADAKI 2024, Photo by Miz-ki 更には今回「エンターテイメント」を審査するジャッジには、あのお笑い芸人・パンサー 尾形貴弘に加え、THE FLOORRIORZのB-GIRL RAM、D.LEAGUEからFULLCAST RAISERZのINFINITY TWIGGZが登場。 豪華キャスト陣と入賞者たち©︎ITADAKI 2024, Photo by Miz-ki カルチャー・ジャンルをまたいで豪華キャスト陣が集結し、高校生が主役として輝けるステージを、シーン内外の様々なキャストが華を添えた。3つの種目から構成され、それぞれで白熱した戦いを繰り広げた大会の様子を振り返る。 REG☆STYLE©︎ITADAKI 2024, Photo by Miz-ki SPEED RELAY 団体ごとに競われるこの種目は、駆け足跳びである「スピード」を、3名の跳び手がリレー形式で行うもの。1人目が10秒、2人目20秒、3人目30秒とジャンプ時間も変動し、誰がどの順番で跳び、回すのかという戦略性も求められる。 激戦を勝ち抜いたのは、210回で「日本橋ダブルダッチクラブ」!過去に2度もSPEED RELAYで優勝を果たした同団体が、3度目となる王座のタイトルを獲得した。 日本橋ダブルダッチクラブ©︎ITADAKI 2024, Photo by Miz-ki 1on1 BATTLE 個人戦である 1on1 バトルは、イベントの主役である高校生に加え、未来のITADAKI世代を担う中学生の2部門が用意。 ■ 中学生部門中学生部門は、昨年王者であるSHU-BOY (COMRADE) と、SHUTO (ダブルダッチスクール Be Color) が対決。 SHUTO©︎ITADAKI 2024, Photo by Miz-ki ハイレベルな接戦を制したのはSHUTO!両者ともにブレイキンを基調としたスタイルのバトルとなったが、抜群の安定感でSHUTOに軍配が上がった。 ■ 高校生部門高校生部門では、こちらも昨年王者のTAIYO (MJRC) と奏 (COMRADE) の対決に。両者ともにソロバトルの決勝大会「DOUBLE DUTCH ONE'S FINAL」への出場経験があるだけに、大人顔負けの名勝負が繰り広げられた。 TAIYO©︎ITADAKI 2024, Photo by Miz-ki ブレイキンベースのTAIYOとヒップホップの奏。両者ともそれぞれのスタイルがぶつかり合う激戦は、僅差でTAIYOが勝利。3連覇で不動の強さを見せつけた。 SHOWCASE ■ STEP UP 部門昨年から新設された「STEP UP 部門」は、メンバーの過半数がダブルダッチ歴1年未満であることが条件。さらには今年、ダブルダッチの部活動が存在しない高校からも選手が出場! 高校生たちのフレッシュなショーケースの数々が会場を賑わせた。 そんな中、1位になったのはその“部活動が存在しない”高校から、「KRIEGER」(クリーガー / 日本体育大学桜華高等学校)!ダンス部の部員で構成されているとのことだが、そこで培われたキレ味がダブルダッチでも存分に活かされており、「もっと極めれば大会制覇もあり得る!」と大勢から太鼓判が。初陣を最高の形で締め括った。 KRIEGER©︎ITADAKI 2024, Photo by Miz-ki ■ OPEN 部門次いでOPEN 部門は、今年も激戦。他大会で優秀な成績を収めたチームも多数登場し、大いに盛り上がりを見せた。 3位は「No Logic」(自由ヶ丘学園高等学校)。数々の大会を勝ち上がってきた“猛者”が、ここでもしっかりと入賞。動きの大きさと切れ味、そして女子オンリーのチームでありながら、ヒップホップからブレイキン、アクロバットまで、多岐にわたる技のバリエーションと安定感。堂々たるショーケースで存在感を示した。 No Logic©︎ITADAKI 2024, Photo by Miz-ki 2位は「4Rings」(ダブルダッチスクール Be Color)。女子3人組でありながら、こちらも豊富なバリエーションの技を次々披露。“GAL感”、そして癖になるコミカルさが随所に散りばめられている特徴的なショーケースは、繕わない出演者の内面を映したような、強靭な表現力によって裏打ちされていた。一度見たら忘れられない“インセイン”なショーケースで、準優勝を獲得した。 4Rings©︎ITADAKI 2024, Photo by Miz-ki そして今年度、優勝に輝き優勝旗を高らかに掲げたのは「ROYAL DELIGHT」(ロイヤル デライト / 栄光ROYAL)! ROYAL DELIGHT©︎ITADAKI 2024, Photo by Miz-ki 高い基礎力に定評のある栄光ROYALのチームだが、瞬きの間にも技が繰り広げられるような怒涛の3分間。見たことのあるような一般的な技も、彼らにかかれば応用レベルへと昇華され、会場からは大歓声が!大人数を活かしたフォーメーションや各技など、見れば見るほど細部へのこだわりを感じさせる無駄のない演技で、観客投票でも1位を獲得した彼ら。審査員も高い点数を付け、見事“頂”を掴み取った!! ©︎ITADAKI 2024, Photo by Miz-ki なお、記事末尾にはROYAL DELIGHTの選手たちへのインタビューも掲載されている。彼らが練習で大切にしていたことや“大人数のパフォーマンス”へのこだわりなど、勝利を掴み取った理由の一端を垣間見ることができるだろう。是非そちらもご一読いただきたい。 またこの他にも、ご紹介したい選手は数々存在するが、その全ては公式から公開されているライブ配信のアーカイブをご覧頂きたい。 “山頂”を目指し繰り広げられた戦いは、4年目を迎え新たなシナリオを描き始めている。2021年の開催当初 1年生だった選手は高校を卒業し、それぞれの道へ歩み始めている。だが、高校生たちのその勢いは衰えることなく、新たな顔ぶれがシーンの未来を強く支えていることを目の当たりにした一日だった。 そして、ITADAKIを知る者たちは次なるステージへ進みながらも、高校生たちに大いに刺激を与えていた。山頂から吹き下ろす“山風”のごとく、次なる高みを目指す高校生たちへ、これからも高いところから追い風を起こしてくれるだろう。 ITADAKI 経験者も多数参加したゲストショー「Virgin Odd Scrap」©︎ITADAKI 2024, Photo by Miz-ki この舞台から生まれる、伝説の1ページ目。ITADAKI 2024は幕を下ろし、また次なるシナリオが描かれていく。そこに2本のロープがある限り、きっとこの風は止まないことだろう。 優勝チーム「ROYAL DELIGHT」にインタビュー! ROYAL DELIGHT©︎ITADAKI 2024, Photo by Miz-ki ──まずは優勝おめでとうございます! 今のお気持ちを! こうちゃん本当に嬉しいですし、安心しました。いろんな人が応援してくださって、たくさんの人の支えを常に感じていたので、良い結果で恩返しできたんじゃないかなと思っています。 ──ROYAL DELIGHTのみんなは、過去に大会には出たことがあるの? やまちゃんはい、このチームで昨年のITADAKIに出ています。ただ、怪我でこうちゃんがいなかったので、フルメンバーの7人で出場できたのは今回が初めてです。こうちゃんは昨年、ITADAKIの1ヶ月前ごろにいきなり脚を痛めてしまって…。演技も完成しかけていたので、その時期の雰囲気は最悪でした(笑)。 のりちゃん結果、この時は確か下から数えて3番目の順位でした。 ──そうなんだ。そんなチームが今日上から数えて1番になったわけだ。ちなみにその時の反省や悔しさみたいなものは、今年のパフォーマンスに活きているのかな。 ぼくやそれは大いにありますね。昨年は本当にボロボロだったことがとにかく悔しかったです。初年度から栄光ROYALから出場しているのですが、優勝した経験はなくて、今年こそ“頂を絶対に獲ってやる”という思いで燃えていました。あとは結果の面もそうですが、そもそもパフォーマンス自体を完璧にやりきろうと。 こうちゃん昨年僕が出場できなくて、チームの雰囲気も悪くなってしまって、本当に申し訳ないことをしちゃったなと責任を感じていました。今でも思い返すだけでもしんどい気持ちになります。そして、僕が抜けても6人で出場してくれたチームメイトたちには凄く感謝していて、パフォーマンスを見ていて本当に感動したんです。そういう思いがあったからこそ、今年は本当に覚悟を決めて“絶対に勝つ”と。 ──なるほど。素敵なチームだ。 ぼくや具体的な面で言うと、昨年の反省点として「練習の再現ができていなかった」と思うんですよね。本番を迎えると緊張で手が震えて、縄がちゃんと持てずに飛んでっちゃったり、僕が声を出しまくってしまい、そのせいでチームメイトを変に惑わせてしまうことになってしまったり。本番ですべきは“練習の再現”ということを理解はしていても、それを実行できなかったことが反省点だったので、個人的には今回そこがテーマでした。 そうし僕が思ったこととして、昨年のショーを振り返ったとき、チームの人数が大勢いるのに、1つの技のパートに関わる人数は少なかったんですよね。せっかくの大人数の強みが活かされていないなと感じました。それで今回、意図的に平均的に4〜5人が関れる演技を増やしました。 ©︎ITADAKI 2024, Photo by Miz-ki こうちゃんあと、出す技も小出しにしていた傾向があったんですよね。技を出す→繋ぐ→技→繋ぐ、という単純な繰り返しは構成面では良くないなと。その流れが止まらないような演技にすることを意識しました。あとはぼくやの言う通り、練習の再現ができるよう精度を上げていこうと。身体にパフォーマンスが染み込む状態まで持っていかないと、また演技が飛んじゃう可能性はあるなと思って。 たかし例えば練習を無音でやって、カウントも声かけも全て無しの状態ということもありました。音に頼らずとも自分たちのペースで出来るように染み付かせるという目的ですね。何も考えずとも進められるようにと先輩に教えてもらった練習方法です。 ぼくやあと、めちゃくちゃ演技中に邪魔してもらうとか、ターナーの真横に立ってもらった状態の練習もありました(笑)。本番はお客さんからの歓声もありますが、そんな時でもとにかく練習の再現をいつも通り、平常心でやれるような精神力を鍛えようという。 ──どんな状況でも練習の再現をできるように、演技を身体に焼き付けて自然にできるように、ということなんですね。それで今日本番を迎えたわけですが、振り返ってみてどうでしたか? こうちゃん正直あんまり記憶がないです(笑)。部分部分では覚えているんですけど。ただパフォーマンス終わった後に前を見て、お客さんやジャッジの皆さんの楽しそうな表情を見たとき、最初に思い描いていた景色が目の前にあって、嬉しくて仕方がなかったです。終わったらその体制を数秒キープしないといけなかったんですが、気づいたら手がすぐに上がっていました(笑)。 たかし部活外からも学校の友達が来てくれていて、自分のパートで「たかし通せ〜!」って声を出してくれていて。応援のパワーって凄くて、めっちゃ身体が動いた感じがしましたね。 ぼくや僕は逆に、応援の声は正直あまり気にしすぎないようにしていました。さっきも“邪魔してもらう練習”の話をしましたが、とにかく演技中は平常心で。だからその分、終わった後にお客さんが沸いてくれていたり、拍手喝采で本当に嬉しかったです。感無量でしたね。 けいちゃん昨年出たときは本当に緊張していて、めっちゃ顔引き攣ってるよって言われたりもしたんですよね(笑)。今年も緊張はありましたが、身体がちゃんと練習どおりに動く感覚がありました。 やまちゃんそれこそ演技直前、いつも部活でやっている基礎練を全員でやったんですよ。“練習の再現”という話もありましたが、それも自分としてはかなり落ち着いて臨むことができた要因の一つでした。 ©︎ITADAKI 2024, Photo by Miz-ki ──みんな練習が好きなんだね(笑)。いろんなタイプのメンバーがいるけど、とにかく“練習の再現を”という部分は、ROYAL DELIGHTのみんなが相当意識して取り組んだことだったんだなと、お話を伺っていて感じました。 こうちゃん今年のDOUBLE DUTCH CONTESTという大会で、僕たちの1つ上の先輩にあたる「ROYAL LAPLACE」というチームが国内予選を1位通過して、続く世界大会に出場したんです。そういう偉大な先輩の姿にも影響を大いに受けましたが、実はLAPLACEも直前まで基礎練をやっていたんです。最後まで“基礎は大切”だという教訓、それからROYALとして基礎力の強さは譲れない思いもあったので、原点に戻って基礎練を直前にできたことは良かったなと思います。 ──熱い思いをありがとうございました。それでは最後に、もし今後について考えていることなどがあれば。 ぼくや今こうちゃんがLAPLACEの話をしてくれましたが、偉大であり、かつ超えたい存在だなと思っていて。ROYAL DELIGHTとしての次なる目標は、来年3月のDOUBLE DUTCH CONTEST JAPAN (国内予選) で優勝して、世界大会に出場することですね。LAPLACEの先輩たちもITADAKIには出場していたのですが、結果には恵まれず近くで悔しい思いをしていたのを目の当たりにしたので、僕らがその夢を叶えた今、先輩たちを超えたいなと思っています! ──またROYAL DELIGHTのみんなと会えることを楽しみにしています。今日はありがとうございました! そして、優勝おめでとう!! 開催概要 「ITADAKI ダブルダッチ甲子園 2024」日時 : 2024年 9月29日(日)会場 : 川崎ルフロン主催 : ITADAKI 実行委員会共催: 川崎市 / INTERNATIONAL STREET FESTIVAL 実行委員会主管 : 有限会社 OVER THUMPZオフィシャルパートナー: ポカリスエット / ヘインズブランズ ジャパン株式会社サポーター:川崎LeFRONT / $TREAM協力 : スキルハック / 日本学生ダブルダッチ連盟協力メディア : FINEPLAY