歴代全日本チャンピオンを下した志治群青が初優勝!「第3回マイナビスケートボード日本OPEN supported by Murasaki Sports」パーク男子決勝

2025.04.11
記事提供: CURRENT/photograph by ©︎WSJ

2025年4月5日(土)〜4月6日(日)に「第3回マイナビスケートボード日本OPEN supported by Murasaki Sports」 が鵠沼海浜公園スケートパークにて開催された。女子同様に昨年パリオリンピックを含む世界的に大きな注目を集めたシーズンが終わり、次は3年後に開催されるロサンゼルスオリンピックを見据える中、新たなスタートが切られた2025年シーズンの公式開幕戦が今大会。

今大会には国際大会派遣選手の選出や2025年強化指定選手の選考に関わる重要な大会ということもあり全国から実力者たちが集まったが、大会当日は雨天が見込まれていたため、本来予定されていた準決勝を取り止め、予選の結果から上位8名が決勝に出場する展開に。その中で迎えた決勝日は女子決勝後に雨天に見舞われ大会は中断。雨雲が去りパーク内の状況が元に戻るまでに4時間を要し、選手たちはコンディションを整えるのに苦戦を強いられたが決勝では見事なライディングを見せていた。

そんな本決勝は全38名の出場者の中、予選を勝ち上がった合計8名で競われ、スタートリストは溝手唱太永原悠路岡田光瑠西川有生徳田凱櫻井壱世志治群青猪又湊哉の順となった。

大会レポート

【ラン1本目】

櫻井壱世のライディング©︎WSJ

女子カテゴリーと同様に今大会の決勝は、45秒のラン3本目のうち1本のベストスコアが採用され、一度ボードからを落ちた時点でランを続行できなくなるフォーマット。一発目から攻めのライディングで後続にプレッシャーをかけるか、後半で攻めのトリックにトライするかなど戦略が分かれる中で、いずれも1本目は走り切ってフルメイクすることでしっかりスコアを残しておきたい。

永原悠路のライディング©︎WSJ

まず決勝1本目から好調なライディングを見せたのはパリオリンピック日本代表の永原悠路。過去に日本OPENでは2大会で優勝している永原はハイエアーと回転技そしてグラインドトリックを入れ込んだハイレベルなランを見せる。トランスファーでの長い「フロントサイドノーズスライド」や「キックフリップインディグラブ」、ディープエンドでの「バックサイド540」、そして最後はエクステンションでの「キャバレリアルディザスター」をタイムギリギリで決め切りフルメイクすると68.55ptをマークし幸先の良いランを見せる。

櫻井壱世のライディング©︎WSJ

その永原を超える攻めのライディングを見せたのは世界大会のSimple Sessionで2年連続準優勝に輝いた櫻井壱世。櫻井は多くのトリックバリエーションを豪快なライディング落とし込んだランを見せる。ディープエンドでの「バックサイド540」や、トランスファーでの「バックサイドテールスライド」。コーピングでの長い「フロントサイドフィーブルグラインド」やエクステンションでの「キャバレリアル540」を決め切りフルメイクすると70.02ptをマークし暫定1位に躍り出た。

そして今回は上位には食い込めなかったものの今後の活躍に注目が集まっているのは今大会最年少ファイナリストとなった西川有生。バーチカル仕込みの見事なグラインドトリックとエアーが特徴的な彼は、ディープエンドでの豪快な「キャバレリアル720」をはじめ、トランスファーでの「キックフリップインディグラブ」、エクステンションでの「バックサイド540」、そして最後には「キックフリップ540」をトライするも惜しくも転倒。そんな彼のスコアは転倒したにも関わらず51.47ptをマーク。決めきっていれば上位に食い込むライディングだっただろう。その後は残念ながらスコアアップができなかったが今後が注目のライダーだ。

【ラン2本目】

永原悠路のライディング©︎WSJ

2本目では、櫻井や永原が残したスコアがプレッシャーとなってか、大半のライダーたちがスコアアップに苦戦する展開となり、ラスト1本で確実に高得点を残さないと表彰台争いは難しい状況となった。

そんな中でしっかり1本のミスを修正して、スコアを伸ばしてきたのは溝手唱太。ラン1本目では63.99ptと順調な滑り出しを見せた溝手は、2本目でトランスファーでの「バリアルフリップインディグラブ」、コーナーでの丁寧な「フロントサイドフィーブルグラインド」、そしてトランスファーではギャビン・ボドガーさながらの「アラウンドザワールド」などをメイクし、1本目をアップデートしたライディングでスコアを67.46ptまで引き上げた。

永原悠路のライディング©︎WSJ

そしてその溝手の後にライディングし更なるスコアアップを目指したのが永原。1本目をアップデートし、トンネル上のコーナーで飛び切り「キックフリップインディグラブ」や、エクステンションでのハイエアーの「アリーウープ」、そしてディープエンドでは1本目と同様のクリーンな「バックサイド540」、最後は「キックフリップ」からのワントリックにトライするも惜しくも失敗し転倒。それでも65.38ptをマークしラストランに望みを繋いだ。

そしてここで触れておきたいのが徳田凱。独自のスタイルで観客を魅了する彼はコーナーでの「フロントサイドノーズグラインド」、そしてディープエンドでの「バックサイドノーズスライド」などで今回も会場を沸かせた。惜しくも2本目で転倒があり3本目はDNSとなったが、怪我から復帰した若きスタイラー大会再参戦は感慨深いものがあった。今大会は良い結果で終われなかった彼だが今後の活躍に期待したい。

なお2本目を終えた時点では暫定1位が櫻井、2位が永原、3位が溝手の順となったが、予選を1位で通過している猪又湊哉と同じく2位通過の志治群青がラスト1本でどのようなライディングを見せてくるかで大きく順位が変わることが想定されたため最後まで分からない試合展開となった。

【ラン3本目】

志治群青のライディング©︎WSJ

最終ランとなった3本目は多くのライダーがミスをしてスコアアップができない状態になる中、表彰台争いには大きな変化が見られた。まずは3本目のランでベストスコアを残したのは岡田光瑠。1本目や2本目でなかなかスコアが伸び悩む中、最終ランではスムーズで完成度高いライディングで繋ぐ。トランスファーでの「ステイルフィッシュグラブ」やディープエンドでは「バックサイド540」「バックサイドテールスライド」、そして永原同様にトンネル上のコーナーで飛び切り「キックフリップインディグラブ」などを綺麗に決めるもラストトリックで失敗。52.36ptとスコアを伸ばしたが惜しくも6位で大会を終えた。

そして3本目で一番で気になるのは猪又志治がどう表彰台争いに食い込んでくるのかだ。惜しくも暫定トップ3の櫻井、永原、溝手がスコアアップできない中で、順番が回ってきたのは志治群青

志治群青のライディング©︎WSJ

志治はまずエクステンションの「バリアルフリップディザスター」でライディングを始めると、コーナーで「フロントサイド540」、トランスファーでの「フロントサイド360」と「バックサイドスミスグラインド」。そして彼の特徴的なトリックでもある豪快な「ジュードーエアー」。さらにはギャップ越えの 「バックサイド360」を決め切りフルメイクでランを終えた。自身のパーフェクトランには志治本人も両手を挙げて喜んだ。そんな彼の見事なランには76.26ptがスコアされ、一気に暫定1位に躍り出た。

そして最後に逆転が必要とされたプレッシャーのかかる状況でのランを迎えたのは猪又湊哉。予選では唯一の90点台を叩き出した彼だが、決勝では1本目の66.20ptをトップスコアとして最終ランに挑んだ。自分の持つトリックを出し切ることができれば優勝の可能性もあったが、ランの前半にディープエンドでの「バリアルフリップバックサイド540」に失敗。この瞬間に志治群青の優勝が決まった。昨年の全日本選手権では3位となった彼だが、今大会での優勝は初めて。永原や猪又など歴代全日本チャンピオンがいる中で見事表彰台の頂点の座を獲得した。

大会結果

左から櫻井、志治、永原の順©︎WSJ

1位 志治 群青 76.26pt
2位 櫻井 壱世 70.02pt
3位 永原 悠路 / 68.55pt
4位 溝手 唱太 67.46pt
5位 猪又 湊哉 / 66.20pt
6位 岡田 光瑠 / 52.36pt
7位 西川 有生 / 51.27pt
8位 徳田 凱 / 14.55pt

最後に

©︎WSJ

今大会を通して感じられたのは男子パーク種目の急激な成長だ。パリオリンピックには永原悠路だけの出場となったが次回のロサンゼルスオリンピックでは3人出場している未来が想像できるくらい各ライダーのレベルアップが感じられる大会であった。

一方で、今後これらのライダーたちを差別化するのは高難度のトリック習得はもちろんのこと、いかに高い精度で常に披露できるのかなのだと、今までも言及してきたことが再認識させられた大会でもあった。今後彼らが切磋琢磨し合い、自分たちが持つベストトリックを世界最高峰の場で決め切ることで、海外のトップライダーたちの牙城を崩す未来も期待したい。

2025年も早速勢力図に新たな変化も見られたスケートボードの大会シーズン。ここからロサンゼルスオリンピックに向けて歩む3年が、日本の男子パーク種目シーンの新たな進化を生むことを期待しながら今シーズンも彼らの活躍を追っていきたい。

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