東京オリンピックでの女子日本代表選手たちのメダル獲得による大活躍で認知度と人気を更に引き上げた「スケートボード・パーク種目」。日本国内では女子選手に注目が集まりがちのこの種目だが、今大注目すべきは男子選手なのだ。そんな日本のスケートボード・パークシーンをネクストレベルに引き上げるべく世界最高峰の舞台へ挑戦を続けながら、日本人男子初の快挙を次々と打ち立て今世界一に一番近い日本人若手スケーターがいる。
それが現在国内大会3連勝中の17歳、永原悠路選手(所属:太陽ホールディングス)だ。日本での圧倒的な強さはさることながら世界の名だたるトップ選手たちにも引けを取らないライディングで、世界が今大注目している彼は、東京オリンピックへの出場を逃した悔しさからパリオリンピック出場に向け、現在新技の習得と自身が得意とする豪快なトリックを日々極め続けている。
今回はそんな日本の成長株の永原選手をインタビュー。彼がスケートボードを始めたきっかけから直近の活動状況について、そして今後の目標と彼が話す「スケートボードは楽しいもの」という言葉に込められた真意に迫った。
永原悠路(ながはら・ゆうろ) 以下: Y
国内大会3連勝の実績と最高難度の新技を引っさげ挑む2023シーズン

先日は日本OPEN優勝おめでとうございました。今大会で国内大会3連勝という事ですが今の心境を聞かせてください。
Y:前回の日本OPENと去年の11月にあった日本選手権でも1位を獲り続けてきていたので、ここで負けたくないという気持ちが強かったです。今回の大会は個人的には不完全燃焼だったのですが、しっかり1位を獲ることができてほっとしています。
今大会は決勝が雨天で1日延期となったイレギュラーな大会でもありましたが、準備や調整は上手くいきましたか?
Y:この大会間近まで、パークで滑る技術をさらに上げるためにアメリカで練習をしていました。会場となった笠間のパークで乗っていたわけではないので現地での練習は少なかったのですが、みんなと対等に戦えたので今回は良かったかなと思います。

photograph by Yoshio Yoshida
ちなみに不完全燃焼だったと仰られましたが、何がやり切れなかったのでしょうか?
Y:決勝ラン3本目の最後にトライした「バックサイドキックフリップ・リップスライド」という新しいトリックでミスしてしまったことです。準決勝でもやろうとしたんですがそこでも乗れませんでした。今回は結局一度も乗れずに終わってしまったことが不完全燃焼でしたね。
新しいトリックといえば、最近「バックサイドキックフリップ・ボディバリアル・540(以後”フリップ540”)」という大技を習得されたとのことですが、習得を決めた経緯はどういったものでしたか?
Y:個人的にパリオリンピックでは絶対必要になってくるトリックだなと感じていたので、早い段階で習得しておきたかった感じでしたね。
他にもたくさんの高難度トリックがある中で、どうして「フリップ540」を習得しようと思ったのでしょうか?
Y:仰る通り、スケートボードにはトリックが山ほどあるので、もちろん「フリップ540」だけに限らず色々な技にこれからもチャレンジしていきたいです。
ただ今回このトリックを選んだ理由としては、僕が憧れている海外のトップ選手はほぼ全員がこのトリックを大会でメイクしているので、それを見ていてカッコいいなと思いましたし、他のトリックと比べた時に自分もこのトリックをやってみたいという気持ちは強かったので習得することにしました。
このトリックを習得するまでに苦労したことがあれば教えてください。
Y:苦労したことは本当に恐怖心との戦いだったのですが、アメリカのサンディエゴに行って練習している間はトップスケーターたちと滑る機会が結構ありました。
彼らと一緒に滑っている毎日は気分が上がってすごい楽しく練習が出来ていて、そういう練習の中では怖さも忘れてこのトリックにトライできることも多かったので、格上のトップスケーターたちと一緒に滑って刺激を受けながら練習できたことがこのトリックの習得の早さに繋がったのかなと思います。
最近、いきなりこのトリックをメイクできるようになったのですが、海外でトップ選手たちと一緒に滑っている時も、彼らが常に難しいトリックに取り組んでいるところを見てきて「自分もやらなきゃ」っていう気持ちになったので、彼らが挑戦し続けている姿も自分の後押しになったのかなと思っています。
スケートボードが大好きでとにかく上手くなりたいと思った幼少時代

改めてスケートボードを始めたきっかけを聞かせてください。
Y:お父さんが元々スノーボーダーで、そのオフトレのような感じでスケートボードも昔からやっていました。僕が小さい頃近くの公園へよく散歩に行くことがあったのですが、その道中もお父さんはスケートボードに乗って行くことも多くて、お父さんが滑っているところはよく見ていました。
それからある時自分もスケートボードに乗ってみたいと思うようになって、お父さんのボードを乗らせてもらったのが僕がスケートボードに乗り始めた一番最初のキッカケです。

スケートボードを本格的に競技として取り組み始めたのはいつからですか?
Y:競技としてやるようになったのは小学3年生の時に初めて出場した大会がキッカケです。僕はその大会に出るために初めての県外遠征で三重県にあるスケートパークまでお父さんと車で行きました。そこで自分より年下でも上手い子たちを間近で見て、こんなに上手いスケーターがいたんだっていうのを初めて知ったんです。
それまでは週に1回、2回とかスケートパークに行って練習するような感じだったんですけど、その大会に出てからはスケートボードを毎日やりたいっていうスイッチが入って毎日練習に行くようになりました。なので大会に出場したことで凄い刺激されてもっとスケートボードが上手くなりたいって思うようになったことが本格的に始めたキッカケですね。

そんな永原選手が思うスケートボードの魅力ってどんなところですか?
Y:スケートパークには色々な年齢の人がいて、下は幼稚園生とか小学生から上は社会人まで幅広い年齢層のコミュニティみたいなものがこのスケートボードにはあります。
このような場所で経験する他人とのコミュニケーションは学校に行ってるだけでは覚えられないものがあると思いますし、スケートボードの技術だけじゃなくて人間性も磨けると思うので、そういうところもスケートボードの魅力だと思います。
あとは色々なスポットやスケートパークに滑りに行く中で、日本全国どこでも友達が作れることもスケートボードの魅力の一つかなって思いますね。
勝利の秘訣はどんな状況でも「悔いがないようにやり切る」こと

普段は基本的にどこで練習をされていますか?
Y:最近は色々な大会があるので、国内外本当に色々な場所で滑ってるという感じですが、基本的には地元の長野県白馬村にある「TRUE PLAYERS」というスケートパークで滑って練習することが多いです。
その普段の練習で意識していることはありますか?
Y:最近は大会に向けた勝ちに行くためのトリックの練習が多いですが、アメリカにいた時は新しいトリックをやりたいという気持ちになって、実際にいくつか新しいトリックが出来るようになりました。アメリカにいる時は周りからたくさん刺激を受けるので色々なことに挑戦している感じです。

一方で大会では普段どういうことを意識して臨んでいますか?
Y:国内外関係なく、どんな大会でも毎回悔いがない状態で終わりたいと思って臨んでいます。
基本的には自分のやりたいことだったり、抑えた滑りをしないように攻め切ることが自分の中でやり切ったなと思える状態なので、時には抑えることも必要だとは思いますが、毎回やり切ったという感情になれるように滑ることを意識しています。
大会中に挑戦してミスしてしまったら仕方ないと思いますが、それよりも挑戦もせずに終わることが一番嫌だなって思っています。
「ここで決めなきゃいけない」という状況が大会では結構あると思います。そういう状況下で自分のメンタルの整え方や意識していることはありますか?
Y:先ほど話した「やり切る」ということと重なる部分はありますが、もちろん時には「ミスしてしまうんじゃないか」と思うこともあります。そういう時の対処法としては、その思いが頭をよぎった時こそミスしても良いから全力で突っ込むようにしていて、その迷いを捨てるように心がけています。
やっぱり気持ちで負けていられないので、とりあえずミスっても良いから攻め切ろうと心に決めて毎回ドロップインしています。

今までの競技活動で苦労したことや、強くなったターニングポイントはありますか?
Y:大腿骨の骨折もそうですが、東京オリンピック予選を回っていた時も全然結果を残せなかったので苦労も悔しい思いもしてきました。当時、中学生という年齢で単身海外に行って大会へ出場したことを振り返ると苦労した思い出がたくさんあります。
またこの競技をやっている中でたまたま自分の同世代がいなく、気の合う人もいなかった環境の中で東京オリンピック予選を転戦してきた経験は今にすごく活かされているなと感じています。その経験があったからこそ、ようやくその苦労を今乗り越えられているんだと思います。
色々な経験を経て永原選手が思う自分の強みってどんなところだと思いますか?
Y:僕は大会の時にランが3本ある中でいつも最後の3本目でメイクすることが多いのですが、本当に追い込まれた時にメイクできるのは自分の強みかなという気はしています。ドバイの世界選手権の時も、先日の日本OPENの時も結局最後の最後で決めたので。。でもこれは強みとは言えない気もしますけどね(笑)
世界最高峰の戦いで感じたことと、経験から見えてきた勝ち筋

現在世界を舞台に戦っている中でトップ選手たちと対峙して感じたことはありますか?
Y:トップ選手たちは本当にラン1本目から高難度のトリックをメイクしてくるんです。トリックの難易度自体は僕と海外のトップ選手たちとで大差はないと思いますが、彼らの方がメイクする能力が高いのでそういったメイク率の差は凄く感じています。
これからそんなトップ選手たちに世界で勝っていくためにはどんなことが永原選手に必要だと思いますか?
Y:やっぱりパリオリンピックに向けて、まだまだトップ選手たちがメイクするトリックの難易度は上がってくると思うので、まずそこで差がつけられないようにすることと、トリックの成功率を上げることが必要になると思います。パリオリンピックでトップ選手たちに負けないようにしっかり準備していきたいです。

トリックの難易度とメイク率が世界との差ということですが、彼らに追いつくために具体的に意識していることはありますか?
Y:大会ごとで毎回コースが違うので、大会練習時間中にいち早くそのコースに順応することが大事だと思っています。X Gamesもそうですが、特に国際大会は少ない練習時間でコースに合わせていかないといけない中で今はまだ僕もその時間の中ではコースに適応しきれないことが多いです。
最近は海外等の初めて滑りに行くパークで、大会の時のことを意識しながら最初の1~2時間で自分の持っている技をどこまで出せるのかという練習をよくしています。
ちなみに先日の日本OPENを含め、最近はハイエアーが大きな加点対象になっている印象がありますが、実際に世界大会ではどういうポイントが評価対象になっていると感じますか?
Y:確かにハイエアーなど技のデカさは得点に大きく評価されていると感じています。他には他選手が使っていないセクションで飛ぶということも加点対象の一つだと思います。特にトランスファー系のトリックが該当するのですが、誰も飛んでないところを飛ぶことが実は技の難易度よりも見られているのかなと感じますね。

永原選手もそういったポイントは結構意識されていますか?
Y:そうですね。前回の日本OPENもドバイの世界選手権の時も、誰も飛んでないようなセクションを飛ぶとか、とにかく技の難易度だけじゃないクリエイティビティや表現の仕方は意識しています。そこが自分の一つの武器でもあるので。
もう少し踏み込んで聞いてみたいのですが、実際そういったライディングを世界大会でやってみて手応えはどうですか?
Y:ドバイの時はパークの真ん中のセクションからディープエンドのほとんど垂直の着地面まで「バックサイド・インディー」で飛びました。ちなみに自分以外でそのセクションをしっかり飛んでるのはキーガン・パーマーだけでしたね。
自分の肌感としてもそのセクションを飛んでから、その後のエアーでデカい540が入っただけで得点の出方は違ったような気がするので、本当に技の難易度だけでジャッジは評価しているわけじゃないというのは感じています。

そのような気付きから世界を獲るための活路は見出せそうでしょうか?
Y:はい。ただ技の難易度が高いだけでなく、技をメイクする場所も難易度が高くないといけないというのは感じたので、今後は誰も飛んでないセクションで高難度のトリックを決めていきたいと思います。
また個人的には誰も飛んでないセクションを上手く使えるのがこのパーク種目の魅力だと思ってます。バーチカルの場合は同じ面だけしかないですが、パークは色々なセクションがあるので技の難易度だけではなく、そこでトリックしたらやばいよねっていう部分はパークの魅力だと思うのでそういったところも今後は皆さんに見せていけたらなって思います。
そんな2023年、今シーズンの目標を聞かせてください。
Y:今年の目標は、来月にある「X Games Chiba 2023」で表彰台に立つことと、国際大会もまだあと何戦かあるのでそこでしっかり結果を残し続けることです。前回のドバイの世界大会の成績が23位だったのですが、今後の大会はその成績を越えられるように頑張りたいですし、毎回成績を更新していき結果を残しながらパリオリンピックに向けて準備していきたいと思っています。
直前に迫った国内開催の「X Games Chiba 2023」について
昨年は他選手とは違った永原選手のセクションの使い方が注目されましたが、今回も「 永原悠路のこれを見てくれ!」というような周りを驚かせるライディングを考えていますか?
Y:もちろんやるつもりです!何をするかは当日までのお楽しみということで、是非期待しておいてください(笑)
そういうサプライズを考えているときって楽しいですか?
Y:楽しいですね。本当に小さい頃からみんなが予想していないようなことをするのが好きなんです。多分もうクセなんですけどね。そういうことができるのもスケートボードの楽しいところですね。
永原悠路が目指す今後の目標と将来の姿

来年に迫ったパリオリンピック出場に向けて挑戦していることや、取り組んでいることはありますか?
Y:やっぱり「バックサイド・キックフリップ・ボディバリアル・540」は完成度は完璧なところまで上げていきたいですし、一つ一つの技のデカさもまだまだパリオリンピックまでに磨いていかないといけないと思います。
自分の魅力は誰も飛ばないセクションを飛ぶことや技のデカさ、またクリーンな技をメイクできることだと思っているので、そこは絶対パリオリンピックまでにもっと極めていきたいです。そこに加えて、今いくつか取り組んでいる新しい技もしっかりパリオリンピックに向けて完成度を上げていきたいです。
最近スケートボードの注目度が高まって、スケートボードをやっていない人も観戦する機会が増えてきたと思いますが、永原悠路のここを見て欲しいっていうのがあれば教えてください。
Y:スケートボードを「楽しんでやってるぞ」っていうところですかね。大会に出ていると辛いこともありますが、それも含めてスケートボードは楽しいということを伝えたいです。スケートボードをやっているかどうかに関わらず、観ている人たち全員にこの楽しさが伝わってくれたら嬉しいです。

永原選手にとってスケートボードはどんなものですか?
Y:スケートボードは競技関係なく自分の人生になくてはならないものだと思っています。元々公園での遊びで始めたところから、今では競技としてオリンピックを目指すようになっている中で、昔遊びでやってた頃の楽しさや当時の感覚はずっと忘れてはいけないと思っています。その「遊びとして楽しんできた感覚」を忘れずにこれからもスケートボードをやっていきたいです。
最後に永原選手が目指している理想のスケーター像を聞かせてください。
Y:やっぱり「スケートボードは楽しいもの」ということを皆さんが自分を見ていて伝わるスケーターになりたいですね。あとは大会で勝ち続けて色々なスケーターから憧れられるようなしっかりしたスケーターになれればと思っています。
永原悠路プロフィール

2005年6月10日生まれ。長野県白馬村出身のスケーター。太陽ホールディングス所属。スノーボーダーとして活動をする父の影響で、小学校一年生の時にスケートボードと出会う。小学校3年生の頃から大会に出場し始めると、小学6年生の時には世界から36名しか招待されない「Vans Amateur CombiPool Classic」の14歳以下の部で日本人として初招集される。その後、東京オリンピック出場を目指していたが夢を叶えることができず。さらに2021年6月には大腿骨開放骨折の大怪我を経験。それでも見事復活を果たすと、2022年4月に行われた日本オープンでは初優勝し日本一に輝く。さらにその後、日本初開催の「X Games Chiba 2022」では日本人過去最高位の4位に入り一躍世界トップ選手の仲間入りを果たした。「世界一を取る」と意気込む永原は、2024年パリオリンピックで日本人初の男子パーク種目メダル獲得を目指す。
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culture今年も川崎が熱い!世界レベルのストリートの祭典「ISF KAWASAKI 2023」が大盛況で閉幕2023.11.28「若い世代が集い賑わうまち」を目指す川崎市が世界へ向けてストリートカルチャーやアーバンスポーツを含む様々な若者文化を発信するイベント「ISF KAWASAKI 2023」が開催され、11月26日(日)は神奈川県川崎市の「チッタエリア」にて、様々なストリートカルチャーやアーバンスポーツのコンテンツが実施された。 今年で6度目の開催となった「ISF KAWASAKI 2023」。長かったコロナ禍を経て、進化して戻ってきた昨年の第5回から早1年。今回のイベントで体感できるストリートカルチャーやアーバンスポーツの各コンテンツは昨年以上にグレードアップされており、イベント期間中終始観客や参加者たちを魅了した。 また当日は冬の訪れが近づいていることを感じさせる寒さで冷え込み、屋外会場では時折雨が吹きこんでは選手たちや一般のお客さんの身体を冷やしたが、それ以上に選手たちから湧き出る熱気や、DJによる音楽とMCの実況で盛り上がる会場がその寒さを吹き飛ばし、改めてストリートカルチャーとアーバンスポーツが街に与える溢れるほどのポジティブな力を肌で感じることができたイベントとなった。 以下は大盛況で終えたDay1(10月14日 ルフロン杯)、Day2(11月25日)を経て、本イベント内大注目コンテンツが行われたDay3の様子だ。 イベントの様子 ブレイキンの国際大会「SUPER BREAK」では韓国の「JINJO CREW」が優勝! 優勝したJINJO CREW ©ISF KAWASAKI 2023 ISF KAWASAKIにおいて毎年大注目のコンテンツである、日本発のブレイクダンス国際大会ブランド「SUPER BREAK」がCLUB CITTA’にて開催され、韓国のJINJO CREWが優勝に輝いた。 今年のSUPER BREAKは、3 ON 3 のCREWバトル形式で行われ、海外から7チーム、国内から1チームの招待枠に加えて、当日予選を勝ち上がった8チームによる、合計16チームで本戦のトーナメントが行われた。 海外の招待枠からは、アメリカの「RENEGADES ROCKERS」や、韓国の「JINJO CREW」などの名だたるCREWが来日。そして当日予選を勝ち上がったCREWも、日本を代表する京都の「BODY CARNIVAL」や世界大会3連覇の実績を持つ「THE Floorriorz」、北海道の若手CREW「AREA COMBINATION」などと、国内トップレベルの顔ぶれだ。そして先日開催された「Battle Of The Year World Final 2023」にて優勝に輝いたロシアの「PREDATORZ CREW」も出場し、世界レベルのBBOY / BGIRLがCLUB CITTA’の会場で激戦を繰り広げた。 決勝戦は「JINJO CREW」vs「PREDATORZ CREW」 JINJO CREW ©ISF KAWASAKI 2023 決勝戦は韓国の「JINJO CREW」とロシアの「PREDATORZ CREW」の対戦となり、8分間の制限時間の中で行われた決勝戦は、両者ともにヒートアップを極め、観客からも多くの歓声が飛び交った。 先行のJINJO CREWは、BBOY Veroのエネルギッシュなムーブ、BBOY ZOOTY ZOOTのハイレベルなパワームーブ、そしてBBOY WINGの長い手足を活かしたスタイリッシュかつダイナミックなムーブでバトルを展開していく。 対するPREDATORZ CREWも、BBOY DIASのスタイル全開のムーブを中心に、BBOY ARSXの細かくクリアなミュージカリティ、そしてBBOY SHAMILのトラッシュトークを交えた攻撃的なスタイルが印象的であった。時には至近距離で両CREWが睨み合うなど、国際大会らしい緊張感のあるバトルの雰囲気が作り上げられていた。 BBOY ARSX(PREDATORZ CREW) ©ISF KAWASAKI 2023 バトル後半では、PREDATORZ CREWのペットボトルの水がフロアにこぼれるなどのハプニングもあったが、両者ともに連戦の疲れを感じさせない完成度の高いムーブをラストラウンドまで踊り切り、世界最高レベルのバトルを締めくくった。 結果はJINJO CREWに軍配が上がり、大会初優勝。JINJO CREWのメンバーである、BBOY WINGは優勝直後のインタビューで「私はSUPER BREAKには過去に2回出場していて、直近の結果は2位でした。今回は優勝できたので、とてもいい思い出になったし、今はとても嬉しいです。」と、優勝した喜びをコメントに残した。 フリースタイルバスケットボール「BET」はKengoが優勝! Kengo ©ISF KAWASAKI 2023 フリースタイルバスケットボールのバトル「BET」が今年も開催。オーディション形式の予選から、ピックアップされた8名によるトーナメントを勝ち上がり、決勝に勝ち上がったのは、Kengo(MONSTER BALLAZ)と前回大会覇者のYOH(REAL AKIBA JUNIORZ)。 3ラウンド制で行われた決勝戦では、先行のKengoが音楽に乗せて高難度の技をノーミスで決めていく。若干ミスが目立ったYOHに対して、Kengoは2ラウンド目以降も高いクオリティのムーブで会場を沸かせていく。3ラウンド目に流れた「Busta Rhymes - Break Ya Neck」では完璧な音ハメを見せて会場をロック。見事大会初優勝を果たした。 ©ISF KAWASAKI 2023 ダブルダッチシーンの変革を匂わせた一戦「DOUBLE DUTCH ONE’S」 2本のロープの中を跳ぶダブルダッチの個人戦「DOUBLE DUTCH ONE’S」。回し手を固定することで個人スキルのみを純粋に競い合うこのイベントは、年間5回の予選を経て決勝大会「ONE'S FINAL」に出場する選手を選出し、男女別にシーズンでの優勝者を決める。 これまでの予選史上、過去一番の盛り上がりと言っても過言ではない白熱したバトルの連続に、オーディエンスも大熱狂。シーンの重鎮たちが不動の強さをアピールするような展開が続くなか、決勝戦で大波乱が起こった! KO-YA ©ISF KAWASAKI 2023 ■WOMEN’S SECTION 決勝に駒を進めたのは、ダンサー出身という異色のバックグラウンドを持つ前回のシーズンチャンピオン・Elina Mizunoと、大学2年生ながらシーンにその名を轟かせる期待の若手・KOKORO。 KOKORO ©ISF KAWASAKI 2023 流れるように跳躍するElina Mizunoと、緩急を持たせパワフルにジャンプするKOKORO。WOMEN’Sシーンを牽引する両者の一戦は、3ラウンドに持ち込まれる甲乙付け難い大接戦に。 ジャッジも頭を悩ませるなか、優勝に輝いたのはKOKORO! ONE’S出場から3年、念願となる初めての“予選優勝”を果たし、涙ながらに優勝の喜びと感謝を伝える姿に多くの感動を呼んだ! ■MEN’S SECTION 決勝はREG☆STYLEのKO-YAと、Millennium Collectionのikkyon。プロチームの一員として最前線を駆け抜けるKO-YAと、その背中を追いかけて育ったikkyonという間柄。これまたシーンにその名を轟かせる2名のマッチアップが実現。 ikkyon ©ISF KAWASAKI 2023 HIPHOPを軸としたプレースタイルにおいても共通点を持つ両者。これまた見応え抜群の白熱した一戦となったが、見事優勝に輝き、FINALへの進出権を得たのはikkyon! 彼の所属する学生チーム「Millennium Collection」は先日の全国大会を勝ち抜き、12月に国際大会に出場することが決まっている。勢いづいたikkyonのこれからに注目だ! この一日を総括すると、まさに”温故知新”という言葉がピッタリではないだろうか――。シーンを牽引するプレイヤーたちが不動の強さを見せつけるなかで、優勝に輝いた2人の期待の若手たち。 シーズン2回目となった今回の開催だが、今季は何か大きな地殻変動が起ころうとしているようにも感じる。しかし、この物語はまだ始まったばかり。これからどのような展開が待っているのか…。是非ともジャンプロープ最高峰の個人戦・DOUBLE DUTCH ONE’Sに、引き続きご注目いただきたい。 狭いスペースでスタイルを表現!「OCTAGON 1on1 Cypher」 BBOY Kai ©ISF KAWASAKI 2023 ブレイキン1on1 バトルコンテンツの「OCTAGON 1on1 Cypher」。BRONXのレジェンドBboy Alien Nessが開発したバトル形式であり、狭いスペースの中でボディーコントロールを駆使し、どれだけBBOYとして表現できるのか、BBOYならではの発想とスキルが問われた。 そこで優勝に輝いたのは、BBOY Kai(Sweet Coast BreakBoys Club)。カラーコーンとテープで囲まれた空間の中でもスキルやミュージカリティ、ムーブの中での遊び心も見せ、自身のスタイルで会場を盛り上げていた。 未来のスケートボーダーに光を当てる「XLARGE SKATE SESSION」 ©ISF KAWASAKI 2023 L.A発のストリートブランド「XLARGE」が贈るスケートボードイベント。「未来のスケートボーダーに刺激と成長の機会を提供する特別な日」をコンセプトとした本イベントでは、「スクール」と「ベストトリックジャムセッション」を2部制で開催された。 スクールでは6歳以上の未来を担うキッズスケーターたちが、楽しさと安全性を重視した上で、世界で大活躍する山下京之助を含む豪華講師陣からアクションスポーツのエッセンスを直接学ぶといった貴重な時間に。 ©ISF KAWASAKI 2023 そして、その後のベストトリックジャムセッションでは男女年齢関係無く、スキルとスタイルに自信のあるスケーターたちが集まり、持ち技を披露してジャッジや観衆を魅了した。このセッションには佐川海斗や西宮ジョシュアなどの国内外で活躍する人気スケーターたちも飛び入りで参加し会場を盛り上げ、まさに未来のスケートボーダーに刺激と成長の機会を提供する特別な1日となった。 ランニングバイク「ROCK’S CUP」ではキッズたちの小さな身体に秘めた熱い闘志が激突 ©ISF KAWASAKI 2023 今回は2歳から4歳までの未就学児童を対象としたランニングバイク(ペダルなし自転車)によるレースイベントが開催された。年齢別のカテゴリーにて、チネチッタ通りの石畳の上に設けられたミニコーンとコーンバーでレイアウトした1周約120mのコースをキッズたちがスタートから全力疾走し順位を競いあった。 各々自分好みにカスタマイズされたランニングバイクと、一こだわりのギアを身にまといコースを見つめる姿はもうアスリートそのもの。近年はランバイクからBMXレースへステップアップする子どもたちも多いことから、BMXレーシングの未来の日本代表がここにいるかもしれない。 究極の鬼ごっこスポーツ「パルオニ」で寒さも忘れ、親子や友達同士で楽しむ ©ISF KAWASAKI 2023 「鬼ごっこ」×「パルクール」を組み合わせた究極の鬼ごっこスポーツ。子どもなら誰でもやったことがあるこの遊びにパルクールの要素を組み合わせて競技化したのが「パルオニ」。安全面が配慮された運動機能を自然と向上させるキッズ用の障害物が置かれた指定エリアの中で「追う側」「追われる側」に分かれて繰り広げられるのが1対1の「20秒間鬼ごっこ」。 どちらが早くつかまえることができるかを競うのだが、イベント内では子ども同士や親子同士で楽しくプレーする様子も見られた。また時折、若者など大人同士でのプレーもあったが、プレー後はみんな笑顔になっており「パルオニ」が老若男女に楽しまれるスポーツとして今後更に浸透していく予感を感じることができた。 ライブペイント「Graffiti Live Paint」では世界レベルの作品に触れながらグラフィティ体験 ©ISF KAWASAKI 2023 世界で活躍するグラフィティアーティストである「KAZZROCK」「COOK」「SUGAR」の3名による路上ライブペイントが今回も開催。雨天の影響でチネチッタ通りからアレーナチッタへ会場を移した本コンテンツでは、選手たちや観客の前でプロの巧みな技術が披露された。 様々なカラースプレーや画材を使いながら、アーティストたち各々が触れてきたカルチャーや今までの経験から培われた独特な感性を作品として昇華させていく姿に、同会場で他コンテンツを観ていたお客さんや選手たちも足を止めて目を奪われている様子が印象的だった。 また今回、会場には一般観客向けの体験用キャンバスが用意され、アーティストたちと一緒に子どもから大人までたくさんの観客がグラフィティを体験し、参加者みんなで一枚の作品を完成させた。 イベント概要 タイトル:INTERNATIONAL STREET FESTIVAL KAWASAKI 2023開催日時:11/25(SAT) ラゾーナ川崎プラザ ルーファ広場 (※雨天時 KAWASAKI BRAVE THUNDERS COURT) 11/26(SUN) CLUB CITTA’, KAWASAKI BRAVE THUNDERS COURT, チネチッタ通り内容:Breakdance Dream Cup : 日本最大のキッズブレイキンコンペティション Let`s Play DOUBLE DOTCH : ダブルダッチの無料体験 RIDE ON!ENJOY BMX & Skateboard : BMXとSkateboardの無料体験 SUPER BREAK : ブレイキン3ON3クルーバトル Graffiti Live Paint : 有名アーティストによる路上ライブペイント CROSS RUMBLE : 3つのストリートカルチャーによるバトルイベント ROCK`S CUP : キッズランニングバイクレース パルオニ : パルクール鬼ごっこの無料体験 XLARGE SKATE SESSION:スケートボードスクールとコンテスト出場料:無料(一部有料)主催:INTERNATIONAL STREET FESTIVAL KAWASAKI実行委員会共催: 川崎市後援:公益社団法人日本ダンススポーツ連盟 / 一般財団法人日本ジャンプロープ連合 / 川崎商工会議所 / 一般社団法人川崎市観光協会 / 川崎駅広域商店街連合会運営:株式会社I AM / 有限会社OVER THUMPZ / 株式会社ロックス / STUDIO S.W.A.G.
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culture世界レベルのストリートの祭典『ISF KAWASAKI 2023』今年のブレイクダンスキッズ日本一が決定!2023.11.262023年11月25日(土)にラゾーナ川崎プラザ ルーファ広場にて、ストリートカルチャー系アーバンスポーツのフェス「INTERNATIONAL STREET FESTIVAL KAWASAKI 2023(以下:ISF KAWASAKI 2023)」が開催された。 11月25日は、ブレイクダンスキッズ日本一決定戦となる「Breakdance Dream Cup 2023」、ダブルダッチの無料体験会「Let`s Play DOUBLE DOTCH」、BMX & スケートボードの無料体験会「RIDE ON」と、3つのコンテンツが行われた。 世界レベルのキッズが頂点をかけて争う!「Breakdance Dream Cup 2023」 © ISF KAWASAKI 2023 11月らしい冷え込みが川崎市を包むなか、180名のBBOY / BGIRLが会場のラゾーナ川崎プラザ ルーファ広場に集結し、ブレイクダンスキッズ日本一 を決める「Breakdance Dream Cup 2023」が開催された。 小学校低学年(1~3年生)の部は BBOY JULYと BGIRL mitsuki が優勝(両者ともに2連覇)。小学校高学年(4~6年生)の部ではBBOY Lil Kong(2連覇)と BGIRL HARUが優勝。中学生の部では BBOY RA1ON(2連覇)と BGIRL Cocoa が優勝し、計6名のBBOY / BGIRLが各部門の日本一に輝いた。 小学校低学年の部 小学校低学年の部 優勝 BBOY JULY © ISF KAWASAKI 2023 小学校低学年の部 優勝 BGIRL mitsuki © ISF KAWASAKI 2023 小学校低学年の部ではBBOY JULYとBGIRL mitsuki が優勝し、両者ともに大会2連覇を達成した。BBOY JULYからは時折キッズらしいパッションを感じつつも、その小柄な体から繰り出されるハイレベルなパワームーブで会場を盛り上げた。BGIRL mitsukiも、体の柔らかさを活かしたスタイルで攻めるBGIRLが多い中、スピード感のあるフットワークやパワームーブを活かしたスタイルが印象的であった。 小学校高学年の部 小学校高学年の部 優勝 BBOY Lil Kong © ISF KAWASAKI 2023 小学校高学年の部 優勝 BGIRL HARU © ISF KAWASAKI 2023 小学校高学年の部では BBOY Lil KongとBGIRL HARU が激戦を勝ち抜いて優勝。THE FLOORRIORZに所属し、今や世界の舞台でも活躍の場を広げるBBOY Lil Kongは、圧倒的なムーブの完成度で見事大会2連覇を達成。クオリティの高いパワームーブはもちろんのこと、BBOYとしてのフレーバーも感じさせるスタイルは、出場者の中でも頭一つ抜けていただろう。BGIRL HARUは持ち前の柔軟性を活かした動きに加えて、ムーブの構成力もパワーアップしていた印象があった。彼女は惜しくも昨年のBreakdance Dream Cupで準優勝となっており、小学生部門ラストとなる今大会でリベンジを果たし、見事優勝を勝ち取った。 中学生の部 中学生の部 優勝 BBOY RA1ON © ISF KAWASAKI 2023 中学生の部 BBOYでは BBOY RA1ONが優勝。BBOY RA1ONは、中学生離れしたムーブの数々で大会2連覇を達成した。世代屈指のスキルと、豊富な経験値に裏付けされたBBOYとしての完成度は、他を寄せ付けないほど圧倒的であった。今後も彼は現U15世代の中心人物として、ブレイキンシーンの「BBOYING」としてのレベルを更に上に引き上げていく存在になっていくのではないか、そういった可能性を感じさせるほどの風格であった。 中学生の部 優勝 BGIRL Cocoa © ISF KAWASAKI 2023 中学生 BGIRLの部門ではBGIRL Cocoaが優勝。彼女は今年の「SHIROFES.2023 - "THE JAM"」や「JJBC2023」にて優勝するなど、多くの実績を残している世代屈指のBGIRLだ。昨年のBreakdance Dream Cupは惜しくも準優勝であったが、今年は見事チャンピオンの座を勝ち取った。決勝戦においても多彩なスキルやミュージカリティに加えて、ダイナミックなフローを途切れさせずに踊り切ったのが印象的であった。パワームーブ、フットワークなどの繫ぎの部分にもフローがあり、「ダンス」におけるスキルも兼ね備えたBGIRL Cocoaには、引き続き注目していきたい。 Let`s Play DOUBLE DOTCH Let`s Play DOUBLE DOTCH © ISF KAWASAKI 2023 日本学生ダブルダッチ連盟 (JSDDL) が運営する「Let`s Play DOUBLE DOTCH」。子供向け、学生向けの2部で分けて実施され、多くの来場者がダブルダッチを楽しんでいた。 BMX & スケートボード体験「RIDE ON」 RIDE ON © ISF KAWASAKI 2023 RIDE ON © ISF KAWASAKI 2023 ラゾーナ川崎プラザルーファ広場 ステージ裏スペースでは、BMX & スケートボードの無料体験会「RIDE ON」が実施された。初めて挑戦するスケートボード / BMXに少し戸惑いながらも、笑顔で楽しむ子どもたちの表情が印象的であった。 © ISF KAWASAKI 2023 ISF KAWASAKI 2023は、既に開催されたDay1(10月14日) ルフロン杯に続き、Day2(11月25日)はラゾーナ川崎プラザ ルーファ広場にて開催された。Day3となる本日、11月26日(日)は、ラ チッタデッラ一帯にてイベントが開催される。国内最高峰のブレイキンバトル「SUPER BREAK」をはじめ、ダブルダッチの1on1バトル「DOUBLE DUTCH ONE’S」や、世界で活躍するアーティストのライブペイント「Graffiti Live Paint」など、注目のコンテンツが引き続き開催されている。 イベント概要 タイトル:INTERNATIONAL STREET FESTIVAL KAWASAKI 2023開催日時:11/25(SAT) ラゾーナ川崎プラザ ルーファ広場 (※雨天時 KAWASAKI BRAVE THUNDERS COURT) 11/26(SUN) CULB CITTA’, KAWASAKI BRAVE THUNDERS COURT, チネチッタ通り内容:Breakdance Dream Cup : 日本最大のキッズブレイキンコンペティション Let`s Play DOUBLE DOTCH : ダブルダッチの無料体験 RIDE ON!ENJOY BMX & Skateboard : BMXとSkateboardの無料体験 SUPER BREAK : ブレイキン3ON3クルーバトル Graffiti Live Paint : 有名アーティストによる路上ライブペイント CROSS RUMBLE : 3つのストリートカルチャーによるバトルイベント ROCK`S CUP : キッズランニングバイクレース パルオニ : パルクール鬼ごっこの無料体験 XLARGE SKATE SESSION:スケートボードスクールとコンテスト出場料:無料(一部有料)主催:INTERNATIONAL STREET FESTIVAL KAWASAKI実行委員会共催: 川崎市後援:公益社団法人日本ダンススポーツ連盟 / 一般財団法人日本ジャンプロープ連合 / 川崎商工会議所 / 一般社団法人川崎市観光協会 / 川崎駅広域商店街連合会運営:株式会社IAM / 有限会社OVER THUMPZ / 株式会社ロックス / STUDIO S.W.A.G.
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dance「カマしまくって歴史を創りたい」更なる高みへと向かうBBOY ISSIN 独占インタビュー!2023.11.24岡山県 岡山市出身の18歳、BBOY ISSIN(菱川 一心)。昨年の「Red Bull BC One World Final」での活躍を皮切りに、今や日本を代表するBBOYの一人となった若きホープだ。ソロの活動に留まらず、京都のブレイキンCREW「BODY CARNIVAL」にも所属し数々の世界大会で実績を残している。 今年の10月には「Red Bull BC One World Final」に2年連続で出場し、改めて世界のブレイキンシーンに大きなインパクトを残している。今大注目のBBOY ISSINにFINEPLAYはインタビューを敢行。 彼自身のブレイキンスタイルを始め、彼の軸となっているマインドセット、そしてRed Bull BC One World Finalをはじめとする直近の活動まで、存分に語ってもらった。 ISSIN(以下:I) “BBOY ISSIN”の基盤を作った幼少期 Jason Halayko / Red Bull Content Pool まずはISSINさんがブレイキンを始めたキッカケを教えてください I:僕は小学2年生までサッカーをやっていたのですが、姉がジャズダンスをやっていたこともあり、その流れでお父さんが岡山のブレイキンスクールを見つけてくれて、そこに体験に行ったことがキッカケです。 そこから自身が所属するCREW「BODY CARNIVAL」にはどのように加入したのですか? I:BODY CARNIVALは「今日からあなたはBODY CARNIVALです」とははっきりと言われてなくて(笑)。 最初は下部団体としてBODY CARNIVAL ZOOっていうチームに加入していたのですが、自然とBODY CARNIVALに正式に入って活動していた感じです! 最初にBODY CARNIVALと関りをもつようになったキッカケはありますか? I:昔にBODY CARNIVALの先輩、KAZUKI ROCKさんがジャッジだったバトルで僕がめちゃくちゃカマした時があって、その時にKAZUKIさんとの出身地も同じ中国地方で近くて覚えて貰うようになりました。そこから色んな紹介でつながりが増えて、京都にも足を運ぶようになったのが大きなキッカケですね。 でも県外には頻繁に行っていました。BBOY O-HASHIさんが所属する「More Power Crew」っていうチームの練習を横浜でやっていて、九州のFUMAと一緒に行って練習していました。同世代でチームメイトのHARUTOと最初に繋がったのも横浜での出会いでした。 同世代には世界で活躍するBBOYがたくさんいますね I:同世代にはHARUTO(BODY CARNIVAL)、TSUKKI(Valuence INFINITIES)、HIRO10(Gun Smoke Breakers)、少し上だとFUMA(nine states b-boyz)とかがいます。僕はこのメンツにキッズ時代は全然勝てた事がないです(笑)。当時はあんまりバトルで当たりたくなかったけど、このメンバーがいるから今まで頑張ってこれたと今では思います。 この投稿をInstagramで見る Bboy ISSIN / 菱川一心(@bboyissin)がシェアした投稿 「誰もやっていないムーブでみんなを沸かしたい」 バトルは何歳くらいから出ているのですか I:バトルは8歳くらいから出ていて、その時からバトルがめっちゃ好きでした。 でも小学校6年生ころまでは、Hiro10、HARUTO、TSUKKIあたりが世代では強敵だったのでなかなか勝てなくて(笑)。でもその時期にBattle Of The YearのU-15ソロバトル部門で優勝できて、そこから結構勝てるようになりました。 そのバトルで手ごたえをつかんだ感覚があったのですね I:その時期からISSINって名前を知ってもらえた感じがしています。当時から「誰もやっていないことをやる」っていうのを意識していて、それこそキッズBBOYではエルボーエアー※¹ をやっている人が一人もいなかったので、エルボーエアーを連発でやっていました。そこから人がやっていないことに対しての追求心みたいなのは生まれたし、今も自分のスタイルとして意識していますね。 ※¹ エルボーエアートラックスの略称。肘を使ってエアートラックスを行う技。 Nika Kramer / Red Bull Content Pool 「誰もやっていないことをやる」といった話がありましたが、ISSINさんの強みは具体的にどこにあると思いますか I:普通の人より動きのスピードが速いっていうのは取柄かなと思っています。 あと最近は元々名前があるようなパワームーブもほとんど練習していなくて、形ある動きをいかに誰もやっていない形にするかっていうのを、常日頃考えています。自分はパワームーブとか爆発力があって、一撃でひっくり返せるような動きが好きなので、そういう部分では「一撃で仕留められる爆発力のあるネタ」が僕の強みかなと思います。 新しい動きを生み出す練習はどのようにやっているのですか I:僕は昔から基礎をしっかりやっていたので、ちゃんと動きが頭の中で理解できていればほとんどの動きが再現できます。なので意外に、動きの練習をしてない時の方が頭の中で練習できていたりします。フリースタイルで練習する時も、色んな方向に動くために、レパートリーとして体が動きを覚えていないと、その方向にいけないので。 そういった部分では誰もやってない動きを作ることに対して、みんなより長けているかなと思います。 パフォーマンスに繋がるように、日常生活で意識していることはありますか? I:僕は自分のやりたいことをやり切って、心が楽になるようにしています!例えば、友達と思いっきり遊んだあとに「楽しかった!よしダンス頑張ろう。」って切り替えた方が良いダンスができるので、ダンスが関係ないところで自分のやりたいことをやる時間を作るようにしています。でもほとんど友達と遊んでいますね(笑)。 どういった時にダンスが楽しいと思いますか? I:自分はムーブをカマしたときの「やってやったぞ!」みたいな瞬間が好きです。その気持ちが好きなので、毎バトル毎バトル盛り上げるためにネタも作っているっていう感覚です。その気持ちよさが好きだから今も楽しんでダンスやっています。もっともっとみんなを沸かしたいですね! 自身を取り巻く環境の変化 Dean Treml / Red Bull Content Pool 直近の活動では「Red Bull BC One World Final」がありましたが、バトルを終えてみていかがですか? I:今回のテーマは、去年初めてBC OneのTOP4に入った中で「あれはマグレじゃねーんだぞ!」っていう事を証明したかったんです。僕の中では失うものもないし、ただカマせれば良いや!っていう気持ちで挑んだら楽しめたし、自分がやりたいこともできました。何より自分で胸張って言えるくらい一番良いムーブが出来たと思っているので、そういう意味ではめちゃくちゃ良かったですね。 今はどんどん強い人と当たれるようになってきて、勝ったり負けたりと次の段階に進めていると思います。だから今回のBC Oneは自分のベストを出した上で負けたので、次はまた上に行けるように取り組んでいきたいです。 特にSEMI FINALのPhil Wizard戦 1stラウンドは動きもキレていて、とても楽しんでいそうだなと感じました! I:僕は「技」だけでカマすより、音ハメとか奇跡が起きる系でカマすのが好きなんです。 実はあの時、途中で決まったエアチェアーもネタじゃなくてその場でフリースタイルで出たものなんですよ!だから自分がそれを出せたときはめちゃくちゃ気持ちよかったし、それに対してちゃんと反応も来るし、「考えすぎなければあれだけ良い動きも出るな」っていうのはめちゃくちゃ感じてました。 Red Bull BC Oneでの活躍やダンススポーツでの結果も受けて、ここ数年で“BBOY ISSIN”を取り巻く環境の変化は感じますか? I:感じますね。企業様がサポートについてくれたりとか、応援してくれる人も凄い増えたなって思います。特に自分は去年から名前を世界に発信できたからこそ、生活の変化は特に感じています。海外にも呼ばれるようになったし、今の環境はめちゃくちゃプラスになっていますね。 海外のBBOYと戦うことが増えた今、BBOYとしての自分に自信を感じますか I:根拠のない自信はあります。全然海外とも戦えると思うし、それほど差はないと思っています。 オリンピック関係のバトルでも「どれだけ頑張っても無理なんじゃないか」とは一切思ってないです。ちゃんと自分がそれ相応の行動をすれば、自分が求めている結果は付いてくると思うし、みんなにない自分の強みを理解して伸ばしていけば、もっとカマせるし勝てると思っています。 「カマす!」では乗り越えられなかった壁 ©公益社団法人日本ダンススポーツ連盟 ここ数年以内のご自身の目標はありますか I:やっぱり今目標にしているのはオリンピックです。今後はBreaking for Gold World Series(12月 香港)やOQS(2024年 5,6月 上海/ブダペスト)が控えているので、まずは表彰台に上るのが目標です。来年開催のOQSでは絶対TOP4の枠に残りたいので、誰と当たっても勝てるようなネタは作っています。 オリンピック予選独自のバトルフォーマットはどのように感じていますか I:とにかくムーブ数が多すぎますね(笑)カマしたいという気持ちだけじゃ乗り越えられない部分もあるので、ちゃんと練習して体力つけて、怪我しないようにやっていかなきゃと思っています。特にオリンピックのフォーマットは、どれだけカマしても相手にポイントを詰められたら余裕で負けてしまうので、気持ちだけじゃ勝てないのは分かってきました。 ISSINさんはムーブの中で自身のネタとフリースタイルの割合は分けているのですか I:オリンピック予選ではフルセットでネタをやっています。一瞬でもフリースタイルを出せる余裕があればいいんですけど、やることが頭に入っていないとネタが飛んだりするので、今の自分のセットの中にフリースタイルを組み込む余裕はないですね。 普通のバトルならミスしても次にカマせば取り返せると思っていますが、特にオリンピック予選では誰もクラッシュ※² しないので全く気が抜けないですね。 ※² パワームーブなどの際に、着地の失敗や足が地面に着いてしまうことの総称 ISSINさんがメンタル的に意識していることはありますか? I:僕はBBOYの中で歴史に語り継がれるようなバトルや、会場のみんなが記憶に残るようなバトルがしたいと一番に思っていますが、今は「勝ちたい」気持ちと「カマしたい」気持ちのバランスがうまく取れていないんです。 次のバトルのことは考えずにそのバトルで出し切って勝つっていう気持ちはあるんですが、オリンピック予選はネタ配分も体力管理もしっかりしなきゃいけないので、そこのメンタルのバランスは悩みながらも意識しています。 ISSINが見据える今後の目標 Little Shao / Red Bull Content Pool ISSINさんが所属するCREW「BODY CARNIVAL」として成し遂げたいことはありますか? I:BODY CARNIVALとしてはやっぱり「BOTY」で優勝したいという気持ちがずっとあります。あとは、CREWとしての圧倒的な存在感を出していきたいです。僕がキッズの時、上の世代のバチバチしてる雰囲気がめっちゃカッコよくて、それを今でも覚えています。その存在感を日本だけじゃなく海外でも「あのクルーが来たら絶対勝てません」みたいに思われたいですね。 地元・岡山のシーンに貢献したいみたいな気持ちもあったりしますか? I:岡山を盛り上げたいという気持ちがあるので、まずは自分がオリンピックに出ることによって、その影響で岡山で誰でも練習できるような施設とかが作られるようになったら良いなと思っています。 自身のBBOY LIFEとして将来的な目標はありますか I:自分には「誰もやっていないことで名前を歴史に刻みたい」っていう気持ちがあります。ただ、実際に誰もやっていないことの何が正解か、何をしたいのかは具体的に分かっていなくて。 なので今は、目の前にあるチャレンジを全部トライして、ダンスだけに限らずどんどん物事を追求して最終的に誰も成し遂げたことないこと、そしてブレイキンの歴史にも刻まれることをしたいと思っています! ISSIN プロフィール BBOY ISSIN(菱川 一心)2005年5月1日生まれ 岡山県岡山市出身。日本を代表するブレイキンクルーBody Carnivalのメンバーであり、パリ五輪出場有力候補の若き日本代表。8歳の時、ジャズダンスをする姉の影響でブレイキン出会う。2017年には、権威のある世界大会Battle of the YearのU-15の部門に出場し、小学6年生で優勝。2022年にRed Bull BC One Cypher Japanで優勝。 同大会のWorld Finalに初出場し、Top4の成績を収める。2023年にもRed Bull BC One World Finalに2年連続で出場し、Top4となる。ダイナミックなパワームーブを武器としながら、スピードと正確性も持ち合わせるISSINのダンスは世界を魅了する。 お問い合せ:hello@elevenmanagement.co.jp
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skate「自分に勝つスケート」で成し遂げた大会2連覇「第6回マイナビ日本スケートボード選手権大会」男子ストリート種目2023.11.23今年の全日本チャンピオンを決める大会「第6回マイナビ日本スケートボード選手権大会 supported by Murasaki Sports」男子ストリート種目が東京都立川市のムラサキパーク立川立飛にて2023年11月17日(金)~18日(土)に渡り開催された。 今大会は国内最高位の大会でありながら、来年度のワールドスケートジャパン強化指定選手及び特定育成選手の選考を兼ねている。そして今大会の上位5名が強化指定選手として2024年1月にUAEのシャルジャにて開催予定のパリオリンピック予選大会に派遣されるのだ。そのため普段、国際大会に出ていない日本人選手の面々にとってもチャンスがある非常に重要な大会。また来月12月には同じく東京の有明でパリオリンピック予選大会でもある「ワールドスケートボードストリート世界選手権2023」が国内で初開催されるため、直前の実戦感覚を掴むために前哨戦として捉え出場する選手たちも中にはいた。 本カテゴリーには全国から44名の選手が出場。今回は東京オリンピック金メダリストの堀米雄斗や、現在世界ランキング上位に入っている白井空良や佐々木音憧は不在ではあったものの、最近の国際大会で好成績を残す日本が世界に誇る国内のトップ選手たちが集まり、誰が優勝してもおかしくない熾烈な大会が繰り広げられた。決勝では準決勝を勝ち上がった合計8名で競われ、そのスタートリストは松本浬璃、濱村大征、藪下桃平、渡辺星那、山附明夢、小野寺吟雲、池慧野巨、池田大暉の順となった。 なお決勝は女子同様に一人45秒間のラン2本に加えてベストトリック5本へトライしたのち、ベストスコアとなったラン1本とベストトリック2本の計3本が採用され、順位が決まる形であり国際大会と同じフォーマットの下で競われた。今大会のコースは今年オープンばかりの関東最大級のスケートパークであるムラサキパーク立川立飛。今大会の決勝メンバーは海外でも活躍する国内指折りの選手たちで高難度かつオリジナリティに溢れたトリックを持っているため、いかに自分の手札を適切なタイミングで切れるかが勝敗を分けるポイントになる試合展開となった。 大会レポート 【ラン1本目】 日が暮れ始める夕方の時間から開始となった本決勝では、11月中旬ということもあり寒さで身体が冷えているのか、各選手がなかなか上手くランをまとめられない展開。多くの選手が苦戦を強いられる中で1本目から80点台後半という高得点を残したのが藪下と池。 まずは豪快な回転系のトリックを得意とする藪下桃平。直前の濱村大征が82.22ptという高得点を残す中、ライディングを始めた彼は8段ステアのハンドレールでの「キャバレリアルボードスライド」を皮切りに、その後もダウンレールで「ビガーフリップ・フロントサイドボードスライド」などをメイクし着実にランを進める。最後はハンドレールで「ハードフリップ・バックサイドリップスライド」を決め切りフルメイクで86.12ptをマークした。自分の納得するランができたのか笑顔で喜ぶ姿を見せた。 池慧野巨のライディング ©ワールドスケートジャパン そんな藪下のスコアを超えるランを見せたのは準決勝2位通過の池慧野巨。準決勝の時点から豊富なバリエーションを活かしスタイリッシュなトリックを安定してメイクしていた池は、決勝でも同じペースで落ち着いたライディングの中に高難度のトリックを入れ込んだ。8段のステアのハンドレールでは「ノーリーバックサイドクルックドグラインド」、ダウンレールでは「スイッチフロントサイドフィーブルグラインド」をメイクしていく。それ以外もトリッキーなトリックを随所に散りばめ、最後はハンドレールで「スイッチ270・フロントサイドボードスライド」、そしてタイムリミットギリギリにレッジで「ハーフキャブノーズスライド to 270アウト」を決めきると86.60ptをマーク。準決勝後に「最近自分の滑り自体に調子の良さを感じていた」と話してくれた彼だが、その無双状態をそのまま決勝に持ちこめているところはさすがだ。 【ラン2本目】 ラン1本目では寒さの影響で身体が固まっていたこともあってか、大半の選手がミスをするなど、うまくライディングをまとめられないでいたが、ラン2本目ではミスを修正して得点を引き上げる選手が多く出てくる展開となった。その中でも1本目での池と藪下に並ぶ80点台を叩き出したのは松本、濱村、小野寺、池田の4名だ。 1本目ではラストトリックの「キックフリップ・バックサイドテールスライド」に失敗し得点を伸ばせなかった松本浬璃。2本目ではギャップオーバーの「キックフリップ・バックサイドリップスライド」や「バックサイドオーバーノーズグラインド」をメイクし、最後はしっかりで「キックフリップ・バックサイドテールスライド」を決め切り86.30ptまでスコアを引き上げた。1本目で失敗した分しっかり決めきったことに安堵しガッズポーズする姿も見せた。 松本の次のライダーで1本目の82.22ptのランを上回るライディングで得点を伸ばしてきたのは濱村大征。8段のステアのハンドレールでの「ビガーフリップ・フロントサイドボードスライド」を皮切りに、様々なフリップ系のトリックをメイクし、中央のロングレールでは「キャバレリアル・バックサイドテールスライド」をメイク。その後も「キックフリップ・フロントサイドブラントスライド」、そして最後には1本目の藪下と同様に「ハードフリップ・バックサイドリップスライド」を決めフルメイク。84.99ptをマークして良い流れでベストトリックへ繋いだ。 小野寺吟雲のライディング ©ワールドスケートジャパン そして1本目のミスのままで終わらなかったのが小野寺吟雲。1本目でミスしたハンドレールでの「キックフリップ・バックサイドテールスライド to フェイキー」をメイクすると、随所で複数コンボの高難度トリックを決めていく。中盤ではギャップオーバーの「フロントサイドブラントスライド to ビックスピンアウト」、「ビックスピンボードスライド to ビックスピンアウト」をメイク。最後はハンドレールで「ビックフリップ・フロントサイドブラントスライド」を決めノーミスでランを終えると87.73ptの暫定1位となった。 さらに、ベストトリックへ移る前にしっかり存在感を見せるライディングを披露したのは準決勝1位通過の池田大暉。大きくコース使って「フロントサイド180・スイッチクルックドグラインド」「バックサイド270ボードスライド」「キックフリップ・バックサイドテールスライド」など様々な高難度トリックをメイクし86.91ptでランを締め括った。 【ベストトリック1本目】 渡辺星那のライディング ©ワールドスケートジャパン ランを終えた時点で8人中6名が80点台を残す接戦の中で迎えた1本目。ラン終了後のインターバルが3分程度だったこともあり、身体が温まった状態だったからか各選手が全体的にしっかりトリックを決めてくる印象。そんな中でも序盤から80点台を超えてきたのは渡辺、小野寺、池田の3名だった。 今大会予選1位通過で、準決勝5位通過と「自分が思っている以上にスコアが出ている」と手応えを感じて決勝に挑んだのが渡辺星那。ランでは2本目で自身が得意とするヒールフリップをベースに、フェイキーとスイッチのスタンスをうまく使いながら複合技を詰め込んだランで79.71ptをマーク。ベストトリック1本目では「バリアルフリップ・バックサイドリップスライド」をハンドレールで綺麗にメイクして81.58ptをマークした。 そしてランでの良い流れをそのまま持ち込み1本目からハイスコアを残したのが小野寺吟雲。ハンドレールで「キックフリップ・フロントサイドブラントスライド to ビックスピンアウト」をメイクして88.86ptをマークし暫定1位の座を固めていく。小野寺本人もこのトリックを決めた瞬間に両手を天に向かって突き上げ喜ぶ様子も見せた。 しかし1本目で唯一90点台という素晴らしいトリックをメイクしたのが準決勝1位通過で優勝候補の池田大暉。ハンドレールで「キャバレリアル・バックサイドテールスライド to ビックスピンアウト」という高難度トリックをメイクするとスコアを90.67ptとした。しかしそんな高得点でも表情一つ変えない様子から、自分の想定内の得点だったことが感じられた。 【ベストトリック2本目】 小野寺吟雲のライディング ©ワールドスケートジャパン 1本目で小野寺や池田の高難度トリックが飛び出し、他選手たちにプレッシャーがかかる一方で、完全に日が暮れたことから会場内の気温が下がって冷え込み、選手たちのパフォーマンスにも影響が出始めているのがうかがえた2本目。またここではトリックに失敗する選手とメイクできた選手で半々に二分化された。そんな環境下でトリックをメイクしたのは松本、濱村、山附、小野寺の4名だ。 松本浬璃は池田の1本目の直後にトリックにトライしたことで感化されていたのか、1本目でミスをした「ハードフリップ・フロントサイドボードスライド」を平然とメイクし81.54ptをマーク。そんな彼に続いたのは、同じく1本目でミスをしていた濱村大征。松本の1本目と同じトリックである「キックフリップ・バックサイドクルックドグラインド」をメイクして80.11ptをマーク。 そんな中で玄人好みの異質なライディングを見せるのが山附明夢。ランでは2本目でミスがありながらも71.69ptをマークしている彼はまさにクリエイティビティの塊。基本的に彼がトリックを決めるセクションは他選手があまり使用しない切り口。この2本目では今大会でほとんどの選手がギャップオーバーのダウンレールとして使っていたレールを逆方向に使い「フロントフィーブル to ショービットアウト」を決めた。そのスキルの高さが評価されこのトリックは85.62ptの評価を受けた。 そしてラン2本目での87.73pt、ベストトリック1本目での88.86ptに加えて、止まることを知らないのが弱冠13歳の小野寺吟雲。彼はこの2本目でギャップオーバーの「ダブルフリップ・フロントサイドボードスライド to フェイキー」という超高難度トリックをメイクし本決勝最高得点の91.62ptをマーク。絶好調の小野寺はメイクした瞬間に両手を突き上げるなど身体全体で今日一の喜びを表現しており、観客からも会場のボルテージが一気に上がる歓声が上がった。 【ベストトリック3本目】 池慧野巨のライディング ©ワールドスケートジャパン 徐々に選手たちの間に大きなスコアの差が生まれてきた中で迎える3本目。やはり寒さが堪えるのかトリックをメイクできる選手たちが少なくなっており、今回は3名だけがトリックをメイク。他選手が得点を残せておらず苦戦する中で丁寧に2本スコアをまとめてきたのは松本浬璃。「ハードフリップ・バックサイド50-50グラインド」をメイクして52.44ptをマークした。 そこに続いたのは山附明夢。1本目の「フロントサイドテールスライド to ヒールフリップアウト」をメイクしたレッジで「フロントサイドクルックドグラインド」をメイクすると74.41ptをマークしたが、1本目・2本目のスコアを更新できず合計得点を伸ばすことはできなかった。また大会後に聞いた話ではこの時点で彼のトリックの手札はかなり少なくなっていたようだ。 そんな3本目に会場を湧かせるビックなトリックをメイクしたのは池慧野巨。2本目で失敗した「ノーリーフロントサイド180・スイッチフロントサイドフィーブルグラインド」という超高難度トリックをこの場面で決めてくるのは、やはり長年トップ選手として日本のシーンを引っ張ってきた経験から来る強さだろう。このトリックには90.34ptの得点が付き暫定2位まで浮上した。 【ベストトリック4本目】 小野寺吟雲のライディング ©ワールドスケートジャパン 3本目を終えて驚くほど会場内の気温は下がり、外から時折風が吹き込むなど選手たちにとっては非常に厳しいコンディションで迎えた4本目。各選手がスコアアップに苦しむ中でここでは2名だけがトリックをメイクした。 まずは3本目のトリックを変えて挑んだ藪下桃平。1本目の「ビガーフリップ・フロントサイドボードスライド」のメイク後は2本目・3本目と「ハードフリップ・バックサイドリップスライド to ショービットアウト」で失敗。もちろんメイクすれば高得点となる高難度トリックなのだが、ここでは「キックフリップ・バックサイドスミスグラインド」へ変更。しっかりメイクしてベストスコアを2本残す選択を取った。スコアは72.44ptだったが暫定4位までジャンプアップ。上位5名が強化指定選手として来年1月の世界大会へ派遣されることから、無理をせず堅実にトリック選びをしてきたように思えた。 そして今大会で寒さを物ともせず高難易度トリックを連発したのは小野寺吟雲。3本目でミスしたギャップオーバーの「フロントブラント to キックフリップアウトフェイキー」をメイクしてリベンジ。精密機械のごとく修正してくるところは彼の強さであるのは間違えないだろう。スコアを85.92ptとしベストスコアの塗り替えとはならなかったが暫定1位をキープした。 【ベストトリック5本目】 そして選手の中には合計得点に採用される2本スコアをまとめられていない者や、自分の持ち技をメイクできていない者もいる中でラストチャンスとなった5本目。ラスト1本ではあったが、寒さも相まって疲労が溜まっていたのかほとんどの選手はトリックをメイクできない展開となった。 そんなラストトリックで見事メイクして大会を締め括ったのが渡辺星那。1本目でメイクした「バリアルフリップ・バックサイドリップスライド」以降、2本目から4本目までメイクできずに背水の陣で迎えた5本目で「ヒールフリップ・フロントサイドブラントスライド」をハンドレールでメイク。ようやくトリックを決められたことから胸を撫で下ろす様子も見られた。そしてこのトリックは80.82ptの評価となり、合計得点で暫定3位までジャンプアップ。さすがは今大会予選トップ通過の実力と感じるライディングだった。 渡辺星那のライディング ©ワールドスケートジャパン その後は惜しいトリックも見られるも誰もメイクすることができず、順位に変更がないまま大会を終え、今回結果は1位が小野寺吟雲、2位が池慧野巨、3位が渡辺星那となった。そして今回の優勝により大会2連覇となった小野寺は、優勝者インタビューでなかなか決め切れなかった準決勝からの決勝での復調については「終始自分に勝つことを考えてスケートしていた」と発言。外的要因をも跳ね除ける自分の持っている実力に対しての自信がこの優勝を手繰り寄せたのだろう。また実は準決勝及び決勝の序盤で思うようなライディングができなかったのはスケートボードギアのトラブルだったそうだ。大会中にそういった細かなトラブルに気づき冷静に対処できるところからも、弱冠13歳とは思えぬ落ち着きのようなものを感じた。 【大会結果】 ©ワールドスケートジャパン 優勝 小野寺 吟雲(オノデラ・ギンウ) / 268.21pt準優勝 池 慧野巨 (イケ・ケヤキ) / 256.48pt第3位 渡辺 星那 (ワタナベ・セナ) / 242.11pt 第4位 藪下 桃平 (ヤブシタ・モモヘイ) / 237.66pt 第5位 山附 明夢 (ヤマズキ・アイム) / 237.24pt 第6位 松本 浬璃 (マツモト・カイリ) / 220.28pt 第7位 池田 大暉 (イケダ・ダイキ) / 177.58pt 第8位 濱村 大征 (ハマムラ・タイセイ) / 165.10pt 最後に ©ワールドスケートジャパン 今大会を通して印象的だったのは、外的要因である寒さが被った選手たちのパフォーマンスの変化だ。実際にその影響を大きく受けてしまい悔しい結果になったのが準決勝1位通過で決勝を迎えた池田大暉だろう。ランでは86.91pt、ベストトリックでは1本目に90.67ptをマークしていた彼は、もう一本乗れていれば優勝も手にしていただろうと容易に考えられる。実際に本人もベストトリックでは身体が寒さで全然動かなかったと語っており、今回は全体的にプレッシャーに加えてこの寒さが選手たちのパフォーマンスに影響を与えて成績を左右した。 その一方で、中盤まで持ち堪えベストトリックで90点台を叩き出した小野寺と池はしっかり成績に繋げることができていた。なお池に関しては自身が苦手としていた「ラン」のカテゴリーを今大会通じてうまくまとめていた印象。このカテゴリーを安定させられれば世界でも十分に通用する実力の持ち主なので今後の活躍がより楽しみだ。 また今大会の結果から「自分のベストなライディングをする」ということは自分とのメンタル面の向き合い方や技術の向上だけではなく、外的要因をどのように対処するかも大事なことであり、そういった部分も含めて心身ともにマネジメントすることの重要性に気づかさせてもらった。今までもそうだが年中通じて開催されるこのスケートボードの大会は真夏や冬の開催もあるので、今後は選手たちも天候が及ぼすパフォーマンスへの影響にも意識をした対策を取っていくことだろう。 そういう意味では、来月12月に「ワールドスケートボードストリート世界選手権2023」が開催される有明コロシアムは天井がスライド開閉式屋根となっている全天候型の施設であり、今回のように風が吹き込んだり寒さを感じることはおそらく無いとは思うが、国内初の世界選手権ということから違う意味でのプレッシャーや外的要因も存在するかもしれない。そういう多角的な観点を持ちながら「ワールドスケートボードストリート世界選手権2023」での日本人選手たちの活躍を楽しみに観てみたいと思う。 大会概要 ⼤会名称 : 第6回マイナビ日本スケートボード選手権大会 supported by Murasaki Sports開催期間 : 2023年11月17日(金)~18日(土)- 2日間 –大会会場:ムラサキパーク立川立飛 (東京都立川市泉町)主催:一般社団法人ワールドスケートジャパン(WSJ) 主管:ワールドスケートジャパン スケートボード委員会 特別協賛:株式会社マイナビ 協賛:株式会社ムラサキスポーツ、NIKE SB、株式会社ブルボン、ENEOS株式会社後援:東京都立川市、一般社団法人日本スケートボード協会(AJSA)、一般社団法人日本スケートボーディング連盟(JSF)、株式会社立飛ホールディングス