#6 世界的にみる女性サーファーの活躍 -水野亜彩子のTake it easy.-

2024.04.17
text by Mizuno Asako

皆さん、こんにちは。水野亜彩子です。
とても更新がご無沙汰になってしまいましたが、今回は世界的に活躍をする女性サーファーについてお話しをしたいと思います。

ケイトリン・シマーズ(USA) WSL/Brent Bielmann

2019年からWorld Surf Leaugeでは賞金額を男女同額、試合も男女同じスケジュールでの開催が発表され話題になってからあっという間に数年が経ちました。今までは女性のChampion Tourに組み込まれていなかったハワイ州ノースショアパイプラインなどでも女性のChampion Tourが開催されるようになりました。


パイプラインで試合が開催されるということはハードな波も乗りこなす必要があり、よりオールラウンダーな選手が求められるようになりました。この取り組みから数年が経ちますが女性サーファーのレベルは急激に上がる結果に。

なかでも、今年のWorld Surf Leauge Champion Tour 開幕戦ハワイ州ノースショアパイプラインで行われたLexus Pipe Pro Presented by YETIでは女性サーファーの素晴らしい活躍が目立ちました。

会場となるパイプラインとは

WSL/Brent Bielmann

World Surf Leauge Champion Tour 開幕戦の会場となったパイプラインはハワイ州ノースショアで最も有名なサーフスポットの1つであり、サーファーであれば一度は憧れる筒状になった波の間を乗るチューブライディングが出来る波がブレイクするポイントです。

海底は岩になっていて水深も非常に浅いのにも関わらず、波のサイズが上がると大人の男性の身長をはるかに越える15フィート程の大きさになることも。なので超上級者の方でないととても危険なサーフポイントになります。しかし、サーフィンのハイシーズンである11月〜2月頃になると、トップサーファーがこの波を求めて世界中からスキルアップの為に集結します。

波によっては転倒してしまうと命の危険もあるので、自分が追い求めている波に乗れるまでは、世界のトップサーファーですらも数時間〜1日近く波に乗ることが出来ず海の中でその瞬間を待つことも。。追い求めていた1本を待ち続けて乗る程の価値や魅力が、このパイプラインにはあるのです。

岸から波が崩れる場所までの距離が近いので、冬のハワイに行く機会があればパイプラインの世界を肌で感じてみることをお勧めします!

数年で乗りこなす女性Champion Tourサーファー

World Surf Leauge 開幕戦 Lexus Pipe Pro Presented by YETIの会場となったパイプラインはトップサーファーでも命の危険がある程のハードな波がブレイクするポイントとお伝えしましたが、2021年CT開幕戦が行われたマウイプロの会場マウイ島ホノルアベイで発生したシャークアタックにより会場の移動を余儀なくされ、残りの4ヒート分を急遽パイプラインで開催することに。

急遽開催となり、選手等はパイプラインの波に対してのサーフボードの調整や波の攻略など、十分な準備が出来ない中で開催されましたが、翌年2022年には正式に女性のChampion Tourのスケジュールに追加されサーフィン史上初となる女性のBillabong Pro Pipelineが開催されました。

試合時間の中でどのような戦略を練ってどのようなサーフィンを披露してくるのか。史上初ということもあり注目が集まる中、優勝を手にしたのはワイルドカードで出場した地元のモアナ・ジョーンズ・ウォン選手でした。

この試合は今でも脳裏に焼き付いていて、圧倒的な波選びにライディング。やはり地元出身の影響が強いのか、このパイプラインを知り尽くし乗り込んでいないと乗れない波なのだと感じたのを今でも覚えています。

モリー・ピックラム(AUS) WSL/Heff

そこから2年が経った今ではパイプラインを乗りこなす女性サーファーが増え、レベルが格段に上がったと確信するライディングが多い印象です。Lexus Pipe Pro Presented by YETIでもスキルの高い技を披露するサーファーが増えていました。中でも個人的には3名の女性サーファーが圧倒的なチューブのスキルを身につけて、どのヒートでも必ず良い点数で勝ち上がっていたなと思います。

その3人とは、優勝をした弱冠18歳のアメリカ出身ケイトリン・シマーズ選手、準優勝は21歳のオーストラリア出身モリー・ピックラム選手、そして3位入賞を果たした20歳のハワイ出身で日本にもルーツを持つベルティー・サクラ・ジョンソン選手です。

ベルティー・サクラ・ジョンソン(HAW) WSL/Heff

人との繋がりの重要性

準優勝のモリー・ピックラム選手は、準決勝でパイプラインでは女性初の10ポイントを叩き出し、満点をスコアを獲得した素晴らしいライディングを披露しました。

ツアーで生き残る為には、パイプラインの波を乗りこなすことが必須となった今、わずか2年でハードといわれる波を乗りこなし、エクセレントライド(10点満点中8点以上の点数)をしっかりと出さないと勝てないレベルまで引き上がる成長スピードの速さに驚きを隠せませんでした。また、なんと言っても活躍したのがまだZ世代と言われる若手の選手ばかりなことにも驚きました。

今年は今まで女性のサーフシーンを牽引してきた、2020年東京オリンピック金メダリストのカリッサ・ムーア選手が現役引退、8回の世界チャンピオンに輝いているステファニー・ギルモア選手も1年間の休止を発表し、世代交代を余儀なくされましたが、若手がしっかりと育ち、ましてやシーンを引っ張る結果を目の当たりにし、今シーズンも楽しみな幕開けとなりました!

また、3月26日〜4月5日にWSL Champion Tour第4戦オーストラリア ビクトリア州ベルズビーチでRip Curl Bells Beachが開催されました。ツアー全10戦のうち、前半の5戦終了時点のランキングで男性は36名から22名、女性は18名から10名が選出されるミッドシーズンカットの行方が気になる大会となりました。

ハワイとは異なった波で、どのような試合が繰り広げられたのか。若手の勢いは続いたのか・・
試合の模様はWSLのWEBサイトからアーカイブ視聴をすることができるので、ぜひ皆さんもチェックしてくださいね。ではまた!


※下記の関連リンクからぜひご視聴ください

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