パリオリンピック予選大会フェーズ1の最終戦及び、シーズンを締めくくる今年最後の大会「ワールドスケートボードストリート世界選手権2023東京」男子決勝が東京都江東区有明の有明コロシアムにて2023年12月17日(日)に開催されて、新たな世界チャンピオンが誕生した。
今大会はパリオリンピック予選大会のフェーズ1の中では一番ポイントが高いため、女子カテゴリー同様に海外から大勢のトップスケーターが集まり、パリオリンピック選考ポイントだけではなく今年世界チャンピオンの座を争う熾烈な大会が繰り広げられた。今回、日本からは東京オリンピック金メダリストである堀米雄斗や、現在日本人別世界ランキングトップの白井空良、あのナイジャ・ヒューストンに認められた若手の実力者である佐々木音憧、そして先月の日本選手権で優勝した弱冠13歳の若き逸材小野寺吟雲を含め、壮絶なパリオリンピック出場枠争いの最中にいる注目選手たちが大集合した。海外からはフランスのオーレリアン・ジローを除く、アメリカのナイジャ・ヒューストンはもちろんのことグスタボ・リベイロ(ポルトガル)やケルビン・ホフラー(ブラジル)など世界トップランカーたちが出場し、日本では初開催となる世界選手権がここ東京で行われた。
本決勝は全125名の出場者の中、予選・準々決勝・準決勝と狭き門を勝ち上がった合計8名で競われた。なお今回はリベイロやホフラーなどのトップランカーが準々決勝で敗退し、早々な戦線離脱を余儀なくされるなど普段よりも厳しい戦いが繰り広げられた。そんな決勝のスタートリストは堀米雄斗、コルダーノ・ラッセル (カナダ)、根附海龍、アレックス・ミドラー (アメリカ合衆国)、ブレイデン・ホーバン(アメリカ合衆国)、 白井空良、小野寺吟雲、ナイジャ・ヒューストン (アメリカ合衆国)の順となり、半数が日本人選手という日本人が強さを見せた展開となった。
女子同様に、決勝フォーマットはオリンピックルールに基づき、45秒間のラン2本に加えてベストトリック5本へトライするうち、ベストスコアであるラン1本とベストトリック2本を合わせた計3本の合計得点として採用される形になった。なお今大会の特設コースは高低差を利用した流れるようなデザインで、中央の9段の大きなステアからは、わずかワンプッシュほどしか入れられないほどコンパクトにセクションが設置された。また他のコースに比べて独特なのはハバレッジからダウンレールまで全てのセクションが同じ向きに設置されていることであり、ランに関しては反対側から戻ってくる際にセクションが登り基調となることから、その中でどんなトリックを選んでメイクしてポイントを加算してくるのかも注目となった。
大会レポート
【ラン1本目】
過去の大会を分析すると、ラン1本目で高得点を残す選手ほど比較的にその後も自分たちの有利な展開に持っていき好成績を残している印象なのだが、今大会もその傾向が見られた。ラン2本目のうちの良い方のスコアが採用されるオリンピックルールにおいては、決勝にてランセクションでかかる選手へのプレッシャーは計り知れないだろう。ここでその精神状態を上向きにする80点台後半の高得点を残したのは白井空良と根附海龍だった。
自分より先に日本のエースの堀米雄斗や準決勝で素晴らしい滑りを見せたカナダのコルダーノ・ラッセルが81点台を残し、ベーススコアを作り上げる一方でその得点を上回ってプレッシャーをかけたのは根附海龍。準々決勝を1位通過するなど今大会にしっかり照準を合わせてきた根附は、決勝ラン1本目から「ビックスピンフロントボードスライドフェイキー」や、女子では西矢が得意としている「バックサイドクルックドグラインド to ノーリーヒールフリップアウト」や「ヒールフリップバックサイドリップスライド」を綺麗にメイクし86.97ptと決勝ラン最高得点をマークした。
その後なかなか後続選手たちが高得点を残せない中、根附の得点に迫るスコアを残したのは白井空良。ラン前は緊張した面持ちだったが、彼の得意トリックの一つである「フロントサイドシュガーケーングラインド」をハンドレールでメイクしランをスタートさせると、バンク to バンクでの「トレフリップ」や「フロントサイド270フロントサイドリップスライド」、最後は「キャバレリアルバックサイドテールスライド to フェイキー」など高難度トリックを決めた。フルメイクでランを終えるとその顔は笑顔で溢れており、白井が自分のゾーンに入っていくような片鱗を見せた。
【ラン2本目】
ラン2本目では全体的に1本目の得点を上回れずスコアを伸ばせない選手が多い中、1本目の白井や根附に迫る高得点をマークしたのは堀米と小野寺だった。このラン2本の時点で個人的には東京というホームグラウンドでなんとか良い結果を残したいという思いから、良い流れでベストトリックに繋ぎたいという日本人選手たちに宿っていた熱いものを感じる部分もあった。
まず順調にランをアップデートして2本目で得点を伸ばしたのは、「SLS TOKYO」や 「X GAMES CALIFORNIA 2023」で優勝を果たしたものの、まだパリオリンピック予選大会では白星を上げられていない堀米雄斗。2本目では「ノーリー270スイッチバックサイドリップスライド」や「ノーリーヒールフリップバックサイドボードスライド」、「ノーリー270フロントサイドボードスライド」など、得意のノーリーと270をベースとしたトリックでランをフルメイクで終えるとベストスコアを84.62ptへ引き上げた。過去のワールドスケートボーディングツアー(WST)でまだ表彰台に上がれていない彼はまた特別な思いでこの決勝に挑んでいるのがランから垣間見れた。
また1本目のミスを大きく改善してベストトリックに良い流れで繋いだのは、今年の2月開催された2022年度の世界選手権では3位入賞し、先日の全日本選手権で優勝して弱冠13際でありながらも世界トップスケーターとして評価されている小野寺吟雲。他の選手より対空時間が長いのではないかと錯覚させるほど様々なトリックを1本にまとめてくるのが特徴の彼は、ラン1本目ではトリックのランディングにミスし転倒。得点を伸ばせないでいたが2本目では「フロントサイドブラントスライド to ショービットアウト」や「トレフリップフロントサイドボードスライドフェイキー」などを取り入れたランをフルメイクでまとめて83.25ptとして、決めた瞬間は天に両腕の突き上げて喜ぶ様子も見られた。
【ベストトリック1本目】
ラン2本を終えた時点で、うまく高得点をマークした日本人勢のような選手たちいる一方で、ランを得意とするナイジャ・ヒューストンが転倒などのミスが続き苦戦を強いられるなど、それぞれ異なる感情が交錯する中で迎えたベストトリック1本目。やはり世界選手権というだけあってかベストトリック全体を通して90点台が連発する超高難度トリックが凌ぎを削る展開となった。
まず90点台の得点を叩き出し、この熾烈な戦いをスタートさせたのは今回絶好調の根附だ。正確な「ヒールフリップバックサイドノーズブラントスライド」をメイクすると93.75ptをマーク。その流れに続き、アレックス・ミドラーがスタイル溢れる「ギャップオーバーバックサイドノーズブラントスライド」で91.87ptをマークし90点台の流れが続く。
そこでこの流れを一段階引き上げたのは、ランから完全に自分のペースに試合を持ち込んでいる白井。「ノーリービックスピンバックサイドテールスライドビックスピンアウト」を中央のハバレッジで決めると95.66ptという高得点をマークし更にリード。
そんな白井に続いて90点台を1本目でマークしたのはランでのミスを巻き返すトリックを見せたヒューストン。今シーズン出場したWST大会では全て勝利してきた彼は、さすがといえる余裕のある「キャバレリアルバックサイドノーズブラントスライドフェイキー」をメイクすると90.19ptとしベストトリックをスタートした。
【ベストトリック2本目】
2本目では1本目のスコアを伸ばすため、各選手がアップデートした高難度トリックをチョイスしたことからミスが多くなった印象。そんな中で2本目も連続でトリックを決めて見せたのは白井と小野寺だけだった。
周りの選手がミスをする中、その影響を受けず自分のゾーンに入ってさらに勝利に近づくトリックをメイクした白井は、ベストトリック2本目では「バックサイド180スイッチフロントサイドクルックドグラインド」をメイクすると92.85ptをマークし暫定1位の座を固めていく。自分の思う通りのライディングができたことに喜びを表すように、特徴的な刀を振るような仕草を見せた。
同じくラン2本目から安定してトリックを決めて、ここでもしっかりスコアに繋げたのは小野寺吟雲。彼の持ち味である高度な複合技をいかした「フロントサイドブラントスライド to キックフリップフェイキーアウト」をメイクすると決勝での自身最高得点である89.86ptとした。このトリックをメイクした瞬間にコース脇にいた父親に向けてガッズポーズの合図を送りその喜びを共有する姿も非常に印象的だった。
【ベストトリック3本目】
ほとんどの選手がトライした各々の高難度トリックをミスした2本目とは裏腹に、3本目ではたくさんの選手が修正してきた。この回ではトリックをメイクした全ての選手が90点台を超えるなど超高得点合戦が繰り広げられた。
そんな流れをで作りだしたのは堀米。色々な引き出しを持っている彼はここでは「スイッチトレフリップフロントサイドリップスライド」をチョイスするとしっかり決めて92.89ptをマーク。そして堀米に続きこの3本目でのハイスコアを叩き出したのはラッセル。他の選手とは一風違ったボードトリックを得意とする彼は「フェイキーヒールフリップバックサイドリップスライド」という高難度なコンボトリックをメイクし94.49ptという高得点をマークした。
そしてまだまだこの90 点超えの流れは続く。ラッセルの後にライディングした根附は「ノーリーインワードヒールフリップフロントサイドボードスライド」というこれもまたなかなか他の選手がチョイスしないトリックで92.88ptを叩き出し一気に優勝争いに食い込む流れに。
そしてこの3名とは異なるスタイルで90点台をマークしたのはミドラーとホーバン。今回の彼らのライディングで注目となったのは、トリックの難易度よりもセクションの使い方だろう。この二人はギャップオーバーの飛距離のあるところからレッジに向かってトリックをメイクした。ミドラーは「ギャップオーバーバックサイド 270ノーズブラントスライド」で90.99pt、ブレイデン・ホーバンは「ギャップオーバーバックサイドノーズブラントスライド」で91.85ptをマークした。
【ベストトリック4本目】
ベストトリック合戦も後半戦となりここでベストスコアは残しておかないと表彰台に上がるのは難しくなる4本目。ここでもメイクされるベストトリックは90点台のみとそれだけ選手たちが勝つために攻めていたか分かる回だった。
まずここで攻めの一手を見せたのは3本目で見事なトリックを見せた堀米。ここで優勝圏内に上がるには97.01pt以上が必要な中、彼がチョイスしたのは「ノーリーフロントサイド270ノーリーノーズスライド to フロントサイド270アウト(通称:ユートルネード)」をハバセクションでメイク。今までも数々の大会で決めてきたこのトリックだが今回メイクしたセクションが一番大きいこともあり、決めた瞬間に会場は歓声に沸きもちろんこのトリックには決勝最高得点の95.77ptの評価がついた。
そんな堀米に触発されたのはラッセル。今大会を通して良いパフォーマンスを見せている彼は、「フェイキービックスピンバックサイドボードスライド to フェイキーアウト」をメイク。この独創性溢れる高難度トリックにジャッジが付けたスコアは90.30ptで暫定4位まで浮上した。
そしてこの4本目の最後に高難度トリックを見せたのは、トップ3に多くビハインドを取りこのままでは終われないヒューストン。そんな彼がメイクしたのは「ノーリーヒールフリップフロントサイドノーズブラントスライド」で93.14ptという高得点をマーク。今まで出場するWSTの大会では勝ち続けてきただけにこの時点で表彰台を逃すという残念な結果となった。
【ベストトリック5本目】
4本目を終えた時点でのトップ3は白井、根附、堀米という日本人が独占する展開となり、3位と4位で7pt近くの差があることから、あとはこの最後の一本でこの上位3名の順番がどう入れ替わるかが注目となった。
優勝に返り咲くべく、まずトライしたのは暫定3位の堀米。彼が最後にトライしたのは「ノーリーキックフリップフロントサイドテールスライド」。今回は惜しくもメイクとならず3位という結果となったがこの成績によって世界ランキングを7位まで押し上げてフェーズ2に望みを繋げる形となった。東京オリンピック金メダリストである彼が次のパリオリンピックに向けてどんな活躍を来年見せてくれるのかも注目だ。
そして次は暫定2位の根附のラストトライ。最後の最後で逆転を目指し「ヒールフリップバックサイドテールスライドビックスピンアウト」にトライする失敗し、点数伸ばせずに2位で大会を終えることとなった。今シーズンはSLSでの決勝進出を始め大会を経ることに調子を上げてきた彼。良い流れで迎えるフェーズ2での活躍にも期待だ。
根附がラストトリックを失敗した時点で、優勝が決定しラストトリックをウィニングランとした 白井空良。最後に自身の名前がつく「ソラグラインド」に「180アウト」を加えた「アーリーウープフロントサイド180オーリー to フェイキー5-0グラインドフロントサイド180アウト」を完璧にメイクし完全優勝を果たした。今シーズンはWSTシリーズで安定した結果を残して日本人選手別で世界ランキングトップを保持し続けた彼。今年の夏に怪我を経験したこともあるがこの世界選手権に並々ならぬ思いを持っていたことから、今回の優勝への思いはひとしおだろう。なお世界選手権での優勝は今回が初めてということだが、その大会を自身もパーフェクトランと言える見事なパフォーマンスで叶えることができたそのメンタルやスキルの高さを含め、ここまでいかに彼が目に見えないところで努力してきたがうかがえる結果となった。
【大会結果】
優勝 白井 空良 (日本) / 276.81pt
2位 根附 海龍 (日本) / 273.60pt
3位 堀米 雄斗 (日本) / 273.28pt
4位 コルダーノ・ラッセル (カナダ) / 266.31pt
5位 アレックス・ミドラー (アメリカ合衆国) / 262.93pt
6位 小野寺 吟雲 (日本) / 262.03pt
7位 ナイジャ・ヒューストン (アメリカ合衆国) / 251.38pt
8位 ブレイデン・ホーバン(アメリカ合衆国) / 231.48pt
最後に
今大会で印象に残ったのは、今回の世界選手権で見事優勝を果たした白井空良が大会後に語ったパリオリンピックへ対する思いに関してだ。もちろん今回のパフォーマンスを通して、彼の持つトリックレベルの高さやそれが決まった時の爆発力は圧倒的なものがあるというのは誰の目にも明確になった。
そんな中で彼がパリオリンピックを来年に控える中で大会後取材陣に語った「東京オリンピックでの結果が今までで一番悔しい思いにさせた。この気持ちでやり返せるのはパリオリンピックの舞台でしかない。」という言葉だ。白井はこの世界選手権だけを見て練習してきたということを前置きにした上でこの言葉を語ったのだが、やはり東京オリンピックでの結果が日本のスケートボード界に与えた影響などを堀米雄斗の活躍などを見ながら感じていたことだろう。白井を始め東京オリンピックで悔しい思いをした選手や、世界最高峰の若手選手たちが来年パリオリンピック出場枠争い、ひいてはパリオリンピックにてどんなパフォーマンスを見せてくれるのかが楽しみだ。
そして女子同様に今回日本人選手たちが4名決勝進出を果たしたことで、世界ランキングも大きく変化し更にパリ五輪への代表枠争いが激化する結末となった。今回の世界選手権の結果を経て、現在の日本人別世界ランキングはトップが世界ランキング2位で白井空良、白井に続き今回決勝に残った小野寺吟雲(世界ランキング5位)、根附海龍(世界ランキング6位)、堀米雄斗(世界ランキング7位)、佐々木音憧(世界ランキング10位)という形でトップ10に日本人が5名もいる状態。またこの順位から分かるように根附と堀米が大きく順位を上げる形となった。
また海外選手たちの世界ランキングの推移も非常に興味深い。フランスのオーレリアン・ジルーが今大会を欠場したことで今回決勝7位だったアメリカのナイジャ・ヒューストンが2位から1位に浮上し、2位との白井とは3万ポイント近く差をつけている。そして一方でスケートボード王国といっても過言ではないブラジルは今回決勝に誰も残れなかったこともあり、ケルビン・ホフラーが4位から9位に後退しトップ10には彼一人が残っているような状態だ。
そして今大会で編集部が注目していたカナダのコルダーノ・ラッセルが今回決勝4位になったことで23位から13位まで大きくジャンプアップした。日本人だけじゃなく海外勢のランキングの今後の変動にも注目だ。
そんな中で迎えるパリ五輪予選大会のフェーズ2。前回の女子決勝の記事でも言及したように本フェーズの「オリンピック予選シリーズ2024(OQS)」の2試合に関しては超高得点配分がされていることからこちらも女子同様に一発大逆転が起きうる展開になっている。毎大会ごとにランキングが目まぐるしく変わる来年のパリ五輪予選大会のフェーズ2は今年以上に目が離せない。
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skate小学4年生の天才スケーター河上恵蒔が、3つのギネス世界記録™を樹立!2024.11.21小学4年生ながらスケートボード界で驚異的な実績を積み上げている河上恵蒔(10歳)が、3つのギネス世界記録を達成し、その名を世界に轟かせた。11月21日に発売された『ギネス世界記録2025』(角川アスキー総合研究所)で、若干10歳にして栄光を掴んだその記録が公開され、スケートボード業界のみならず各界から熱い視線が注がれている。 提供:ギネスワールドレコーズ 河上の種目はハーフパイプで技を競う「バーチカル」。今年1月に「JSFバーチカルシリーズ2023」で最年少ながら総合1位タイに輝き、大きな話題を呼んだ。6月15日にはアメリカ・ユタ州ソルトレークシティで行われた「トニー・ホーク・バート・アラート」では、「900(2回転半)」を連続で3回成功させ、世界に衝撃を与えた。同月28日にはカリフォルニア州ベンチュラで開催された「X Games Ventura(エックス ゲームズ ベンチュラ) 」にも最年少で出場し、さらなる快挙を成し遂げた。 提供:ギネスワールドレコーズ 1つ目のギネス世界記録のタイトルは、「Most backside 540 skateboard tricks in one minute(1分間にスケートボードでバックサイド540を行った最多数)」。1分間に13回のバックサイド540(1回転半)を成功させ、驚異的なスピードと精度でギネス世界記録に認定された。 2つ目は、「Most consecutive skateboard '900' in competition (male) / 大会においてスケートボード「900」を連続で行った最多回数(男性)」。伝説的スケーターであるトニー・ホークが1999年に初めて成功させた「900(2回転半)」。その技を6月15日に行われた「Tony Hawk Vert Alert」で3回連続で決めたことで「神の正統後継者」と称され、2つ目のギネス世界記録を樹立した。 3つ目は、「Youngest X Games athlete (male) / エックスゲームズ最年少出場選手(男子)」。6月28日、河上は9歳294日という若さで「X Games Ventura」に最年少で出場し、見事3つ目のギネス世界記録を打ち立てた。 提供:ギネスワールドレコーズ 今回の快挙について河上は「ギネス世界記録は学校の図書室にもあって、それに自分が出ると思うととても嬉しいし、友達に見てもらいたい」と歓びを語り、今年を振り返って「アメリカに行くことと、X GAMESに出場するという夢が叶って最高でした。それに、イタリアやカナダにも行けたし、有名なスケーターと滑れた事も最高でした」と充実感をにじませた。来年の抱負を尋ねられると「来年も海外に行けるように頑張りたいし、とにかくスケボーが上手くなりたいです」と、10歳とは思えない堂々とした姿を見せた。 急速に人気が高まるスケートボード業界で、わずか10歳にして未来を担う存在となった河上恵蒔。彼の次なる挑戦から目が離せない。 【河上恵蒔『ギネス世界記録』タイトル名】 提供:ギネスワールドレコーズ ・Most backside 540 skateboard tricks in one minute1分間にスケートボードでバックサイド540を行った最多数 2024年5月22日 13回 ・Most consecutive skateboard '900' in competition (male)大会においてスケートボードの「900」を連続で行った最多回数(男子)2024年6月15日 3回 ・Youngest X Games athlete(male)エックスゲームズ最年少出場選手(男子)2024年6月28日 9歳 294日 【書籍『ギネス世界記録』について】 世界中の一番を審査・収集しているギネスワールドレコーズは、毎年その記録を一冊にまとめて出版しています。1955年に初めて刊行された書籍『ギネス世界記録』は累計発行数1億5,300万部となり、今まで40の言語に翻訳され、世界100カ国以上で発売されてきました。 【書籍概要】 『ギネス世界記録2025』クレイグ・グレンディ編 ©2024 Guinness World Records Ltd. タイトル:『ギネス世界記録2025』発売日:2024年11月21日定 価:3,960円(本体3,600円+税)発 行:株式会社角川アスキー総合研究所発 売:株式会社KADOKAWA判 型: A4変形判 オールカラー ページ数:264ページ
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CLASSには若手からベテランまで国内のトップライダー18名が参加。なお今回の決勝の競技フォーマットは、本来「60秒間のソロラン2本」+「35秒間でのベストトリック5本」の合計7本のうち、上位スコア3本の合計得点により順位を決める形となる予定だったが、雨天になる可能性を鑑み、16分~20分間のジャムセッションの中で最大35秒間のベストトリックをメイクして時間内に成功した最高スコアの「ベストトリック2本を採用する最高20点満点」でジャッジされた。 今大会の戦いの焦点は高難度トリックを着実に時間内に決めること。ランがなくベストトリックだけであるため、ライディング中の転倒や足をつく動作、時間内にルーティンを終えられないと0点になってしまいスコアが付かない。とはいえ守りのトリックをすればスコアは伸びないという昨今の各大会とは大きく異なる難しさがライダーたちを悩ませた。 実際、ライダーたちは攻めのライディングを余儀なくされた中でのプレッシャーもありミスを連発。最後の最後まで誰が優勝するのか分からない試合展開に選手と観客ともに目が離せない状態が続いた。一方では普段ではなかなか見られない超高難度トリックも飛び出すなど日本のBMXフラットランドのレベルを大きく引き上げる一戦となった。 片桐悠のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF そんな緊張感のある戦いを見事制したのは片桐悠。ベストトリックでは1本目から彼のオリジナルでもある「フルバイクフリップ」からの「バイクジャグリング」を決めてまず1本収めてくる。2本目ではバイクをお腹側にしてペダル軸での加速からバイクを半回転させてバイクを切り返していくルーティンをメイク。 片桐悠のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF 既に2本を決めている彼は3本目では同じく彼のオリジナルでもある「舞空術」の回転数を増やして逆サイドにスイッチするルーティンにトライするもミス。その後4本目、5本目最後でミスが続くも見事6本目でメイクした。その後はずっとミスが続きラスト1本までバックワーズからバイクを縦に跨ぐルーティンは失敗となった。しかしここまでに決め切った3本から2本が選ばれその高難度トリックの数々が評価を受けて合計18.1ptとし見事優勝を収めて2連覇を達成した。 内野洋平のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF 準優勝はARK LEAGUEのオーガナイザーでもある内野洋平。長年大会を支える一方で、このFLATARKを含め数えきれないほど様々な大会で優勝経験を持つ現役プロライダー。BMXフラットランド界を新たなステージに引き上げ続ける彼は、今大会でも最高難度のトリックにトライ。1本目、2本目ではミスがあった「バックワーズマニュアル to バイクフリップ」からのもう一度バイクフリップで締める彼のオリジナルルーティンをしっかりメイク。 内野洋平のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF その流れのままバイクを背中向きに背負って進む「バックワーズツーフット」からのバイクの切り返しをメイクして2本目のスコアをまとめる。その後は1本失敗するも 「アップサイドのマニュアル to バイクフリップ」を加えたルーティンをメイクした。終盤戦はどのライダーもトリックをメイクできない時間が続く中、残り3分あたりで「バックスピン」からの難しいバイクの切り返すルーティンをメイク。最後は自身の代名詞トリック「ウッチースピン」も加えた長いスピントリックのルーティンにトライするも最後の最後で足をつくミス。しかし結果としてはそこまでの高難度かつオリジナリティのあるベストトリックの数々が評価されて合計17.8ptで2位となった。 田圓尚人のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF 3位は2022年の「FLATARK」in YUSFで王者に輝いた田圓尚人。前半ではなかなか決めきることができず苦戦を強いられたが、残り時間5分の時点でリアトリックの体勢から「バイクフリップ to バックスピン to バイクフリップ」のコンボをメイクしていき気合いの1本目を決めきる。その後、2本目をメイクするのに苦戦を強いられるも残り2分のところではバイクをアップサイドに捉えながら片足をペダル軸に置きバックワーズからの自身のオリジナルトリックであるハンドルを握りながらバイクを足元で回す「気円斬」をメイク。意地の2本目を決めると最終的にこの2本が高評価を受けて合計点を17.0ptとして3位入賞を決めた。 WOMEN’S CLASSはネクストレベルのライディングが披露される接戦に。わずか0.2pt差の厳しい戦いを制したのは昨年大会王者の鈴木仁菜 一方で、唯一の女子カテゴリーとなったWOMEN’S CLASSにも国内外を股にかけて大活躍する女子のトップライダー10名が参加し、決勝1本勝負にて優勝争いが行われた。 なお今回のWOMEN'S CLASS決勝の競技フォーマットは、120秒間のソロラン1本にて最高30点満点でジャッジされた。「FLAT ARK」としては前回の甲子園大会から30秒延長となるこのフォーマットが導入されたのだが、今までに比べるとライディング時間が長くなるため自分の見せたいトリックを多く入れ込むことができる一方で体力勝負にもなることが予想された。 その中でも特に接戦となったのは鈴木仁菜と本村果鈴の戦い。昨年のYUSF’23で優勝した鈴木と前回の甲子園大会の優勝者の本村、どっちが勝つのか気になる今回を制したのは鈴木仁菜。 鈴木仁菜のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF 今年のワールドカップでは負けなしの世界的にもその実力が評価されている鈴木は、所々でミスは見られたもののリアトリックの姿勢から、スカッフなしで「ツーフット」に移り「バックスピン」に切り替えたり、手足のポジションを入れ替えたり、難しい姿勢からバイクを回転させて切り返したりと目まぐるしく難しいバランスをとりながら行うトリックルーティンに盛り込んだライディングを見せて24.6ptと最高得点をマークし優勝を収めて2連覇を達成した。 本村果鈴のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF 準優勝は鈴木にわずか0.2ptという僅差に迫った本村果鈴。スピン系のトリックを得意とする彼女は、リアトリックからフロントトリックに上手くスイッチしながら手足のポジション入れ替えたりとバリエーションの多いライディングを見せる。その後もルーティンの中にフロントトリックを軸にする中でスピンしながら「ウィップラッシュ」を入れたりハンドルを回したりとスムーズかつハイレベルなトリックを披露していく。終盤では左足をペダルに置いて片足での「ノーズマニュアル」から「ウィップラッシュ」に繋ぎ「バックスピン」という流れでルーティンを続けようとするも最後までメイクできずにランを終えると合計得点を24.4ptとして、惜しくも鈴木には届かず2位となった。 高橋七衣のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF 3位はBMXフラットランド強豪である佐賀出身の弱冠13歳の高橋七衣。フロントタイヤを軸にしたトリックを中心にランを展開。1本目、2本目と上手くバランスを取りながらでのフロントトリックの 「ツーフット」からの「トランスファー」など丁寧にトリックを決めていくと、ラスト1本では途中から決められず苦戦していた「サイドヤード」の姿勢からリアへの「トランスファーからのバックスピン」をしっかり決めきった。このルーティンが高評価を受けたか合計点を23.5ptとして3位入賞を収めた。 大会結果 ©︎Yoshio Yoshida /YUSF <OPEN CLASS >優勝: 片桐 悠 (カタギリ・ユウ) / 18.1pt準優勝: 内野 洋平 (ウチノ・ヨウヘイ) / 17.8pt第3位: 田圓 尚人 (タマル・ナオト) / 17.0pt ©︎Yoshio Yoshida /YUSF <WOMEN’S CLASS>優勝: 鈴木 仁菜 (スズキ・ニナ) / 24.6pt準優勝: 本村 果鈴 (ホンムラ・カリン) / 24.4pt第3位: 高橋 七衣 (タカハシ・ナナエ) / 23.5pt ©︎Jason Halayko /YUSF <EXPERT CLASS>優勝: カナモト コタロウ準優勝: フジイ トハ第3位: イケダ コウタ ©︎Jason Halayko /YUSF <NOVICE CLASS>優勝: サトウ ライ準優勝: カネコ ジロウ第3位: コタベ コウイチ 大会概要 ⼤会名称 : 【FLATARK produced by ARK LEAGUE】イベント名称 : YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL ʼ24 (略称 YUSF ʼ24)会場:横 浜赤レンガ倉庫内イベント広場・赤レンガパーク(神奈川県横浜市中区)日程・時間: 2024年11月9 日(土)・11月10日(日) 【YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL ʼ24】主催: YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL ʼ24 実行委員会 (株式会社横浜赤レンガ / 明治商工株式会社 / 株式会社ローソンエンタテインメント / 株式会社ゼータ) 共催: 横浜市にぎわいスポーツ文化局(予定) / 公益財団法人横浜市芸術文化振興財団 協賛: 三菱商事都市開発株式会社 / 富士フイルム株式会社 / GoPro合同会社 / 第一生命保険株式会社 / 本田技研工業株式会社 / サミー株式会社 / カシオ計算機株式会社 / プレミアムウォーター株式会社 / 日本たばこ産業株式会社 / レッドブル・ジャパン株式会社 / 学校法人岩崎学園協力: 一般社団法人ARK LEAGUE / 有限会社OVER THUMPZ / 株式会社IAM / 株式会社トリデンテ / 公益財団法人日本バレーボール協会 / 株式会社HANDOFFメディア協力:スカイ A / FINEPLAY
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skate世界最高峰レベルの異次元のコンボトリックの数々が披露された熾烈な一戦【SKATE ARK produced by ARK LEAGUE】in YUSF’242024.11.14「YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL'24」が横浜赤レンガ倉庫内イベント広場・赤レンガパーク(神奈川県横浜市中区)にて2024年11月9日(土)~10日(日)の2日間に渡り開催され、本イベント内でスケート・ボード種目の大会として開催された【SKATE ARK produced by ARK LEAGUE】にてWomen’sクラスでは吉沢恋選手が、Men’s Hiクラスで早川竣乃祐選手が優勝した。 2017年に誕生し、現在では世界で最もレベルの高い“世界大会”として認知される「ARK LEAGUE」の1つであるスケートボード種目の大会がこの「SKATE ARK」。「ライダーが創るライダーの為の大会」を信念に掲げて毎年アップデートされていることから、世界各国のライダーから賞賛される大会となっている。 パークやバーチカルなど様々なスタイルがあるスケートボード競技だが、そのうち日本人選手が世界のトップレベルで活躍している、街中にあるような階段やレールなど障害物のあるコースで競う「ストリート種目」をSKATE ARKでは実施。2022年と2023年に続き、今回も世界で活躍する国内トップスケーターが出場し終始大盛り上がりの大会となった。 ©︎Jason Halayko /YUSF なお、今回の「SKATE ARK」のセクションは本イベントの会場である赤レンガパークの中でも一番手前の大通り寄りに設置され、来場者ではない一般の通行客からもよく見える最高のロケーションの中で、2日間に渡って終始たくさんの観客に見守れながら大会は進行していった。 以下は、今大会最注目となったWomen’sクラスとMen’s Hiクラス決勝戦の大会リポート。 実力者と若手が入り乱れたMen’s Hiクラスは若手に軍配。実力者たちを抑えた早川竣乃祐が優勝を勝ち取った 今大会の男子カテゴリー最上級クラスとなるMen’s Hiクラスには日本国内から幅広い年齢層のトップライダー19名が参加。前日に行われた予選から熾烈な戦いが行われ、決勝では予選を勝ち上がった8名にて争われた。 そして今回の競技フォーマットはコースレイアウトの関係上、前大会とは異なりソロラン無しのベストトリック合戦となった。予選では7分間のジャムセッション、決勝ではベストトリック合計5本のうち、上位スコア2本の合計得点により順位を決める形で1本あたり最大10点の最高20点満点でジャッジされた。 今大会にはパリ五輪日本代表の白井空良をはじめ、「2023 UPRISING TOKYO Supported by Rakuten BEST TRICK WINNER」の濱村大征などベストトリックのレベルの高さが世界的にも評価されている選手が多く出場した。ただ今回は白井が惜しくも先日怪我をした膝の調子が奮わず予選敗退となる一方で、決勝は若手も勝ち上がり名を連ねて実力者と対峙する展開に。決勝は5本中2本のスコアが採用されるフォーマットであることから、最後の最後まで各ライダーが自分たちの持つベストトリックにトライする攻めのライディングを終始見せる観客にとっても見応えのある手に汗握る展開になった。 ベストトリック1本目 大場蓮のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 5本のチャンスがあるものの、2本目以降でより攻めのトリックにトライするためにもしっかり決めておきたい1本目はほとんどのライダーがスコアをマーク。その中でも8点台のスコアを残して弾みを付けたのは実力者の浦野晴と大場蓮。浦野は「スイッチフリップフロントサイドボードスライドフェイキー」をメイクすると8.2ptをマーク、大場は「ポップショービットフロントサイドフィーブルグラインド180アウト」をメイクし8.3ptをマークして強さを見せる。 早川竣乃祐のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 2人に続く形で7点台をマークして2本目に繋げたのは早川竣乃祐、濱村大征、浦野健隼の3名だ。早川は「ノーリフリップバックサイドボードスライド」を決めると7.7pt、濱村は「ハードフリップバックサイドリップスライド」で7.6pt、浦野晴の兄でトリックマスターとして知られる浦野健隼はハバレッジでの「キックフリップバックサイドクルックドグラインド」で7.3ptをマークし、早くも熾烈なベストトリック合戦の始まりを予感する1本目となった。 ベストトリック2本目 2本目では早速各ライダーがギアを上げてきたのか、なかなかトリックをメイクできない展開に。そんな中で1本目に引き続きスコアをマークしてきたのは高石颯来と濱村大征の2名。高石は「キックフリップバックサイトテールスライドフェイキー」をメイクし7.6ptをマーク。彼自身も着地が少しスケッチーだったことからトリックメイクに驚いている様子も見せた。濱村は1本目で浦野健隼がハバレッジでメイクした「キックフリップバックサイドクルックドグラインド」をレールで決めると7.0ptをマークした。今回のスコア採用は2本だけのためまだこの段階ではまだまだ勝負の行方は分からない状態。 ベストトリック3本目 大場蓮のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF ほとんどのライダーが1本以上スコアをマークしていることから、まだ残りのチャンスに余裕がある一方で勝負を優位に進めるためにもスコアアップしておきたい3本目。ただやはりスコアアップするためのトリックメイクには難易度とプレッシャーがあるからか、ここ3本目でも2名を除きほとんどのライダーがミス。一方でしっかり決めて見せたのが、3本連続で着実にメイクしている高石颯来と個性的な渋いトリックをチョイスする大場蓮。高石は「キックフリップバックサイドスミスグラインド」をメイクすると7.4ptをマーク。2本目のスコアを上回ることはできずベストスコアにはならなかったが、1本目の6.4ptを上回りスコアアップには成功。大場は2本目で失敗した「ビックスピンフロントサイドハリケーングラインド」を見事メイクし8.5ptをマーク。自身のスコアを8点台で揃えて暫定1位に躍り出た。 ベストトリック4本目 三星怜生のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 残りトライできる本数が少なくなってきたこの4本目。ここでは実力者も含め多くのライダーが相変わらずトリックメイクに苦戦を強いられている中で、8点台をマークして表彰台の座を大きく引き寄せたのは若手の三星怜生と早川竣乃祐の2名。三星は「フロントサイド360テールスライド」をレールで決めて決勝最高得点の8.9pt、早川は「ノーリーキックフリップバックサイドテールスライド」をハバレッジで決めて8.6ptをマークすると、三星は暫定3位、早川は暫定2位となり残すは自身も含めて各ライダーが5本目でどんなトリックをメイクするのかに委ねられた。 ベストトリック5本目 早川竣乃祐のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF そして迎えたラスト1本。各ライダーがチャレンジし続けてきたベストトリックを決め切る必要があるラストチャンスだったが、惜しくも番狂わせを起こす展開にはならなかった。その中でも終始トリックメイクできず苦しい時間を過ごしていた梅村敏秀が最後に「トレフリップフロントサイド5-0グラインド」をハバレッジでメイク。やっと決め切れたトリックに天を見上げる様子も見せた。 一方で流れを掴んでラストトリックも決めきって見せたのは4本目をメイクした三星と早川。三星は「キックフリップフロントサイドフィーブルグラインド」で7.3ptをマークしてスコアアップし暫定3位となった。そして暫定1位の大場を追う展開となった暫定2位の早川はラストトリックとして「ノーリーキックフリップバックサイドリップスライドショービットアウト」を綺麗にレールで決めて8.4ptをマークすると暫定1位に躍り出た。その後の出走となった大場も濱村もトリックを決められなかったことから、最終結果としては早川が優勝。2位に大場、3位に三星となった。その中でも特に早川と三星は若手でこれからが楽しみなライダー。今後彼らがどう日本のトップ勢に食い込んでくるのかが楽しみだ。 将来有望な若手ライダーたち ©︎Yoshio Yoshida /YUSF Women’sクラス決勝に名を連ねたのは世界で活躍するトップスケーターたち。そんなハイレベルな戦いを制したのはパリ五輪金メダリストの吉沢恋 今大会のWomen’sクラスには日本国内のトップライダー12名が参加。前日の予選から熾烈な戦いが繰り広げられ、決勝では予選を勝ち上がった8名にて争われた。競技フォーマットはMen’s Hiクラス同様に決勝はベストトリック合計5本のうち、上位スコア2本の合計得点により順位を決める1本あたり最大10点の最高20点満点でジャッジとなった。 そして今大会の決勝には世界大会で活躍するライダーたちが勢揃い。その面々は上村葵、大西七海、石丸葵、丹野莉愛、藤澤虹々可、吉沢恋、織田夢海、松本雪聖といった世界王者経験者から最近急成長の若手まで全日本選手権の決勝ないし世界大会の決勝でも見劣りしないメンバーがここ横浜赤レンガ倉庫の会場で優勝の座を争った。 ベストトリック1本目 吉沢恋のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 男子同様に女子も2本目以降でより攻めのトリックにトライするため、まずしっかり堅実にスコアを残すことを優先するかと思われた1本目だったが、最初から攻める空気感を作り出したのはパリ五輪金メダリストの吉沢恋だった。吉沢は1本目からパリ五輪で金メダルを勝ち取ったハンマートリックの「ビックスピンフリップフロントサイドボードスライド」をメイクすると8.8ptをマークし後続にプレッシャーをかけていく。 織田夢海のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF しかしその流れをしっかり捉えて吉沢のトリックを上回って見せたのは織田夢海。織田は彼女の代名詞的ハンマートリック「キックフリップフロントサイドフィーブルグラインド」をメイク。今大会唯一の9点台である9.0ptをマークして強さを見せた。 ベストトリック2本目 松本雪聖のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 1本目から吉沢と織田が攻めのライディングを見せる中、2本目ではトリックメイクに苦戦するライダーと着実に好スコアを残すライダーが二極化。そんな中で1本目に引き続きスコアをマークしてきたのは丹野莉愛、織田夢海、松本雪聖の3名。織田は1本目で松本が決めた「キックフリップフロントサイドボードスライド」をメイクし7.3ptをマーク。続く松本は「キックフリップバックサイドリップスライド」を決めると7.9ptをマークしスコアアップししっかり2本ともスコアを残した。 一方で2本のスコアメイクと共に8点台のハイスコアをマークしたのは丹野莉愛。丹野は「270フロントサイドボードスライド」をメイクしガッズポーズを見せた。しっかりスコアも評価され8.8ptをマークすると暫定2位に食い込んできた。 ベストトリック3本目 吉沢恋のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 現在トップは織田、丹野、松本という順番で迎えた中盤戦。終盤に向けて勝負を優位に進めるためにもスコアアップしておきたい3本目でプレッシャーをも感じさせずに唯一トリックを決めて見せたのがやはりこのライダー吉沢恋。8.7ptをマークするライディングでセカンドハイエストを更新して一気にスコアアップし、暫定2位の織田に1点以上の差をつけて暫定トップにジャンプアップした。 ベストトリック4本目 ライディング後にボードが折れるアクシデントがあった藤澤虹々可 ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 3本目で吉沢にリードを許す一方でしっかりトリックを決めてここで追い上げておきたいと思う4本目。しかしここでも相変わらず多くのライダーがトリックメイクに苦戦を強いられた。一方でこの4本目でなんとかトリックをメイクして見せたのは藤澤虹々可。ずっと失敗していた「ポップショービットフロントサイド50-50グラインド」をメイクして8.6ptという好スコアをマーク。あと一本決め切れば表彰台の座も見えてくる中で藤澤にトラブル。トリックの着地でデッキのテール側が折れてしまうアクシデント。スペアのボードもなく誰かのボードを借りることを余儀なくされた。そんなことも起きた展開の中で、最後5本目を残して現在トップは吉沢、織田、丹野の順に。このままで大会を終えるのか、もしくは最後に番狂わせがあるのか。そんな期待も渦巻く中でラストトリックへ。 ベストトリック5本目 吉沢恋のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF もう後が無いラストトリックとなった5本目。多くのライダーが決め切れず辛酸を舐めたこのラストチャンスだったが、暫定3位の丹野が最後に表彰台の座を盤石にするため滑走するもメイクした「フロントサイドフィーブルグラインド」ではスコアアップできずに少し不安が残る展開に。 一方で最後も高得点で締め括ったのがやはり吉沢。ラストトリックでは「ノーズグラインドビックスピンアウト」でメイクして8.3ptをマークした。そして暫定3位の丹野を追う展開となった暫定4位の松本はラストトリックに「キックフリップフロントサイドボードスライドフェイキー」をレールで決めて7.6ptをマークすると0.2pt差で3位にジャンプアップ。最終結果としては吉沢が優勝。2位に織田、3位に松本となった。 松本雪聖のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 今回表彰台に上がった3名はベストトリックのレベルの高さに定評があるのはもちろんのことだが、どんな状況でもしっかりスコアを残すことができる実力を持ち合わせているからこそ、世界の大舞台でも結果を残せているということが分かった。また4位となった丹野も松本とはたった0.2pt差。吉沢と織田に比べると若くさらにこれからの成長が楽しみなのがこの丹野と松本だ。日に日に目に見える成長著しいこの女子ストリート種目。今後はトップ勢はもちろんのこと若手にも注目だ。 今後の成長が期待される松本雪聖と丹野莉愛 ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 大会結果 ©︎Yoshio Yoshida /YUSF <Women's Class /ウィメンズクラス>優勝: 吉沢 恋 (ヨシザワ・ココ) / 17.5pt準優勝: 織田 夢海 (オダ・ユメカ) / 16.3pt第3位: 松本 雪聖 (マツモト・イブキ) / 15.5pt4位: 丹野 莉愛 (タンノ・リア) / 15.3pt5位: 藤澤 虹々可 (フジサワ・ナナカ) / 8.6pt6位: 大西 七海 (オオニシ・ナナミ) / 6.2pt7位: 石丸 葵 (イシマル・アオイ) / 3.8pt8位: 上村 葵 (ウエムラ・アオイ) / 0.0pt ©︎Yoshio Yoshida /YUSF <Men's Hi Class /メンズハイクラス>優勝: 早川 竣乃祐 (シュンノスケ・ハヤカワ) / 17.0pt準優勝: 大場 蓮 (オオバ・レン) / 16.8pt第3位: 三星 怜生 (ミツボシ・リオ) / 16.2pt4位: 高石 颯来 (タカイシ・ソラ) / 15.0pt5位: 濱村 大征 (ハマムラ・タイセイ) / 14.6pt6位: 梅村 敏秀 (ウメムラ・トシヒデ) / 8.6pt7位: 浦野 晴 (ウラノ・ハル) / 8.2pt8位: 浦野 健隼 (ウラノ・ケント) / 7.3pt ©︎Yoshio Yoshida /YUSF <Men's Low Class /メンズロークラス>優勝: カミタニ・ユウセイ準優勝: ナトリ・ヤマト第3位: リョウジ・ワカバヤシ 大会概要 ⼤会名称 : 【SKATEARK produced by ARK LEAGUE】 イベント名称:YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL '24 (略称:YUSF’24)開催期間 : 2024年11月9日(土)~10日(日)- 2日間 -※詳細は公式HPをご覧ください。大会会場:横浜赤レンガ倉庫 イベント広場・赤レンガパーク(神奈川県横浜市中区新港1-1)主催:一般社団法人 ARK LEAGUE協賛: 第一生命グループ / GoPro / 三菱商事都市開発/ Red Bull / G-SHOCK / ムラサキスポーツ
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dance“AIRHEADZ”が世界への挑戦権を獲得!「Freestyle Session JAPAN 2024」2024.11.1320年以上の歴史があるブレイキンシーンを象徴する大会 都市型スポーツとストリートカルチャーの祭典「YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL 2024(以下、YUSF)」が11月9日、10日に横浜赤レンガ倉庫で初開催された。本イベント内のBREAKINGコンテンツとして【Freestyle Session JAPAN 2024】が行われ、AIRHEADZが優勝を飾った。Freestyle Session は、1997年アメリカで始まった世界一のCREWを決める伝説のブレイキンバトルで、20年以上の歴史を誇り、今でもブレイキンシーンを象徴するイベントの一つである。国内では、Bboy Toshio a.k.a. Machanが2002年に日本にFreestyle Sessionを持ち込んだことで日本大会がスタート。今回と同じ横浜赤レンガ倉庫で開催された2022年のYUSFでは、Freestyle Session JAPANの20周年が祝われ表彰などが行われた。近年のYUSF内で行われたFreestyle Session JAPANには、今年パリオリンピックで活躍した日本代表勢も出場。2022年大会では、パリオリンピックで金メダルを獲得したAMIがGOOD FOOTで出場し優勝。昨年の2023年大会では、オリンピック第4位のShigekixがXII After oursで出場して同じく優勝を成し遂げている。現在、世界の第一線で活躍するBBOY・BGIRLも憧れる舞台に今年も多くの挑戦者たちが集まった。 ©AYATO. /YUSF ヤングガンズが台頭した今年の日本大会 過去の大会と比べると、今回はニューフェイスが多く登場し若手世代の活躍が目立った。決勝まで駒を進めたgunbarawはThe Floorriorzのメンバーで小学生のWatoを中心とするチーム。惜しくも決勝で敗れてしまったが、大人顔負けのパワームーブを展開し会場を沸かせていた。優勝したAIRHEADZも10代と20代で構成されるクルーであり、今大会では大躍進を遂げた。予選を勝ち抜きTOP16のトーナメントに進出したクルーの中には、YELLOW SUNSやFOUND NATIONなど、国内の様々なバトルを制し、名を轟かせるBBOY・BGIRLもいたが、そのような実績のあるクルーを破りAIRHEADZが見事、頂点に輝いた。優勝したAIRHEADZには、11月16日からアメリカ・ロサンゼルスで行われるワールドファイナルTOP16の出場枠が与えられる。 ©AYATO. /YUSF AIRHEADZ 優勝コメント 今日1日を振り返ってみてどうでしたか? DoubleNew(以下D):この人数でバトルに出るのも初めてだったし、セッション(Freestyle Session)は狙いにいきたいと思って準備していました。トーナメントの組み合わせ的にも、毎バトル全力を出すしかない状況だったので、いい動きが出来たし、それがこの結果に繋がったと思います。すごく嬉しいです! AIRHEADZらしさは出せましたか? D:僕たちは本当にチーム愛を大事にしているクルーだし、いつも一緒に過ごしている仲間たちです。そこがバトルにも出ていたと思います。 アメリカ・ロサンゼルスで行われるワールドファイナルに向けての意気込みを教えてください D:Freestyle Sessionのワールドファイナルは、夢に見ていた舞台なので、全力を尽くして勝ちにいきたいです。 ©AYATO. /YUSF