子どもたちに与えたかったのは夢や目標へ挑戦するきっかけ「MIZUHO BLUE DREAM BREAKING LIMITS Workshop Tour 2024」最終回

2025.03.19
text by Daiki Hatakeyama /photograph by 日本ダンススポーツ連盟

公益社団法人日本ダンススポーツ連盟(JDSF)が、ブレイキンの魅力とそのスポーツとしての価値を広めるため、株式会社みずほフィナンシャルグループと共に国内の小中学校で開催しているブレイキンワークショップツアー「MIZUHO BLUE DREAM BREAKING LIMITS Workshop Tour 2024」

このワークショップツアーでは特別講師として、みずほフィナンシャルグループのサポートアスリートでもあるBBOY Shigekix(半井重幸)を迎え、彼の持つ「ブレイキンを通じて子どもたちが夢や目標に向かって挑戦する姿勢を応援したい」という思いを伝えていきながら、子どもたちにブレイキンを通じて身体を動かす楽しさと創造性を体験してもらい、またトップアスリートとの交流を通じて夢や目標に向かって努力することの大切さを学ぶ機会を提供する取り組みである。

なお本ツアーはShigekixの母校である大阪狭山市立第七小学校からスタート。全国の計6ヶ所の小学校をめぐり、Shigekix自身が子どもたちの夢や目標に向かって挑戦する背中の後押しをしていった。

本記事ではツアーの締めくくりとなった第6校目の川崎市立夢見ヶ崎小学校のワークショップの様子と、本ツアーを終えたShigekixの今の気持ちについても特集する。

講演会の様子

講演会の様子

本ワークショップツアーの最終回として選ばれたのは、現在Shigekixが拠点を置く神奈川県川崎市にある川崎市立夢見ヶ崎小学校。当日は先生の誘導で体育館に連れられた生徒たちは、自分たちの列の間に不自然に設けられたスペースに不思議がっていたが、BBOY KENTARAWのMCの下でオープニングが進行していく。

そしてオープニングが終わり、満を持してMCの合図でShigekixが子どもたちに呼び込まれると、会場に現れた彼は手始めに生徒の間のスペースでワンムーブを披露。子どもたちは突然目の前でトップダンサーのパフォーマンスを見られたことに驚きと喜びが混じる中、大きな拍手と歓声でShigekixを迎えた。

そのアツくウェルカムな歓迎にShigekixも「こんなに温かく迎えてうれしい」と笑顔で応えて、最初から盛り上がった良い雰囲気の中でプログラムはスタートした。

講演前のShigekixのワンムーブ

1限目では夢と挑戦をメイントピックに「今までに挑んできたこと」、「夢や目標を達成するためにやってきたこと」、「これからの挑戦、夢や目標」という大きく3つのトークテーマで講演が行われた。

Shigekixは小学生である生徒たちに向けて、自身の小学生時代のエピソードにも触れながらどのように勉強とブレイキンの両立してきたのかや、夢や目標を達成するためにShigekixが小学生の生徒たちにオススメしたい方法をシェア。その方法として「なりたい姿をイメージする→理想の自分になるために逆算し計画→計画したプランを周りの人に話す」という流れを伝えると、その後生徒からもとても良い学びとなったと感想を伝える様子も見受けられた。

Shigekixに質問したい生徒たちの手が多く上がった

講義内で設けられた質問コーナーでは、ブレイキン関連の質問はもちろん、パリオリンピックなどの大きな大会で一番辛かったことなどトップアスリートに聞いてみたい質問が生徒たちから投げかけられた。Shigekixは大会では不安やプレッシャーから来るメンタル面のマネジメントが一番辛かったと話し、そういう時だからこそ自分はブレイキンが好きだからやっているという気持ちを思い出して、メンタルをポジティブに保つようにしていたとスポーツを好きでやり続けることがトップアスリートにとって大事ということも伝えた。

中学校入学に向けた悩みにShigekixが答えた

またツアー最終回となった今回は3月ということもあり卒業シーズン。2日後に卒業式を控えた小学6年生からは中学校入学に向けてShigekixにお悩み相談の時間が設けられた。先輩との接し方の相談に対しては挨拶などの礼儀の大切さを伝え、中学校で新しい部活動に挑戦することに関しては「新しいことに挑戦すると決めた時点で既に素晴らしい!ワクワクした気持ちで楽しんで取り組むことが大切。」とエールを送った。

BBOY Shigekix

そして今回の講演会の中で、Shigekixが特に伝えたいことは「僕がパリオリンピックをはじめ大きな挑戦ができているのは自分の周りのサポートや環境があってのこと。今度は僕が挑戦し続けることでみんなの挑戦を応援するみんなの元気玉になりたい。」という子どもたちの挑戦や夢をサポートする熱い思いだった。

今年は「Red Bull BC One World Final」への出場も決まっているShigekix。この世界最高峰の大会への挑戦を通して、みんなが夢や目標に向かって突き進むためエネルギーを与えられるように2025年も努力していきたいと強く思いを語った。

ブレイキン体験会の様子

体験会の様子

講演会の後に高学年の4年生から6年生向けにブレイキン体験会が行われた。体験会の前には全校生徒を集めて、Shigekixと同じくトッププレイヤーでShigekixの実姉であり今回サポート講師として参加したBGIRL AYANE(半井彩弥)によるパフォーマンスが披露された。

それを見た生徒たちは手拍子に合わせて歓声をあげて、まるでブレイキンの大会ような盛り上がりを見せると、生徒の中には早く自分たちも踊りたいというような衝動を隠せない様子の子もいるなど、会場内が完璧に温まった中で体験会に移った。

デモショーケースの様子
体験会の様子

体験会では実際にブレイキンを構成する4つの動き「トップロック」「フットワーク」「パワームーブ」「フリーズ」についてデモを見ながら学び、その中で「トップロック」「フットワーク」「フリーズ」の3つをShigekixとAYANEの指導の下、ステップバイステップで挑戦。生徒たちは自信なさげではありながらも恥ずかしがらずに楽しみながら体験し、時にはShigekixがわざとスピードを早めたりしたことで動きが追い付かず笑い声が上がったりと終始ワイワイと賑やかな時間となった。

サイファーも体験

その後は生徒たちみんなでサークルを作るとサイファーにも挑戦。周りの同級生たちに見られながら踊る環境に、さすがに恥ずかしがる様子を見せたが有志の生徒が前に出てきてこの体験会で学んだことをベースにした自分たちのムーブを披露。終盤には2人で向き合いバトル形式でムーブを見せ合うなど子どもたちがBBOY・BGIRLデビューを果たした。パフォーマンス後には講師陣とはもちろんのこと生徒同士でハイタッチするなど、ブレイキンのカルチャーの素敵な部分が存分に現れた体験会となった。

生徒代表との写真撮影

最後には生徒代表と校長先生から花束と感謝の言葉が贈られ、みんなで集合写真を撮り全行程を締め括った。Shigekixも最後に今回真剣に話を聞いてくれた生徒たちへの感謝の気持ちと、夢や目標を持つことの素晴らしさを伝え、今回話した3つのステップを実践してこれからも挑戦し続けてほしいとエールを送った。

なお下記は今回のワークショップツアーを終えたShigekixAYANEのコメントだ。

Shigekixと姉弟で一緒にワークショップを行った姉のBGIRL AYANEのコメント

BGIRL AYANE

―  今回のMIZUHO BLUE DREAM BREAKING LIMITS Workshop Tour 2024を終えた今の率直な気持ちを聞かせてください。

ブレイキンを通して色々な小学校に行って、夢授業のようなことができたのがすごいありがたいので感謝しています。またオリンピックや色々な出来事を通して、少しずつブレイキンの認知が上がっているのをすごい感じていて、「Shigekixが出てくるよ!」となった時のみんなの反応だったり、パフォーマンスしている時のみんなの盛り上がり方を見ていると本当にブレイキンを見てくれている子が増えてきたなと思いますし、それを肌で感じることができたので嬉しかったです。

―  実弟であるShigekixと一緒にこのような活動ができることに関してどう感じていますか?

素直にとても嬉しいですね。Shigekixが新しい可能性を広げてくれていて、それに一緒に賛同できることが私としてもありがたいですし、ブレイキンを始めて良かったなって思っています。また私をきっかけに彼がブレイキンを始めてくれたことで、今は彼にすごい色々な景色を見させてもらっているので、何がきっかけになるか分からないですし、感謝の気持ちもあります。本当にありがとうございますって思っています。

―  今後、どのようなブレイキンシーンになって欲しいですか?

ブレイキンはみんながそれぞれ違うスタイルを持っていて、各々がそのスタイルで一生懸命やっていることがかっこいいですし、人と違うこと自体が素敵なことなのでブレイキンシーンのこの風潮を日本国内はもちろん、世界に伝えていきたいと思っています。

その先にShigekixも掲げているような誰かの夢の背中を押したりとか、自分に自信を持つきっかけになったり、あとは今起こってる争い事の解決策として、人と違うことを理解し合ってリスペクトしあえる世界に繋げていけたらいいなと思っています。

そのためにもブレイキンがもっと広がってほしいと思っているので、このような学校訪問もそうですし、今後も色々な人の目に触れるような場所でブレイキンを知ってもらう機会をいただけたら嬉しいです。

全6回のワークショップツアーを終えたBBOY Shigekixのコメント

BBOY Shigekix

―  全6回のMIZUHO BLUE DREAM BREAKING LIMITS Workshop Tour 2024を終えた今の率直な気持ちを聞かせてください。

このワークショップツアーは、「自分が子どもたちのためにできることは何か?」というところがスタートではあったのですが、逆に自分がこの経験を通して子どもたちからたくさんエネルギーをもらいました

パリオリンピックという大舞台への挑戦を終えて、まさに新たな挑戦を始めるタイミングで全国を周るこのワークショップツアーがスタートして、自分の中で明確に次の目標に対して前を向いて進んできた中ではありましたが、

改めて母校へ帰って自分の原点をこの目で見たり、子どもたちの素直に挑戦する姿に感銘を受けたり、また今拠点にしているここ川崎の小学校に訪問してこのシーズンを締めくくったところで、人に何かを与えることだけに限らず、自分が与えてもらったこともすごく多くあって、自分自身もこれからの挑戦に向けて良いターニングポイントになったなと感じています。

BBOY Shigekix

―  今回のワークショップツアーを終えて、今後の自身の活動に活かしたいことやみずほフィナンシャルグループとやっていきたい取り組みはありますか?

僕の活動の中でずっと大事にしていることをそのまま体現できたのが、この今回のワークショップツアーだと思っているので、今後も僕の思いとしては何も変わらず今回のツアーを通して子どもたちに伝えられた夢や目標に挑戦する大切さを、引き続き色々な形で伝えていきたいと思っています。

そして、僕もみずほさんとは「ともに挑む。ともに実る。」というパーパスで活動しているので、これからもまた新たな挑戦を共にして、色々な景色を見たいと思っています。

また先ほどみずほさんと話していたのですが、このツアーを始めてからイベント会場にこの学校訪問でブレイキンに出会った子どもたちが見に来てくれていたり、その中にはブレイキンを始めちゃった子もいたりするんです。

その子たちがもしかしたら、10年以上経ってみずほさんの会社に入社してるかもしれないですし、今回のワークショップツアーが彼らにとってどんなきっかけになるか分からないなってすごく思っていて、今から既にワクワクしているのでこのような僕が少年の時に感じたような稲妻のきっかけ作りは引き続き続けていきたいと思っています。

集合写真の様子

―  最後に改めて自身の活動を通して、子どもたちに伝えていきたいことを聞かせてください。

とにかく挑戦することの美しさだったり、その楽しさ、またそこから学ぶことの喜びを伝えたいですし、それが僕がこれからも大事にして伝えたいと思っていることです。

僕自身もやっぱり挑戦している時の自分が一番生き生きしていると思いますし、これまでの自分も成功ばかりしてきたわけではなくて、よく覚えていることも悔しい経験が多かったりもする中で、それでも挑戦したことにすごく意味があるなって毎度思わされるので、自分が一番生き生きして挑戦する姿を通して、みんなにも挑戦することはかっこいいし楽しいんだと思ってもらいたいです。

別に成功することがかっこいいとか、失敗することがかっこ悪いとかでは全くなくて、ただ挑戦していることがかっこいいということをみんなに感じ取ってもらえるように僕も挑戦し続けたいと思います。

開催概要

名称:MIZUHO BLUE DREAM BREAKING LIMITS Workshop Tour 2024
開催期間:2024年10月下旬~2025年3月の期間で計6校(応募での実施校は5校)
主催:公益社団法人日本ダンススポーツ連盟ブレイクダンス本部(JDSF)
特別協賛:株式会社みずほフィナンシャルグループ
協力:有限会社 OVER THUMPZ
対象:全国の小学校・中学校
授業内容:合計2コマ分の時間を使用し実施いたします。
・1コマ目〜講演〜ブレイキン選手のキャリア、夢への挑戦についてのトークや生徒の皆様とからの質問時間
・2コマ目〜体験会〜実際にブレイキン選手のパフォーマンスを見て、そしてブレイキンを体験する。(50名程度の人数制限有り)

執筆者について
FINEPLAY編集部
FINEPLAY は世界中のサーフィン、ダンス、ウェイクボード、スケートボード、スノーボード、フリースタイル、クライミングなどストリート・アクションスポーツに関する情報を発信するスポーツメディアです。
ピックアップフォト
アクセスランキング
FINEPLAY
アクションスポーツ・ストリートカルチャー総合メディア

FINEPLAYはアクションスポーツ・ストリートカルチャーに特化した総合ニュースメディアです。2013年9月より運営を開始し、世界中のサーフィン、ダンス、ウェイクボード、スケートボード、スノーボード、クライミング、パルクール、フリースタイルなどストリート・アクションスポーツを中心としたアスリート・プロダクト・イベント・カルチャー情報を提供しています。

アクションスポーツ・ストリートカルチャーの映像コンテンツやニュースを通して、ストリート・アクションスポーツの魅力を沢山の人へ伝えていきます。

イベントスケジュール
3月 2025
      1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31       
« 2月   4月 »

●今日 ○イベント開催日

ピックアップフォト
編集部おすすめ記事
アクセスランキング
FINEPLAY
アクションスポーツ・ストリートカルチャー総合メディア

FINEPLAYはアクションスポーツ・ストリートカルチャーに特化した総合ニュースメディアです。2013年9月より運営を開始し、世界中のサーフィン、ダンス、ウェイクボード、スケートボード、スノーボード、クライミング、パルクール、フリースタイルなどストリート・アクションスポーツを中心としたアスリート・プロダクト・イベント・カルチャー情報を提供しています。

アクションスポーツ・ストリートカルチャーの映像コンテンツやニュースを通して、ストリート・アクションスポーツの魅力を沢山の人へ伝えていきます。

配信先メディア一覧