男女ともに新たな歴史が刻まれた一戦「第7回全日本BMXフリースタイル選手権」フラットランド種目

2023.09.18
初タイトルを獲得した片桐悠
photograph by Satoshi Saijo/Japan Cycling Federation/JFBF

「第7回全日本BMXフリースタイル選手権」フラットランド種目が岡山県岡山市のイオンモール岡山 1F 未来スクエアの特設会場にて2022年9月16日(土)~17日(日)の2日間に渡り開催され、男子エリートでは片桐悠選手が、女子エリートでは宮嶋歩菜選手が優勝した。

フラットランド種目に関しては今回5度目の開催となる全日本BMXフリースタイル選手権。会場は昨年と一昨年に引き続き、岡山県岡山市のイオンモール岡山 1F 未来スクエアにて特設ステージが設けられ今大会が開催された。

このフラットランド種目の大会観戦の魅力は、平らなステージを設置できれば基本的に場所を選ばず開催できることだ。今回も商業施設の中心に設けられため、通りすがりの一般のお客さんでも気軽に観戦できたことから終始大盛り上がりの大会となった。

なお今大会の模様はNTT西日本グループの協賛・技術提供により「双方向ライブ配信」により視聴可能となった。本プラットフォームではコメントやバーチャルで歓声を送ることができるため、会場に行けない方でもリアルタイムで視聴でき、会場の熱を一緒に感じながら今年の全日本チャンピオン誕生の瞬間を目の当たりすることができた。

以下は、今大会の男女エリートクラスの決勝レポートである。

今年の日本の頂点には男女共に新たな顔ぶれ。男子エリートは片桐悠が、女子エリートは宮嶋歩菜が初タイトル獲得。

男子エリートクラス決勝

男子エリートクラス決勝は予選11名の中から勝ち上がった上位8名で争われ、現在の世界チャンピオンをはじめ全国から強豪が揃い、世界最高峰の戦いの中で今年の日本一を決めることとなった。

片桐悠のライディング
photograph by Satoshi Saijo/Japan Cycling Federation/JFBF

今回そんなハイレベルな接戦を制し優勝したのは片桐悠。世界中のライダーから投票を行い、その年最も活躍したライダーに贈られる賞「NORA CUP」を今年受賞し、「X GAMES CHIBA 2023」をはじめ出場する大会でほぼ負けなしで、現在世界中で最も高い評価を受ける彼は、自分のお腹側でバイクを横に回す「バイクフリップ」など多種多様なリアトリックを組み合わせたライディングが特徴だ。

彼はバイクを切り返しながら無駄のない高難度のリアトリックのルーティンを繰り出し、その中でもバイクの内側で行うペダル軸の「ルパロニ」や得意とする「バイクフリップ」をいくつも組み合わせてルーティンを構成。また途中では高度なバランス力が求められる「舞空術」や、同じくペダル軸の「ルパロニ」からハンドルを切り返しペグ軸にスイッチするなど様々な高難度トリックで点数を稼ぎ、中盤でミスはあったものの89.50ptをマークし自身初の国内タイトルを勝ち取った。

荘司ゆうのライディング
photograph by Satoshi Saijo/Japan Cycling Federation/JFBF

準優勝は先日のUCI世界選手権で見事優勝し、今年度の世界チャンピオンである荘司ゆう。ルーティンの中でフロントトリックとリアトリックの両方への行き来を可能にする「トランスファー」という高難度トリックが持ち味の彼は、フロントタイヤを軸にシートグラブのツーフットの体勢で加速しトランスファーを多く取り入れたルーティンを見せる。

特に最後に見せたリアからフロントへの 「トランスファー」から「エルクグライド」を挟み「ダブルタップ」で締めるルーティンには本人も会場も大盛り上がり。途中で足を着くミスがあったからかスコアを87.00ptとし、片桐のスコアに上回られたものの2位で全日本選手権を終えた。

佐々木元のライディング
photograph by Satoshi Saijo/Japan Cycling Federation/JFBF

3位は世界最高難度のフロントトリックを持ち、今年度のアジアチャンピオンである佐々木元。彼はフロントタイヤを軸にクロスフットとツーフットで組み換えながら、フロントスピンを入れ込むバリエーションの多いルーティンを披露。

ラン前半では「クリフハンガーノーハンドスピン」「カールクルーザースピン」、自身のオリジナルトリックも交えながらルーティンを構成するも、中盤からは攻めのライディングをしたことが裏目に出たかミスを重ねてしまう。惜しくも得点を伸ばしきれず今回は86.75ptとし3位となった。

女子エリートクラス決勝

女子エリートクラス決勝は5名で争われ、今回は今年JFBFシリーズ負けなしの大型ルーキーである宮嶋歩菜が初タイトルを獲得。ハイスピードのライディングの中に完成度の高いフロントトリックをたくさん組み込んでくるのが特徴的な宮嶋だが今大会でもその強さを見せた。

宮嶋歩菜のライディング
photograph by Satoshi Saijo/Japan Cycling Federation/JFBF

序盤から早速「ハングファイブからのスチームローラー→ツーフットでのヒッチハイカー→シックスパッカー→マックサークルのスピン」を決め切る。途中ではミスもあり、苦戦を強いられるもすぐに別のルーティンに切り替え復調。
最後には中盤でミスしていた「フロントタイヤのスカッフ→左右にバイクを移動させてのシートグラブでのスカッフ→フロントタイヤのスカッフスピンからブーメラン」のルーティンを見事メイク。
今シーズン負けなしで絶好調な彼女がここ全日本選手権の場でも81.75ptの高得点で見事優勝を収め、女子エリート初タイトルを獲得した。

中川きららのライディング
photograph by Satoshi Saijo/Japan Cycling Federation/JFBF

準優勝は先日のUCI世界選手権で3位入賞を果たした中川きらら。フロントトリックを中心に繰り出される安定感のあるロングルーティンを得意とする彼女は、グライドからのフロントタイヤのスカッフをベースに「バックパッカー」や「スクエカー」など加えたロングルーティンを見せる。
中盤でミスが続くも、最後は「アンクルデスからラードヤード→ツーフットからのグライド→バリアル」のルーティンを見事メイク。ただ中盤のミスが響き77.25ptというスコアに。惜しくも今回タイトルは逃したが2位入賞を収めた。

伊藤聖真のライディング
photograph by Satoshi Saijo/Japan Cycling Federation/JFBF

3位「ディケード」というジャンプ系のトリックを得意とし、女子の中では珍しい豪快なライディングが特徴的な伊藤聖真。今回は「アンクルデス」から「スミスディケイド」のルーティンや、「クロスフットのマックサークル」からの「ディケイド」、そして「メガスピン」からの「ディケイド」のルーティンをメイクするなど、完全に「ディケード」を自分のものにしたライディングで73.75ptをマークし見事3位の座を獲得した。

優勝者コメント

photograph by Satoshi Saijo/Japan Cycling Federation/JFBF

片桐 悠 選手(男子エリートクラス)
「この全日本選手権は初出場でしたが、マイナビ Japan Cupの1戦目から優勝する気でずっと取り組んできたので今回しっかりと優勝できたことが一番良かったです。今回は勝ちに徹して決勝では少し抑えたライディングをしましたが、人と被らないオリジナルのトリックはライダーのスタイルとして追求していく部分だと思うので、今後も練習を続けながら来年の世界選手権では優勝を勝ち取れるように頑張ります。」

宮嶋 歩菜 選手(女子エリートクラス)
「今回の優勝にはとてもビックリしています。予選はミスの無い走りができましたが、決勝でも同じ走りを意識したことでプレッシャーとなり、ミスが出てしまったことが悔しかったです。 もう少し攻めればもっといい結果が出たと思いますし、色々課題はありますが優勝できて嬉しかったです。」

大会結果

photograph by Satoshi Saijo/Japan Cycling Federation/JFBF

<男子エリート>
優勝: 片桐 悠 (カタギリ・ユウ) / 所属: GLOW 89.50pt
準優勝: 莊司 ゆう (ショウジ・ユウ) /  所属: なし 87.00pt
第3位: 佐々木 元 (ササキ・モト) /  所属: 鎌ケ谷巧業 86.75pt

photograph by Satoshi Saijo/Japan Cycling Federation/JFBF

<女子エリート>
優勝: 宮嶋 歩菜 (ミヤシマ・アユナ) / 所属:大館市立比内中学校 81.75pt 
準優勝: 中川 きらら (ナカガワ・キララ) / 所属:なし 77.25pt
第3位: 伊藤 聖真 (イトウ・セイマ) / 所属:大和大学 73.75pt

<キッズ6アンダー>
優勝: オカヤマ・ミオ / 51.67pt
準優勝: カイ・ニチカ / 48.67pt
第3位: タカギ・ケンセイ / 45.67pt

<ボーイズ7-9>
優勝: トダカ・ヤマト / 58.33pt
準優勝: カドイ・アタル / 56.67pt
第3位: オカダ・ヨウタロウ / 54.67pt

<ボーイズ10-12>
優勝: カジワラ・レンヤ / 67.67pt
準優勝: ヒラノ・ショウキ / 67.33pt
第3位: ナカヤス・ヨシヒト / 58.00pt

<ガールズロー>
優勝: マエダ・ユイ / 57.00pt
準優勝: ヒラノ・カンナ / 54.33pt
第3位: カドイ・ヒマリ / 52.67pt

<ガールズハイ>
優勝: ナカガワ・キョウカ / 71.67pt
準優勝: ヨシムラ・ソナ / 71.00pt
第3位: カジワラ・サリヤ / 70.00pt

<エキスパート>
優勝: ワタナベ・ソウタ / 71.33pt
準優勝: アカシ・キョウヤ / 69.00pt
第3位: シンデ・リク / 61.67pt

<男子13-15>
優勝: ヒシカワ・タカトラ / 75.67pt
準優勝: オガワ・ソウスケ / 72.33pt
第3位: モリモト・アシタ / 67.00pt

<男子30オーバー>
優勝: マツモト・ヒロヤ / 75.67pt
準優勝: カタオカ・エイジ / 75.33pt
第3位: ヨシムラ・トモアキ / 70.33pt

大会概要

⼤会名称 :「第7回 全日本BMXフリースタイル選手権」
開催期間:2023年9月16日(土)~17日(日) – 2日間 –
※詳細は公式HPをご覧ください。
大会会場:イオンモール岡山 1F 未来スクエア(岡山市北区下石井 1-2-1)
主催:公益財団法人 日本自転車競技連盟 (JCF)
主管:一般社団法人 全日本フリースタイル BMX 連盟(JFBF)
後援:岡山市、岡山商工会議所、公益財団法人 JKA、 一般社団法人日本アーバンスポーツ支援協議会、一般社団法人岡山県アーバンスポーツ協会
特別協賛:ライト電業株式会社
エントリー数:フラットランド種目 93名

執筆者について
FINEPLAY編集部
FINEPLAY は世界中のサーフィン、ダンス、BMX、FMX、スケートボード、スノーボード、クライミングなどストリート・アクションスポーツに関する情報を提供するWebマガジン
ピックアップフォト
アクセスランキング
FINEPLAY
アクションスポーツ・ストリートカルチャー総合メディア

FINEPLAYはアクションスポーツ・ストリートカルチャーに特化した総合ニュースメディアです。2013年9月より運営を開始し、世界中のサーフィン、ダンス、ウェイクボード、スケートボード、スノーボード、クライミング、パルクール、フリースタイルなどストリート・アクションスポーツを中心としたアスリート・プロダクト・イベント・カルチャー情報を提供しています。

アクションスポーツ・ストリートカルチャーの映像コンテンツやニュースを通して、ストリート・アクションスポーツの魅力を沢山の人へ伝えていきます。

直近のワークショップ
直近のワークショップはありません
イベントスケジュール
11月 2024
     1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  
« 10月   12月 »

●今日 ○イベント開催日

ピックアップフォト
編集部おすすめ記事
アクセスランキング
FINEPLAY
アクションスポーツ・ストリートカルチャー総合メディア

FINEPLAYはアクションスポーツ・ストリートカルチャーに特化した総合ニュースメディアです。2013年9月より運営を開始し、世界中のサーフィン、ダンス、ウェイクボード、スケートボード、スノーボード、クライミング、パルクール、フリースタイルなどストリート・アクションスポーツを中心としたアスリート・プロダクト・イベント・カルチャー情報を提供しています。

アクションスポーツ・ストリートカルチャーの映像コンテンツやニュースを通して、ストリート・アクションスポーツの魅力を沢山の人へ伝えていきます。

配信先メディア一覧