シルクドソレイユ2017新作に BMXライダー池田貴広が出演

~ワールドツアー初のBMXパフォーマンス~
プロBMXライダー池田貴広が世界最高峰のエンターテイメント企業『Cirque du Soleil』の『新作ワールドツアーショー』に2017年4月より出演することが決定!
池田は2015年5月から2016年1月にも、シルクドゥソレイユにおいてアジア人初のBMXアーティストとしてフロリダでの常設公演『La Nouba(ラ・ヌーバ)』に出演を果たしたが、ワールドツアーの公演にBMXの演目が取り入れられるのは今回が初。
Cirque du Soleil – La Nouba | BMX rider Takahiro Ikeda
(2015年 『La Nouba』 出演映像)
また、池田は現役アスリートとして世界大会にも出場しており、2016年7月にイギリスで開催された世界選手権『iBMXff(国際BMXフリースタイル連盟) BMX Flatland WORLD CHAMPIONSHIPS 2016』で準優勝を果たした。
2017年のワールドツアーへ出演するにあたり、アスリートとしての活動の継続も考慮された契約内容となっており、公演期間も世界大会への出場を続ける予定。
<池田貴広のコメント>
目標の一つだったワールドツアーへの参加が決定して、非常に興奮しています。
これまでの経験と実績が今回の出演へと繋がり、とても光栄です。
BMXというスポーツをアートとして表現していけるよう、世界中から集結する素晴らしいアーティストや演出家と切磋琢磨して、最高の舞台を作りたいと思います。
ツアー期間の途中にも一時帰国を予定していますので、そのタイミングで日本国内でも様々なイベントに出演したいと考えています。
国籍や老若男女を問わず、皆様を感動させられるようなショーを披露しますので、ぜひご覧いただきたいです。
【Cirque du Soleilとは】
1984年にカナダ・ケベック州で誕生した世界最高峰のエンターテイメント企業であり、日本国内においても、アレグリア、コルテオ、クーザ、オーヴォ等のワールドツアーショーで話題となり、2016年にはトーテムが上陸しました。
池田貴広が2017年から出演する新作のワールドツアーショーも数年後に日本へ上陸予定です。
【Cirque du Soleilとは】
1984年にカナダ・ケベック州で誕生した世界最高峰のエンターテイメント企業であり、日本国内においても、アレグリア、コルテオ、クーザ、オーヴォ等のワールドツアーショーで話題となり、2016年にはトーテムが上陸しました。
池田貴広が2017年から出演する新作のワールドツアーショーも数年後に日本へ上陸予定です。
【BMXとは】
Bicycle Moto X(cross)の略で、競技に使用される小径自転車です。BMXを使った競技にはいくつかの部門があり、その中でもBMXレースはオリンピック種目にもなっています。
池田貴広のプレーする“フラットランド”は平地で行なうフリースタイル競技であり、様々な体勢で走行しながら、技を連続して織り交ぜていくエクストリームスポーツです。

【BMXライダー池田貴広 プロフィール】
1990年5月17日生まれ。千葉県出身。
高速スピンで『ギネス世界記録』を更新し続ける世界一のBMXライダー。
世界大会に出場しながら、10カ国以上でのBMXショー、TV番組やCMへの出演、モデルなど、多岐に渡って活動中。
世界へ挑戦し続けるアーティスト・アスリート。
・2010年 国際大会 Red Bull Flamenco Flatland 優勝
・2011年 全日本選手権 King of Ground 優勝
・2014年 BFWC世界ランキング 年間3位
・2015年 BMXのスピン技で4種目のギネス世界記録(TM)を保持
・2016年 Cirque du Soleil “La Nouba” 出演
iBMXff WORLD CHAMPIONSHIPS 準優勝
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doubledutch初のガールズチームでの世界制覇!「Mrs.DOUBLE DUTCH」インタビュー2023.09.252023年7月、アメリカ・コロラド州にて開催されたダブルダッチの世界大会「DOUBLE DUTCH CONTEST WORLD 2023」。コロナ禍によって4年ぶりとなった、プレイヤーたちが待ち焦がれた実地での開催。見事世界一のタイトルを掴み取ったのはガールズチーム「Mrs.DOUBLE DUTCH」(ミセス ダブルダッチ)。チーム結成は8年前。彼女たちがどのような道のりを辿って“世界一”となったのか。これまでの歩みと今大会へ懸けた思い、そしてこれからについて訊いた。 ABOUT “Mrs.DOUBLE DUTCH” 10名の女性ダブルダッチプレイヤーで結成されたチーム。各メンバーがプレイヤーのみならず、メディア・モデル活動や、大会でのゲスト・審査員など、多方面で活躍している女性ダブルダッチチームのパイオニア。今回の世界大会にはこのうち7名が出場。 (左から) KYOKA・REINA・MISA・HARUNA・MAYU・SUMIRE・HARUKA(写真提供:Mrs.DOUBLE DUTCH) ※以下、記事中ではチーム愛称「ミセス」と表記。 "女性プレイヤーの希望になりたい” ミセスが結成されたのは2016年。当時のダブルダッチシーンについてと結成に至った思いについて、リーダーのMISAはこう壊述する。 MISA「多くのプレイヤーは大学のサークルでダブルダッチに出会うので、卒業というのが一つの分岐点なんですよね。プレイヤーとして続けるか否かという。ですが、当時は女性でプレイヤーとして続けている人が少なかったんです」 左から SUMIRE・MAYU・MISA・HARUKA 「どうにかして女の子たちがプレイヤーとして活躍し続けることができないか。そんな声に触れるたびに考えるようになり、女の子のチームを作ってみることにしました」 そこでMISAを中心に、現メンバー MAYU・MOEMI・HARUNA・SUMIREを含めた7名でMrs.DOUBLE DUTCHが結成された。 結成当初の写真(写真提供:Mrs.DOUBLE DUTCH) MISA「チームを作ったことに対する責任感はありましたが、私の中ではあくまで実験的な試みでもあったんです。前例のないチャレンジだったからその先どうなるかも予想できなかったし、当時はプロ以外で同じチームを長く続けている人も多くなかったので。でも女性のダブルダッチプレイヤーの希望でありたい、可能性を切り拓きたいという思いはありました。そこで『Mrs.DOUBLE DUTCH』と名付けたんです」 確固たる思いを持って走り出したミセス。結成直後に、彼女たちは国内最大級の大会「DOUBLE DUTCH CONTEST 2016」の国内予選に出場することを決める。しかし、その結果は17位。本戦出場となる“10位以内”には届かなかった。 DD CONTEST 2016 出場時。(写真提供:Mrs.DOUBLE DUTCH) MAYU「“女子だけ”の難しさを感じた部分もありました。今思えば妥当な結果だと思いますが、今にいたるミセスの活動の源流だったというか、そこで私たちに火がついたというか」 HARUNA「当時、私とSUMIREは大学4年生の卒業間近で忙しい時期だったこともあり、MISAさんがほとんど全ての曲や衣装を準備してくれていたんです」 MISA「でもミセスを“長く続けていこう”とだけは決めていて、そのためには1人が作った作品でチームを続けていくのは無理だと思ったんです。チームメイトと関係性を築いて『ここは自分のアイデアなんだ』『この瞬間自分は輝いているんだ』ってことを自覚しながらやらないと長く続けられない」 その後、メンバーそれぞれの活動を経て、2017年の「Double Dutch Delight」では一般部門で優勝を果たすほか、「DOUBLE DUTCH CONTEST」の上海大会に2年連続で出場し、2019年には優勝。 このほか、個々がミュージックビデオの出演やゲストショーケース、アパレル活動や審査員など、多岐にわたって活躍。“ガールズチーム”としての存在感を確立させていく。 2019年、オリジナルメンバーの一部がプレイヤーとしての活動を終えたこともあり、ミセスとしての活動を継続するべく、AYUKA・KYOKA・REINA・NATSUMI・HARUKAが加入し現体制となる。 (後列) 左から1番目 AYUKA / 2番目 KYOKA / 3番目 REINA / 6番目 NATSUMI(前列) 左から1番目 HARUKA(写真提供: Mrs.DOUBLE DUTCH) 国内予選に向けて――「ミセス式」のパフォーマンスメソッド それからしばらく経ち、2023年。最大級の大会である「DOUBLE DUTCH CONTEST」に再び出場することを決意する。世界一のためにまず国内予選を制する必要がある。同部門への参加は約120チーム。その中で、まず上位5チームに残らなければならない。 注:オフィシャルサイト等の情報を元に、編集部で制作 MISA「今年は久しぶりとなる実地での開催。しかもフルメンバーで大会に出るチャンスは今回を逃すとしばらくないかもしれないと思い、出ることを提案しました。ただ各々の都合もあるし無理はさせたくないから、イエスかノーで答えて、と」 そうして集まったのが今回のメンバーである7名だ。 MISA「ただ各々仕事や家庭もあって、社会人チームは予定を合わせるのにも一苦労です。だから最初に集まりやすいメンバーでネタ(動きや技)を作って、そこから音を合わせていきました。 MAYUが音のストックを色々持っているので、MAYUが提案して、それを曲編集をやってくれるRisA(※)に伝えて進んでいきました」 (※)RisAミセスのパフォーマンス音源を作成していた人物。これまでのミセスメンバーが出場していた別チームの音源も作成するなど、数多くを手がける名曲編者。 中央がRisA(写真提供:Mrs.DOUBLE DUTCH) 同じチームを継続し続けていくメリットも多いが、その反面、期待値がインフレし高いハードルにもなりうる。そんな彼女たちのパフォーマンス作りは、どのように進められていったのか。 MISA「『みんなが見たいミセス』『メンバーがやりたいミセス』というのはそれぞれ違うと思ったんです。だから今回、私が『こうしたい』とは極力言わないようにしていました」 SUMIRE「逆にMISAさんが委ねてくれたからこそ、話し合いは積極的にありました。新メンバーが入ってできることが増えたのもあって、『こういうネタもできる』『これよりこっちの方が良さそう』という感じで」 MAYU「“ミセスをどんなカラーにするか”ということを踏まえ、1つ1つ細かいことでもみんなで話し合ったからこそ、みんながやりたいものにまとまっていったんです」 KYOKA「『これは違うんじゃない?』と言うときも、それを言うからにはしっかり代案がありますし、試す価値があるから試す。逆に『ここは⚫️⚫️が跳んだ方が良さそうだね』ということも話しました」 HARUNA「各々が自分の出来ることをしっかり自覚しているんだけど、その上でミセスって“他薦”が多いんです。チームメイトのこともよく理解していて、その人の技やスタイルに合いそうなことを判断できる。だから『自分たちがやりたいミセス』と『みんなが見たいミセス』を両立させることができたと思うんですよね。自分たちでワイワイ盛り上がっているように見えるかも知れませんが、客観視もしています。パフォーマンスの多くは最後にスピード(駆け足飛び)やアクロバットなど、ダイナミックな大技で締めくくるケースが多いのですが、そのやり方だと他には勝てないなと思ったんです。勝つための他にない部分、そこがいわゆる『ミセスらしさ』ということなのかなと。ミセスならではの要素、ミセスならではのパフォーマンス構成に同意してくれることで、それが自信に繋がっていきました」 それぞれが意見を出し合い、自分の理想と他者像を重ね合わせながら進めるのが“ミセス式”のパフォーマンス作りだ。どうしてもその手法だとなかなか意見がまとまらなかったり、メンバー同士で衝突することも考えられるが、彼女たちにそういったことはなかったようだ。 左から HARUNA・REINA・KYOKA MAYU「意見がまとまらない状態で置いておくことはほぼありません。『そこいいね』『そこ微妙だね』を繰り返します。だから喧嘩もないです。当然時間はかかってしまいますけどね。あと良いものが出来たら自分たちでも盛り上がってしまいますし、自分やお互いをめっちゃ褒めます(笑)」 MISA「険悪な空気になることもありません。もちろん議論が白熱したり、出来ないことによって落ち込んだりはしますが、それはどのチームにもあるレベルのことで、取り立てて激しいようなものではありません。メンバーを見ていると、みんな作品を作ることに対する意識が高いんです」 KYOKA「ミセスは最年長と最年少のメンバーで9つも離れていて、見てきたダブルダッチや影響を受けてきたものなども全然違います。だからこそ色々な意見が出るし、それらを互いにリスペクトできるんです」 MISA「色々と意見が飛び交うので、“お蔵入り”になった技や音はたくさんあります。ボツのものだけでショーケースが1本できるくらいには(笑)。当然自分たちが頭を絞って作ったものなので、それらを捨てることに未練が無いと言えば嘘になります。けれど客観視していくなかで、勇気を持ってボツにすることも必要。『これはKYOKAっぽくないよね』とか『これはミセスらしさじゃないと思う』とか。皆さんが見たいと感じてくれたミセスになっているのだとしたら、そこが理由だと思いますね」 MAYU「例えば手の開き方1つとっても、指の開き方の間隔から角度まで細かい一つ一つを擦り合わせていきます」 筆者がミセスのパフォーマンスに“女性らしさ”を感じるのは、まさにこうした部分が所以だろう。女性のきめ細やかな感性と丁寧さが、今回の勝利を手繰り寄せていることを感じる。そうして迎えた、国内予選の当日。 KYOKA「結果、パフォーマンスはミスが1つ。今回の大会は審査基準的に、ノーミスとミス1つで6点差がついてしまう仕組みなんです。この1つのミスが順位を大きく左右しかねないと思っていたので、終わった直後に『確実に世界大会へ上がれる』という自信はありませんでした。本来だったら、ノーミスでパフォーマンスを終えて衣装で会場を練り歩いて、『ミセスすげえ』ってチヤホヤされて、これから出番の学生たちに「頑張ってね」なんて声をかけて… とかってこと細かくイメージして臨むんですが(笑)」 国内予選のパフォーマンス中(写真提供:Mrs.DOUBLE DUTCH) そうして迎えた結果発表――。5位、4位とチーム名が呼ばれていくが、ミセスの名前はまだ呼ばれていない。 HARUNA「会場を沸かせていた他のチーム、ノーミスを出していたチームも色々と見ていて、もうダメかも…と。最初はチームメイトの手を握りながら結果を聞いていたのですが、みんなすーっとその手を離してしまって」 一瞬の静寂を経て、MCが次の結果を読み上げる。「3位は……… Mrs.DOUBLE DUTCHーー!!」 KYOKA「結果が出たとき、何より『ミセス』をまだ続けられることが嬉しかったんです。またミセスで練習できる。またこの人らと会える。またこの人らと一緒に帰れる。『コロラド(世界大会の開催地)に行ったらさ』ってことをたくさん話してたから、それもできるなって」 拓かれた世界への道 そうして手にした世界への切符。舞台をアメリカ・コロラド州へと移し、次なる戦いが始まる。世界大会ではパフォーマンスに加え「フリースタイルバトル」という種目がある。DJが掛ける音楽に合わせムーブを披露し、チーム同士が1vs1で優劣を競うというものだ。 MISA「国内予選が3月、世界大会が7月なんですが、まず国内予選のパフォーマンスをリメイクするかどうかという話になりました」 REINA「予選と本戦ではパフォーマンスを少し作り替えるチームが多く、当然私たちもまず作り替えるかどうか、というところから話がスタートしました。ですが結果としてはそのまま持っていきました」 MAYU「私たちは1つ1つの技や音に対してかなりの時間を費やし議論をしています。ボツになったものは私たちの中の“予選”を通過しなかったからそうなった。また同時に、あのパフォーマンスが国内予選を通過したのにも理由がある。だから変えずにいこうと」 HARUKA「RisAに音源の編集を頼むときも、パフォーマンスの内容を変えると歌詞を途中でぶった斬ることになって、気持ちが乗っかっていかないんですよね。歌詞で振り付けを決めている部分もありましたから。でも『こうできる?』と訊いたらすぐ対応してくれて、しかも逆に提案までしてくれて、丁寧で。こうした支えなくしてミセスは無いなと感じますね」 HARUNA「そうなんです。本当にいろんな人に支えられているんです。世界大会の渡航にはかなりの資金が必要になるので、イベントを開いたりクラウドファンディングなどをやったんです。でもそういったツールを設けたことで、皆さんから応援の声がたくさん届くようになったんです」 SUMIRE「練習終わりに、皆さんからクラファンに寄せていただいたメッセージを全員で読んだのですが、もうみんなボロ泣きで(笑)」 HARUNA「ダブルダッチの仲間に限らず、それぞれ自分たちの人生で出会ってきたたくさんの人が支えてくれていることを実感して『世界大会がミセスとしての最終地点ではいけない』とも思いました。この感謝を体現するため、大会の後まで活動し続けなければならない。だからこそ、世界大会では優勝しなければならないと」 周りの応援を力に決意を新たにしたという彼女たち。いよいよ渡米し、大会直前を迎える。 MAYU「問題はフリースタイルバトルです。私たちは他のチームのやり方を真似していては勝てない。決勝まで進むと5ムーブ披露することになるのですが、どのタイミングでどのムーブをぶつけるかによって勝敗が大きく左右される」 HARUKA「実はコロラドに渡ってから、大会前日の練習で結構議論したんです。初めてくらいですかね?あれだけ熱くなったのは。バトルムーブをどう組み替えるか、どう構成するべきかということは国内の練習で決めていたんです。でもやっぱり不安になってしまって…。普通だと大会前日は身体を休ませたり、練習しても控えめに進めることが多いんですが、前日とは思えないくらい練習もかなりやったんです。議論もたくさんして」 応援は間違いなく彼女たちの力になっていた。しかし一方で「勝たなければならない」という思いが、じりじりと焦りを引き起こしていく。 国内予選の比にならないほどのプレッシャーだったと振り返る彼女たちだったが、議論の末になんとか方針もまとまり、練習を終えて会場に足を踏み入れたときのことだった−−。 MISA「世界大会は何日にもわたって開催されていて、私たちの大会の前日にも競技の種目の大会があったんです。それで、他国の選手の表彰を見ていたときです。ぼんやりと、私たちもあの表彰台の一番上で表彰されて、君が代が流れて… なんてことを考えていたら、思わず涙が溢れてしまったんです。これまでの日々が実を結んだイメージが、勝手に湧いてくるようにして出てきて。でも一番驚いたのは… ふと横を見たらメンバー全員が同じように泣いていたんです(笑)」 HARUNA「私たちもMISAさんと同じように、優勝した自分たちのイメージを関係のない選手の表彰に重ねて号泣してしまっていたんです」 HARUKA「この一件を私たちは『ブルートゥース』と呼んでいます(笑)。でもかなりの衝撃だったと共に、大きな自信にもなりました。それぞれが目指していた先にあるものって、ここまで同じものだったんだなだと」 迎えた本番当日。メンバーのKYOKAが一時期アメリカを拠点にダブルダッチ活動を行っていたことなどもあり、ミセスに対する会場の注目度は最高潮に。 そうして彼女たちは遂に、夢にまで見た世界大会のステージに立つ。 KYOKA「ステージに出てきただけで本当に盛り上がってくれていたんです。出てきて大盛り上がりした時『あっ、イメージ通りだ』なんて思ったりして(笑)。でも照明が付いて音源が掛かると、余計なことは一切考えないようになって、パフォーマンスに没頭していたというか… いわゆるこれが『ゾーン』ってやつなんですかね。疲れすらも感じなくて、結果的にノーミスで終えることができたのですが、終わってはける時までそれにすら気付かなかったんです」 MAYU「変な例えかも知れませんが、“ショーの中に閉じ込められた”ような感じでした。終わってからしばらくして誰かが『ノーミスじゃない?』って言って初めて気付いたくらいです」 世界大会のパフォーマンス中(写真提供:Mrs.DOUBLE DUTCH) その結果、パフォーマンスでは見事1位に。しかし彼女たちの戦いはこれで終わらない。世界一を決める最後の種目であり、“鬼門”であるフリースタイルバトルが始まる。 MISA「どのチームと当たっても一筋縄ではいかないでしょうから、とにかくひるまないようにしようと話していました。でもいざ戦っているときは、それよりも『楽しい』という気持ちが勝っていました。パフォーマンスで勝ち上がったとき、その結果以上に『まだミセスとしてできる!』という方が嬉しくて。だから決勝まで進んでムーブがどんどん終わっていくと、不思議なことに寂しさも感じました。私たちが必死になって考え続けたものが徐々に世に放たれていって、何とも言えない気持ちになって…『この瞬間をしっかり覚えていたい』『目に焼き付けていたい』と強く感じたんです」 KYOKA「私も勝ちたい思いは強かったのですが、それ以上に楽しくて、なんなら勝ちにいこうとし過ぎると勝てないでしょうから、楽しんで『ミセスらしく』やりたいと思っていました。私たちが私たちらしく、ミセスがミセスらしくあることを、会場中の人たち、中継を見てくれていた人たち、そして応援してくれた全ての人たちに見ていてほしくて」 国内予選のフリースタイルバトル中(写真提供:Mrs.DOUBLE DUTCH) 最後のムーブを終え、いよいよ結果発表。審査員が両チームの手を握り、勝利したチームの選手の腕を挙げることになっている。カウントダウンが始まる。一瞬の静寂。空気が張り詰める。ほどなくして、審査員が片腕を高らかに掲げる。その腕は… MISAを掴んでいた。女性のみのチームとして世界を征するのは、10年の歴史の中で初のことだった。 優勝直後のようす(写真提供:Mrs.DOUBLE DUTCH) KYOKA「もちろん嬉しかった。喜びました。ここまでの道のりで心細くなったことはあっても、前日に同じ涙を流してからは、世界一になることを信じて疑わなかった。神様がこっちを向いてくれたように感じました。 大会が終わって会場を後にしようとしたとき、虹が掛かっていたんです。『あ、天気まで私たちの味方してくれてるじゃん』なんて話しながら(笑)」 MISA「体調を崩してしまうことも多いメンバーが、異国の地でも最終的に誰も体調を崩すことなく、万全の状態で迎えられたんです。たくさんイメージを重ねてここまでやってきましたが、現実は“ブルートゥース”を上回る光景が待っていました」 「ここでは幸せであること」 偉業を成し遂げはや1ヶ月。最後に、世界一になった彼女たちの“これから”について訊いた。 MISA「結成当初、8年もチームを続けていることなど想像してもいませんでしたし、こんな幸せな未来も考えられていませんでした。だから正直この先も明確な目標などがあるわけではありません。けれど1つ、ずっと変わらないビジョンがあります。それは『ここでは幸せであること』。私たちはパートナーや家族、友人や職場の方々のご理解など、置かれている環境のおかげでダブルダッチに向き合うことができています。それをすっ飛ばして考えることは違うなと感じていて。その上で続けることは難しいんです。ぼーっとただ続けることは簡単かも知れないけれど。私はミセスのメンバーが幸せであり続けてほしい。今回大会に出ていないメンバーも、ダブルダッチから離れてしまったメンバーも。そしてそういう場である『Mrs.DOUBLE DUTCH』がこれからも続いてほしい。そしてチーム結成当時、出たくても出られなかった子たちに道を作りたい、少しでも希望になれたらという思いがあったけど、こうした私たちの努力が、後ろに道を作れていたら嬉しいと思っています。先のことは分からないけど、いつかまた新たなメンバーが加わったりして、私たちが『初代』なんて言われちゃったりして(笑)」 MAYU「そうだね。いつか『もうミセス10代目? 挨拶きてないんだけど』とかって言っていたりしてね(笑)」 初のガールズチームでの世界一を成し遂げた彼女たち。しかしそのタイトル以上に、8年という長い歳月を重ねてきた中で、彼女たちが創ってきたものの大きさは測り知れない。 そのバイタリティと原動力の源にあったのは、仲間への愛情とダブルダッチへの思い。そして、弾むような彼女たちの楽しげな会話だった。 “突飛な妄想”から夢を描き叶え続けてきたミセス。次に何を目指し、どこへ向かっていくのだろうか。ダブルダッチに夢を見る全ての女子たちの思いを乗せて、旅は続いていく。
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doubledutchスペシャルキャスト陣が語る、「エンタメ」について。ITADAKI 2023 特別企画2023.09.212023年 9月30日(土)に、神奈川県川崎市・川崎ルフロンで開催される『ITADAKI ダブルダッチ甲子園 2023』。 この大会が他と一線を画すのは、“エンターテイメント”要素を多く含んでいることにある。審査項目の30点分を「エンターテイメント」という項目が占め、またその審査員をダブルダッチプレイヤーではない、各ジャンルで活躍するパフォーマーが務める。またそれに加え「観客投票」も実施され、パフォーマンスを見た観客による投票も順位に関わってくる。 そんなITADAKIには“大会アンバサダー”が設けられ、3年連続で「DA PUMP」のKIMIと、プロダブルダッチチーム「REG☆STYLE」が就任。またエンターテインメントジャッジには、お笑い芸人のツネが登場。今回、KIMI・ツネとREG☆STYLEのリーダー・KO-YAが対談。業界の最前線で活躍する彼らが、「エンターテイメント」について語り合う。訊き手は、REG☆STYLEよりYUIが務める。 左からツネ・KIMI・KO-YA・YUI YUI:本日はよろしくお願いします!ITADAKIに関わるスペシャルメンバーが一同に介したわけですが、最初にオーガナイザーであるKO-YAから一言もらおうかな。 KO-YA:この度はお二人、ありがとうございます!ITADAKIも3年目を迎えまして、お二人がこうして揃って企画に参加していただけること、そして当日を迎えることができるのが嬉しいです。 KIMI:こちらこそ、今年もお呼びいただいて嬉しかったです。ツネさんとも昨年ITADAKIで共演予定だったのですが、残念ながらコロナに感染されてしまい、お会いできなかったので嬉しいです。当時はまだコロナの波があったシーズンでしたし、社会情勢も落ち着いて、いよいよ万全の体制で当日を迎えられそうですね! ツネ:昨年は悔しかったんですが、その分今年が本当に楽しみですね。 KO-YA:実はKIMIさんはITADAKI 当日、グループ(DA PUMP)の活動もあってお越しになるのが難しいかもしれないというお話も出ていたんですよね。代わりの方を探す考えもよぎりましたが、僕含め実行委員会で話し合っても、やっぱりKIMIさん以外がやられているビジョンが湧かなくて。そしたらKIMIさんが頑張って調整してくださって。 KIMI:稀有(けう)でしょ、本当(笑)。 KO-YA:本当に嬉しかったです。そしてツネさんとも今年こそご一緒できて、社会情勢も落ち着いて、いよいよ全てが整った!という気持ちです。 3人のルーツ YUI:今回の座談のテーマが「エンターテイメント」について、ということで。最初に大会について軽く話してもらいたいんですが、ITADAKIは他のストリートやダブルダッチの大会と違ってエンタメ要素が強い大会なんだよね、KO-YA。 KO-YA:それこそショーケースだと、技術を測る審査項目に加えて、ITADAKI独自の「エンターテイメント」という審査項目があるんです。毎年、各ジャンルのトップランカーの方にお越しいただいて、エンタメ性を審査してもらう。今年はコメディアンのツネさんに加えて、ダンサーのKAZANEと、フリースタイルバスケットボーラーのZiNEZ a.k.a KAMIKAZEの3人をお迎えしています。 左から ZiNEZ・KAZANE・ツネ YUI:ダブルダッチ界、なんならストリート界でも珍しい路線の大会で、競技感のある他の催しに比べると、出演する選手のキャラクターにまでスポットが当てられる印象だよね。ということでお三方にエンタメをテーマにお話を訊いていきたいのですが、最初に皆さんがエンタメの道を歩み始めるルーツを伺いたいと思います。 ツネ:人前に出ること自体は小学校くらいから好きで、目立ちたがり屋でずっとふざけていました(笑)。22歳でNSC(※)に入って、そこから本格的にお笑いの道に進みましたね。当時流行していた『めちゃ×2イケてるッ!』という番組が好きで、この番組に出ている人たちみたいになりたいと。 (※)NSC:吉本興行が創立した、タレント・お笑い芸人の養成所。正式名称は「吉本総合芸能学院」。 KIMI:一番最初に人前に立つことが面白いと思ったのは、中学校の文化祭かな。劇の主役でピノキオ役をやったのですが、まあキャーキャー言われちゃって(笑)。当時って演劇にダンスを取り入れるのって少なかったので、劇中に踊ってみたら、結構な手応えを得てしまったわけです(笑)。その後はクラブのショータイムなんかにも出たりしていたのですが、場数を重ねていくうちに「すごいことをすると、それ相応の拍手が返ってくるんだな」ということに気づいて、今に至るという感じですね。 KO-YA:初めてのステージは… 4歳ごろですかね。僕のおばあちゃんの和太鼓に合わせて、ひょっとこの仮面をかぶって、親戚の前で「はい、踊りなさいコーヤ」って言われたのが最初です。ちなみに今は85歳なんですが、バリバリ自転車を立ち漕ぎして移動してます(笑)。おばあちゃんの英才教育ですね。 3人の共通項 YUI:お話を伺っていると、幼少期から“人を楽しませることが好き”な方々なんだなと思ったのですが、それを今お仕事にされているお三方にとっての「エンターテイメント」について色々お話を伺いたいなと。ジャンルは三者三様ですが、共通項を探してみたいですね。…え、KO-YA、ググるの?!(笑) “ググる”KO-YA ツネ:共通項で言うと、リズムやテンポでしょうか。テンポが良ければ気持ちって高揚しますよね。逆も然りで。 YUI:ダブルダッチでも音楽に合わせて技を繰り出したりするんですが、やっぱりリズムやテンポってすごく大切なんです。お笑いなんかでも重要なんですね。 ツネ:お笑いもそれが狂うと悲惨なことになりますね(笑)。一緒にステージに上がる人や、ステージ裏の方々との連携も必要です。ダンスもそうですよね? KIMI:もう乱れたら一貫の終わりですね(笑)。YUIちゃんがさっき言っていたように、僕らも音に合わせてダンスしたり歌ったりするので、少しのズレでも見てくれる方々の気持ちを冷めさせてしまう。特に僕らはグループなので、いかにみんなの動きを合わせていくか。 YUI:なるほど。今のお話を訊いていて、たとえば音楽と合わせることやロープのリズムなど、いわゆる「物理的なテンポ」も合わせることが大事ですが、「人同士の呼吸」を合わせることも大事なのかなと思いました。 YUI 一生懸命になること KO-YA:あとは「一生懸命に向き合う」っていうのもエンタメ――それこそ、“人を楽しませる”とか“感動させる”ものだと思うんです。たとえば高校サッカーや野球の甲子園も、一生懸命な選手たちの姿って本当に感動するし。今年のITADAKIも、開催前の段階から各団体やチームからのパワーが伝わってきて、年々ボルテージが上がっていることを実感していて、早くも心を動かされています。 YUI:そうだね。色々テクニック的なものも皆さんお持ちだとは思うんですが、一番の根本の部分ってそこですよね。いかに「本気」になれるか。 KIMI:エンタメにゴールって無いと思うんです。そこに身を置く人間は、常に一生懸命に、本気になって前進していかなければならない。その先の自分の目標や、ついてきてくれる仲間のこと、携わってくれる方々とどうしたら面白くなるかを考え続けたいです。常に楽しいことを考え続けるために、楽しい自分でありたい。ネガティブと風邪はうつりますからね(笑)。ってことは、ポジティブもうつるわけで。 KIMI YUI:確かにこのメンツといると、ちょっとした病気は治ってしまいそうです(笑)。それこそKIMIさんは昨年末、ワンマンライブもやられていましたよね。改めてKIMIさんのエンタメに対する「本気さ」や「楽しませよう」という気概を強く感じさせてもらいましたし、何より本当に盛り上がっていました。 KIMI:それも“前進”の一つでしたね。とにかくやることに意味があると思っていて、一人で進んでいかないといけない。恥をかいてもいい覚悟で。でも、あの会場で一番楽しんでいたのは自分でしたし、そのつもりでやっていましたね。見にきてくれた先輩が「ムカつくくらい楽しそうだった」って言ってくれて、よっしゃと(笑)。 KO-YA:「一番自分が楽しむ」ということも、エンターテイメントの一つな気がしましたね。 YUI:例えば「ここで笑顔を見せる」みたいなテクニック的要素もありますけど、その笑顔が本当に楽しんでいる人の表情なのかって、伝わりますよね。ツネさんはいかがですか? 最近は海外にも飛び出して色々と挑戦されていますよね。 ツネ:めっちゃくちゃ緊張します(笑)。でも皆さんおっしゃるように、僕が一番に楽しんでいます。もちろん上手くいくことだけではないのですが、振り返るとそれも含めて楽しいんですよね。その瞬間を本気になって臨めば、どうあれ「楽しい」と思える時間になる。でも… やっぱり笑ってくれる瞬間が一番楽しいですよね(笑)。 “ミス”をどう乗り越える? ツネ:海外だと日本と笑いのツボも全然違うので、演目中に「ヤバっ」って思う瞬間も正直あります。ここで反応が欲しいのに、思ったリアクションが得られなかったりすると、感情が高揚しているはずなのに一瞬すごく冷静になって「次どうしていこう」と考えたりする。ステージ上の一瞬一瞬の判断が迫られる緊張感が僕は楽しいですね。 ツネ YUI:なるほど。ツネさん、すごくダブルダッチに向いてらっしゃるなと思いました。私たちダブルダッチプレイヤーも、テンションだけで乗り切ろうとするとロープに引っかかってしまったりするんですよね。テンションと冷静さのバランスが重要だなと思っています。 ツネ:そうなんですね。やっぱり不安だと引っかかってしまったりしますか? YUI:本当にめちゃくちゃありますね、不思議なもので。KIMIさんは以前私たちREG☆STYLEと、一緒にダブルダッチのパフォーマンスをやってくださいましたよね。 KIMI:そうだね。やっぱり気持ちだけ先走ってもダメ。ターナー(ロープの回し手)との呼吸を合わせることって大事だね。さっき言ったテンポもそうだし、「一生懸命さ」「自分が楽しむこと」も大事なんだけど、どこかで冷静な判断ができる脳みそも必要。あと、僕の普段の活動でも「ここでオーディエンスを湧かせたいぞ!」と思って用意していても、ライブ本番で全然盛り上がらないときってあるんですよ。その瞬間「うっわー、全然盛り上がってねえじゃん」って(笑)。 KO-YA:いやー、分かります(笑)。ダブルダッチってミスが分かりやすいスポーツで、動き自体がどれだけ綺麗でも、ロープに引っかかるとミスになりますし、見た目的にもミスが分かりやすいものなので痛感しています。きっと選手たちにも同じ経験があると思うんですよ。お二人に伺いたいんですが、そういう「ヤバっ」って思った瞬間ってどうされていますか? ツネ:もう、開き直るしかないです(笑)。 KIMI:本当にそうですよね(笑)。 ツネ:焦ったら失敗するので、開き直って堂々と振る舞うのが一番だと思います。時間は戻らないので、スベったら「めっちゃスベってるやーん」くらいに(笑)。 KIMI:本当に一緒です(笑)。失敗しても前にいるボーカルのISSAさんはめっちゃ歌っていて、僕も当然一生懸命に振る舞うんだけど、心の中ではかなり冷静です(笑)。それこそITADAKIに出る選手のみんなも、例えば仮に立ち位置が違ったりしても「おれが正解だ」って顔をしちゃって、堂々としていた方がいいんじゃないかな。 YUI:やはり経験を積んできたプロでもこういうことってありますから、そういうときこそ堂々といるべき、ということですね。 いよいよ開催!「ITADAKI 2023」 YUI:最後に、今年もITADAKIが開催されるということで。残りわずかですね!皆さんの意気込みをお伺いできればと思っています。 KIMI:今年もアンバサダー兼MCとしてマイクを握らせていただきます。3年目ですからね。3年もやっていると「去年出ていた子が今年はこうなってるんだ!」と成長を感じることもあります。選手のみんなが、これまでどんな努力をしてステージに立っているのかに思いをめぐらせながらMCをできるのが嬉しく楽しみです。何よりここ最近、ダブルダッチがかなり盛り上がっていることを強く実感しているので、僕自身も盛り上がっていきたいと思います! 昨年のITADAKIの様子。MCを務めるKIMI・YUI(写真提供:ITADAKI 実行委員会) ツネ:皆さんが「どこまで楽しんでやっているか」を見たいです。僕は当日エンタメ項目を審査させていただくので、そこが自分の審査の内容に関わってきそうな気がします。自分が楽しむことで、人を楽しませられる。見ている側の受け止め方もかなり変わってきます。KO-YAさんも先ほど言っていた「本気」を見たいですね。僕らくらいの年齢になると、本気になっている高校生の姿にやられる時があるんですよ。むしろ「そういうのちょうだい!」って思っています(笑)。ダブルダッチ的な技術も当然大事だとは思うのですが、芯の部分は「本気で楽しめるか」ということだと思うので、とにかく楽しんでほしいです。 YUI:ITADAKIって2021年にできたばかりなので、REG☆STYLEのチームメイトで、高校時代からダブルダッチを始めたKAIはよく「今の高校生たちが羨ましい!」って言っているんですが、大学から始めた私でさえもそう思いますね。それに、これだけシーンの外から熱い思いを持って大会に参加してくださる存在がいることが心強いです。こうした環境にいるみんなは、自分を出し切ってダブルダッチを楽しんでほしいですね!それでは最後に、オーガナイザーのKO-YAから一言お願いします! KO-YA:年々 ITADAKIが、高校生たちが本気をぶつけてくれるステージになっていると実感しています。エンタメ要素が強い大会だからこそ、まずは「人を楽しませる」ということについて振り返って考える機会にしてほしいなと思いますね。そして、総じて今日の皆さんとのお話にもありましたが、高校生のみんなの一生懸命な本気の姿を見たいです。大会としては本当にどこが勝つか分からない戦いで、下馬評のある猛者からダークホースまで色々。溢れんばかりの熱量とみんなのダブルダッチを楽しみにしています。でもやっぱり、当日は僕が一番楽しみます! KO-YA 【 取材協力 】「Cafe Habana TOKYO」東京都渋谷区猿楽町2-11 氷川ビル1F 開催概要 「ITADAKI ダブルダッチ甲子園 2023」日時 : 2023年 9月30日(土)時間 : 13:00 開演予定会場 : 川崎ルフロン主催 : ITADAKI 実行委員会主管 : 有限会社OVER THUMPZ協賛 : ポカリスエット / ヘインズブランズ ジャパン株式会社協力 : スキルハック協力メディア : FINEPLAY
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bmx中村輪夢が前人未踏の大会5連覇、内藤寧々は2度目のタイトルを獲得「第7回全日本BMXフリースタイル選手権」フリースタイル・パーク種目2023.09.20「第7回全日本BMXフリースタイル選手権」フリースタイル・パーク種目が岡山県岡山市の岡山市役所前にて2023年9月16日(土)~17日(日)の2日間に渡り開催され、男子エリートでは中村輪夢選手が大会5連覇、女子エリートでは内藤寧々選手が自身2度目の全日本タイトルを獲得した。 今大会には今年の日本一を決める大会ということもあり、子どもから大人まで各カテゴリーのトップライダー合計115名が全国から集まった。出場選手たちは自分たちが日々の練習で磨いてきた、思い思いのベストトリックを入れ込んだライディングを大勢の観客の前で披露しながら、各カテゴリーの全日本タイトルの座を狙い熾烈な戦いを繰り広げた。 今回の大会会場となったのは岡山市役所前。岡山市役所の駐車場に設置された特設パークは大通りに面し十字路の角に位置していることから、一般のお客さんも気軽に立ち寄れ、観戦には好立地の会場での開催となった。実際に会場にはBMX関係者から一般の観客まで大勢の方がコース横へ集まり、大きな拍手と歓声を上げて観戦している様子が見られた。 なお今大会の模様は、昨年に引き続きNTT西日本グループの協賛・技術提供により「双方向ライブ配信」によりリアルタイムで視聴可能となった。本プラットフォーム上ではオンラインでコメントや歓声を送ることができ、その様子は会場の大型モニターとリンクされていて、会場に行けない方でもまるでその場にいるかのように応援ができる。そしてこのライブ配信では実際に選手たちがジャンプ台で魅せる複雑な大技を連続写真のように映像化する技術が導入され、どのようにそのトリックを繰り出していたのかを一連のモーションで確認でき、逆にオンラインだから可能となる新しい観戦体験を提供した。 以下は、今大会最高峰カテゴリーである男女エリートクラス決勝の大会レポートだ。 圧倒的な大差を見せ付け優勝した絶対王者。男子エリートは中村輪夢が、女子エリートは内藤寧々がタイトルを獲得。 男子エリートクラス決勝 photograph by Naoki Gaman /Japan Cycling Federation/JFBF 男子エリートクラス決勝は12名の中から予選を勝ち上がった8名で争われた。ここ最近は高い実力を持つ10代の若手選手が増えている日本のBMXフリースタイル・パークシーン。今回も若手選手が多く勝ち上がったが、一方でベテランや長年トップで活躍選手もいるなど選手たちの個性が分かれた見応えのある決勝となった。 中村輪夢のライディングphotograph by Naoki Gaman /Japan Cycling Federation/JFBF 今回、他の選手たちを圧倒し大差を広げて優勝したのは中村輪夢。中村はラン1本目から超大技「720・テールウィップ」や「フレア・テールウィップ」そして「720・バースピン」をメイクするパーフェクトランディングで早速91.30ptをマークし暫定1位へ。圧倒的なスコアだったからか、その後も中村の1本目のスコアが塗り替えられることはなく、2本目を迎える時点で優勝が確定。 中村輪夢のライディングphotograph by Naoki Gaman /Japan Cycling Federation/JFBF ウィニングランとなった2本目では、プロ野球チームである阪神タイガースの歌「六甲おろし」をバックに更にハイレベルなライディングを魅せる。「バックフリップ・クアッドバースピン」を皮切りにスタートしたランでは、1本目でもメイクした「720・テールウィップ」や「720・バースピン」はもちろんのこと、「アリーウープ・フレアテールウィップ」そして「360・ダウンサイドテールウィップ to バースピン」など数々の超大技組み込んだランで94.60ptを叩き出し完全優勝。なお今回の優勝により中村は全日本選手権5連覇を収めた。 溝垣丈司のライディングphotograph by Naoki Gaman /Japan Cycling Federation/JFBF 準優勝は今年のアジア選手権でチャンピオンの中村に続き2位入賞を果たした溝垣丈司。世界中からそのスタイルが高評価されている彼は、ラン1本目は「トリプルトラックドライバー」、ジャンプ台逆飛びの「360 to クロスアップ」など回転系のコンボトリックで構成し、かつその中で約5mのほどの距離を跳び切る「ビックトランスファー」を交えたランを魅せるも、最後にジャンプ台に飛び乗る形で見せた「バックフリップ・180」で失敗し、スコアを59.80ptとした。 その後1本目を上回るべく挑んだラン2本目では見事に修正。同じルーティンを更なる完成度でこなし、1本目で失敗した最後の「バックフリップ・180」をメイクし、そこに「キックフリップ」を加えて会場を沸かした。このランは80.14ptと評価され、見事順いもジャンプアップ。2位入賞という形で全日本選手権を終えた。 小澤楓のライディング photograph by Naoki Gaman /Japan Cycling Federation/JFBF 3位は今シーズンの世界選手権で並いる強豪選手抑えて、自身初の準決勝進出を果たし着実に実力つけている小澤楓。持ち前のコンビネーションの多さとスピード感のあるランで各セクションで細かく様々なトリックを連発。その中でも2本目で見せた「360・ダブルダウンサイドテールウィップ」や「360・テールウィップ to バースピン」の完成度の高さと、他選手より多くのトリックをメイクしているにも関わらず、終盤でも疲労を感じさせずに大技をメイクする姿には彼のフィジカルの強さを感じられた。今回はトップスコアを80.00ptとして溝垣に僅差で2位の座を譲ることとなったが、小澤はエリートカテゴリー昇格後2年連続で全日本選手権の表彰台を獲得した。 女子エリートクラス決勝 女子エリートクラス決勝は5名で争われ、今回は日本代表選手である内藤寧々に加えて今年からエリートクラスに上がってきたスキルフルな若手ライダーにより今年の全日本タイトルの座が争われた。 photograph by Naoki Gaman /Japan Cycling Federation/JFBF そんな中、今年見事全日本タイトルを獲得したのは内藤寧々。内藤は今回特にハンマートリックは用意せず、綺麗にトリックをメイクすることとスピード感を意識したライディングで安定したランを魅せる。 ラン1本目では逆飛びで加速しながら、「360・クロスアップ」や「タックノーハンド to クロスアップ」そしてクオーターでの「テールウィップ」を綺麗にメイクし、自身の代名詞でもある「ワンフット・クロスアップ to キャンキャン」を入れ込むランで60.40ptというスコアを収める。ラン2本目では1本目ではメイクしていない「バックフリップ」も入れ込んだライディングをするも1本目ほどスコアは伸ばせず60.20ptをマーク。しかしベストスコアである60.40ptを守りきり、エリートカテゴリーにて自身2度目のタイトルを獲得した。 内藤寧々のライディングphotograph by Naoki Gaman /Japan Cycling Federation/JFBF 準優勝は今年からエリートカテゴリーに昇格した山本結花。彼女はラン1本目から攻めのライディングを魅せる。男女ともに新たな歴史が刻まれた一戦「第7回全日本BMXフリースタイル選手権」フラットランド種目クオーターでの「540」をはじめにメイクし、勢いをつけると「キャンキャン・タイヤグラブ」や逆飛びでの「トランスファークロスアップ」を決める。終盤では「360」をメイクするライディングで54.40ptというスコアで暫定2位に位置付けた。 更なるスコアアップをトライした2本目では、女子で未だ誰もトライしたことがない「540・バースピン」に挑戦するも失敗。その後はランのスコアは気にせず、制限時間いっぱいを「540・バースピン」のメイクに費やすもランディングに失敗。ベストスコアは1本目の54.40ptとなったが暫定2位を維持し2位入賞を果たした。 杉尾咲空のライディングphotograph by Naoki Gaman /Japan Cycling Federation/JFBF 3位は山本同様に今年エリートクラスへ昇格し、「マイナビ Japan Cup 名古屋大会」では優勝を収めた杉尾咲空。他の選手に比べてストリート系のトリックも得意とする彼女は、完成度の高い「バースピン」を中心したライディングを魅せる。セクションを大きく使いスパインや様々なセクションでトリックを決めながら、中盤には「360」やストリート系のトリックである「スミスストール」をメイク。しかしスコアは思ったほど伸ばすことができず2本目の48.60ptをベストスコアとし、エリートクラス最初の年の全日本選手権を3位入賞で締め括った。 優勝者コメント 優勝した内藤と中村photograph by Naoki Gaman /Japan Cycling Federation/JFBF 中村 輪夢 選手(男子エリートクラス)「連覇を重ねることでプレッシャーが増し、本大会でも緊張感を持った中で迎えた決勝となりました。決勝1本目では理想とする走りができなかったので悔しさは残りますが、2 本目のランには満足しています。 先日の世界選手権や今大会を経て、まだ完成度に課題が残っているので、現在一番の目標としている来年のパリオリンピックに向けて練習を重ねていき、東京オリンピックのリベンジを果たしたいです。」 内藤 寧々 選手(女子エリートクラス)「優勝できて嬉しい気持ちでいっぱいです。今回の練習走行では確認したい項目をまとめられず、少し焦りと不安が残る中での決勝だったのですが、決勝ではスピード感と大ディングの綺麗さを意識したことで自分の予想を上回る得点を出すことができました。 今後も国際大会でのさらなる経験を積み、海外の大きな大会でも表彰台を獲得したいです。」 大会結果 photograph by Naoki Gaman /Japan Cycling Federation/JFBF <男子エリート>優勝: 中村 輪夢 (ナカムラ・リム) / 所属:ウイングアーク 1st 94.60pt準優勝: 溝垣 丈司 (ミゾガキ・ジョージ) / 所属:湘南工科大学附属高等学校 80.19pt第3位: 小澤 楓 (オザワ・カエデ) / 所属:岐阜第一高等学校 80.00pt photograph by Naoki Gaman /Japan Cycling Federation/JFBF <女子エリート>優勝: 内藤 寧々 (ナイトウ・ネネ) / 所属:第一学院高等学校 60.40pt 準優勝: 山本 結花 (ヤマモト・ユイカ) / 所属:第一学院高等学校 54.40pt第3位: 杉尾 咲空 (スギオ・サクラ) / 所属:細田学園高等学校/AIRWALK 47.00pt <キッズ4アンダー>優勝: コジマ・ハル / 62.50pt準優勝: フカマチ・コウト / 54.75pt <キッズ5-6>優勝: ナガゾノ・ジンロウ / 64.25pt準優勝: ウチヤマ・シキ / 56.88pt第3位: サカノ・エマ / 55.00pt <ボーイズ7-8>優勝: マスイ・チアキ / 80.25pt準優勝: タカハシ・ヒサシ / 71.25pt第3位: タナカ・ケンタロウ / 57.50pt <ボーイズ9-10>優勝: ニワ・コウキ / 76.75pt準優勝: オゴケ・ユウト / 75.63pt第3位: フダモト・ユウマ / 70.13pt <ガールズ7-9>優勝: ウメバヤシ・ユマ / 74.75pt準優勝: ニワ・ココロ / 60.25pt第3位: アダチ・コノハ / 44.75pt <ガールズ10-12>優勝: ホソカワ・イロハ / 76.50pt準優勝: オクザキ・トモカ / 75.75pt第3位: タナカ・アヤノ / 67.63pt <ボーイズ11-12>優勝: シミズ・ハル / 79.25pt準優勝: アカツカ・ヒロキグスティ / 77.38pt第3位: タニモト・リョウガ / 61.50pt <男子13-15>優勝: マツモト・ショア / 77.25pt準優勝: ジンボ・トラノスケ / 69.00pt第3位: マツウラ・アオウ / 60.00pt <男子30オーバー>優勝: コシヤマ・マサヒロ / 66.25pt準優勝: イシイ・コウスケ / 61.50pt第3位: シモノ・マサシ / 59.63pt <女子13-15>優勝: オザワ・ミハル / 87.75pt準優勝: ヨシダ・ミオ / 54.75pt第3位: スギモト・ミク / 38.75pt 大会概要 ⼤会名称 :「第7回 全日本BMXフリースタイル選手権」開催期間:2023年9月16日(土)~17日(日) - 2日間 –※詳細は公式HPをご覧ください。大会会場:パーク会場- 岡山市役所 構内駐車場 (岡山市北区大供1丁目 1-1) 主催:公益財団法人 日本自転車競技連盟 (JCF)主管:一般社団法人 全日本フリースタイル BMX 連盟(JFBF) 後援:岡山市、岡山商工会議所、公益財団法人 JKA、 一般社団法人日本アーバンスポーツ支援協議会、一般社団法人岡山県アーバンスポーツ協会 特別協賛:ライト電業株式会社エントリー数:フリースタイル・パーク種目 115名
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skate絶対王者の圧倒的な強さ止まるところを知らず「World Skateboard Tour :ローザンヌ・ストリート 2023」- パリ五輪予選大会 / 男子ストリート2023.09.192023年9月9日(土)~16日(土)の8日間に渡ってスイスのローザンヌで開催された「WST:ローザンヌ・ストリート2023」。パリオリンピック2024の予選大会を兼ねた本大会には、各国から130名近くのトップ選手たちが出場。決勝ではオリンピック出場枠を手繰り寄せるべく、各選手による超高難度トリックも飛び出す壮絶な戦いが繰り広げられた。そして今回この戦いを見事制したのは前回のローマ大会の覇者ナイジャ・ヒューストン(アメリカ合衆国)。 現在国内で熾烈なパリオリンピック代表枠争いを繰り広げる日本人選手勢からは、今回堀米雄斗、 佐々木音憧、青木勇貴斗、根附海龍の4名が決勝に進出。一方で、現在世界ランキング6位で小野寺吟雲は準決勝敗退。そして現在世界ランキング5位で日本人最高位の白井空良が今大会不参加という現時点で代表枠に該当する2名が不在の中で、いかにこの決勝進出メンバーの4名が良い結果を残して自身のランキングをジャンプアップさせられるかが今回の焦点となった。 そして特に、白井と小野寺に続き代表枠に現在該当している佐々木はここでどう逃げ切るのか。一方でこのパリオリンピック代表争いに一歩出遅れている堀米、青木、根附がどう巻き返していくのが注目された。 本決勝には日本人選手4名に加えて、ジオバンニ・ヴィアンナ(ブラジル)、ナイジャ・ヒューストン(アメリカ合衆国)、 リチャード・ターリー(スロバキア)、オーレリアン・ジロー(フランス)が勝ち上がり計8名により争われた。もちろん今回の決勝出場選手たちはランとベストトリック共に90点台を出せるスキルを持つため、今大会でも高得点のランとトリックが連発し順位が大きく変動。最後まで結果が分からない熾烈な接戦となった。 大会レポート 最初は1本45秒間のランセッション。ベストラン採用方式のフォーマット上、2本のどちらか1本で高得点を残しておくことが、この後のベストトリックを優位に展開するためには重要だ。そのためにはコース全体のセクションを上手く活用し、速いスピード感の中で45秒間にどれだけ幅広いバリエーションの高難度トリックをメイクできるかが肝となってくる。 ランで高得点を取ることで得られる大きなアドバンテージ 今回のランセッションで見事なライディングを披露したのがナイジャ・ヒューストン(アメリカ合衆国)と佐々木音憧の2名。後述することになるがここで高得点を残すことが勝利を掴む上で大きなアドバンテージになった。 佐々木音憧のラン photograph by Hikaru Funyu まずは佐々木が2本目で90点に迫る見事のランを魅せる。ラン1本目では「トレフリップ」と「ビッグスピン・フロントサイドボードスライド」のミスが響き38.66ptという苦しい状況であったが、2本目は全体的にスムーズなフローかつスピード感のあるライディングで「バックサイド・ノーズブラントスライド」を皮切りに、クオーターでの「フロントサイド・キックフリップ」で加速。その後も「ノーリーヒールフリップ」などを組み込みながら、最後は「ビガーフリップ・フロントサイドボードスライド」という高難度トリックでランを締めくくり89.66ptをマーク。ラン終了後には自身も納得したか手を叩いて喜びを示す様子も見られ、ベストトリックに向けて幸先の良いスタートを切った。 ナイジャ・ヒューストンのラン photograph by Hikaru Funyu 一方で、佐々木と同じモンスターエナジーチームで大先輩のヒューストンが文句なしの完璧なランを魅せる。ラン1本目で全体トップの86.88ptをマークした彼は、ギャップ to レールでの「バックサイド・ノーズブラントスライド」、続いて「バックサイド180・ノーズグラインド」、「キックフリップ・フロントサイドボードスライド」などをメイク。そして最後は「ハーフキャブ・バックサイド・スミスグラインド・フェイキー」をハンドレールでメイクし90.00ptにスコアを引きあげた。ラン終了後はベストトリックに向けて体を温めるべくライディングしており、スコアが出た後も冷静な表情であったため戦略通りのランだったのだろう。 今回のランセクションでは佐々木とヒューストンをはじめ、青木、根附、ヴィアンナの5人が80点台の高得点をマークした。そして今大会のトップ4はこのランセクションで80点台を獲得したメンバーであるため、いかにランの得点が重要なのかが改めて明らかになった。 ランで高得点を残したメンバーで争われたベストトリック合戦 ベストトリックではランセクションで80点以上を残した選手たちにとっては、いかに高得点を残し上位に食い込めるか、一方でランで高得点を残せなかった選手たちはできるだけ90点台の高得点を残す必要がある展開に。そのためには今大会でまだメイクをしていない高難度トリックを決め切ることを求められ、ランセクションの得点次第でプレッシャーが生まれ、両者の間には異なるメンタルバトルが展開されていた。 根附海龍のベストトリックphotograph by Hikaru Funyu ベストトリックではランセクションで87.19ptをベストスコアにしていた根附海龍(日本)が、1本目で「ヒールフリップ・バックサイドリップスライド」をギャップ to レールで見事メイクし88.87ptをマーク。自身もガッズポーズを見せて好調なスタートを切ったのだが、そこから2・3・4本目と「ノーリーヒールフリップ・バックサイド・テールスライド・ビックスピンアウト」にトライするもミスが続き得点を残せない状態。ラストトリックとなった5本目ではビックスピンアウトにできなかったものの「ヒールフリップ・バックサイドテールスライド」をメイク。89.67ptをマークして全体4位で今大会を終えた。 ジオバンニ・ヴィアンナのベストトリック photograph by Hikaru Funyu そして今回、オリジナリティ溢れる高難度トリックを見せたのはランセッションを87.19ptで終えたジオバンニ・ヴィアンナ(ブラジル)。東京オリンピックではブラジル代表として出場経験を持つ彼。ここ最近の大会ではなかなか決勝進出できず、悔しい思いをしてきた彼が今大会では見事なトリックを魅せた。2本目では「フェイキーフロントサイド180・バックサイドスミスグラインド」をメイクし91.87ptという高得点をマーク。その後3・4本目でメイクできず、暫定8位で迎えた彼は5本目で「フェイキー・バックサイド270・ノーズブラントスライド・フェイキーアウト」をメイクして89.00ptをマークし大きくジャンプアップし3位入賞を果たした。 東京五輪金メダリスト堀米雄斗は健闘するも、惜しくも表彰台を逃す展開に。 堀米雄斗のベストトリック photograph by Hikaru Funyu 今回望まぬ悔しい結果になったのは堀米雄斗(日本)。今年は「UPRISING TOKYO」、「X GAMES CALIFORNIA 2023」そして「SLS Tokyo」で優勝しているものの、パリオリンピック代表争いに一歩出遅れている彼。 ランセッションではミスが目立ち、得点を伸ばしきれず75.41ptで迎えたベストトリックでは90点代を連発。1本目では「ノーリーフロントサイド180・スイッチフロントサイド・フィーブルグラインド」で92.33ptをマーク。2本目では自身のオリジナルトリック「ユウトルネード」をハンドレールでメイクし、今大会最高得点の96.95ptとした。しかし3・4本目ではトリックに失敗。3本目では失敗直後に悔しさからか叫ぶなど堀米らしからぬ様子を見せ、改めて彼がどれだけ今大会へかけているのかが感じ取れた。自身のそんな中で迎えたラストトリックでは「ノーリーフロントサイド180 to スイッチフロントサイド・スミスグラインド」をメイクするも90.81ptで自身のスコアを塗り替えることはできず、5位で表彰台獲得は叶わなかった。改めていかにランセクションでの得点獲得が重要なのかを見せつけられる結果となった。 青木勇貴斗のベストトリック photograph by Hikaru Funyu 一方で、堀米とは違う形で今回辛酸を舐める結果となったは青木勇貴斗(日本)とオーレリアン・ジロー(フランス)。青木はランセクションを82.11ptという得点でベストトリックに望みを繋げるも、1本目でメイクした「フェイキーキャバレリアル・ボードスライド」にてマークした78.52pt以降は2・3本目とミスが続き、ラストトリックでは「ノーリービッグスピン・ヒールフリップボードスライド」をメイクし88.55ptをマークするも全体で6位で終えた。 オーレリアン・ジローのベストトリック photograph by Hikaru Funyu 現在世界ランキング1位のオーレリアン・ジロー(フランス)はランセッションではミスが多く、得点を伸ばせず50.02ptでベストトリックを迎えた。プレッシャーを引きづっているからか、1本目で69.03ptをマークした「ノーリーフロントサイド180キックフリップ」以降は、ラストトリックとなる5本目まで3本とも「ハードフリップ・バックサイド180・オーバー・ザ・レール」のメイクに失敗。背水の陣で挑んだ5本目では念願の「ハードフリップ・バックサイド180・オーバー・ザ・レール」をメイクし93.00ptをマークするも他のスコアが足を引っ張りは入賞は叶わなかった。 日本の若きルーキーが準優勝という快挙。代表枠獲得に大きく近づく。 佐々木音憧のベストトリック photograph by Hikaru Funyu 各日本人選手が苦戦を強いられた中で見事なライディングを見せたのが佐々木音憧だ。ランセクションでは89.99ptという高得点で余裕を持ってベストトリックを迎えた彼は、1本目で「ノーリーフロントサイド180 to スイッチフロントサイド・スミスグラインド」をメイク、2本目では自分の思ったトリックにならなかったためメイクしたもののキャンセル。その甲斐もあって3本目では「ノーリーフロントサイド180・スイッチスミスグラインド to 180アウト」という高難度トリックをメイクし90.88ptをマーク。2本目でのキャンセル時に手応えを感じていたのか、3本目のトリックメイク直後には軽くガッズポーズを見せるだけであまり感情的な様子は見せなかった。 そして勢いそのままにトライした4本目では「フェイキーバックサイド270・ノーズブラントスライド to フェイキー」をメイクし89.99ptをマーク。暫定2位までジャンプアップした。ラストトリックとなる5本目はミスしたがそのまま逃げ切り、佐々木は準優勝の座を獲得した。この熾烈な日本人選手内の代表枠争いにて一歩リードする形となった。 前回のローマ大会に引き続き、絶対王者が優勝を収める。 ナイジャ・ヒューストンのベストトリック photograph by Hikaru Funyu そして前回のローマ大会同様に、今回の決勝戦を無双したのがナイジャ・ヒューストン。ラン2本目で90.00ptをマークし絶好調で迎えたベストトリックでもその勢いは止まることを知らない。1本目で「ノーリーフロントサイドヒールフリップ180・ボードスライド」を決めスコアを90.11ptとすると、そのままの勢いで2本目では「スイッチヒールフリップ・フロントサイドテールスライド」をメイクし92.11ptと自身のトップスコアを引き上げていく。そして完全に勢いづいた彼は高ぶる様子を抑えて冷静に3本目にアタック。ここでは他の選手がトライしない「ノーリーヒールフリップ・ノーズブラントスライド」を決め切りメイク後にはテンションが上がり銃を打つような仕草で喜びを表した。そんな彼の3本目のトリックには93.96ptがスコアされ更に自身の合計点を引き上げる形となった。 その後の4・5本目ではトリックを失敗したものの2位の佐々木とは5点の差をつけて優勝。昨年までは大怪我に苦しめられていた彼が、ローマ大会に引き続き今回も優勝を勝ち取ったことで絶対王者が完全復活したと言っても良いだろう。 まとめ 今大会はナイジャ・ヒューストンの安定的な強さを感じた一方で、いかにランセクションでの得点獲得が勝敗を大きく左右するのかを改めて感じさせられた大会となった。今回ベストトリックでは見事なライディングを見せた堀米雄斗だったが、やはりランセクションでいま一つ得点を伸ばし切れなかったことが表彰台を逃した大きな原因となった。 そして今回の結果により、日本人選手内でのパリオリンピック代表枠争いが更に激化するのは免れない。現時点での日本人別の世界ランキング上位3名は、白井空良(5位)、小野寺吟雲(6位)、佐々木音憧(13位)である中で、佐々木が今回準優勝したことで大きくランキングをジャンプアップさせてくるだろう。今回決勝に残った堀米雄斗、根附海龍、青木勇貴斗をはじめ、日本人勢トップ3を追う後続の日本人選手たちが出場枠を獲得するには、次回の東京大会が肝になってくる。パリオリンピック予選大会の数が徐々に減ってくる中で、日本人選手たちの間でどんな熾烈な出場枠争いが今後展開されるかにも注目だ。 大会結果 photograph by Hikaru Funyu 優勝 ナイジャ・ヒューストン - アメリカ合衆国 / 275.94pt準優勝 佐々木 音憧 (ササキ・トア) - 日本 / 270.53pt第3位 ジオバンニ・ヴィアンナ - ブラジル / 268.06pt 第4位 根附 海龍 (ネツケ・カイリ) - 日本 / 265.82pt 第5位 堀米 雄斗 (ホリゴメ・ユウト) - 日本 / 264.69pt 第6位 青木 勇貴斗 (アオキ・ユキト) - 日本 / 249.18pt 第7位 リチャード・ターリー - スロバキア / 243.75pt 第8位 オーレリアン・ジロー - フランス / 212.05pt
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skate最後の最後に決め切ったベストトリックで大逆転「World Skateboarding Tour :ローザンヌ・ストリート 2023」- パリ五輪予選大会 / 女子ストリート決勝2023.09.18この度、2023年9月9日(土)~16日(土)に渡ってスイスのローザンヌで開催された「WST:ローザンヌ・ストリート2023」。パリオリンピック2024の予選大会を兼ねた本大会の女子ストリート決勝は最後まで結果が分からない接戦の末、日本の西矢椛が優勝を勝ち取った。 ますますパリオリンピック代表枠争いが激化する女子ストリート。その中でも今回特に準決勝進出者が多かったのが、我らが日本でなんとその数16人中7人。そしてさらに国内からわずか最大3名しか出場枠が獲得できない中、そのオリンピック出場に関わる世界ランキングには現在トップ10の中に6名の日本人選手がいるという状況となっている。 そんな最激戦国であるだけにこの大会での結果を残し、自身の世界ランキングを上位に引き上げ日本人選手の中でのトップ3に勝ち上がることを目標とする彼らの並々ならぬ思いを既に準決勝の時点で感じられた。そしてその準決勝を勝ち上がり日本人選手で決勝に駒を進めたのは西矢椛、吉沢恋、織田夢海、中山楓奈の4名。 そこに加えてブラジルからライッサ・レアウ、パメラ・ローザの2名、アメリカ合衆国からペイジ・ヘイン、オランダのロース・ズウェツロートが決勝に勝ち上がり計8名で優勝争いが行われた。なお今回は現在世界ランキング2位で日本人勢トップの赤間凛音と、ここ最近各大会で優勝し無双し続けるオーストラリアのクロエ・コベルが不在であることから誰が優勝するのかに注目が集まった。 世界大会の一勝ではなくパリオリンピック出場にも大きく関わる今回の決勝戦。選手たちの表情とパフォーマンスから今回の女子ストリート決勝を振り返っていこう。 会場の様子 photograph by Hikaru Funyu 【ラン】 何度も言及することになるが、パリオリンピック選考大会から適用されたのがベストラン採用フォーマット。入賞するためには決勝ランの2本のうち1本は確実に点数を取ることが必要とされる。ここでハイスコアを残すことでその後のベストトリック含め、勝利を大きく手繰り寄せやすくなる大事なセクションだ。 ライッサ・レアウのラン photograph by Hikaru Funyu そんなラン1本目では第一走者となったロース・ズウェツロートのミスがきっかけに、そのミスが伝染したのか、各選手が比較的ミスを多くするようなランの展開に。ただその流れを断ち切り安定感のあるランを見せたのは、ブラジルを代表する選手であるライッサ・レアウ。練習で転倒があり身体を痛めている様子の彼女だったが、ハンドレールでの「バックサイド・リップスライド」や完成度の高いトリックをノーミスでメイクし74.56ptをマーク。ベストトリックへメンタル的にも余裕を持たせるランを見せた。 ラン2本目では、全体的に1本目でミスをした選手たち復調し得点を上げてくる展開。1本目で大きなミスから得点を全く伸ばせていなかったズウェツロートやローザも、ベストトリックに希望を残せるランでなんとか繋いだ。 西矢椛のラン photograph by Hikaru Funyu 一方、このランセクションである程度まとまった得点を稼ぎ、順調にベストトリックへ駒を進めた日本人選手たち。その中で一つ頭抜ける形でリードしたのが東京オリンピック金メダリストの西矢椛。ギャップ to レールでの「フロントサイド・リップスライド」を始め、中盤では「クルックドグラインド to ノーリーヒールフリップアウト」をメイク。その後も「フロントサイドスミス・グラインド」や「バックサイド・リップスライド」などをメ決め、ノーミスでランを終えるとスコアを88.91ptまで引き上げ、群雄割拠の日本人勢の中でも一歩リードしてベストトリックへ進んだ。 【ベストトリック】 今回のベストトリックも前回のローマ大会と同様に最後まで結果が分からない展開に。全体の傾向としては、前半戦でしっかりメイクをして後半にチャレンジングなトリックを残す選手が多いイメージで、彼らが今大会で勝つためには大会中で誰もやっていない高難度の複合トリックをしっかり決めることが求められているのをうかがい知れた。 以下は各トライで印象的だった選手たちのライディング。 前半は日本人選手たちが力を見せる展開 織田夢海のベストトリック photograph by Hikaru Funyu このベストトリックの戦いでまず注目したいのは今回準優勝を果たした織田夢海。彼女は1本目はハンドレールで「バックサイド・オーバークルックドグラインド」をメイクし88.11ptをマーク。その勢いのままに2本目では得意のキックフリップを活かし、中央のハンドレールで「キックフリップ・フロントサイド・フィーブルグラインド」という超高難度トリックをメイクし今回最高得点の95.25ptをマークした。この高難度トリックには観客から大歓声が湧きと選手同士でもハグし合って称えあった。 その後の3本はロングレールで「バックサイドクルックドグラインド to ノーリーキックフリップアウト」の高難度のトリックにトライするもミスが続いた。しかし最初の2本のスコアが決め手となり表彰台の座を勝ち取ることとなった。 中山楓奈のベストトリック photograph by Hikaru Funyu そして一方、1本目でハンドレールで「フロントサイド・クルックドグラインド」をメイクし88,88ptの高得点を残したのが中山楓奈。5月末に転倒し鎖骨を骨折してから徐々に復調し、SLS Tokyoでの復帰後から2戦目となった今大会。1本目では見事なライディングで強さを表現した。 しかしその後迎えた2本目ではトリックを失敗し転倒。その際に左肩から転倒したことで古傷を痛めたのか、3本目をスキップ。完全な状態でトリックにトライできない悔しさと、怪我の痛みが混じった涙を目に浮かべながら4本目ではレールで「バックサイド・ボードスライド」をメイクし22.87ptをマーク。なんとかスコアを0ptにしないで大会を終えるという、彼女の思いの強さとどれだけこの大会が大事かを感じされる瞬間だった。 吉沢恋のベストトリック photograph by Hikaru Funyu そしてもう一人ここで触れておきたいのが今大会決勝進出者の中で最年少13歳の吉沢恋。吉沢も中山同様にシーズン前半では怪我に苦しめられ辛い期間を過ごして来た選手の一人だ。そんな吉沢が復帰戦として迎えた今大会で見事決勝進出した。 吉沢は1本目では「バックサイド・スミスグラインド」をメイクし82.48ptをマーク、続く2本目では同じくハンドレールで「ビッグスピン・フロントサイド・ボードスライド」を簡単にメイクし84.29ptをマークした。その後はハバセクションで「バックサイド・ノーズスライド to ビッグスピンアウト」にトライするもメイクはできず復帰戦を4位で終えた。 全員がミスする一方で、レアウが今大会で見せてこなかった技をメイク。 ライッサ・レアウのベストトリック photograph by Hikaru Funyu ベストトリック2本目を終えた時点でトップ4を日本人が独占する中で、大きな変換点を生んだのが3本目。各選手が攻めのトリックにトライしミスが続く一方で、唯一トリックを成功させたのがレアウ(ブラジル)。今回のベストトリックでレアウはあまり今まで見せてこなかったトリックを選んでトライ。 そしてこの3本目で決めたのが「キックフリップ・フロントサイド・ボードスライド」。このトリックは88.89ptと高得点の評価となった。やはり練習中での怪我の影響もあってか、トリック失敗後は時折足を引きずったりと辛そうな様子を見せる彼女だったが、さらに得点を伸ばして優勝を勝ち取るべく4~5本目で他の選手が今回やっていない「キックフリップ・バックサイド・リップスライド」にトライするも今回は惜しくもメイクとはならず7位で大会を終えた。 photograph by Hikaru Funyu 4本目で展開を変え、上位に食い込んできたのはアメリカのヘイン ペイジ・ヘインのベストトリック photograph by Hikaru Funyu この回で特に印象的だったのはアメリカ人唯一の決勝進出者となったペイジ・ヘイン。最近様々な国際大会へ出場し、頭角を表し始めたルーキーだ。彼女はフリップ系の複合技を見せるタイプではないのだが、その強みと言えるのは難しい体勢の逆スタンスでメイクするスイッチ系のトリックだ。2本目では「スイッチフロントサイド・ボードスライド」をメイクし87.89ptをマークした。 ただ1本目と3本目ではトリックをミスしていたため、暫定6位で迎えたのがこの4本目。彼女はハンドレールに綺麗なストライドで進入し「スイッチフロントサイド・50-50」を完璧にメイクし、着地後には喜びが溢れガッズポーズ。やはり誰もメイクしない高難度トリックだったからか91.15ptをマークした。その後5本目では自分のスコアを塗り替えることはできなかったものの、見事3位となり表彰台の座を獲得した。また今回の彼女のライディングから高得点獲得に必要なのは高難度の複合トリックだけではないことにも気づかされた。 優勝を決定づけたのはラスト1本で決め切ったベストトリック 西矢椛のベストトリック photograph by Hikaru Funyu そして今回の優勝を決めたのは西矢椛のラストトリック。実は今回ベストトリック2本目以外はミスが続いており、ここで決めないと優勝はおろか表彰台も逃すほど追い詰められた状況で迎えたのがこの5本目だった。 暫定6位でこのベストトリックを迎えた彼女は、緊張と集中が入り混じる表情のままハンドレールへ進入。優勝をかけた最後の一本に選んだのは、「ビッグスピン・フロントサイド・ボードスライド」。メイクした瞬間は緊張から解き放たれ、喜びが溢れて天高くガッツポーズ。その後は織田と抱き合い喜び合う様子も見られた。彼女の余裕のある完璧なこのトリックは86.91ptをマークし、トータルスコアを大きく引き上げて見事優勝を勝ち取った。 photograph by Hikaru Funyu 今回優勝に対しては80点代という高得点を揃えるベストトリック2本はもちろんだが、なによりランセクションで周りを大きく突き放す88.91ptが優勝を引き寄せる大きな要因だっただろう。 まとめ photograph by Hikaru Funyu 今回は大会全体を通して、特に日本人選手勢のパリオリンピック代表枠獲得に対する熱意と努力が感じられる一戦だった。今後は徐々にパリオリンピック選考に関わる大会が少なくなっていく中で、いかに毎回しっかり結果を残していけるかがキーになってくる。現時点で代表枠内に該当している西矢と織田はその座をキープするべく得点を重ねる必要があり、一方で今回の決勝メンバーといえば中山や吉沢はそこに食い込むために確実に順位を上げていきたいところだ。そんな両者の異なる思惑の下で、今回さらに戦いが激化しているのを感じられた。 そして次回のWST大会の場になるのは日本の東京。自分たちのホームでの開催となる中で今回結果を残せなかった選手たちがジャッジを驚かせるトリックを見せて順位を上げてくるのか、そして今回不在であった赤間を含め現在代表枠に該当する選手たちがどのように大会を収めて次に繋げてくるのかが楽しみだ。 大会結果 優勝 西矢 椛(ニシヤ・モミジ)- 日本/ 259.81pt準優勝 織田 夢海(オダ・ユメカ)- 日本/ 249.77pt第3位 ペイジ・ヘイン – アメリカ合衆国 / 243.93pt 第4位 吉沢 恋(ヨシザワ・ココ)- 日本 / 224.47pt 第5位 パメラ・ローザ – ブラジル / 213.26pt 第6位 中山 楓奈(ナカヤマ・フウナ)- 日本 / 180.37pt 第7位 ライッサ・レアル – ブラジル / 163.45pt 第8位 ロース・ズウェツロート – オランダ / 140.86pt