「楽しみながらやることが大前提」フリースタイラー miharu インタビュー!

2022.11.03
interviewed & text by 橋田 樹台

先日クロアチアにて開催された世界で最も権威あるフリースタイルフットボールの世界大会「Red Bull Street Style」。その本戦で日本人女子 史上初のベスト4入りの快挙を成し遂げた北海道出身のフリースタイルフットボーラー、miharu(みはる=22歳)。彼女は予選大会であるアジア大会で優勝に輝き、見事世界への挑戦権をつかみ取った。
そんな彼女のフリースタイルフットボールへの向き合い方から、友人であり最高のライバルとの決勝戦まで、人生をフリースタイルに体現するmiharuへの独占インタビュー。

miharu(以下:M)

Red Bull Street Style 出場を決めたアジア予選

Predrag Vuckovic / Red Bull Content Pool

Red Bull Street Style 本戦出場を決めたアジア予選大会で優勝された際の気持ちはいかがでしたか

M:優勝した時は泣くほど嬉しかったです。それまで JFFC でも全然勝てない時期が続いていて、自分に自信がない時期の大会でした。それでも自分のスタイルを信じて臨んでみようと思って出た大会だったので、優勝した時は心の底から嬉しかったです。

大会はオンライン開催だったのですが、当日も私の普段の活動やRed Bullの大会に出ることに関して応援して下さる方もすごく多かったので、「一人だけど一人じゃない」という気持ちは常に感じることができました。

アジア大会に関して、技術面で意識されていたことはありますか?

M:アジア大会はなるべく自分の最大火力を出そうと思っていました。決勝で闘った相手がmoe-Kというフリースタイラーで、年齢も近く普段から仲良くしている子なので特に意識している相手でした。彼女に勝つためには自分の持っている最大のものを出さないと勝てないっていうのは分かっていたので、特に自分の持ってる強いムーブで戦いました。

敗戦から見えた「自分がやりたいこと」

今年のJFFC 2022では惜しくも準優勝でしたが、その時に感じたことはありますか
※JFFCとは毎年開催されるフリースタイルフットボールの日本一決定戦

M:今年のJFFC 2022は決勝で負けた時に「やっぱり自分のスタイルは勝てないんだ」って思いました。いつも同じところでミスしていたので、とりあえずJFFC 2022が終わった後に、1週間くらい一切ボールを触らないで自分と向き合う期間を設けました。

この先のフリースタイルフットボールとの関わり方とかを色々考えたんですが、私の中では「moe-Kと絶対に何かのイベントの決勝でバトルしたい!」って想いが強くありました。それが出来るのっていつだろう、と考えた時に「Red Bull Street Styleだ!」って思ってmoe-Kも大会に出ようよと誘いました(笑)

ボールに触らないで1週間たったあとに「やっぱりフリースタイルフットボールを本気でやりたい」と思ったし、凄く苦しい期間ではあったんですけど、「苦しい期間から逃げないでもう一回頑張ろう」という気持ちで常にやっていましたね。

アジア予選で有言実行し、世界の舞台へ

Red Bull Street Styleで4位という結果を残した時の気分はいかがでしたか

M:その時は全然信じられなかったです。相手の女性フリースタイラーは毎回Red Bull Street Style 本戦の常連で、普段 Instagramで見ていても男性がやっているような技を余裕でやってくる人だったので、正直この人にはまだ勝てないなと思っていました。

でもジャッジが上がって私が勝ったと分かった瞬間は「え!?」ってなってしまいました(笑)
本当に今でもあまり実感がないくらい信じられないです。

Marjan Radovic / Red Bull Content Pool

今回の4位という結果は日本女子 史上最高順位ということで、自分の中で感じるものはありますか?

M:日本人女子初って言われることが多くて嬉しいんですが、最近中学生でも特に上手な子が沢山出てきているので、「4位なんてすぐ抜かされるんじゃないかな」って思っています(笑)ここで満足することなく国際大会で優勝して、もっと高みに行きたいなと思っています。

海外の大会に出て新しく発見したことはありましたか

M:私は以前から「女子フリースタイラーってあまり注目されていないな」っていうイメージがあったんです。なので私の今回のバトルのテーマは「私のスタイルを世界中に見せつけてやろう」と思って大会に臨みました。

そしたらバトル後、海外のフリースタイラーからも「miharuが一番良かったよ!」と言ってもらう事が凄く多くて。注目されていないのは、ただ単に自分の知名度が低かっただけで、「自分のスタイルってこんなに評価してもらえるんだ」と思ったのが自分の中で大きい発見です。

Predrag Vuckovic / Red Bull Content Pool

普段のバトルはどういったマインドで挑んでいるのですか?

M:私は「絶対勝つぞ」って思いながらやると力んで何もできず終わってしまうので「とにかく楽しもう」と思ってやっています。同じ大会でもその年でしか味わえない空気感ってあると思うので、その空気感の中で相手の動き方を見ながら勉強したり、観客の盛り上がるポイントを観察しています。

バトル中でも常に冷静に分析しながらやってるんですね

M:でもそういう考えが出来るようになったのも最近なんです。それまで2021年度はずっと負けてきてて、その時は「絶対に勝ちたい」っていう気持ちでやったいたんですけど全然冷静にできていなかったので。今は「とりあえず楽しもう!」と思いながら常にやっています。

「楽しみながらやる」が大前提

Predrag Vuckovic / Red Bull Content Pool

自分自身がフリースタイルフットボールをやる上で、大切にしていることはありますか?

M:とにかくフリースタイルフットボールを楽しむことは大前提でやっています。誰しも「楽しくない」って思うことが絶対あると思うんですけど、それから逃げるのも悪くないなと思っています(笑)

だから自分の気持ちに従って行動することは意識しています。楽しいからやっているフリースタイルフットボールが、楽しくない期間が続くのならやってる意味がないと思っているので。とにかく楽しみながらやるというのは大切にしています。

写真:本人提供

miharuさんが住む北海道のカルチャーシーンに対して考えていることはありますか

M:北海道は本当に競技人口が少なくてなかなか人口が増えないので、まずは一緒に練習できる仲間を増やしていきたいですね。札幌に大通公園っていうフリースタイラーやダンサー達が練習しているスポットがあるんですけど、その景色が凄く好きだしいつもその光景を見て「みんなめっちゃフリースタイルに生きてるじゃん!」みたいに思います(笑)

そういう良さを他の人たちにも味わってほしいなって思うので、競技人口も増やしてもっとみんなでワイワイ出来たらいいなと思っています!

最後にこの先に見据える目標を教えてください

M: もちろん国際大会で優勝することは一つの目標ですが、その中でも自分が楽しみながら優勝する、というのが根底にあります。
とにかくフリースタイルフットボールを楽しんでいきたいです!

 

 

miahru プロフィール

JFFC Womens部門の初代王者。小学生の頃から遊びでリフティングを楽しみ、高校生の時に再びリフティングを趣味で始める。大学1年次にフリースタイルフットボールに出会い、そこからプレイヤーとしてのキャリアをスタートさせる。体の横で扱うリールやクリッパースタイルを駆使しスムーズなムーブを魅せ、様々なトランジションから繰り出す、オリジナリティー溢れたシッティングスタイルも彼女の魅力である。

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