「自分が育ったストリートの文化を大事にしたい」RIKUがフリースタイルバスケットボーラーとして歩む道

2023.02.16
text by 橋田 樹台 / photo by m_drop, youta_takahashi_

皆さんは「フリースタイルバスケットボール」というものをご存じだろうか。フリースタイルバスケットボールとはバスケットボールを用いてトリックを行う、ゴールもルールもない、「フリースタイルなバスケットボール」として認知を高めている。

今回は、フリースタイルバスケのバトルで多くの実績を残し、間違いなく今のストリートシーンの中心で活躍する若きフリースタイルバスケットボーラー、RIKU にFINEPLAYがインタビューを敢行。
SNSでの映像作品の発信、アーティストのMV出演やモデルもこなす彼に、プレイヤーとしてのキャリアや今後のビジョンを存分に語ってもらった。

RIKU(以下:R)

photo by youta_takahashi_

まずは簡単に自己紹介をお願いします

R:フリースタイルバスケットボーラーのRIKUです。
出身は東京の田舎町の方で今22歳・大学4年生でもうすぐ卒業を控えています。

フリースタイルバスケットボールを始めたキッカケを教えてください

R:中学時代にバスケ部に所属していて、その頃からずっとバスケのシュートではなくドリブルとかパスとかトリッキーで魅せるプレーが凄い好きでした。中学時代は自分のプレースタイルに対して、怒られながらもバスケを続けていました。高校に入っても半年くらいはバスケ部に入ってたんですけど、「これを続けてても楽しくないかもしれない」と思って。そう思いながらYouTubeでバスケのトリックシュートやストリートバスケの動画を探しているうちに、ZiNEZ KAMIKAZEさんの動画を見つけて。最初は軽い感じで「やってみよう」と思って、そこからやっていけばやっていくうちに奥が深すぎてハマって行った結果、ずっと今も続いてるみたいな感じですね(笑)

今のフリースタイラーとしてのバックボーンはそこから来ているんですね!

R:そうですね。あとはフリースタイルバスケとほぼ同時期に高校のダンス部に入ってちょっとブレイクダンスもやっていました。でも僕がダウンやアップもできないくらいに下手で、それで結構バカにされたり悔しい思いをして、そこで見返したいなと思って、「フリースタイルバスケを使って俺は絶対に見返してやるんだ」と思って今に至るというか、まだその途中なのかな?(笑)
でも当時のダンス部での経験がなかったら、今の武器はないと思っています!

大学進学を機にシーンの中心へ

そこから大学に進学してどんどん活動の場を広げていったんですね

R:僕は高校生の期間でフリースタイルバスケを2年くらいやってたんですけど、大会で1勝もすることが出来なかったんです。でも大学に入って1か月後くらいに開かれた歴3年以下のルーキーバトルっていう若手向けの大会があったんです。今まではバトルで一回も勝ったことが無くて負けまくってたけど、そこで優勝できて!そこから凄いタイミングが良かったというか、その大会に色んな人が見に来ていて、色んな人を紹介してもらったりして。その経験は大学生になってから大きかったですね。

RIKUさん自身のフリースタイルバスケのスタイルを教えてください

R:僕はワンボールのスタイルで、その中でも一番王道なスタイルですね。スタイルって言うと、フリースタイルバスケの中でも、スピンだったり、ワンボール(一つのボールを使う)やマルチボール(何個もボールを使う)だったり、ドリブルが上手い人とか、たくさんのスタイルがありますね。

色々なスタイルがあるんですけど、やっぱり僕はZiNEZ KAMIKAZEさんを見て初めて、その人に憧れてずっと続けてきたし、王道の中でも高校時代にやっていたブレイクダンスの動きも取り入れているっていうのが具体的なスタイルです。僕は王道が好きですね(笑)

photo by m_drop

フリースタイルバスケの動きにするために、インスピレーションを受け取っているものってありますか?

R:ステップ系はダンス全般を見ていますね。HIPHOPとかHOUSEとか動画はとにかくInstagramでもYouTubeでも、見つけたら見るようにしています。あとはフリースタイルフットボーラーの人達とは常に一緒にいるので、お互いいい動きがあったら真似したり、逆にいい動きを真似し合ってお互いに技を作ったりしていますね。

自身の中で現状の課題と強みを教えてください

R:課題はシンプルにスキルアップですね、これはもう一番です。あとは色々と考える時間がある中でインプットしたものを、アウトプットする精度を上げないといけないなと思っています。100をインプットしても1しかアウトプットできてなかったらもったいないなって思いますね。アウトプットの精度が上がれば成長スピードも絶対変わるので。

強みは、人の目がとにかく気になるんですよね。だからこそ「こうしたらこう思われる」とか、「こう動いたらこの人こう思うだろうな」とか。客観的に自分のことを見れるので、こうしたら凄いと思われるだろうなってことを考えるのは得意だと思いますね。ただ、見てる人が喜ぶことに寄せすぎると、自分の色が消えるんですよね。なので「他人の目線」と「自分の持ってるエゴ」とのバランスを場所によって使い分けています。

普段はどういった練習をしているんですか?

R:もう割と決まっているのが、最初は難しい決め技(倒立技)を30~1時間くらいやってアップをします。その後に1時間~30分くらいボールをとにかく意識せずに触って新しい技を作る時間があって、最後にその日に即興で決めた30秒くらいの動きをガチッと固定して、動画を撮りながら完全に綺麗に上手くいくまで続ける、これが綺麗に撮り終わるまでは練習はやめられないです!練習は基本一人でしかやらないです。一人の方が練習時間も気にしないし、あとは夜のストリートが好きなのもありますね(笑)

大学を卒業し、フリースタイラーとして歩む進路

photo by youta_takahashi_

大学を卒業した今後はどういった進路を歩まれるのですか

R:「フリースタイラーとしてお金を稼ぎながら生活していく」っていう事になるんですけど、今とやっていることは変わらないと思いますね。でもそこに対するプレッシャーとか周りからの目とか、自分自身で色々と気にするんだろうなとは思ってますね。あと、今はソロの仕事が凄く多いので、他のフリースタイルバスケの人たちとみんなで仕事がしたいですね。そっちの方が絶対楽しいなって思います(笑)

今後のフリースタイルバスケのシーンに対して想うことはありますか

R:今のシーンは、進化っていうより変化をしていて、どんどん多様化してきていると思います。スポーツ色が濃い人もいれば、大道芸人みたいな色が強い人もいるし、ストリート感を大事にしている人もいると思います。これが今後ももっと細かくなっていくと思うんですよ。
だけど僕は自分が育ったストリートの文化を大事にしたいですね。

「フリースタイルバスケがカッコイイものである」「ストリートカルチャーとしてイケてる」っていう見られ方を、僕のフリースタイルを見た時はそう思って貰えるようになっていきたいです。みんなが違うスタイルの中で、それぞれがそれを続けていけば、全体の底上げになると思います。好きなことは自分の軸にしつつ、皆で上げていきたいですね。

photo by youta_takahashi_

最後に今後の目標を教えて下さい!

R:今もフリースタイル人生の途中なんですけど、フリースタイルやってて良かった事がいっぱいあるんですよね。色んなことを経験できたし、今の現状はフリースタイルバスケをやっていなかったら絶対ないと思っています。今後はフリースタイラーとして、自分がフリースタイラーであるという事だけは、相手に忘れられないようにしたいです。 

RIKU プロフィール

2000年6月13日生まれ、東京都立川市出身の22歳。高校時代にZiNEZ KAMIKAZEに憧れ、フリースタイルバスケットボールをはじめる。大学に入学すると活躍の場を広げ、様々なバトル・SHOWCASEで実績を残す。現在はプレイヤーとして精力的にバトルやSHOWCASEに参加しながらも、モデル業やMVへの出演、ライブパフォーマンスなど活躍の場を広げている。

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