最後の最後まで目が離せない出場権争い「オリンピック予選シリーズ ブダペスト大会」スケートボード・ストリート種目の見どころ

2024.06.15

泣いても笑っても、ついにパリオリンピック出場選手が決まる最後のオリンピック予選大会である「オリンピック予選シリーズ(以下:OQS)」のブダペスト大会が、ハンガリー・ブダペストにて2024年6月20日(木)~6月23日(日)の4日間にわたり開催される。

先月、フェーズ2の1戦目として中国の上海で開催されたOQS上海大会を終えて、いよいよオリンピック予選大会も大詰めとなる中、今回のブダペスト大会の結果が最終的にフェーズ1のポイントと上海大会を加算されパリオリンピック代表選手が決まる。

またフェーズ2に該当する今大会は前回の上海大会同様に、フェーズ1終了時の世界ランキングポイントに基づいて選出された男女各44名の選手に出場可能となる。なお本シリーズは2戦でオリンピック予選大会の全体のポイント配当の7割近くを占め、大会ごとに最大25万ポイントすなわちオリンピック予選大会の全体のポイント配当の3割近くを獲得できることから、1大会でパリオリンピック出場枠争いにおいて大逆転が起こりうる大会である。

既に上海大会では数名の優勝候補が決勝進出を逃したことで世界ランキングも大きく変動するなど波乱の展開となった。本記事では男女の現在の世界ランキング(2024年6月12日現在)を元に、今大会の見どころを解説する。

女子ストリート

ライッサ・レアウ Photo: OIS/Kieran Cleeves. Handout image supplied by OIS/IOC

オリンピック代表選考基準としては世界ランキング20位以上、各国からは上位3名までが出場権を獲得する形。そのため20位以内に同国から3名以上いる場合は、繰り下げで20名になるように出場権が割り与えられ、更に開催国枠や大陸枠などが考慮されたのち、22名がパリオリンピック出場選手として選ばれる。その点を踏まえた上で女子カテゴリーの現在の世界ランキングは以下の通りである。

なおOQSの上海大会を終えた時点でトップ20に3名以上がランクインしている国は日本、ブラジル、アメリカの3ヶ国であり、フェーズ1を終えて日本から最大人数の計6名、続いてブラジルとアメリカが3名ずつという状況になっている。

そして上海大会を終えて波乱の展開を迎えているのは日本人選手の出場権争いだ。なぜなら全員が世界ランキングトップ10に入っているものの、世界ランキング1位を保持していた西矢椛が上海大会で準決勝敗退の9位となったことで世界5位まで、そして元々3位だった織田夢海が全体18位の予選敗退で世界ランキングを7位まで落とした

一方で、同大会で2位入賞した赤間凛音が世界2位まで、そして3位となった吉沢恋が世界3位までジャンプアップ同大会で決勝6位となった中山楓奈が世界6位、全体10位で準決勝敗退となった伊藤美優が世界10位というランキングになっている。

ただ現在の得点差としては今回のブダペスト大会で十分に逆転できる状態。上海大会で好成績を残した赤間吉沢はこのまま優位性をキープしたい中で、悔しい思いをバネに再度トップに躍り出たい西矢織田、そして代表枠を手中に収めるべく最終戦に向かう中山伊藤。それぞれ状況は違うがパリオリンピック出場権を獲得するために全力で挑む事は変わらない。果たして誰がパリオリンピックの切符を掴むのか。

そんな日本とは対照的な状況になっているのはブラジル。女子ストリート種目のアイコン的な存在になっているライッサ・レアウは上海大会で優勝を果たすと世界ランキング1位に。さらに現時点で45万点以上保持している彼女は、現在13位のパメラ・ローザ、16位にはガビー・マゼットとトップ20にランクインしている同国の選手たちだけではなく、他国の選手からも代表権を失うほど上回れることはないため、事実上出場確定が決まった。今大会ではローザマゼットはもちろんのこと、現在35位のケミリー・スイアラと36位のイザベリー・アヴィラの誰が残る最大2枠の出場権を獲得するのかにも注目だ。

合わせてフェーズ2に入り頭角を表し始めたのはアメリカ。唯一トップ10にランクインしていたペイジ・ハインが決勝進出を逃したことで11位にランクを落とす中、上海大会で4位に入ったポエ・ピンソンが世界ランキングで15人抜きの9位に今大会ではピンソンが順位をキープし続けることができるのか、そしてハインがどこまで復調してくるか、そして当落線上にいるマライア・デュランが出場枠を確保できるかそれぞれの戦い方に目が離せない。

またアメリカの台頭によりトップ20へ2名を残す形となったのはオーストラリア。しかし日本人選手たちの最大のライバルであるクロエ・コベルが上海大会を8位で終えるも現在世界ランキング4位を保持。フェーズ1では絶好調だった彼女がこのままパリオリンピックを迎えるはずがないためで今大会では優勝争いはもちろんのこと上位へ食い込んでくるはずだ。

そしてやはり勝ち上がってきたのは、中国のチェンシー・チー。母国開催のホームの熱を上手く力に変えた上海大会では決勝5位で終えると世界ランキング8位まで順位を伸ばした。勢いそのままにパリオリンピックまで突き進むことはできるのか。

男子ストリート

ジャガー・イートン Photo: OIS/Kieran Cleeves. Handout image supplied by OIS/IOC

一方で男子カテゴリーは上海大会にて優勝候補とされる選手たちが望まぬ結果に終わったことから順位が大きくシャッフルされた中、依然世界ランキングトップ20にはアメリカから4名と日本から6名の2カ国が半分を占めている状況は変わらない。しかし一方で国内での代表枠争いは熾烈を極めることとなった。



今大会で壮絶な代表枠争いとなることが不可避なのは日本だ。東京五輪金メダリストの堀米雄斗が上海大会で予選敗退し世界ランキングを11位まで落としたことを皮切りに、現世界チャンピオンの白井空良も準決勝敗退で1位から6位までランクを落とす。彼らとは裏腹に同大会で2位となった弱冠14歳の小野寺吟雲が世界ランキング1位に、同じく4位となった佐々木音憧が7位まで浮上した。一方で決勝8位といまいち結果に繋げることができなかった根附海龍が5位に停滞。全体14位で準決勝敗退となった青木勇貴斗が15位という順だ。

今大会でパリオリンピック代表選手が決まることから、順調に結果を残している小野寺はこのまま勢いのまま好成績を残す必要がある中、それ以外の選手に関しては、本調子でまとめきれていない堀米青木の4名がここでしっかり好成績でまとめて世界ランキング上位に返り咲き代表枠を獲得することが必須となる中、現在暫定的に代表枠を保持している白井根附佐々木に追随され油断を許さない状態。最後にしっかり最高のパフォーマンスを残して代表枠を獲得する3名は誰だ。

その一方で、上海大会を経て代表枠争いが大きく動き出したのはアメリカ。絶対王者のナイジャ・ヒューストンが決勝5位で世界ランキング3位に落とした中、彼を上回って2位までジャンプアップしたのはジャガー・イートン。同大会では多くの選手が独特なプレッシャーから大苦戦を強いられた中、見事なパフォーマンスを見せて優勝。世界ランキングにて10人抜きを果たして2位に躍り出た。その2人を追うのが同大会で見事なベストトリックをメイクして3位入賞を果たしたクリス・ジョスリン。彼もランキングで10人抜きを果たして8位まで順位を上げた。そこに続くのが13位のブライデン・ホーバン、21位のアレックス・ミドラーとなっている。

上海大会の結果の良し悪しで極端に世界ランキングへ影響があった中、イートンヒューストンが30万ポイント超えとオリンピック出場権に大手をかけている状況で残りの1枠を懸けてジョスリンホーバンミドラーの3名がどんな争いを繰り広げていくのかが注目だ。もちろんノリに乗っているジョスリンが最有力ではあるが、ホーバンとミドラーもひっくり返す実力は十分にある。一発逆転なるか。

また当落線上にいるため出場枠争いで厳しい戦いを強いられているのはカナダブラジル。カナダは現在ライアン・ディセンゾコルダノ・ラッセルマット・バージャーが17位から19位に固まっており、予断を許さない状況。一方でストリート最強国の一角であるブラジルもジオバンニ・ヴィアンナが上海大会で7位に入ったことで世界ランキング10位までジャンプアップしたが、ケルビン・ホフラーが16位、フェリペ・グスタボが22位と実力者が出場枠を他国選手と争う形だ。彼らの今大会のパフォーマンスにも目が離せない。

そして今回も注目したいのがフランスのオーレリアン・ジロー。現在フランスは開催国枠として既に1枠を獲得していることから、現ランキング上では彼が該当している。それもあってかまだOQSでは姿を見せていないが、自国開催で一番メダルを期待されている彼がパリオリンピック前の最終戦でどんなパフォーマンスを見せるのかに期待したい。

大会スケジュール(日本時間で記載)

スケートボード・ストリート種目

-6月20日(木) 
23:20~ スケートボード男子ストリート 予選

-6月21日(金)
23:20~ スケートボード女子ストリート 予選

-6月22日(土) 
18:15~ スケートボード男子ストリート 準決勝
24:05~ スケートボード女子ストリート 準決勝

-6月23日(日) 
19:00~ スケートボード男子ストリート 決勝
24:00~ スケートボード女子ストリート 決勝

最後に

これまで約2年間続いてきたパリオリンピック予選大会もいよいよ今大会で終わり全てが決まる。各国の出場権争いも熾烈だが、やはり気になるのは日本人選手同士の戦いだろう。
現在男子カテゴリーでいうと東京オリンピック金メダリストの堀米雄斗が出場枠圏外、現世界チャンピオンの白井空良が当落線上ギリギリという非常に厳しい戦いになっている。
また女子カテゴリーにおいても男子と同様に東京オリンピック金メダリストの西矢椛がギリギリの3番手、そして現世界チャンピオンの織田夢海が出場枠圏外に。パリオリンピックの出場を決める戦いはもう一番狂わせがあり最後の最後まで目が離せない戦いになることだろう。

なおオリンピック予選シリーズ (OQS) ブダペスト大会の戦いの模様はOlympics.comのオリンピックチャンネルで配信予定。また最新情報も同ウェブサイトからチェックできる。またパリオリンピック公式アプリをダウンロードすると随時最新情報を気軽にアクセス可能になるため是非ダウンロードして欲しい。

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