「OMAEZAKI PRO 2023」地元御前崎出身の佐藤李が見事優勝!男子は宮崎出身の伊東李安琉がQS初優勝!

2023.09.08
text and photograph by Shuji IZumo

2023年8月24日〜8月28日までの期間で開催された、OMAEZAKI PRO 2023。会場の御前崎ロングビーチは静岡県御前崎市にあり、遠州灘沿いに約3km続く海岸。サンドリーフで西から、『坂下』『メイン』『メロン』と大きく3つのポイントがあり、夏の終わりから砂が動き地形が決まりやすく、秋の台風シーズンにはエクセレントなレフトの波がブレイクするビーチで有名である。

御前崎ロングビーチ

昨年に初開催されたサーフィン国際大会「White Buffalo Omaezaki Pro」は台風が接近する中、いい波にも恵まれ記憶に残る大会となった。第2回大会となる今回も日本の南東遥か沖に発生した台風10号からのウネリでファイナルDAYに相応しくサイズアップ。

「OMAEZAKI PRO 2023」の最終日は男女共にセミファイナルとファイナルの6ヒートとなり、男子セミファイナルのヒート1に大原洋人選手vsTouma Cameron選手(AUS)、ヒート2に新井洋人選手vs伊東李安琉選手の4名。女子はヒート1に池田美来選手vs芳田花瑚選手、ヒート2に佐藤李選手vs鈴木莉珠選手の4名、計8名が出揃った。

最終日の朝、暗いうちはウネリが弱かったものの、明るくなるに連れて潮が引き台風10号からの東ウネリが入り始めた。サイズ的には1.5m~2m程で、西風がやや強いものの会場は雲が多く、前日の夜に降った雨により湿気が多く身体にまとわりつくような蒸し暑い気候となった。

アーバンスポーツキャンプ ブレイキン体験会の様子

更に今年は「OMAEZAKI PRO 2023」として、サーフィン国際大会の男女QS1000シリーズに加え、スケートボード・ブレイキン・ダブルダッチの国内トップアスリートによるショーケースと各コンテンツが体験会できる「Urban Sports Camp」が特設会場のマリンパーク御前崎で併催された。海辺にいながらも都市型スポーツも身近に感じられ、サーフィン国際大会とアーバンスポーツの次世代体験型イベントとなった。

男子 セミファイナル ヒート1 大原洋人 vs Touma Cameron(AUS)

セミファイナルヒート1ではTouma Cameron(AUS)が先制してミドルの波に乗るも高ポイントを出せずにいた。プライオリティーを使い大原がセットに乗れば、大原の代名詞である太いマニューバーとアクションで難なくポイントを重ね、Touma Cameron(AUS)を下しファイナルへラウンドアップした。しかし、大原は海上がりに一言『波とフィットしなかった』と気になる言葉を呟きビーチを後にした。

大原洋人

Touma Cameron(AUS)

男子 セミファイナル ヒート2 新井洋人 vs 伊東李安琉

続いて、ヒート2はクウォリファイシリーズ(QS)ツアーベテランの新井洋人が登場。新井のマニューバーアクションでポイントを重ねるサーフィンに対し、この日唯一のレフトハンダーの伊東李安琉は流れるようなサーフィンでマニューバーと西寄りの風により、飛距離が伸びたかのように高く飛び出したアーリーウープでポイントを重ね、今大会のハイエストポイントの8.00ptと7.30ptでトータル15.30ptマークしファイナルへ。

新井洋人

女子 セミファイナル ヒート1 池田美来 vs 芳田花瑚

女子セミファイナル、ヒート1に地元御前崎出身の池田美来と宮崎出身の芳田花瑚のカード。朝より波が大きくなるもののセットはワイド。池田はローカルの強みでエンドセクションまでアクションを入れれる波を掴み、ファーストターンにボトムtoトップでしっかり板も返し大きくアクション、エンドセクションでもしっかりロールに当て込み6.25ptと6.75ptを重ねトータル13.00pt。芳田は宮崎出身だけに波が大きくても引くことなく果敢に攻めるタイプのサーファーで、レフトが得意ということだ。御前崎の波にはかなりフィットしていたものの、バックハンドの縦への2アクションをするも5.25pt、5.00ptとあと一歩及ばず、池田美来がファイナルへ進んだ。

池田美来

芳田花瑚

女子 セミファイナル ヒート2 佐藤李 vs 鈴木莉珠

続いてこちらも地元御前崎出身で、御前崎ロングビーチには自転車ですぐのところに住むというローカル佐藤李と鴨川出身の鈴木莉珠。先日発表されたワールドジュニア日本代表の2名の対決となったヒート2は、鈴木莉珠がしっかりとクリティカルヒットを2マニューバーで5.00pt。続いて3マニューバーと際どい場所へアクション入れるも5.40ptと伸ばすことができなかった。トータルの得点は10.40ptと一歩及ばず3位フィニッシュとなった。佐藤李はセットを掴みリズムよくエンドセクションまでアクションを繰り返し綺麗なターンに大きなスプレーで波のフェイスを大きく使い7.75pt。そしてミドルセクションからの波で4.50ptと、トータル12.25ptでファイナルへと駒を進め、決勝の組み合わせは地元出身の幼馴染同士のマッチアップとなった。

鈴木莉珠

男子 ファイナル 大原洋人 vs 伊東李安琉

伊東李安琉

ファイナルは大原がポイントが出せば、伊東が逆転するといった完全にシーソーゲームとなった。その中でレフトハンダーの伊東はスピード感ある流れるようなライディングで、癖ある波にエアーやマニューバーと縦横無尽にアクションし8.00ptと6.00ptでトータル14.00pt。大原をニード7.51ptと追い込んだところで、大原がミドルの素晴らしいレフトを掴み、掘れたセクションへアプローチ。トップで波に捕まるもしっかり着地し、セカンドアクションもしっかりと当て込む。しかしレールが引っかかりインコンプリートとなった。セミファイナルからの波と同様、フィットし切れず惜しくも2位フィニッシュ。伊東は終始リラックスし、流れるような華麗なライディングで見事優勝となった。

伊東李安琉

伊東選手は勝利者インタビューでは『久しぶりの優勝でとても嬉しいですし、この御前崎のレフトのいい波でできたのが一番嬉しかったです。大原選手はチャレンジャーシリーズをまわっている日本のトップ選手なので、緊張したのですが、自分の100%を出せたと思います。最初はマニューバーでしっかり決めて点を出したらエアーにチャレンジしていこうと思っていたのですが、思ってたよりもマニューバーが決めきれなかったので、次戦ではマニューバーとエアーのコンビネーションをしっかり決めたいです。御前崎に着いて1日目にエボシクラゲに刺されたこと、そして友人たちの応援だったりローカルの方々が優しくサポートしてくれたので、それが力になったと思います。今回優勝できてとても嬉しいです。次はニアスのQS5000に出場するので、そこでも勝てるよう頑張りますので、応援よろしくお願いします!』と語り友人たちからのシャンパンファイトを浴びていた。

女子 ファイナル 池田美来 vs 佐藤

佐藤李

地元御前崎の昔から一緒にサーフィンをしてきた池田美来選手と佐藤李選手の二人の戦いとなったOMAEZAKI PRO 2023最終ヒート。佐藤李はアウトからミドルとトロい波をうまく繋ぎ、掘れてくるセクションでは、上手く波にタイミングを合わせクリティカルなところにアクションを重ね、5.75ptと6.00pt。トータル11.75ptとし、地元の「OMAEZAKI RRO 2023」を制した。対して池田も際どいセクションへアプローチし、しっかり板を返しアクションするもなかなかポイントを伸ばせずにいた。最後の1秒まで諦めることなく戦う姿勢を見せるが惜しくも2位となった。今回大原と同じくシングルハイエストの9.00ptを出すほど好調だっただけに、今回の結果は悔やまれただろう。次戦のニアスでの彼女のライディングにも注目したい。

佐藤李

佐藤の試合後の勝利者インタビューでは『地元だったので、絶対に優勝したいと思っていたので優勝できて本当に嬉しいです。セミファイナルが終わった時点では息があがってしまっていたのですが、ファイナルに挑むまで深呼吸して身体を休めていました。今回は地元の先輩の三輪紘也選手にコーチをお願いしていたのですが、一緒にサーフィンしてくれたり地元ならではのアドバイスしてくれていたので凄く力になりました。ですが、未来なら7ptくらい楽に出せれるサーファーなの、ドキドキしていました。この後、来月からインドネシアに渡りニアスでQS5000に出て、その後いくつか大会を回り11月にはワールドジュニアがあります。そこでも優勝できるよう頑張りたいと思います。みんなが観てくれている前で優勝できて本当に嬉しいです。またこれからも頑張っていきますので、応援よろしくお願いします。』と会場に訪れた地元応援団を沸かせた。

このあと年内のアジアリージョンの大会は男女共に9月はニアスでQS5000。フィリピンQS3000。11月には台湾でQS5000、韓国のWave Parkで初開催のQS3000とポイントグレードの高い試合が続く。来シーズンのチャレンジャーシリーズ(CS)へ向けて誰がその切符を手にするのか?今後も日本人選手たちの活躍に期待したい。

大会結果

男子
優勝:伊東 李安琉 (JPN)
第2位:大原 洋人 (JPN)
第3位:新井 洋人 (JPN)*
第3位:Touma Cameron(AUS)*
*第3位選手順不同

女子
優勝:佐藤 李 (JPN)
第2位:池田 美来 (JPN)
第3位:芳田 花瑚 (JPN)*
第3位:鈴木 莉珠 (JPN)*
*第3位選手順不同

今年も多くの方々がここ御前崎ビーチに来場し、応援に観戦にと会場を楽しんでいた。

WSLイベントではお馴染みでわかりやすい解説・実況の左から、水野 亜彩子さん・nicoさん・間屋口 香さん

今回は持続可能な社会を目指すSDGsの観点からパラサーファーとのマッチアップ。
今年はアダプティブサーファーの伊藤 建史郎氏と近藤 健太朗氏がスタッフとして参加。

第2回大会も地元御前崎ローカルが中心となり御前崎市との町を挙げての国際大会となった。
来年もここ御前崎で開催できることを楽しみにしたいと思う。

大会概要

主 催:WSL御前崎プロ実行委員会
共 催:WSL/ASIA(APAC)
後 援:静岡県/御前崎市/御前崎市商工会/御前崎市観光協会
協 力:日本サーフィン連盟静岡2区支部/御前崎ローカルサーフコミュニティ/御前崎スマイルプロジェクト 

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