サーファー 間屋口 香がサーフシーンのリアルを綴る。サーファーならずとも、そしてサーフィン初心者でも胸にグッとくる、ハートウォーミングな連載コラム『Surf For Life』。
平成最後のこの一年はとんでもない年になってくれた。私は産まれて35年、サーフィン歴はたかが23年。それでも今年はサーフィン界の新たな幕開けとなったのではないかと感じている。ウェーブプール競争、メーカー合併、日本人達の快挙、サーフィンが世界スポーツ枠に加わったこと、新たな組織内改革、アダプティブサーフの発展などだ。
その中でも特に日本人達の快挙に注目したい。
日本人の快挙はサーフィン界だけに止まらず、テニス界では大阪なおみが大きな話題となり、アイデンティティーの在り方についても一石を投じた。
五十嵐カノアや前田マヒナが日本国籍を選んだ。WSLに参戦する日本人男女のトップ2人が彼らとなった。マヒナに関しては2019年度からは日本をベースに世界を転戦することを意思表明している。
9月に愛知県田原市で開催された世界選手権大会では47カ国、240選手の参加の中、日本は初の団体金メダルを獲得した。五十嵐カノアが銀、村上瞬が4位銅メダルを獲得。
10月にカリフォルニア州で開催された世界戦ジュニア大会でも、上山キアヌが日本人初18歳以下のクラスで金メダルを獲得、そして日本は団体金メダルも獲得するなど、快挙が続いた。
そしてWSLクオリファイシリーズでは、五十嵐カノアがツアーチャンピオンに輝いた。
こんなにも日の丸がサーフィン界でなびいた年は今までにない。
サーフィンの歴史に新たなページが追加され、日本は新たな歩みを踏み出した。
1人が飛び抜けると、後に続けと他のサーファー達の意識とレベルが引き上げられた。“なんだ自分達にもできるじゃん”と。
今まで日本人がぶち破れなかった壁を1人が破り、その穴を他の皆でこじ開け、どんどんその穴が広がっていった。
そうやって日本人サーファー達の意識が特に前進したのが2018年だった。
極端に技術レベルが上がった訳ではないが、全てはコンフィデンス(自信)のおかげではないだろうか。
大きな波に乗るためのコンフィデンス。
日本語が通じない環境の中でも自分を出すコンフィデンス。
負けても動じないコンフィデンス。
勝てるというコンフィデンス。
向上心溢れるコンフィデンス。
2018年は今まで日本人サーファーがどうしても払い落とせなかった足かせが片方外れた気がする。
季節的にも2019年以降からもこのいいカレントに乗るために、各々が明確にどこでどんな活動をしていくのかを早急に決めなければいけない。
レベルを上げたい選手や、低迷しているコンペティター、何にどう重きをおけばいいのか迷っているサポーターやメーカーがいるのであれば、まず各々がどこに重きをおきたいのか再確認してみよう。
日本にはWSL(ワールドサーフリーグ)、NSA(アマチュア日本サーフィン連盟)、JPSA(日本プロサーフィン連盟)、この3つの組織がありそれぞれのスケジューリングでツアーが開催されている。
参加しようと思えば全ての組織に選手達は登録することができる(プロ登録した選手がNSAに登録することは不可)。
どの試合に出れば自分にとって価値があるのか?
どこに携われば自分のレベルが上がるのか?
稼ぎたいのか?
上手くなりたいのか?
肩書きや称号が欲しいのか?
ただ単に楽しみたいのか?
交流したいのか?
安定したいのか?
自分の為の活動なのか?
誰かのための活動なのか?
どうしたいのか?
選手ならばどうすればレベルを上げられるのかを常に考えるだろう。同じ場所に止まっているだけでは進化は起こらない。
例えばヒザ波のホワイトウォーターでテイクオフができるようになれば、次は横に走れるようにフェイスがある波を求めて波質を変えなければいけない。
全く違う例えでいえば、2歳の時に履いていた靴は、3歳ではもう履けなくなる。大きなサイズに履き替えなければいけない。
それと同じで、日本で世界一のレベルに達したと思うのであれば、今までの練習の場を卒業して世界レベルの海へ入学しなければいけない。
それぞれのコーチから得られるもの、そこの波から得られるもの、それを得た後どう次の進化をするのか。
上には上があり、上に行こうと思っているのであればその場へいかない事には話にならない。
どうすれば世界に通用するレベルに到達できるのか、答えははっきりと出ている。
でも果たして10代にそれができるだろうか?
答えはノーだろう。環境改善の見極めや、金銭の使い方、選択する上でのアドバイスは必ず周りからの強いサポートが必要となる。
期待を寄せる選手がもっともっと上に行けるように、何が必要なのか。
ちやほやするのは本当の意味でのサポートではない。
居心地がいいところにとどまる選手自身も成長は見込めない。
選手も家族もサポートする側も、覚悟が必要なことを忘れないでおきたい。
選手をしていると分かると思うが、勝って心から嬉しい試合と、周りは喜んでくれるのに、本心では勝っても胸を張って喜べない結果がある。
本当の意味で勝負に挑めば結果がどうであれ、納得することができるかもしれない。
全身全霊を注ぐものがあるとはなんて幸せなことだろう。
新たな日本サーフィンの歴史がスタートしている今、携わる皆でこの上昇気流に乗っていきたい。
Written by 間屋口 香(Kaori Mayaguchi)© Red Bull Media House
◆AUTHOR PROFILE
間屋口 香(Kaori Mayaguchi)
プロサーファー。10代で全日本タイトルを獲得し、20代は世界レベルで活動。ASP WQS6などの世界大会で好成績を残す。現在はコンペティションシーンからは引退し、地元である徳島県をベースに「サーフィンの楽しさを伝える」活動に従事。
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FINEPLAYはアクションスポーツ・ストリートカルチャーに特化した総合ニュースメディアです。2013年9月より運営を開始し、世界中のサーフィン、ダンス、ウェイクボード、スケートボード、スノーボード、クライミング、パルクール、フリースタイルなどストリート・アクションスポーツを中心としたアスリート・プロダクト・イベント・カルチャー情報を提供しています。
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others日本最大級“入場無料”のアーバンスポーツの祭典 YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL ’24 世界を熱狂させたトップアスリートが横浜に集結!2024.10.2311月9日(土)・10日(日)の2日間、横浜赤レンガ倉庫イベント広場にて開催する『YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL’24(YUSF ’24)』の第1弾コンテンツを発表! 会場内で開催されるスケートボード大会に、世界で活躍する吉沢恋選手・白井空良選手の出場が決定。そのほか、BMXフラットランドやダブルダッチ、パルクールの各大会に、昨年大会での優勝者の出場が決定するなど、今回もハイレベルなパフォーマンスに期待! また、カルチャーマーケットや連携イベントの企画も用意されている。横浜赤レンガ倉庫を中心とする一帯に、ストリートカルチャーが一堂に会し、朝から夜まで「観る・体験する・食べる・飲む・遊ぶ」を存分に楽しめる。 コンテンツラインアップ 【アーバンスポーツ】 ©Yoshio Yoshida/YUSF スケートボード - SKATE ARK2017年に誕生し、現在では世界で最もレベルの高い“世界大会”として認知される「ARKLEAGUE」の1つ。ライダーが創るライダーの為の大会は、世界各国のライダーから賞賛される大会となっている。パークやバーチカルなど様々なスタイルがあるスケートボード。 そのうち日本人選手が世界のトップレベルで活躍している、町中にあるような会談やレールなど障害物のあるコースで競うストリート種目を実施。2022年、2023年に続き、YUSF ’24でも世界で活躍するトップスケーターの出場が決定。 ■PICK UP選手 吉沢 恋 選手(神奈川県出身・2009/09/22生まれ)2024パリオリンピック 女子ストリート 金メダル 白井 空良 選手(神奈川県出身・2001/11/03生まれ)2024パリオリンピック 男子ストリート 4位2024 X Games Chiba 男子ストリート 優勝 © HAMASHOW/YUSF ブレイキン - FREESTYLE SESSION JAPAN1997年アメリカで始まった世界一のCREWを決める伝説のブレイキンバトル「Freestyle Session」は、世界で最もリスペクトを集め、日本人のみならず多くのBBOY・BGIRL達に多大な影響を与えてきた。アメリカのみでの開催から、現在では世界大会へと発展し、各地で盛り上がりを見せている。日本では2002年にスタート、そして2022年のYUSFにて4年ぶり復活。世界レベルのBBOY・BGIRLたちが一堂に集いハイレベルなバトルが繰り広げられる。昨年同様にクルーバトル形式を採用し、日本一を決定する。 BMXフラットランド - FLAT ARK2013年に誕生し、現在では世界で最もレベルの高い“世界大会”として認知される「ARK LEAGUE」の1つ。ライダーが創るライダーの為の大会は、世界各国のライダーから賞賛される大会となっている。 YUSFでは2022年・2023年と開催。昨年末にはFLAT ARK 10年の節目を記念し 、日本野球の聖地「阪神甲子園球場」の100周年記念事業の1つとして、世界17ヶ国のトップライダーが集結し「FLAT ARK 2023 in 阪神甲子園球場」を2日間貸し切りで開催した。 ■PICK UP選手 片桐 悠 選手(新潟県出身・2005/04/17生まれ) Circle Of Balance 2022 準優勝 X Games Chiba 2023 優勝 鈴木 仁菜 選手(東京都出身・2007/07/08生まれ)2024 UCI World Cup 江ノ島大会・モンペリエ大会 優勝 2022・2023 FLAT ARK Girls class優勝 © Kazuki Murata/YUSF ダブルダッチ - THE ONE’S2012年に誕生したダブルダッチ 1on1 BATTLE [DOUBLE DUTCH ONE'S]。12年の時を経て数々のDOUBLE DUTCH ONE’Sの顔となるJUMPERが誕生した。その“THE”DOUBLE DUTCH ONE’Sなプレイヤーが集結し、頂点を決める戦いをTHE ONE’Sと呼 ぶ。今大会では、これまでのDOUBLE DUTCH ONE'S FINAL 優勝者が一挙集結!TOP16トーナメント方式で開催。 ■PICK UP選手 KO-YA 選手(神奈川県出身・1990/02/04生まれ)DOUBLE DUTCH ONE’S FINAL 2022 MEN’S SECTION 優勝 イワネスインセイン 選手 (東京都出身•1994/08/19生まれ) DOUBLE DUTCH ONE’S FINAL 2023 MEN’S SECTION 優勝 Elina Mizuno 選手(東京都出身・1993/02/28生まれ) DOUBLE DUTCH ONE’S FINAL 2023 WOMEN’S SECTION 優勝 © Kazuki Murata/YUSF パルクール - ONE FLOW BATTLE 2024 -Final round-世界が注目する、究極のパルクールバトルイベント!トレーサー(選手)達は、10秒間のソロムーブに全てを賭け、その瞬間にしか生まれない唯一無二のムーブ=最強のワンフローを繰り出す!スーパートリック、ビッグジャンプ、なんでもあり!限られた時間の中で、いかに個性とスキルを表現できるかが勝敗を分ける!1vs1のトーナメントバトルを勝ち抜くのは誰だ!? ■PICK UP選手 宮﨑 裕来 選手(大阪府出身・2002/05/05生まれ)TOKIOインカラミ所属 ONE FLOW BATTLE 2023 年間チャンピオン 関 雅仁 選手(香川県出身・1996/04/15生まれ)TOKIOインカラミ所属 2023 第4回パルクール日本選手権 優勝 大貫 海斗 選手(千葉県出身・2003/03/05生まれ)TOKIOインカラミ所属 ONE FLOW BATTLE 2024 SINGAPORE・OSAKA 優勝 © Kazuki Murata/YUSF パルオニ - パルオニJAPAN CUP 2024競技の専門性によらない、誰でも行う「あそび」を競技化!指定されたフィールドに、安全面に配慮かつ、運動機能を自然と向上させるように設置されたキッズ用の障害物(オブスタクルス)を使い、1番鬼ごっこがすごい(逃げる+捕まえる)のは誰かを競う! YUSF ’23にて初開催した『パルオニJAPAN CUP』に続き、『パルオニJAPAN CUP 2024』を開催!カテゴリーやエントリー方法などの詳細は、YUSF公式WEBサイトにて。 3人制バスケットボール 3x3 - IMPACT – 3x3 TOURNAMENT国内最大級となるNEW BIGトーナメント「IMPACT – 3x3 TOURNAMENT」がYUSF特設コートで初開催決定!記念すべき第1回チャンピオンの栄冠はどのチームへ!? バイクトライアル - TRIAL BIKE SHOWトライアルは、ライディングテクニックの正確性、ライダーとマシンの信頼性を競うモータースポーツです。時間のコントロールはありますが、スピードを競う競技ではないところが、他のモータースポーツとはちょっとちがう魅力です。トライアル競技のデモでは、ライダーが専用のオートバイを駆り、コース途中に設けられた障害物を乗り越えながら、技の正確性や人間とマシンの信頼性を競う様子を披露。 ■PICK UP選手 小川 友幸 選手(三重県出身・1976/10/04生まれ)MFJ全日本トライアル選手権シリーズ 2013-2023 国際A級スーパークラス チャンピオン ビーチバレーボール - ジャパンビーチバレーボールツアー2024 第10戦 グランドスラム 横浜赤レンガ倉庫大会ビーチバレーボールの国内最高峰ツアー「ジャパンツアー 横浜赤レンガ倉庫大会」がYUSF会場内で開催!コート上の2人が縦横無尽に裸足でボールを追いかけ、駆け引きをしながらボールをつなぐ究極のビーチスポーツ!砂の上の熱い戦いを見逃すな! ©YUSF キッズワークショップ知らないスポーツだからこそ、この機会に「アーバンスポーツ」にチャレンジしてみよう。もしかしたら、楽しすぎてハマっちゃうかも。やって楽しめるのもYUSFならでは。※実施予定種目は調整中です。 【カルチャーマーケット】ファッションやカルチャーを体験できるショップやブース、美味しいフードやドリンクなど、盛りだくさんのラインアップを取り揃えます。1日中「食べる・飲む・遊ぶ」をお楽しみいただけるブース・ショップの一部をご紹介します。 Lazor Zone Yokosuka海外でとても人気のある、遊びながら運動ができるシューティングスポーツゲーム。 お子様は5歳からご参加でき、FPS(ファーストパーソンシューター)をリアルに体感できる次世代の鬼ごっこ。1ゲーム(5分)1,000円(税込)/人。場所:横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホール 特設フィールド PostCoffee®️「ライフスタイルを進化させる」をビジョンに、コーヒーのサブスクリプションや国内最大級の美味しいコーヒーのショッピングモールをローンチ。国内外30店以上の有名コーヒーショップのコーヒー豆と、世界20カ国以上の自社焙煎コーヒー40種類以上をラインナップ。扱う豆はすべてスペシャルティコーヒーです。 EL CAMION by T.Y.HARBOR Brewery東京・天王洲の老舗ブルワリーT.Y.HARBOR Breweryの新鮮で美味しいビールを是非お楽しみください! スペシャルコンテンツ アーバンスポーツ競技やカルチャーマーケットのほか、ライブエンターテインメントフェスティバル「Live!横浜」との連携イベントなど、YUSF ’24では様々なスペシャルコンテンツを準備しています。こちらもご注目ください。 三菱商事都市開発株式会社 presents 吉沢恋トークショー2024年7月、まだ記憶に新しいパリでの国際大会にて、見事金メダルを獲得した吉沢恋選手のスペシャルトークショー。 開催日時:11月9日(土) 場所:スケートボードエリア内 参加料:無料 ©(株)JOL © 一般社団法人パルクール鬼ごっこ協会 Live!横浜 - YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL '24 サテライトステージ 「Live!横浜」との連携コンテンツとして、YUSF'24サテライトステージが運河パークに登場!鬼ごっこにパルクールの要素を取り入れた1対1の究極の鬼ごっこスポーツ「パルオニ」やボルダリング、スラックラインが無料で体験できます。 開催日時:11月9日(土)・11月10日(日) 両日ともに11:00~16:00場所:運河パーク参加料:無料 開催概要 開催名称:YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL ’24(略称 YUSF)会場:横浜赤レンガ倉庫 イベント広場(神奈川県横浜市中区新港1-1)日程・時間:2024年11月9日(土)・11月10日(日) 両日ともに11:00~20:00(予定)※雨天中止。協議の開始・終了時間は各競技によって異なります。入場料:無料※飲食や物販代金は別途必要。一部、有料コンテンツあり。主催: YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL ’24 実行委員会(株式会社横浜赤レンガ / 明治商工株式会社 / 株式会社ローソンエンタテインメント / 株式会社ゼータ)共催:公益財団法人横浜市芸術文化振興財団協賛:富士フイルム株式会社 / 三菱商事都市開発株式会社 / GoPro合同会社 / サミー株式会社 / プレミアムウォーター株式会社 / 日本たばこ産業株式会社協力: 一般社団法人ARK LEAGUE / 有限会社 OVER THUMPZ / 株式会社IAM / 株式会社トリデンテ / 公益財団法人日本バレーボール協会 / 株式会社HANDOFF メディア協力:FINEPLAY
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surf日本のキッズたちにサーフィンを通じて自然を大切にすること、そして夢を与え続けたい「Reo Inaba Meet&Greet Supported By CARIUMA」2024.10.222024年10月18日(金)に大阪府大阪市の「心斎橋BIGSTEP内 特設ステージ&SPOTAKA」 にて、この夏パリオリンピックで日本人最高位の5位入賞を果たしたプロサーファーの稲葉玲王選手と触れ合える「Reo Inaba Meet&Greet Supported By CARIUMA」が開催された。 本イベントは、世界最高峰を舞台に活躍しているプロサーファーでありCARIUMAアスリートの稲葉玲王選手から自身の経験を元に、次世代の子供達へサーフィンやサステナブルに対する想いを伝えるミート&グリートとなった。 オリンピックまでの軌跡がまとめられた「Road To Olympic 2024」の上映 イベント当日は一般の方に無料開放される形で二部制での開催。第一部では心斎橋BIGSTEP内の特設ステージにて、稲葉玲王本人による挨拶とパリオリンピックに向けたドキュメンタリーを含めて撮影した「Road To Olympic 2024」の映像前半を会場内ビックスクリーンで放映。稲葉選手に会うために会場に訪れたキッズサーファーや親子連れはもちろんのこと、会場周辺に買い物や観光で訪れた海外観光客や学生たちなど多くの人々が立ち寄った。 第二部の「SPOPAR」会場でのトークセッションの様子 第二部では場所を同じ建物内に店舗を構えるスポーツショップのSPOTAKAのスケートパーク「SPOPAR」に会場を移して、CARIUMA JAPAN(丸紅コンシューマーブランズ株式会社)の滝本氏とのトークセッション、「Road To Olympic 2024」の上映、さらには来場者とのQ&A、サイン会、写真撮影など、ここでは至近距離で実際に稲葉選手と交流できる場が設けられた。 イベントに駆けつけてくれたCole Yamane(一番右) また当日は「Road To Olympic 2024」の映像制作に携わった映像クリエイターのCole Yamane(コール・ヤマネ)も来場。偶然にも日本で旅行中の彼がイベントに駆けつけてくれた。 Q&Aではキッズサーファーを中心に多くの来場者からたわいもない質問からテクニカルなサーフィン関連の質問まで、気になることを稲葉へストレートにぶつけられ、稲葉本人も質問によっては困惑するも終始笑顔で楽しく質問に答えていた。 なお本イベントの第二部の様子はFINEPLAYの公式インスタグラムでライブ配信を行い、アーカイブ映像も残っているため具体的な内容が気になる方は是非チェックしてみてほしい。 稲葉玲王選手にイベント前に特別インタビューをさせていただいた。 そして今回のイベント開催にあたってFINEPLAY編集部では稲葉玲王選手本人に特別インタビューを敢行。この夏のパリオリンピックの話はもちろんのこと、環境保護やサステナブルな活動を推進するブランド「CARIUMA」との関係、自身の活動を通して次世代の若手に伝えたいこと、最後に今後の活動とこれからの抱負についても聞いた。 稲葉玲王特別インタビュー インタビューに答える稲葉選手と、本人が愛用する「UBA PRO」 日本人選手最高位5位となったパリオリンピックを終えて - 率直に今回初めてオリンピックに出場してみてどうでしたか? 実際に今回オリンピックに出場して、いまだにオリンピックに出たという感覚があまりないのですが、でもやっぱりオリンピックは皆さんにも知られているようなとても大きな舞台で、自分としても今までで1番大きな舞台だったので、本当にすごい良い経験になりましたね。 - 会場がタヒチでフランスから離れていたこともあったからですかね。 そうですね(笑)パリにも行っていないですし、会場にはサーフィンの選手しかいないのでオリンピック感はあまりなかったのですが、逆に日本に帰ってきてから取材やテレビ出演などで他競技のオリンピアンの人たちと会うような機会があって「あ、俺本当にオリンピック出たのか」みたいな感覚ですね。 -日本人選手最高位5位という結果でしたが、パフォーマンスを振り返っていかがですか? やっぱりあと1歩のところでメダルを取れなかったことがとても悔しいですし、もったいなかったなという気持ちです。でもパフォーマンスとしては結構良い演技ができましたし、3回戦目でワールドチャンピオンのフェリペ・トレド(ブラジル)を倒すことができたのでそういう面では良い結果だったかなと思います。 「Road To Olympic 2024」上映会ではタヒチでのライディングの様子も見られた。 - ちなみにそのパリオリンピック出場に至るまでに注力して取り組んだことはありますか? タヒチのチョープーは、世界中どこに行っても同じような場所が見当たらないくらい波がすごい特殊な場所なので、危険で怖いですしその波に慣れることが1番大事だったので、1年半ぐらい何度も現地通って、色々なコンディションの波に合わせて練習してきました。その中でもチューブがメインの大会になるのが分かっていたのでチューブを特に練習しました。 - そのパリオリンピックを終えて競技への取り組み方に変化はありましたか? メダルにあと1歩のところまで行けたことで、世界のトップレベルで戦えるという自信になったのでもう1回やっぱりあのレベルで戦いたいですし、次のロサンゼルスオリンピックも目指していきたいと思っています。 サステナブルスニーカーブランド「CARIUMA(カリウマ)」とアスリート契約を結んだ経緯 「CARIUMA(カリウマ)」の持つビジョンに共感し契約を決めた稲葉選手 - どのような経緯で「CARIUMA(カリウマ)」との契約に至ったのでしょうか? ハワイの友人であるセス・モニーツがスポンサーを受けていたこともあり、元々「CARIUMA(カリウマ)」のことは知っていました。靴のデザインもかっこよくて自分好みだったので買ったこともあり、お気に入りで普段からよく履いていた中、カリウマジャパンが始まったタイミングでありがたくアスリート契約のお話を頂いたので契約を決めました。 靴のデザインが好みと語る稲葉選手 - ちなみにアスリート契約を結んだ決め手を詳しく聞かせてもらえますか? やっぱり靴がスタイリッシュでかっこいいところが1番です。あとは環境保護やサステナビリティのこともすごい考えているブランドで、特に環境保護はサーファーがとても大事にしていることなので一緒に世界に向けて発信していけたらなと思っています。 - 稲葉選手がお気に入りの「CARIUMA(カリウマ)」アイテムの特徴があれば聞かせてください。 ちょうど今も履いている「UBA PRO」というモデルは、見た目もかっこいいんですけどすごい履き心地が良くて、昨日も1日中USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)内を歩き回ったんですが、足が疲れることもなく大丈夫でした(笑) サーファー稲葉玲王として大事にしている環境保護やサステナビリティへの想い トークセッションではサステナビリティと環境保護の大切さも語られた。 -サーフィンシーンではサステナビリティや環境保護はどのように捉えられていますか? 海を必要とするサーフィンシーンにとって温暖化は深刻な問題になっていて、やっぱりサーフスポットがどんどん少なくなっていたりと本当に深刻で、そういった状況の中で自分1人でできることはとても少ないですけど、地元のビーチで毎月ビーチクリーンをしたり今できることを取り組んでいます。 今後は、サーフィンを通じて自分のこの自然を大事にしたいという思いを色んな人に広めていくためにも、「CARIUMA(カリウマ)」がやっているような活動や今回のようなイベントを一緒にやっていきながら世の中に広めていければと思っています。 - 稲葉選手はサステナブルな活動にはどんな想いを持たれていますか? 自分にとっては海が1番大事なので、その海を含めこの自然を守っていく活動を進めながら、この自然環境に感謝して大切にしたいという想いが強いです。 自分の活動を通して次世代の若手たちに伝えたいこと 稲葉選手へキッズサーファーたちから色々な質問が投げかけられた。 -競技者稲葉玲王として次世代の若手たちに伝えていきたいことを聞かせてください。 しっかり自分の持つ夢や目標を大事にして、 それに向かって諦めないことが1番大事なことだなと感じています。あとはその目標とかに向かう過程で、人と違うことをやってみたりとかどんどん色々なことにチャレンジするのも大事だと思うので、キッズサーファーや若手の子たちにはこういったことを意識して頑張って欲しいなと思います。 - またキッズサーファーたちにサステナビリティや環境保護の観点からも知っといて欲しいことがあれば聞かせてもらえますか? そうですね。サーフィンなので当然なことでもあるんですけど、とはいえいつも好きな時に海で練習できる環境が実は当たり前ではないので、そういうことも頭に入れながら海に感謝して、今後環境保護に対してももっと意識していってほしいです。 稲葉玲王の今後の活動とこれからの抱負について 終始大盛況で終わったミート&グリートイベント - 今後の競技での目標や、競技外でも取り組む活動があれば聞かせてください。 競技者としては、もう1回オリンピックのような世界のトップレベルで戦いたいという気持ちがある中で、世界ツアーをもう1回周ろうと思っていますし、もちろんその中で次のロサンゼルスオリンピックもちゃんと頭には入れながら競技をやっていきたいと思います。 競技外だと今回のイベントもその第一歩かもしれないですが、 次世代の日本人サーファーたちの底上げに貢献していきたいです。自分も今までずっと「日本人も世界で戦えるぞ!」ということを証明したいと思ってやってきたので、自分が培ってきたものを次世代に繋げていきたいです。 CARIUMAのシューズを手にするキッズサーファー - 最後にサーファー稲葉玲王として今後目指していきたいことを聞かせてください。 日本のキッズに夢を与えていきたいです。それはサーファーに限らず何かで高みを目指している日本のキッズたちの夢に僕がなれたらかっこいいなと思っているので、これからも彼らに夢を与え続けられるように頑張ります! イベント概要 名称:Reo Inaba Meet&Greet Supported By CARIUMA 日程:10月18日(金) 18:00~20:00 場所:心斎橋BIGSTEP 特設ステージ&SPOTAKA (大阪府大阪市中央区西心斎橋1-6-14) CARIUMAについて CARIUMA(カリウマ)は、2018年にフェルナンド・ポルトとデヴィッド・パイソンによって設立されたB-Corp認定のコンシャス・スニーカー・カンパニー。現在ではオスカー受賞者、グラミー賞受賞者、オリンピック選手にも愛用されており、人と環境を第一に考える、時代を超越したクラシックスニーカー。またCARIUMのスニーカーはそのクラシックなスタイルに高級素材を使用しており、ほぼすべての服装に合わせることが可能。更に使用素材はすべて最高品質で耐久性もテスト済み。CARIUMAは長持ちする製品を作ることを信条としているため、マスプロダクション削減にも貢献している。 CARIUMAが行う「森林再生」について カリウマは靴1足が売れるごとに2本の木を植えます。このプログラムは完全に私たちのチームによって運営されており、単に木を植えるだけでなく、ブラジルの熱帯雨林の全体的な再生に焦点を当てています。私たちは、植樹の一部を先住民の土地に植え、先住民の文化や知識を高めることに取り組み、現在約70人の先住民(グアラニー族とトゥピニキム族)が私たちのプログラムに関わっています。これまでに250万本以上の植樹を行っており、今後もさらに多くの植樹を行う予定です。カリウマはあなたのために、そして地球に優しいシューズを作ります。 SPOTAKA(スポタカ)とは 従来のスポーツショップとは違う角度から「スポタカ」という新たなスタイルで発信している大阪ミナミのリアルスポーツショップ。2022年に創業100周年を迎えた当店は、日本のサーフィンシーンに関しても創成期から支えており、シーンの発展に貢献してきた立役者としても知られている。
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danceブレイキン日本代表が上海で躍進!FISE上海大会 Shigekix 金メダル、 Ayumi 銅メダル獲得!2024.10.202024年 10 月 19 日と 20 日に、中国 上海市(シャンハイ)にて、WDSF Breaking for Gold World Series が開催された。本大会では 16 ヵ国から 72 名の選手が参加し、日本からは 6 名(男女各)の日本代表選手が出場。 6 名の代表選手は危なげなく DAY2 である TOP16 へ進出し、男子決勝はパリ五輪のグループリーグでも対戦相手であった、Lithe-ing(中国)に見事勝利し、Shigekixが金メダルを獲得。また女子の Ayumi は TOP4 で Royal(中国)に敗戦したものの、3 位決定戦にて 2:1 で勝利を納め、銅メダルを獲得した。 SHIGEKIX AYUMI Shigekixコメント 今日は優勝という形で終えることができて本当に嬉しい気持ちです。これまで用意してきたものがちゃんと発揮できたその喜びに胸がいっぱいです。そし て、これがパリオリンピックの後の大きな大会になったので、一歩踏み出す勇気を出せたと思います。応援ありがとうございました。 Ayumiコメント 無事に FISE 上海が終わりました。自分自身ダメだったところもたくさんあったんですが、次に向けてそれらを課題に頑張っていきたいと思います。応援ありがとうございました。
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bmx度重なる怪我や困難を乗り越え、男子エリートは中井飛馬が悲願の優勝「第41回全日本自転車競技選手権 – BMXレーシング」2024.10.14「第41回全日本自転車競技選手権 - BMXレーシング」が2024年10月12日(土)~10月13日(日)に2日間にわたり、大阪府堺市の大泉緑地サイクルどろんこ広場にて開催された。男子エリートでは中井飛馬選手、女子エリートでは藪田寿衣選手が今年度の全日本チャンピオンの座を獲得した。 今年のBMXレーシング種目の全日本選手権は昨年とは異なり連日天候に恵まれ、大会当日も雲ひとつない晴天の空の下、10月とは思えない暑さの中でプログラムは進行していった。 今回の会場となった「大阪府堺市大泉緑地サイクルどろんこ広場」では昨年、一昨年に引き続き3年連続の全日本選手権開催となり、チャンピオンシップ(エリート・U23・ジュニアを含む)とチャレンジカテゴリーを合わせて全34クラスにて老若男女のBMXライダーたちが全国から集まり日本一の座を争った。 また全日本選手権と言えば、「観るスポーツ」としても会場を盛り上げる演出の数々も欠かせない。今回も目を惹く大型バナーやスクリーンの装飾と観客エリアの設置や、チャンピオンシップカテゴリー決勝の選手呼び込み時にはスモークを使用するなど特殊効果演出が、観客や選手たちのボルテージを最高潮に引き上げていた。 以下は、今大会大注目のチャンピオンシップカテゴリーの決勝レースのレポートである。なお今回、チャンピオンシップカテゴリーは人数の関係から各種目にて予選決勝を含む3ヒート合計の順位で争われたため、本記事では表彰台を確定させた最終レースのみをピックアップして紹介する。 男子エリートは中井が2019年ぶり自身2度目のタイトル、女子エリートは藪田がエリート初タイトルを獲得 男子チャンピオンシップカテゴリーでは目を引く空中戦が繰り広げられた。photograph by Japan Cycling Federation / Satoshi Oda 男子チャンピオンシップカテゴリー チャンピオンシップカテゴリーは3ヒート合計という難しい戦いに。photograph by Japan Cycling Federation / Satoshi Oda 男子エリートクラスは総勢8名のエントリーとなった中で日本一の座を争う形となった。今回は3ヒート合計というフォーマットも相まって、1レースでも失敗するとダイレクトに最終結果に響いてくることから、拮抗したレース展開を見せていた。なお今回最終レースでのポイントとしては、1本目と2本目を1位通過して日本一に大手をかける中井飛馬を、暫定2位の一昨年の全日本チャンピオンの島田遼と、暫定3位の昨年の全日本チャンピオンの増田優一が抑えることができるかに勝敗が分かれる戦いに思えた。しかし、そんな周りの予想をよそに今回も見事なスタートダッシュを決めたのは、世界最高峰で活躍し日本のBMXレーシングシーンを牽引している中井飛馬。 終始強さを見せた中井飛馬(#71)photograph by Japan Cycling Federation / Satoshi Oda 最終レースは6コースということもあり、一番インコースからのスタートとなった増田の猛追も懸念されたが第1コーナーで前へ出ると、その後のプロセクションや第3ストレートもそのリードを保ったまま最終コーナーへ。2位につけた増田が猛チャージで距離を縮めるもわずかに届かず、中井が最後まで逃げ切り2019年から5年ぶりとなる自身2度目のエリートクラスでのタイトルを獲得した。そのまま2位には増田、3位には島田という着順になったが、1本目と2本目の合計でリードした島田が最終的に2位、増田が3位で今大会を終えた。 ここ数年、パリオリンピック予選大会もある中で何度も大怪我に見舞われ自分の思うようなレースができておらず悔しい思いをしてきた中井。そんな彼が今回5年ぶりの全日本タイトルを見事獲得した。ロサンゼルスオリンピックに向けて新たな4年が始まろうとしている中で、幸先良いスタートを切った彼が今後国内外のレースでどんな走りを見せてくれるのかにも注目だ。 男子アンダー23タイトルを獲得した北川晃久(#53)photograph by Japan Cycling Federation / Satoshi Oda 男子アンダー23クラスには計7名が集まり日本一の座が争われたが、一本一本が重要であるためか、2本目ではプロセクションで選手2名が接触して転倒したり途中棄権となるなど、まさに「自転車の格闘技」といった内容で最後の最後まで結果がどうなるかが分からない波乱の展開が繰り広げられた。 そんな中、5名の選手で迎えた最終レースは、優勝候補の一角であった中林凌大が1本目と2本目を上回るべく1位でゴール。しかし1本目と2本目を1位を収めて3位で最終レースを終えて、終始安定した強さを見せた地元大阪の北川晃久が優勝し初タイトルを獲得。同じく安定して2位ポジションを守った島田壮が2位、その後に中林凌大が3位と続く形となった。 ジュニアタイトルを獲得した狩峰颯太郎(#65)photograph by Japan Cycling Federation / Satoshi Oda 男子ジュニアクラスは6名の選手がエントリー。途中で1名の棄権もあり5名の選手で迎えた最終レースは、1本目で1位、2本目で2位と安定してトップ位置を守った地元大阪の狩峰颯太郎がここも1位で収めて初タイトルを獲得。その後に続き野村羽玖が2位、岸龍之介が3位と続く形となった。 女子チャンピオンシップカテゴリー 統合クラスとなった女子チャンピオンシップカテゴリーphotograph by Japan Cycling Federation / Satoshi Oda 女子のチャンピオンシップカテゴリーに関しては、今回も出場者数の関係からエリート・U23の2クラスが統合での開催となった。6名の選手が集まった今大会は統合クラスでの戦いになったものの、今回の出場メンバーは東京オリンピックとパリオリンピックの2大会連続日本代表の畠山紗英をはじめ、各クラスの前年度のアジアチャンピオンである藪田寿衣や西村寧々花など世界を股にかけて活躍する日本代表選手たちが勢揃いした。 レースの展開としては、各レースで接触や転倒があり最後まで結果がわからない展開に。最終レースではスタート後に畠山と丹野が接触し丹野が転倒。その転倒には巻き込まれず見事に逃げ切り、3本共に安定した順位を残した藪田寿衣が全日本チャンピオンタイトルをエリートカテゴリーで勝ち取った。その後に続いたのは前年度のタイトルホルダーでオリンピアンの畠山、そしてベテランの瀬古という順になった。 U23カテゴリーのタイトル争いを制した西村photograph by Japan Cycling Federation / Satoshi Oda U23カテゴリーのタイトル争いは野村と西村による一騎打ちとなったが、昨年タイトルを逃して悔しい思いをした西村が3本とも強さを見せるライディングで野村を上回りが見事タイトルを獲得した。 大会結果 左から島田、中井、増田の順photograph by Japan Cycling Federation / Kenichi Inomata <男子エリート>優勝: 中井 飛馬 (ナカイ・アスマ) / MONGOOSE・ XLARGE準優勝: 島田 遼 (シマダ・リョウ) / GAN TRIGGER3位: 増田 優一 (マスダ・ユウイチ) / 大阪体育大学 左から畠山、藪田、瀬古の順photograph by Japan Cycling Federation / Kenichi Inomata <女子エリート>優勝: 籔田 寿衣 (ヤブタ・ジュイ)準優勝: 畠山 紗英 (ハタケヤマ・サエ)3位: 瀬古 遥加 (セコ・ハルカ)/ iRC Tire 左から島田、北川、中林の順photograph by Japan Cycling Federation / Kenichi Inomata <男子Under23>優勝: 北川 晃久 (キタガワ・アキヒサ) / Deux Roues Elite Team 準優勝: 島田 壮 (シマダ・ソウ) / S-PRO BMX CLUB 3位: 中林 凌大 (ナカバヤシ・リョウタ) / 弱虫ペダルサイクリングチーム 左から野村、西村の順photograph by Japan Cycling Federation / Kenichi Inomata <女子Under23>優勝: 西村 寧々花 (ニシムラ・ネネカ) / 大阪体育大学・GAN TRIGGER準優勝: 野村 凪沙 (ノムラ・ナギサ) / Ace Race Australia Factory Team 左から野村、狩峰、岸の順photograph by Japan Cycling Federation / Kenichi Inomata <男子ジュニア>優勝: 狩峰 颯太郎 (カリミネ・ソウタロウ) / STAYSTRONG JAPAN・Deux Roues Elite Team準優勝: 野村 羽玖 (ノムラ・ハク) / NoLogo Racing Japan3位: 岸 龍之介 (キシ・リュウノスケ) / モトクロスインターナショナル 大会概要 ⼤会名称 : 第41回全日本自転車競技選手権 - BMXレーシング開催期間 : 2024年10月12日(土)~10月13日(日) -2日間-大会会場:大阪府堺市 大泉緑地サイクルどろんこ広場(大阪府堺市北区金岡町128)主 催 : 公益財団法人日本自転車競技連盟主 管 : 一般社団法人全日本フリースタイルBMX連盟後 援 : 大阪府、堺市、堺市教育委員会、公益財団法人JKA協 力 : 大阪府自転車競技連盟、特定非営利活動法人ドゥールース(サイクルピア岸和田) 特別協賛:TOYO TIRE
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doubledutch日本のダブルダッチがパリ五輪 2024の“エキシビジョンアクト”に!2024.10.11世界を熱狂の渦に巻き込んだパリオリンピック。4年に一度催される“平和の祭典”だが、今回はストリートカルチャーの関係者から一際注目を浴びた回だったように思う。2021年の東京オリンピックで開催されたスケートボード・BMXに加え、ブレイキン(ブレイクダンス)が種目として採用。数々の名勝負が生まれ、そして日本のストリートカルチャーの強さと勢いを世界へと知らしめた。 さて、その傍らで、2本のロープを用いたジャンプロープ(なわとび)である「ダブルダッチ」もパリ五輪と関わりがあったことをご存知だろうか?正式種目としての採択はされていないものの、パリ五輪の様々な会場でパフォーマンスと体験会が行われたのだという。 その取り組みに、日本からは世界三連覇のプロチーム・REG☆STYLEよりKO-YAとKEITA、そして将来を嘱望されているMillennium CollectionよりASUKIの3名が参加。彼らがパリで見た景色とは。そしてダブルダッチ・ジャンプロープがオリンピックの正式種目入りを目指し、世界的に活動を広げている中で、この取り組みは“希望の光”となり得るのだろうか? 現地パリにて、左からKEITA・ASUKI・KO-YA どんなことをしてきたの? まずは、今回の取り組みについて解説しよう。国際オリンピック委員会(IOC)からの依頼を受け、国際ジャンプロープ連合(IJRU)に所属する選手のうち、日本・アメリカ・フランス・香港から4カ国のジャンプローププレイヤーが招聘。ブレイキンやBMX、スケートボードなど、アーバンスポーツ系の会場を中心に取り組みを行ったという。 メンバーのKO-YAはこの取り組みについて、後にこう振り返っている。 「全てのエキシビションコンテンツを見れているわけではないですが、オリンピックの正式種目になっているジャンル以外で、これだけいろんなところで会場を盛り上げられていたのはジャンプロープしかなかっただろう、という印象と手応えはありました」 現地ではショーやバトルなど、さまざまなコンテンツが催されたという。 各国のジャンプローププレイヤーたちと 世界からの思いと“日本流”を背負って 今回、KO-YA・KEITA・ASUKIの3名がパフォーマーとして参加したパリ五輪。国内外のジャンプロープカルチャーにとって重要な影響を与えることになる役割だが、最初にKO-YAがこの話を受けたときの印象について、振り返ってこう語った。 「めちゃくちゃ覚えています。とにかくワクワクしたし、やっぱり『オリンピック』ってものをみんなで目指そうとしている僕らにとって、確実に大きな経験値になるだろうなと。それを直に肌で感じられる場所に行けることは、経験もフィーリングも確実に大きいものを得られるなと思いました」 パフォーマー3名と、JJRU(日本ジャンプロープ連合)事務局長である原竹 純氏 「また先輩たちが築き上げてきてくれたおかげで、僕たちが歴史的通過点に立てるわけで、そこへの感謝と同時に強く責任も感じました。このカルチャーを世界のみんなでオリンピックに、という気持ちはあるけど、日本が育ててきたダブルダッチのカッコよさや面白さ、そして人間的にも成長させてくれるような競技としての奥深い部分、そういったことをシェアできる喜びと、しなければならないという責任感。ジャンプロープ、ダブルダッチ、日本の代表として、しっかり存在感を見せつけないといけないと強く感じました」 実際のジャンプの映像は、ぜひKO-YAのインスタグラムをご覧いただきたい ところで、日本はジャンプロープ強豪国と言われているのをご存知だろうか。KO-YA率いるREG☆STYLEも、世界大会において前人未到の3連覇を果たすほか、ソロバトルやスポーツジャンルにおいてもさまざまなタイトルを獲得。その強さの秘訣について、KO-YAはこう分析している。 「ジャンプロープにも色々なジャンルがありますが、僕らがやっているダブルダッチのフュージョン*に絞って話をすると、音楽と合わせたエンターテイメント性はかなり強みだと認識しています。ショーとしてしっかり成立していて、お客さんを沸かせる技術に特化しているなと。他の国のショーと比べても、日本は緻密に音にハマっているし、もちろんスキルもある。見ている人たちの心を掴む、“会話”する感じのパフォーマンスなんですよね」 *フュージョンダブルダッチのジャンルの一つ。単純に技を点数化するスポーツジャンルとは異なり、音と動きを“融合”(フュージョン)するスタイルのことを指す。 2019年、REG☆STYLEとして世界三連覇を果たした世界大会にて中央がKO-YA、一番右がKEITA 「実は日本でダブルダッチを最初に始めたのはダンサーなんです。でも、それが大きかったのではないかなとも。ロープの中でのグルーヴ感やリズム、そういったダンサブルな動きは日本ならではですね。あと、日本は“カルチャー”として動いている。他の国はスポーツ的なんですよね。良し悪しあると思いますし、それが各国大切にしているスタイルですから否定したい意図はないのですが、ファッションへのこだわりや音楽性に紐づいた演技、歴史的なところを熟知している部分とか、そこは日本流の強みだと思っています」 目の前に広がる“世界の熱気” 話をパリに戻そう。世界のプレイヤーたちが願ってやまないオリンピックの正式種目化。形は違うものの、今回そのステージに立ったKO-YAはどんな景色を見てきたのか。当日を振り返り、“世界的な祭典”の勢いと熱気を、興奮混じりに語ってくれた。 「やっぱり世界的なお祭りだった。うん、やっぱりなんか、みんなの熱気が凄いんですよね。街どころか国ぐるみのイベントだし、ただいろんな人種の人もいて、そのたくさんの人が一体になって作り出している熱気の感覚というのが、本当に凄まじかったです」 ブレイキンの会場にて、日の丸をまとった外国人と 「あと、みんな“お祭り”にきている感覚ということもあるんでしょうか、みんながポジティブな印象も受けました。これがオリンピックの作るPEACEな空気感なんだと。ブレイキンで日本のB-GIRL AMIちゃんが金メダルを獲ったときも、日本人だけじゃなく世界中の人が一緒に沸いてくれて、他の国を称え合うようなムーブメントに肌で触れて、『オリンピックってマジで素敵だな』って、心の底から感じましたね」 その一方で、感じていた“責任感”の部分についても語ってくれた。 「これまで経験してきたステージと比べても、やっぱり文字通り『全世界』が注目している場面だな、凄いなっていう感覚がありました。どうやらオリンピックチャンネル*に自分が映ったみたいなんですけど、それも何カ国の何人が見てるんだろうなっていう。地球丸ごと見られてるんだろうなっていう感覚があって(笑)。もう鳥肌もんでした」 *オリンピックチャンネル国際オリンピック委員会(IOC)が運営するインターネットテレビ局。日本語をはじめとした11ヶ国語に対応し、世界中に配信されている。 KO-YAたちの現地パリでのようすは、KO-YAのインスタグラムにも投稿されている。リールは現時点(2024年10月時点)で多いものだと約70万再生、また数多くのシェア(拡散)もあった。なかには「これを次の種目に入れてくれ」という趣旨のコメントも多々あったといい、未来への手応えや正式種目化への自信も感じたという。 「あくまで通過点」 日本のジャンプロープシーンを牽引し続け、今もなお現役として数々のチャレンジに挑む。長年にわたって現場で戦い続けているKO-YAへ思うところを訊くと、こんな言葉が返ってきた。 「オリンピックにはなってほしい。けど、あくまで通過点に過ぎないとも思っています」 「一番は、このジャンプロープというカルチャーが世界に広がってほしいということ。僕らが『カッコいい』と思って積み重ねてきたものが、より広がってほしいなと思うんです。でも、だからこそオリンピックは重要な通過点になると思うから、絶対になってほしい。それが広がって、いつかジャンプロープのワールドカップが生まれたり、あとは普段から切磋琢磨して高め合っている他のストリートカルチャーと一緒にワールドカップが出来たりしたら、めちゃくちゃ面白いなって」 シーンを“自分ごと”として語る彼の言葉には、決してただの“夢物語”ではない力強さがあった。そんなKO-YAにだからこそ、最後に敢えて彼自身のこと、これからへの思いについて訊いてみた。 「僕個人としては、まずダブルダッチ・ジャンプロープをもっと広めるキッカケになりたいと思っています。そのために、1つは今ジャンプロープをやっている世界の人たちとコミュニケーションを取って、素敵だと思ったものをみんなでシェアしていきたい。もちろん次世代の子たちのことも考えて。そしてもう1つ、ダブルダッチを知らない、やっていない人たちへ『こんなヤベえもんがあるんだ!』ってことを伝えたい。イベントに脚を運んだり、出たりということも大切ですが、今はSNSの時代なので、いわゆる“空中戦”での身捌きも大切だなと思っています」 「自分自身、もしオリンピックになった時にどのような関わり方をするか、出来るかは分かりませんが、きっと正式種目化のキッカケを作る側の立場にはいるだろうと、責任感は感じています。でも欲を言えば……パリ五輪を見て、やっぱりオリンピック出てぇ〜、自分が選手として金メダル獲ってみたいなって思いましたね(笑)。次に可能性があるのが8年後のオーストラリアのブリスベン五輪とのことで、8年後だと自分は42歳。出れるのか、そもそもプレイヤーとしてやっているかすら分かりませんが。ただ、B-GIRL AYUMIさんも40歳でオリンピックのステージに立っているから、別に全く無い話ではないなとも思っています。希望は捨てずに」 KO-YAの言葉がますます熱を帯びる。シーン全体を支える自負と、いちプレイヤーとしてのあくなき探究心が、今日まで彼がトップランカーとして輝き続けてきた理由なのかもしれない。今後の思いを語るなかで、再びKO-YAの言葉がシーン全体の話へと戻っていく。 「あと、さっきジャンプロープの仲間にシェアしていきたいという話もしましたが、むしろ“刺激を与えたい”とか“刺したい”という感覚に近いかもしれませんね。世界一丸となってムーブメントを起こしていく上で、ジャンプロープ全体の持つスポーティーな感覚と、僕ら日本のダブルダッチカルチャーが培ってきたカルチャー的感覚、そこを織り交ぜた唯一無二のものを目指していきたい。輸入したり、逆輸入してもらったり。そのためにも、自分が説得力を持った存在でなければならないなと思っています」 2022年、“個人戦”でチャンピオンに輝いた瞬間 日本のジャンプロープを支えるKO-YAの存在は、表からも裏からもシーンに強い影響を与え続ける、唯一無二のトッププレイヤー。彼が随所に口にした先達への感謝と、未来への希望。インタビュー中盤でも語ってくれた、ダブルダッチというスポーツの〈人間的にも成長させてくれる〉という魅力を体現するような生き様は、まさに彼がダブルダッチそのものであることを証明するようなものだった。 この先のことは分からない。しかし思えば、日本にダブルダッチが“輸入”された1992年から、暗中模索の状態でカルチャーを築き上げてきた。そこから30年余りが経過し、確実にシーンは前進している。まだ見ぬ未来と、感じた手応え。道なき道をジャンプで進む旅人たちの足音が、今日も響き続けている。