#4 JPSA2022ツアーを振り返る -水野亜彩子のTake it easy.-

2022.11.26
text by Mizuno Asako

皆さん、こんにちは。水野亜彩子です。
前回の記事から間が空いてしまいましたが、ここから定期的にアップさせて頂きますのでお付き合い頂けると嬉しいです。

今回はJPSA(日本プロサーフィン連盟)2022年のツアーについてお話させて頂きたいと思います!

常にベストを尽くすことの難しさ

第1戦千葉県一宮町釣ヶ崎海岸さわかみ一宮プロ ®JPSA

JPSA2022年の今シーズンは、4月4日〜4月6日に東京オリンピックのサーフィン会場になった千葉県一宮町釣ヶ崎海岸さわかみ一宮プロからJPSA2022第1戦目がスタートされました。

第1戦から続く第2戦の間は約4ヶ月半の時間が空いて、8月25日〜 8月27日に伊豆七島の1つ、新島で第2戦新島プロが開催されました。ここからは約2週間の間隔で試合が続いていきます。

第3戦目は茨城県大洗町の磯場ポイントで第26回茨城サーフィンクラシックさわかみ杯が9月6日〜9月8日で開催され、第4戦目はムラサキ鴨川プロ suported by 秀吉内装が千葉県鴨川市東條海岸で開催されました。そして最終戦となる第5戦、さわかみ日向プロが宮崎県日向市で2022年10月23日〜10月26日に行われ、JPSA2022年のシーズンが終了しました。

スケジュールを見ていただいても4月から始まり、最終戦は10月末とJPSAの年間のツアーは約半年間となります。試合数はその年によって違いますが、今年の大会は5戦行われました。年間ツアーランキングは全5戦のうち下位1戦を差し引いた合計ポイントで決定します。ということは、どの試合も基本的には落とすことができないということです。半年間試合が行われると着用するウエットスーツも異なり、多少ではありますがサーフボードの浮力も変わっていくので感覚も変わっていきます。また全国で試合を行うので波質や波の大きさでサーフボードを選んでいかなくてはなりません。

そういった調整を行いながら半年間、試合へ挑み続けることの難しさを改めて感じました。

コンディションの変化に対応することの重要性

photo by Asako Mizuno

サーフィンの大会は相手もいますが、自然も相手になるスポーツです。

自分がどの場所で波を待つのか、どの波を選ぶのかというのは各選手、自分の試合の前に確認し挑んでいます。しかし自然相手なので、いつ波が来るのかきっちりとした時間は決まっているわけではありません。自分の試合になった途端、狙っていた波が急に来なくなってしまったり、波を待っていた場所と違う場所に波が来てしまったりすることもあります。

また、潮の満ち引きの影響で波が来なくなってしまったり、流れが発生してしまうこともあります。日中、気温が上がるような気候ですと、風が吹いて海面が乱れてしまいサーフィンを行う際の条件が少し悪くなってしまうこともあります。毎試合海の状況が変わる中、いかに臨機応変に対応出来るかというのはとても重要になっていきます。しかし迷いがある中で動いてしまうと、波周りと自分の動きが噛み合わなくなってしまい良い波に乗れず敗退してしまうことがあります。

今シーズンは試合を解説して頂いた中で、本当に毎試合ごと波の状況が変わるシチュエーションが多く感じました。周りの状況に惑わされず待ち続けることが功を奏することもあれば、変化に瞬時に動いていくことが功を奏することもあったりと、本当に自然相手ならではのスポーツの判断力の重要性が伺えました。

歴史に残る前代未聞の全戦優勝を達成

女子グランドチャンピオンに輝いた中塩佳那選手 ®︎JPSA

日本サーフィン連盟(NSA)の年間ツアーランキング1位を5年連続で獲得という偉業を成し遂げた中塩佳那選手が今シーズンからプロへ転向しました。NSAでも素晴らしい功績を残している中塩選手は初戦から注目選手の1人でした。期待がかかる中JPSAでなんと全戦優勝でグランドチャンピオンという偉業をプロ1年目から成し遂げたのです。

どの大会も確実にアベレージ以上のスコアを出すことの出来る技術力の高さを改めて感じ、向かうところ敵なしとは、まさにこのことを言うのかと感じる程の強さを見ることが出来ました。中塩選手は試合を重ねるごとにより戦術、精神面がより強くなっていた気がしました。個人的に中塩選手の強さを見たのは9月6日〜9月8に行われた第3戦目、第26回茨城サーフィンクラシックさわかみ杯です。この時期はJPSA2戦 新島プロが8月25日〜 8月27日に行われ、第3戦 第26回茨城サーフィンクラシックさわかみ杯との間の9月1日〜9月4日に静岡県御前崎海岸でWSL QS1000 White Buffalo Omaezaki PROが行われ、わずか2日後にJPSA第3戦 第26回茨城サーフィンクラシックさわかみ杯がスタートするというハードスケジュールの中で大会が行われました。

1戦目、2戦目に比べて勝利者インタビューで中塩選手に話を伺っても、3戦目は自分の中でしっくりいっていない様子でした。実際に観ていても今までの勢いとは異なり、ギリギリでラウンドアップする場面もありました。しかし、勝ち上っていく中で自分のサーフィンを波に合わせリズムを掴んでいき、そして見事優勝しました!技術面はもちろんですが、メンタル面でもとても強さを感じました。そして、この大会は自分で勝利をもぎ取って行った。そんな勝利に見えました。この優勝でまたひとつ自信を付けて調子を上げていたような気がしました。

中塩選手の強さは技術面に合わせて、波に対しての対応力が素晴らしいところだと思います。

いくら上手い選手でも波に乗れないと勝てません。中塩選手は波の状況に合わせて、待つことも動くことも出来て、必ずその試合のいい波に乗ることができる。いい場所にいないと波に乗ることが出来ません。この良い波を見つけるという力が中塩選手はずば抜けている部分だと思いましたし、全戦優勝に繋がったひとつの要因だと思います。

サーフィンが競技として認められていることを実感

photo by Asako Mizuno

今回、JPSAツアーを見ていて感じたことがあります。それは、プロサーファーと大学生の二足のわらじで活躍している選手が多いことです。

全戦優勝しグランドチャンピオンに輝いた中塩佳那選手も、男子のグランドチャンピオンに輝いた金澤呂偉選手も現役大学生でした。選手自体の低年齢化も理由の1つになると思いますが、サーフィンがスポーツとして認知されてきたのかなと感じます。私の時代はまだサーフィンで大学推薦する方はほとんど居ませんでした。大学へ行くことで選択肢の幅も広がりますし、サーフィン以外の人と関わる機会も増え視野も広がると思うので素晴らしいことだと思います。

JPSAは今シーズン終了しましたが、まだサーフィンのコンテストシーンは続いています!各国で行われている大会で日本人選手も活躍しています。異国の地で戦う選手を応援していきましょう!

執筆者について
FINEPLAY編集部
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