昨年2024年も世界的なスポーツの祭典である「オリンピック2024パリ大会」で世界から注目が集まった自転車競技「BMXレーシング」。どの競技に限らず世の中ではメダリストばかりにスポットライトが当たりがちだが、パリ大会にこのBMXレーシング種目にて並々ならぬ思いで挑んだのが同競技男子日本代表の中井飛馬(なかい・あすま)だ。
実際結果だけ切り取れば、惜しくも彼のパリオリンピック出場は叶わなかったのだが、その裏側には「出場できなかった」の一言だけではまとめきれないほど多くのストーリーがあった。今回はそのオリンピック予選シーズン中に起きた出来事をまとめて映画化。それがドキュメンタリー映画「LIFE IS SNAP」である。なお本映画は2025年1月24日(金)に渋谷HUMAXシネマにてプレミア公開が行われる。
今回は「LIFE IS SNAP」の上映まで残り1ヶ月を切った中、ドキュメンタリー映画制作のきっかけから制作後の現在に至るまで、また今後の展望を含め、本映画の主役であるプロBMXレーサー中井飛馬と二人三脚で制作を担当したストリートライダーでクリエイティブレーベル「MANNERS KNOWS.」のディレクターで本映画の監督を務めた廣瀬“MARCO”裕平へ特別に話を聞いた。
中井 飛馬(以下:中井)
廣瀬”MARCO”裕平(以下:MARCO)
今回のドキュメンタリー映画制作に至る背景とは

– 最初にお二人の出会いについてお聞かせください。
中井:遡ると結構前のことになるのですが、僕が17歳ぐらいの頃なので、7〜8年前に今回のプロジェクトのスポンサーで入ってくれているアパレルブランド「CHROME」の展示会かパーティーで「同じ新潟出身のお兄さんいるよ。」みたいな感じでMARCOくんを繋いでもらいました。
MARCO:確か展示会でしたね。僕がその時CHROMEのライダーだったこともあって、CHROMEの選手担当をやっていたマネージャーを通じて紹介してもらったのが飛馬との出会いでした。
中井:そこが最初の出会いで、それからはたまに僕がMARCOくんの展示会に行ったりとか元々働いていた自転車屋の「W-BASE」に顔を出したりとかでずっと繋がっていました。当時は共通点があるだけでそんなに深い付き合いではなかったです。
でもMARCOくんが「ALL GREEN island / alley」っていう飲食店をオープンしてから、僕もお店に行くようになって会う回数が増えていくうちに、「何かやりたいんすよね」みたいなことも会った時によく話していました。それからしばらく経ってドキュメンタリーを撮りたいと思ったので相談したら「それ俺撮るよ。」って言ってくれたのでお願いする形になりました。
MARCO:飛馬が自主制作で進める上で、実費で活動資金から各項目の概算を出してきたのですが、彼が求めていたドキュメンタリー映像のクオリティは普通の制作会社に頼むと、現実的に想定していた予算じゃ収まらないことが想像できて、また話している中で飛馬の理想の映像って尖っていて感覚が大事だなと感じたので、そうなると普通の企業だと実現するのは正直厳しいと思いました。
でも「俺だったら撮れるんじゃないか?」と思った中で、具体的に色々考えてみると、すごく大変な作業になるので腹括れるのかという部分もあったんですが、でも飛馬の人間性も踏まえた上で是非撮りたいと思ったのが一緒にこのプロジェクトを始めたきっかけでした。
– どうしてドキュメンタリーとして映像を残そうと思ったのでしょうか?
中井:理由は色々ありますが、僕が好きなスケーターやスノーボーダーは自分たちでイベントを企画したり、映像を作ってみんなに見てもらう形がある一方で、BMXレースの場合は開催される大会に出て結果を残すかどうかだけなので、自分たちでコントロールできる部分が少ないですし、僕が普段感じていることや表現していきたいことを見せていくのが今のBMXレースシーンの中では難しいと感じたんです。
その葛藤の中で、自分が好きなものをもっと詰め合わせて、僕が好きなBMXレースをもっと色々な人に広めるためにも映像を作りたいと思うようになりました。でもスケーターみたいにエディットとかビデオパートを作るのも何かが違うと感じていました。

MARCO:その話で相談された時も「自分のプロフィールになるようなものを作りたい。」ということを飛馬がよく言ってたのを覚えています。
中井:そこでBMXレースを通じて「これが自分!」みたいなものを出せる場所として思い付いたのが「ドキュメンタリー」だったんです。最初想定していたのは10分〜15分ぐらいの映像だったので、映画になるとは思っていなかったですけどね。
MARCO:現在最終調整段階なのですが、結果的には90分から100分の映画になる予定です。クオリティもすごい良いものになっているので観に来てくれる人たちも驚くと思います。多分みんなは期待値を少し下げていると思いますけど、謙遜した上でも「これ映画だな。」って思ってもらえるものになっています。
– 「LIFE IS SNAP」という題名にした理由は何でしょうか?
MARCO:撮影の後半だったんですけど、この映画をどうやって世間へ発信していくかを考えないといけないタイミングで世界選手権の前だったのですが、ここからのストーリーを少しだけでもSNSを通してみんなに見せていくことで、このプロジェクトが本格的に始まっていく動きを上映会に向けて作っていこうと思いました。そしてそのためには映画の名前が必要ということに気づきました。
そこでレースにまつわる言葉やスラングっぽいワードも含めて色々な単語を出し合っていたら「SNAP」っていう言葉が引っかかったんです。

中井:そうなんです。「SNAP」というワードにいくつか意味はあるのですが、まずはBMXレースのスタートで“よーい、どん”の時にする「スナップ」。そして怪我で骨折する表現の「スナップ」。あとは人生は長く感じるけど、気づいたらもう一瞬で終わるっていう意味での「スナップ」ですね。
それ以外にも僕自身、写真撮るのも好きだったりするのでそういう意味での「スナップ」みたいな形でこのワードが自分の状況に綺麗にハマったんです。ただ「SNAP」だけだとちょっと寂しいので人生を切り取るっていう意味もかけて「LIFE IS SNAP」にしました。
作品の中でこだわったのはアスリートの一面だけではない人間味溢れるリアルな姿
– 今回の作品の見どころをお聞かせください。
MARCO:見どころはやっぱり「あの怪我」ですね(笑)ネタばらしみたいになるのであまり話せないんですけど、大怪我の瞬間を偶然撮れてしまった時に、本当の意味でドキュメンタリーが始まったなって感じました。むしろその瞬間は今後の撮影も打ち切りでこのプロジェクト終わったなと思ったぐらいの出来事でした。

あとは自分が今まで色々なライダーを撮ってきて分かったことですが、どのジャンルでもトップに立つ選手たちって、オンとオフの切り替えで目が変わる瞬間があるんです。そういう瞬間は見ていると結構ゾクッとするんですけど、そのゾーンに入った時の表情の変わり様もこの映画で上手く描けていると思います。
これは自分自身、今回の制作の中でやりたかったことで、トップ選手だからこそ戦い抜いてこれた今までの経験から来るその感情の移り変わりが見られる映像になっているので、観ている側もジャンルは違えど何かしら感じられるものがあると思います。
– そういった部分を見せる上でも撮影でこだわった点はありますか?

MARCO:こだわりはたくさんあるのですが、分かりやすく技法で言えばスタビライザーは使わないとかですかね。機材も20万円ぐらいでボディを買えるカメラやiPhone15 Proを使っていますが、このレベルの機材でこのクオリティの作品を感じさせることができたのは大きいと思います。
何百万〜1千万みたいな機材じゃないと撮れない世界ではなくて、こういう風に超雑草で育ってきた自分たちでも作れたという実績を見せることで、今後次の世代から「俺でもできる!」って思える人たちが出てきたら面白いなと思っているのでそういう部分はこだわりですね。とはいえそれなりにお金は掛かっていますが。。
– またそんな撮影の中で大変だったところはありますか?
MARCO:許可取りですね。特にワールドカップとかはUCI(国際自転車競技連盟)の規定があったりで、まずコースに撮影で入らせてもらえないですし、選手の控え室にも入らせてもらえないところからのスタートなので、どういう理由で入らせてもらうかを交渉する点はかなり骨が折れました。
中井:すごい頑張ってUCIのメディア担当の偉いおばさんと仲良くなって交渉しました。色々理由も聞かれたのでなんとか了承してもらえるように必死で説得しました(笑)

MARCO:以前NHKでも飛馬のドキュメンタリー企画を放送したんですけど、それに今回の映画でも使っている素材を提供しているんです。そのため交渉の時にもNHKっていう言葉をすごい使わせてもらって、個人制作というよりは地上波のテレビ局に流れる映像を撮るという目的を兼ねたことで進めやすくなりました。
この方法にはNHKの方もすごい協力的でプロジェクトを応援したいからって色々手伝ってくれましたし、本当に色々な方々が力を貸してくれたので皆さんのおかげでこの映画が撮れています。だからこそ「絶対良いものにします!」っていう思いです。
中井:他には予算とかの資金繰りも大変で、お金もなんとか上手くセーブしながら進めてきました。
MARCO:本当に自分たちだけでやるようなプロジェクトのレベルではなかったんですけど、この映画のクオリティの高さは見てもらったら分かると思います。「この映像本当に1カメだけ?」みたいなところもあります。
– ちなみに中井選手、この作品を撮影しながら転戦したシーズンはいかがでしたか?
中井:実はこのプロジェクトのおかげで競技活動の面でもとても助かりました。これは誰にも言ったことがなかったのですが、MARCOくんはかなり先輩ですけど仲良いですし、今までの海外遠征ではレーサーとしか一緒に生活していなかったこともあって、MARCOくんと一緒に活動することですごい気分転換にもなりました。
またあまりレースのことは知らないけど感覚が似ている人が「いけるいける!」と励ましてくれたことがすごい自分の力になっていて、普段のトレーニングや大会の時もより一層パワーが出ましたね。だからとても楽しかったです。プレッシャーとかはもちろんありましたけど良い方向に働きました。

– この作品で注目して見てほしい部分があればお聞かせください。
MARCO:大体アスリートの日常が描かれる時って、超アスリートモードのカッコいいところだけピックアップされがちだと思うんですが、この映画では競技外でバカやってるシーンもリアルに描いているので「アスリートも俺らと一緒じゃん」って感じながら是非観て欲しいですし、何かに向かってコツコツ頑張ってやり続けることってアスリートに限らずみんな誰しもが一緒なんだなって撮影の中で感じました。

また作品全体としては、僕の知り合いや仲間の才能のあるアーティストが大勢協力してくれていて、フライヤーのデザイン1つから、映像内の楽曲やナレーション、また飛馬のヘルメットペイントやグッズだったり、何から何まで色々なアーティストの協力の下で出来上がっていることがこの作品の大きな魅力です。
当初からBMXレース特有の超ゴリゴリのザ・エクストリーム系で作るわけではなく、飛馬が大好きなこの街のカルチャーとBMXレースを組み合わせて作りたいと思っていました。
この2つは全く対極にあるものだと思うんですけど、飛馬はレースの世界では超アスリートでありながら、中身は超ストリートでヒップホップなので、本当にその両方の要素を兼ね備えているレーサーが、この街のカルチャーと繋がることが面白いと思っています。実際に中井飛馬っていう人間もこの街でかなり認知され始めているので、自分たちのやりたかった形になっていると思います。
「LIFE IS SNAP」上映会を直前に控えた今の心境と思い

– ドキュメンタリー映画の上映会間近というところで今の心境はいかがですか?
中井:この上映会が近づくにつれて、より具体的な動きが増えてきているので「ドキドキ50%、ワクワク50%」って感じです。「みんな見に来てくれるかな?」っていう不安な気持ちもありますが、これだけ大勢の方々にサポートしてもらって完成した映像なのでできるだけ大きいイベントにしたいと思っています。
僕自身はもうレースも終わって、映像に関してもMARCOくんに編集をバトンタッチしている状態なので、今は上映会に向けて自分ができることをずっとやってます。やっぱり初めての試みということもあって緊張もありますが、この映画を観てみんながどういう反応をするのか楽しみです。
– また今回の目標の一つだったパリオリンピック出場は惜しくも叶いませんでしたが、パリオリンピックからしばらく経った今どのような思いでしょうか。
中井:今はこのプロジェクトで目指しているものがあるので、まだパリオリンピックについてはあまり深く考えすぎないようにしていますが、もちろんオリンピックにはとても出たかったですし、現地で大会を観戦したことでなおさら強い悔しさを感じています。
でも個人的にはやれることは全部やりましたし、もう過ぎ去ったことを憂いても仕方ないので、アスリートとしてもこのプロジェクトにしても、今後どうすることが自分にとって一番良いのかを考えることがパリオリンピックの悔しさよりも、ちょっと高いモチベーションになっているので、このプロジェクトに自分自身救われているところが多いです。
それは競技からの現実逃避という意味ではなく、本当に普段練習やトレーニングをしている時は一人でいることが多いので、こうやって他の人と一緒にいられる時間にはすごい救われました。でもパリオリンピックに出られなかったことは今思い返しても、もう一度挑戦したいくらい悔しい思いです。
– 今回のドキュメンタリー映画を通して伝えたいことはありますか?
中井:MARCOくんも言ってたことではありますが、人間はみんな同じなんですよね。僕はアスリートという一面もあって初対面の人に「本当にすごいよね!」って言われることもよくあるんですけど、「そんなことはないんだけどな」ってずっと思っています。僕はたまたまBMXが得意なだけで、みんなと同じように苦労もしてますし、成功の喜びや失敗の悲しみも知っているので、アスリートも本質的にみんなと同じなんだというのを感じています。

MARCO:アスリートだけが特別な存在ではないということですよね。一般の人と違うところは、努力の先にそういう大舞台に立つチャンスがあってたまたま注目してもらうことができたからなんだということは飛馬とよく話しています。
中井:そうなんです。ちょっとだけ目立つ立場なだけです。この期間は怪我も多くて自分のキャリアの中で1番しんどい時期だったんですけど、そこから自分なりにうまいことポジティブに気持ちを持っていくことができました。でもそれも同じレーサー仲間のユウイチ(増田優一)とかBUGZY(島田遼)や周りのサポートしてくれた方のおかげでした。
そしてまた今回このように映像になったことで、一緒に生活してる時間で感じた仲間の大切さやサポートしてくれた方々の大切さを改めて確認させてもらえて、自分は周りにすごい救われていたんだなって強く思います。本当にアスリートうんぬんとかじゃなくて、人生の中で誰もが直面することがこの映画ではより濃く見られるのかなと思います。

– アスリートだけではなく色々な人が自分事としても捉えられるような内容になっているんですね。
中井:はい。あとは「LIFE IS SNAP」のタイトルにもあるように、「人生は一瞬だからやりたいことは本当にやった方が良い」というのを伝えたいです。自分は物事に対してあまり計画的なタイプじゃないですけど、今までやってきたことで後悔したことはないですし、このプロジェクトも「じゃあとりあえずMARCOくんの飛行機(フランス行きのチケット)取るっすね。」ってみたいな感じで、スポンサーも何も決まってない時に飛行機のチケットを取ったところから始まったんです。でもあの時に行動していなかったら今は無いので、本当にやりたいことは全力でやった方がいいと思っています。
– ちなみにどんな方にこの映画を観てもらいたいですか?
MARCO:まだ何も知らない人に見てもらいたいです。このプロジェクトを通して中井飛馬やBMXレースに興味を持ってもらうことが目的なので、全く何も知らなかった人がこの映画を観ることによって少しでも興味を持ってくれて、「ちょっと大会も観に行きたいな」って思った人が1人でも多く増えてくれたら嬉しいです。
中井:僕もそう思います。逆に僕のことを知っていてもBMXレースについてよく知らない人は結構いますし、またBMXは知ってるけどBMXレースはあんまり知らないっていう人も多くいるので。
そういう人たちに観てもらいたいのはもちろんですけど、目標があって今頑張っているけど、上手くいかなくて苦労してる人にも観てもらいたいです。映画の中では競技でのヘビーなシーンも多いんですけど、その分自分たちがバカやってるシーンとかを観たら、「今は辛くてもなんとかなるんじゃないかな」って思ってもらえると思うんです。
ただ自分も結果的には目標達成したわけでもないので、まだまだ逆境真っ只中なのですが、同じような状況を突き進んでいる人たちに少しでも勇気が与えられたらいいなって思っています。
二人の今後の活動について
– 今回のプロジェクトに続編はありますでしょうか?
MARCO:まだ考えていないですけど、ドキュメンタリーって作品が決まったから撮るものではなく日々を記録していくことの積み重ねだと思っているので、撮れる時に撮りに行きますっていうスタンスでいます。
– 今後他に一緒に進めていこうと考えていることはありますか?
MARCO:アパレルを作ったりとか既に色々一緒にやっていることもあります。僕は飛馬がすごい才能のある人間だと思っているので、その才能の活かし方をこのプロジェクトや一緒に取り組むことの中で学んでもらいたいなと思っています。だから今は結構色々お願いしてやってもらっていますが、既にその能力の高さを感じているので、彼となら何でもできると思っています。

中井:とりあえずはこの映画をできるだけ色々なところで上映したいのですが、これって結構時間かかることだと思います。それでもできる時は映画祭に出展したり、上映会だったりを1つでも多くやりたいと思っています。実際周りの人たちも今回の上映会を1回だけやって終わりだと思ってる人が結構多いですし、ネット上のストリーミングで観られるようになるまではまだまだ時間もかかると思いますが、今はそこを一つの目標にしています。
ゆくゆくは全国だけじゃなくて世界各地でも上映会を開催したいですね。実はもうアメリカでは開催することが決まっているのですが、そういう動きがもっとたくさんできたら良いなと思っています。
– 中井選手はBMXレーサーとして新しいスタイルでこのストリートカルチャーに関わっていますが今後はどうしていきたいですか?
中井:僕はBMXレースで育ってきてBMXレースももちろん大好きですけど、自分がカッコいいと思う人はBMXレース以外の世界にもたくさんいて、それこそMARCOくんや今回関わって下さったアーティストの皆さんもリスペクトしているので、その姿を見てこういう風になりたいと思うことが多くあります。
今後は自分自身も同じようにBMXレース以外の世界で色々な活動ができるようになりたいですし、いちBMXレーサーとしても絶対そういう動きをしなければならない時期が来ると思っています。アスリートとしてBMXに一生乗り続けることは現実的にできないので、自分は他のこともしないといけなくなった時に、よりたくさんのことを知っていたり経験している人間でいたいんです。

そういう意味ではこのプロジェクトも自分の貴重な経験値になっていますし、今後仕事とかじゃなくても色々な人と会ったり話したり、色々なものを見て経験することが結果として自分が何かやりたいと思った時にとても役立つと思うので、今はとにかく自分が好きになったものをたくさん経験したいと思っています。
MARCO:実際に飛馬がその経験やスキルをゲットすることで、BMXレースシーンにも良い形で還元できるようになっていくんじゃないかなと僕も強く思っています。

中井:はい。BMXレースシーンへの還元の仕方については僕ももう考えていますし、そのためにこのプロジェクトを始めた部分もあります。周りからは「飛馬、BMXレースにもう興味なくなっちゃったんじゃないの?」って言われることもありますがそんなことは絶対ないです。
ただBMXレースっていう小さい円の中でどれだけ大きいことをしようとしても限界があるので、その円から出て大きなことができるようになった上で、BMXレース以外の色々な円も一緒くたにしていきたいと思っています。
でもこの動きを始めてから今までBMXレースを知らなかった人もSNSを通してBMXレースを目にする回数って多分すごい増えていると思います。しかもこのカルチャーにいるカッコよくてイケてる人たちが見てくれていると思うので、これからこのBMXレースへの認知が何倍、何乗になっていって、今は目に見えた動きはないかもしれないですけど、長い目で見た時にこれがきっかけで色々できることが多くなると思います。
自分のスタイルを追求し続ける彼らが見据える未来
– 中井選手と一緒に成し遂げたいことはありますか?
MARCO:これも先ほど話したことですけど、別に今回のプロジェクトで「はい完璧で最高でした!」で終わるのではなくて、今後の選手活動として資金も必要になる中で、飛馬がスポンサー獲得を進めやすくなったり、次のロスオリンピックに向けて万全な状態で挑めるような準備をするために「中井飛馬ってやばいでしょ!」を知ってもらう活動でもあります。それが実現できた時にこのプロジェクトが成功だと思うので、引き続きロスオリンピックに向けて撮りたいと思っています。
– 4年後にはロサンゼルスオリンピックもありますがアスリートとしてどのような将来像を描いていますか?
中井:オリンピックは絶対目指したいですし、その舞台でメダルを獲得するという夢は20年間、BMXを始めて早い段階からずっと目指していることなので成し遂げたいと強く思っています。
でも個人的には自分がアスリートっていう感覚があまり無いんですよね。アスリートって何なんだろうって考えた時に、僕にその要素は当てはまらないと感じたので、アスリートというより自分自身のアイデンティティと夢の一つとしてBMXレースは今後もやっていきたいと思っています。

– 最終的に「中井飛馬」としてはどういう人間になりたいですか?
中井:本当に自分が「カッコいい」とか「やりたい」と思ったことをこれからも続けていきたいですし、自分がカッコいいと思うものは周りからもカッコいいと思われる自信もあるので、BMXに限らず自分が好きなものをどんどん取り入れながら、これからも尖り続けていきたいですね。
その動きの中で自分にとっての新しい何かが生まれる気がしますし、1つのことに固執しないで柔軟に興味のあるものを色々混ぜ合わせていくことで、さらに面白いと思えることにたどり着くと感じているので、今はそのプロセスも楽しんでいます。最終的にはBMXレースに自分が培ってきたものを繋げて還元してBMXレース自体もカッコいいものにしていけたらなと思っています。
でも何より自分がBMXレースをはじめ色々なことに挑戦できているのは、ライダー仲間や友人、家族そしてスポンサーと関係者の皆様のおかげなので本当に感謝しかないですし、心からありがとうございますと伝えたいです。その気持ちを改めて伝えるためにも、1月24日は会場でお会いできることを楽しみにしています。
中井飛馬 プロフィール

Asuma Nakai / Pro BMX racer
2000年、新潟県上越市生まれ。5歳の頃に地元上越でBMXレースと出会い、11歳の夏に世界選手権で初めて決勝進出を果たしてワールドゼッケンを獲得する。その後12歳で本場アメリカの強豪チームにスカウトされ、海外への転戦をスタート。2019年にはプロ1年目ながら全日本選手権で優勝。2021年には日本人として初めてUCIワールドカップシリーズのU23シリーズチャンピオンに輝く。2023年にはアジア大会杭州大会で金メダル獲得。
廣瀬“MARCO”裕平 プロフィール

廣瀬”MARCO”裕平
10代よりFIXED GEARプロライダーとして国内外を飛び回る。同時に裏原で遊び働き街で過ごす生活を送り続ける中で見てきた自身の経験と感覚から生み出される世界観をフィルター無しで表現する場として2019年クリエイティブレーベル”MANNERS KNOWS”を設立。
今この場所、この瞬間でしか切り取る事の出来ないRAWで鮮度の高い作品創りを信念に活動を続ける。
「LIFE IS SNAP」 について

”LIFE IS SNAP”
カルマのように幾度となく襲い来る怪我から復帰する日本では敵無しのトップレーサー中井飛馬。オリンピックを目指しフランス、アメリカを中心に海外を拠点に生活を続ける日々。2022年10月、絶好調でパリオリンピックの選考大会初戦を終えるがその直後に悲劇が起こる。二度の大怪我を乗り越えた飛馬に残された時間はわずか7ヶ月。が、またしても悲劇が、、、
裏原カルチャーに育てられた生粋のストリートライダーが初監督
世界と戦う23歳の今を追ったノンフィクション青春ドキュメンタリー映画
2025年1月24日(金)に 渋谷HUMAXシネマにてプレミア公開!
主演: 中井飛馬
監督/撮影/編集: 廣瀬”MARCO”裕平
ナレーション: 高良健吾
アートディレクション: GUCCIMAZE
主題歌: “Transition” Calli Stephus, BUGZY, bill marcos prod.by mee mee_
Colorist: 川崎清正
Supervisor: 村上貴紀
Script Supervisor: 濱田真和
Flyer Design: witness
Music: CYBERHACKSYSTEM, mee mee mee, WATTER
Cast: 島田遼, 増田優一, 他
Production: MANNERS KNOWS
Sponsor : Mongoose Bicycles, XLARGE, CHROME, Stance Socks, SHOEI
SPECIAL EDITION
FINEPLAYはアクションスポーツ・ストリートカルチャーに特化した総合ニュースメディアです。2013年9月より運営を開始し、世界中のサーフィン、ダンス、ウェイクボード、スケートボード、スノーボード、クライミング、パルクール、フリースタイルなどストリート・アクションスポーツを中心としたアスリート・プロダクト・イベント・カルチャー情報を提供しています。
アクションスポーツ・ストリートカルチャーの映像コンテンツやニュースを通して、ストリート・アクションスポーツの魅力を沢山の人へ伝えていきます。
●今日 ○イベント開催日
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bmx競技の枠を超えた、新たなBMXの可能性を追求し続ける。NAO YOSHIDAインタビュー2026.05.06BMXフラットランドの世界で、競技の枠を超え「アーティスト」として独自の道を切り開いているNAO YOSHIDA。世界最高峰のエンターテインメント集団「シルク・ドゥ・ソレイユ」の舞台に立ち、現在展開されている全16作品の中で唯一のBMXパフォーマーとして世界を魅了している。アーティストとしても、タイヤで描く独自の技法「RIDRAWING」をはじめ、パリ2024オリンピックの開会式ではBMXの装飾を担当し、様々なブランドに作品を提供するなど、アート分野でも注目を集めている。 そんな彼がBMXに出会った頃から現在に至るまでの道のり、そしてプレイヤーである彼がいかにして「表現」の道を見出し、世界へと至るその軌跡について、たっぷりと語っていただいた。 NAO YOSHIDA(以下:N) 理解されなかった「二足のわらじ」。挫折を経て世界へ至るまでの軌跡 ―BMXを始めたきっかけは何ですか? N:BMXを始めたのは15歳の時です。もともとスポーツが得意なタイプではなく、体もそんなに強くなかったので、家でゲームをしたり絵を描いたりするインドアな人間でした。中学生になると周りは部活に入っていくじゃないですか。一方で自分はあまりアクティブではないので、ゆるい中学生活を送っていました(笑)。そんな中で「何かかっこいいことをしたい」という気持ちが生まれてきて、中学生らしい、ちょっと背伸びした理由がスタートでした 。 当時はテレビでX-GAMESを観たり、ストリート系のファッション雑誌を読んだりしていて、BMXに興味を持っていました。もともと自転車に乗るのは好きで、ウィリーやドリフトもしていましたね。中学2年の時に自転車が壊れて、「じゃあ新しいのを買おう」となった時に「そういえばBMXってあったな」と思い出して、ネットで3万円くらいのものを買いました。双子の兄も欲しがって、一緒に家の前で練習していたら、同級生も集まってくるようになってきて。参考になるような動画もほとんどなくて、雑誌やHOW TO本のコマ送りの写真を見ながら「これどうやるんだろう」とみんなで考えて練習していました。 ―当時は情報も少なかったですよね。 N:そうですね。ネットはあったけれど、今みたいに情報がまとまっている場所はほとんどなくて。BMXもやっと調べられる程度でした。しばらくは何もできなくて、簡単な技ができるくらい。でも高校生くらいになると、夜に駅前で練習している先輩たちのところへ行って、一緒に練習させてもらうようになりました。教えてもらうというより、見て覚える感じでしたね。 ―プロを意識したタイミングは? N:中学の卒業文集には「プロライダーになりたい」と書いていたらしいです。ただ当時はぼんやりしたもので、「上手くなりたい」くらいの意味でした。高校に入ってからも練習は続けていましたが、進路のタイミングで悩みました。自分は絵を描くのも好きだったので、美大を目指して予備校にも通っていたんです。 ただ、美大は倍率も高く、浪人している人も多い厳しい環境でした。BMXもやりながら勉強している自分は周囲からあまり良く思われていなくて、「どっちかにしないとダメだ」と言われてしまって。結果的に受験は失敗。そのまま気持ちが落ち込み、高校も中退しました。当時はまさに、どん底でしたね。 ―そこからどう進んでいったんですか? N:フリーターとして自転車屋で働きながら大会に出て、お金が貯まったら海外に行く、という生活をしていました。18歳くらいの時には「もう海外に行くしかない」と思い、19歳で初めてロンドンに行きました。2ヶ月ほど滞在してヨーロッパを回る中で、フランスの大会で優勝できたんです。海外への憧れもあって、アマチュアクラスではありましたが自分にとってはすごく大きな成功体験になりました。 ―その後の転機はありましたか? N:ニューヨークでアートのコンペに入賞して、個展をやる機会がありました。当時は軽い気持ちで応募していたので、まさか入賞するとは思ってもみませんでした。 急遽ニューヨークへのチケットを取ったのですが、お金が全然足りなくなってしまって。滞在費を稼ぐためにBMXのストリートパフォーマンスを始めたのですが、最初は全然稼げませんでした。でも試行錯誤していく中で、徐々に人が集まるようになり、最終的にはそれで生活できるくらいになりました。そこで初めて「見せるパフォーマンス」を強く意識するようになりましたね。 シルク・ドゥ・ソレイユで学んだ「失敗さえも芸術に変える」プロの覚悟 ―その後、舞台の世界にも入られていますよね。 N:はい。一度、舞台の裏側を学ぶために劇団四季で働きました。3年間ほど勤め、作品がどう作られ、どう観客に届けられているのかを学びました。ただその中で「自分は何をやりたいんだろう」と考えるようになって。夜遅くまで作業している時に、「本当はここで自分はパフォーマンスしたいはずなのに」と思ってしまったんです。それでその道を離れ、もう一度演者として挑戦することを決めました。 ―そこから世界的な舞台へと繋がっていくわけですね。 N:そうですね。チャンスがあって、シルク・ドゥ・ソレイユに参加することになりました。最初は1ヶ月の代役契約。その短期間で結果を出さないといけない状況だったので、パフォーマンスだけでなくコミュニケーションも含めて全力で取り組みました。1ヶ月の契約が終わる時も「絶対戻ってくるから、みんなよろしく!」と声をかけて(笑)。本気でやっていました。 そしたらディレクターの方にも気に入ってもらえて、2年間の契約をもらうことができました。年間300公演以上、何百万人もの前でパフォーマンスするという貴重な経験をすることができました。 ―ショーならではの考え方はありますか? N:最初に言われたのが「失敗を失敗として見せるな」ということでした。競技ではミスはマイナスですが、ショーではどうリカバーするかが重要なんです。観客にとっては小さなミスよりも、全体としてどう見えるかの方が大事。だからどんな表情をしているかもすごく意識しています。悔しそうな顔をしていたら、それこそ「ミス」として捉えられてしまうので。お客さんに見られている部分すべて含めて、自分が任されている役割になり切ることを大切にしています。あとは、一番奥の観客に届くように。トリックの難易度よりも、表情や空気感、全体の流れを重視しています。 タイヤで描く「RIDRAWING」。競技の枠を飛び出した新たな表現が生み出すBMXの可能性 ―音楽制作もされていると伺いました。 N:音楽は「わからないからやっている」という感覚に近いです。自分がどういうリズムに乗りやすいのか、どういう音が好きなのかを探るために始めました。BMXに乗るときも絵を描く時も、基本的にはイヤホンをして音楽を聞きながらすることが多いので、その時に聞いているものが表現や作品にすごく影響を与えると思っていて。一つのテーマを決めて制作に取り掛かるとき、聞いている音楽もそれに近いものを自分で作れたら、より表現に一貫性が出るのではないかと思っています。 ―BMXをただのスポーツとしてだけでなく、音楽やアート、コンテンポラリーダンスのような要素を掛け合わせているのは、Naoさん独自のスタイルですよね。 N:もともと舞台の裏側でものづくりを学んだ経験も大きいのですが、やはり自分の感情や考えていることを形にすることが好きなんです。今、BMXはオリンピック種目になるなど「競技」として非常に確立されていますよね。それは素晴らしいことですが、僕が惹かれたのはそこではなく、BMXが持つ「芸術性」や「文化的な側面」でした。競技は点数を競いますが、アートは競うものではなく、それぞれの表現がある。僕は今、BMXとアートが合わさった時に何が起きるのかを実験し、探求している感覚です。これは人生をかけて長く続けていきたいテーマですね。 ―その探求の象徴が、タイヤで描く「RIDRAWING」だと思います。この活動を通じて伝えたいメッセージは何でしょうか? N:ひとことで言えば「枠組みの外に出る」ということです。僕らは無意識に「これはこうあるべきだ」という固定観念の中で生きています。例えばライダーなら「タイヤは汚したくない」と思うし、画家なら「なぜ筆ではなくタイヤで描くのか」と疑問を抱く。どちらの側からも一歩引かれてしまうような、誰もやったことがない領域にあえて挑戦することに意味があると思っています。「見たことがないなら、やってみようよ」という姿勢を大切にしたいんです。 ―先日の「New Context Festival」では、ボイスパーカッションや三味線との共演も新鮮でした。 N:あのステージでは、伝統的な「和」へのリスペクトを持ちつつ、今の僕らにしかできない、誰も見たことがない「未来の和」を表現したかったんです。信頼できる仲間と一緒に、新しい可能性を提示できたと感じています。 ―海外での活動も長いですが、その広い視野はどのように養われたのでしょうか? N:海外へ行くようになって、自分の考えがいかに凝り固まっていたかに気づかされました。日本ではタブーとされることが評価されたり、その逆もあったり。言語だけでなく、音楽やアートという「共通言語」を通じていろんな人と対話することで、BMXをより俯瞰して見られるようになりましたね。好きなことを深掘りすればするほど、分野を超えていろんな人と繋がれる。それが視野を広げてくれたのだと思います。 ―最近は日本の大会で坂本龍一さんの楽曲を使ったパフォーマンスをされたそうですね。 N:はい。あえて競技性の高い大会で、衣装も自作し、3分間の音ハメに徹したコンテンポラリーなショーケースを作って出場しました。結果として優勝はできませんでしたが、技術点だけではない「表現」という一石を投じることができたと思っています。シルク・ドゥ・ソレイユでも技術があるのは前提として、「あなたは何を表現したいのか」という作家性が求められます。技術の先にある「何を伝えるか」を突き詰めていきたいですね。 世界で活躍し続ける唯一無二のアーティスト「NAO YOSHIDA」の今後の展望 ―最後に、今後の展望と、次世代へのメッセージをお願いします。 N:展望としては、まずシルク・ドゥ・ソレイユでの日々を大切にすること。現在16作品ある中で、BMXの枠があるのは僕が参加しているショーだけなんですよ。世界中でたった一人の役割として、その魅力を伝え続けたいです。 そしてアート面では、2026年にロンドンのギャラリーで展示を行います。19歳の時に初めて海外へ行って以来、ずっと憧れていた場所で、20年越しにようやく掴んだチャンスです。これを形にすることが、今の僕にとって最も大事なプロジェクトです。 若い世代の皆さんには、周りの声に惑わされず、自分の「かっこいい」を信じて突き進んでほしいです。たとえ失敗したと思っても、それは後から振り返れば大したことではなかったと思えることも多い。僕自身、多くの大人に「それは違う」と言われてきましたが、突き進んでみればそれが今の形になっています。自分を信じて、迷わず進んでみてください。
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surf最終決戦の結末、S.LEAGUEグランドファイナル2026.05.012026年4月21日(火)から25日(土)までの5日間、千葉県一宮町・一宮海水浴場を舞台にシーズンのすべてが決着する最終戦「S.LEAGUE 25-26 GRAND FINALS」が開催された。今大会では、これまで決まっていなかったショートボード男子、ロングボード女子、マスターズクラスのグランドチャンピオンが誕生し、すべてのカテゴリーでシーズンの結末が描かれた。さらに、ショートボード、ロングボード、マスターズクラスに加え、特別戦「さわかみチームチャレンジ一宮」も実施。競技の枠を超えた新たな見どころも生まれた。大会初日は台風のうねりが残り頭オーバーのサイズに加え、風の影響も受けるハードなコンディションに。期間を通しても常に胸以上の波があり、難しい時間帯はあったものの十分なサイズの中で戦いが繰り広げられた。また会場では、BMWによる車両展示や試乗会が実施され、多くの来場者で賑わいを見せた。 ©︎S.LEAGUE あわせて、本大会期間中には特別イベント「S.LEAGUE BEACH COMMONS」も開催。4月23日から25日までグランドファイナルと同じ一宮海岸エリア内で展開され、ブランドやメーカーによるブース出展を通じてサーフィンを軸としたライフスタイルやカルチャーを体感できる空間が広がった。競技観戦とともに楽しめる、新たな取り組みとして注目を集めた。 野中美波、逆転で今季2勝目 野中美波 ©︎S.LEAGUE ショートボード女子のファイナルは、野中美波と川瀬心那の対戦。このマッチアップは、昨年11月にフィリピンで開催された「WSL QS4000 Baler International Pro 2025」以来の顔合わせとなった。ヒート序盤は川瀬が主導権を握る展開に。1本目に6.00ポイント、続く2本目でも4.25ポイントをスコアし早い段階で2本を揃える。コンディションを見極めながら的確に波をつかみ、安定したヒート運びを見せた。一方の野中は、3本目で5.00ポイントをスコアするも、逆転には5.26ポイントが必要な状況に追い込まれる。しかし後半、野中がセットをつかむと掘れたセクションへ鋭い縦のアプローチ。ワンマニューバーながらクリティカルなセクションでキレのあるライディングを見せ、6.75ポイントをマーク。一気に逆転に成功した。川瀬もバックアップを4.65ポイントまで伸ばして応戦するが、再逆転には届かず。野中がそのままリードを守り切り、第3戦・鴨川大会に続く今季2勝目を手にした。 野中美波 ©︎S.LEAGUE 試合終了後の川瀬心那と野中美波 ©︎S.LEAGUE 地元で圧巻のライディング、大原洋人が優勝 大原洋人 ©︎S.LEAGUE ショートボード男子のファイナルは、大原洋人と安室丈の対戦。序盤は安室が4.75ポイント、4.25ポイントと2本をまとめリードする展開に。一方の大原は、3本目に6.00ポイントをスコアするも、その後は波を待つ時間が続く。しかし後半、大原が6.75ポイントをマークし逆転に成功。さらにヒート終了まで残り2分を切った場面で事前のインタビューでも「エアーを見せたい」と語っていた通り、エアーリバースを組み込んだライディングを披露し、8.25ポイントのエクセレントスコアを叩き出した。安室はコンビネーションシチュエーションまで追い込まれ、そのままヒート終了。地元・一宮海岸を「庭」と語っていた大原が、見事優勝を決めた。 大原洋人 ©︎S.LEAGUE 西優司、初のS.LEAGUEチャンピオン獲得 西優司S.LEAGGUEが決定した瞬間 ©︎S.LEAGUE ショートボード男子のグランドチャンピオン争いは、西優司と西慶司郎の兄弟対決に絞られていた。 西家の次男・慶司郎と三男・優司によるタイトル争いは、今大会を象徴する大きな注目ポイントのひとつとなった。西優司はファイナル進出で自力チャンピオンが確定する状況。一方で、西優司がセミファイナル以前で敗退した場合、西慶司郎の結果次第で逆転の可能性が残されていた。 先にヒートを迎えたのは弟・西優司。今シーズンは怪我の影響で思うように試合に出場できず、復帰戦となる塚本勇太との対戦となった。ヒートは塚本がリードする展開に。西優司も応戦するが逆転には至らず、ここで敗退。チャンピオンの行方は、兄・西慶司郎の結果に委ねられることとなった。 一方、西慶司郎は稲葉玲王と対戦。サーフボードを変えて臨んだ西慶司郎は、序盤からスピードとキレのあるライディングでリードを広げ、稲葉をコンビネーションに追い込み勝利は目前かと思われた。 しかし終盤、試合が大きく動く。稲葉がレフトの波で大きなスプレーを上げるリエントリーを2発決め、7.35ポイントをスコア。コンビネーションを脱し、ニードは6.15ポイントへと縮まる。 さらに残り1分を切った場面で、稲葉が再びレフトをつかむ。パワフルかつスピード感のある2ターンコンボでフィニッシュし、6.55ポイントをマーク。劇的な逆転で勝利を手にした。 この結果、西慶司郎はここで敗退。西優司の初となるグランドチャンピオンが確定した。 西優司 ©︎S.LEAGUE 吉川広夏、接戦制し優勝 S.LEAGUEチャンピオン獲得 吉川広夏 ©︎S.LEAGUE ロングボード女子のファイナルは、吉川広夏と田岡なつみの対戦。海外ツアーでも結果を残す2名によるハイレベルな一戦となった。オンショアの影響で海面が乱れロングボードには難しいハードなコンディションの中、先に仕掛けたのは田岡。ハングファイブからマニューバーへと繋ぎ、見事インサイドまでつなげたライディングに7.00ポイントをスコアし、リードを奪う。一方の吉川もすぐに2本を揃えて応戦し、主導権を握り返す。その後、田岡も6.00ポイントをマークして再逆転し、吉川に必要なスコアを7.83ポイントまで追い込んだ。しかし中盤、吉川が試合を動かす。完成度の高いライディングで8.50ポイントを叩き出し、再びトップに立つ。ヒート終了間際、田岡にも逆転のチャンスが訪れる。必要なスコアが6.68ポイントの中ラストウェーブに乗るが、スコアは両者が浜に戻った後に発表される緊張の展開に。結果は6.23ポイントにとどまり、逆転には届かず。吉川が見事優勝を飾った。 なお吉川は、本大会でラウンド1を勝ち上がった時点でS.LEAGUEチャンピオンを確定。JPSAグランドチャンピオンとあわせ、通算7度目のタイトル獲得となった。 吉川広夏 ©︎S.LEAGUE 浜瀬海、全戦優勝で完全制覇 浜瀬海 ©︎S.LEAGUE 男子ロングボードのファイナルは、すでに最終戦を待たずしてS.LEAGUEチャンピオンを確定させている浜瀬海と秋本祥坪の対戦。今大会の注目は、浜瀬が全戦優勝となる“完全優勝”を達成するかに集まった。ヒートは開始直後から浜瀬が主導権を握る。1本目から8.67ポイントをスコアし、圧倒的なスタートを切った。一方の秋本も、1本目に4.00ポイント、続く2本目で4.50ポイントをスコアし応戦するが、その後はスコアを伸ばすことができず、流れを引き寄せることができない。後半、浜瀬はさらにギアを上げる。9.20ポイントのハイスコアをマークし、自身のリードを大きく広げると、秋本をコンビネーションに追い込み、そのままヒート終了。浜瀬が優勝を果たし、これで今シーズン全5戦すべてを制する完全優勝という快挙を達成した。 浜瀬海 ©︎S.LEAGUE 優勝必須の中で頂点へ、牛越峰統がS.LEAGUEチャンピオン獲得 牛越峰統 ©︎S.LEAGUE マスターズ男子のグランドチャンピオン争いは、山田桂司、舟橋大吾、牛越峰統の3名に絞られていた。山田は2位以内で自力チャンピオンが確定する状況。一方で、舟橋と牛越は優勝が絶対条件と厳しい条件の中で最終戦を迎えた。大会が進む中、まず舟橋がラウンド3で敗退。さらに山田も準決勝で敗れ、最終順位は7位に。この時点で、牛越が優勝すればグランドチャンピオン獲得という構図となった。 迎えたファイナルは、脇田貴之、河野正和、東川泰明、牛越峰統の4名による戦い。ヒート開始直後、河野がライトの波をつかみ、7.33ポイントをマークし先行する。一方で脇田と東川も5点台をスコアし拮抗した展開に。その中で、タイトル獲得には優勝が絶対条件の牛越が6.33ポイントをスコアし、トップに浮上した。ヒート終盤、残り時間が少なくなる中、牛越は残り2分を切った場面で再び波をつかみ6.87ポイントをマーク。トップスコアを塗り替えリードを広げ、そのままヒート終了。牛越が優勝を手にするとともに、年間チャンピオンも確定。JPSA時代に1度、さらにS.LEAGUEでも2度目となるタイトル獲得という偉業を達成した。また昨年に続き、優勝が絶対条件という状況の中でタイトルを手にしたことも、その強さを印象づける結果となった。 牛越峰統 ©︎S.LEAGUE チームワークで頂点へ、Channel Islands Surfboardsが優勝 Team Channel Islands Surfboards Supported by Maneuverline ©︎S.LEAGUE 大会4日目に実施され、ファイナルのみ最終日に行われた特別戦「さわかみ チームチャレンジ 一宮」。最終日のラストを飾る一戦として開催された。本イベントはS.LEAGUEのレギュレーションに基づき、選手4名とコーチ1名で構成されるチーム対抗形式で行われる。オフィシャルブランドチームに加え、NSA・NSSA、開催地シードチームを含む全9チームが出場。個人戦とは異なる戦略性とチームワークが求められるフォーマットも、大きな見どころとなった。 ファイナルは「The RLM rubber」と「Channel Islands Surfboards Supported by Maneuverline」の対戦。 Channel Islands Surfboardsからは村上舜と石田海夏、The RLM rubberは森大斗、森舞果の兄妹が出場した。決勝はチームで最大9本まで波に乗ることができ、プライオリティもチームで共有。ベスト2ウェーブの合計で勝敗が決まるフォーマットで争われた。ヒート開始直後、Channel Islands Surfboardsの石田がレフトの波をキャッチ。カービングから鋭いリエントリーで7.00ポイントをマークし流れを引き寄せる。続いて村上もアウトからインサイドまでつなぐライディングで6.17ポイントをスコア。さらに7.50ポイントもスコアしトップスコアを塗り替え、一気にリードを広げた。これに対しThe RLM rubberは厳しい展開を強いられる中、森大斗がライトの波で5.70ポイントをスコアし、コンビネーションは脱するものの、ニードは8.73ポイントと依然として高い壁が立ちはだかる。終盤、逆転のチャンスとなる波は入らず、そのままタイムアップ。 Channel Islands Surfboards Supported by Maneuverlineが勝利を収めた。 石田海夏 ©︎S.LEAGUE 村上舜 ©︎S.LEAGUE 次なるシーズンへ、26-27ツアーは7月開幕 ©︎S.LEAGUE このグランドファイナルをもって、S.LEAGUE 25-26シーズンはすべての日程を終了した。次なる26-27シーズンは、7月からスタートする。 S.TWOショートボード開幕戦「大洗プロアマオープン」が、7月2日から4日(予備日5日)にかけて茨城県大洗町・磯場ポイントで開催予定。続くS.ONEツアー開幕戦は、7月8日から12日(予備日13日)「第30回茨城サーフィンクラシック 河原子プロ」として、茨城県日立市・河原子海水浴場で実施される。またS.TWOロングボードは、7月25日から26日(予備日27日) 茨城県鉾田市・とっぷさんて下での開催が予定されている。新たなシーズンの幕開けとともに、次なる戦いが始まる。 さわかみ S.LEAGUE 25-26 GRAND FINALS 一宮 結果 《ショートボード男子》優勝:大原洋人2位:安室丈3位:塚本勇太、金沢呂偉《ショートボード女子》優勝:野中美波2位:川瀬心那3位:石田海夏、馬場心《ロングボード男子》優勝:浜瀬海2位:秋本祥坪3位:塚本将也、小熊海ノ介《ロングボード女子》優勝:吉川広夏2位:田岡なつみ3位:市川梨花、榊原頼子《マスターズ》優勝:牛越峰統2位:河野正和3位:脇田貴之4位:東川泰明 特別戦さわかみチームチャレンジ一宮 優勝:Team Channel Islands Surfboards supported by Maneuverline2位:Team The RLM rubber3位:Team ICHINOMIYA
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dance『マイナビDANCEALIVE 2026 FINAL』新時代到来、新王者続出の歴史的大会、世界へ広がるダンスアライブの現在地2026年4月19日(日)、両国国技館にて世界最大級のストリートダンスイベント『マイナビDANCEALIVE 2026 FINAL』が開催された。メインコンテンツのバトルでは、HOUSE、HIPHOP、BREAKING、ALL STYLES、KIDSに加え、今大会からPOPPINGが新たに加わり、全6部門で争われた。 UNDERGROUND STAGEでは「STILL IN THE GAME -最終極戦-」(当日最終予選サイファー)が実施され、各地方予選で準優勝となったダンサーたちが参加。サイファー終了後、参加ダンサー同士の指名によって、HOUSE、HIPHOP、BREAKING、ALL STYLESの各カテゴリーにおけるファイナリスト最後の1枠が決定した。その後、MYNAVI STAGEでは各ジャンルのTOP8によるハイレベルかつ白熱したバトルが繰り広げられ、会場は大きな盛り上がりを見せた。 EXHIBITION BATTLE (SENEGAL VS GHANA) EXHIBITION BATTLE (SENEGAL VS GHANA) 準決勝前には、アフリカで開催されたDANCEALIVEから、セネガルとガーナを代表するダンサー各2名による2on2のエキシビションバトルが実施された。太鼓隊による生演奏の中、ネイティブな空気感あふれるフリースタイルバトルが繰り広げられ、アフリカのカルチャーを強く印象づけた。 即興セッションによって会場のボルテージは最高潮に達し、そのエネルギーは場内全体へと伝播。アフリカ地域を起点に、DANCEALIVEのムーブメントが世界へと広がっていることを感じさせる一幕となった。 KIDS 優勝 「珀翔」 ©マイナビDANCEALIVE 2026 FINAL 毎年大人顔負けな高いレベルのバトルが繰り広げられるKIDS部門。決勝戦は珀翔対REIRAのカードに。どちらが勝っても初チャンピオンとなる対決。3:2の接戦の末、POPPINGを武器とする珀翔が初優勝を果たした。珀翔は「ポッパーのファイナリストが少ない中優勝できて嬉しいです。もう一度優勝できたら嬉しいです。」とコメントした。 ©マイナビDANCEALIVE 2026 FINAL 珀翔インタビュー 優勝した感想を教えてください。とにかく嬉しいっていうのが1つなんですが、KIDSのファイナリストの中でポッパーが少ないと思い、ポッパーとして負けられないという気持ちがありました。ポッパーの一人として優勝できてよかったです。 印象に残った対戦相手はいましたか?NALU一択ですね。NALU君は技術もすごいんですけど、踊りに爆発的なものがあって。 対戦相手が決まった時からずっと意識していて、実際に戦って楽しかった反面怖さもありました。 今後の目標があれば教えていただけますか?今後はALIVE2連覇を目指して頑張って、世界でも戦えるようになりたいと思っています。 HOUSE 優勝 「YOUTEE」 ©マイナビDANCEALIVE 2026 FINAL HOUSEの決勝カードはYOUTEE対shu_heiとなった。どちらが勝っても初優勝のバトル。BREAKINGのスタイルを軸に様々なジャンルを横断するYOUTEEがHOUSEで勝利し初優勝となった。「今日の結果は今日の結果で、次のALIVEのシーズンもすぐ始まると思うので、また来年も皆さんのことを楽しませられるように出場しようと思います。」とコメントした。 ©マイナビDANCEALIVE 2026 FINAL YOUTEEインタビュー 優勝した率直な感想を教えてください。ここに向けていろいろ自分の活動もありつつ、でもどうしても今年優勝したくて、たくさん練習をしてきて、結果がついてきて嬉しいですし、応援してくださってる皆さんに少しでも恩返しできて何よりです。 D.LEAGUEでしたり他の活動もある中でダンスバトルを両立するポイントはありますか?ダンスっていろんな角度がやっぱりあって。 もちろんバトルだったり、D.LEAGUEみたいなショーコンペティションだったり、あとは振り付け師だったり、バックダンサーとかいろんなダンサーが輝ける場所があると思うんですけど、やっぱり自分はどこに行っても、やっぱりバトル、自分のダンスが好きなんで、好きだったら両立できるんじゃないかなっていうふうに思います。 KOSÉ 8ROCKSの練習が大体昼から夕方なので、ALIVEの1回戦目が12時頃からなんで、そこにピーク持っていけるように朝早起きして練習して体を作って という生活を1ヶ月ぐらいしてたので、今日もやっぱり途中で疲れたり眠くなったりせずにその練習が活きたと思います。 今後の目標があれば教えていただけますか。やっぱりこのBREAKINGだけのレペゼンの人がHOUSEサイドを優勝するって多分まだなかったと思うんですけど、BREAKINGも好きだし、HOUSEも好きだし、ダンスが好きなんで、これからも自分のダンスと見つめ合って、まだまだ日本にももちろんそうですし、世界にもたくさん素晴らしいダンサーさんたちがいっぱいいるので、そこと肩を並べられるように精進していきたいなと思います。 HIPHOP 優勝 「YUUSHIN」 ©マイナビDANCEALIVE 2026 FINAL HIPHOPの決勝カードはKROW対YUUSHIN。圧倒的なリズム感、ボディコントロールの高さで魅せたYUUSHINが決勝戦を3:0で制し、今大会初優勝となった。YOUTEEに続き、今大会二人目のDリーガーの優勝となった。 ©マイナビDANCEALIVE 2026 FINAL YUUSHINインタビュー 優勝した感想を教えてください。このALIVEで優勝するのが一番の目標だったので、なんだかんだ毎年出ていて、次の年に向けるこの一年はALIVEが過りながら生活している感覚でした。去年ダメでその前もダメで今年こそと思っていたんで、それが今実現している自分に本当に優勝したんだなという感じです。 D.LEAGUEでの活動と、個人としてのソロバトル。多忙な中で両立させるポイントや、準備で意識していることはありますか?実は来週にもD.LEAGUEのラウンドを控えていて、大会の直前までチームの練習に励む毎日でした。 練習漬けの日々の中で、気持ちに波がある時期もありましたが、1週間前くらいから「そわそわ」が「ワクワク」に変わっていきました。 僕の拠点である静岡県浜松市での時間も大きかったと思います。 東京での練習を終えて浜松へ帰る道中や、地元で過ごす一人の時間が多く持てたことで、うまく心のバランスが取れたのだと、今日を終えて改めて感じています。 今後の目標を教えてください。一番の目標だったアライブ優勝を果たした今、次を考えるのは難しいですが、やはり目の前にあるD.LEAGUEでの戦いです。 来週のラウンドを1位で通過し、その先のCS(チャンピオンシップ)で優勝すること。 個人での戦いを終えた今は、次はチームのみんなで頑張ろうというモチベーションでいっぱいです。 POPPING 優勝 「SHOW-GO」 ©マイナビDANCEALIVE 2026 FINAL 今大会初開催となったPOPPINGカテゴリー。決勝戦はSHOW-GO対RYOSUKEの対決となった。2:1の接戦の末、数々のショーケースでも活躍する実力派のSHOW-GOが勝利を収めた。SHOW-GOは「観客の皆さんの声が力になりました。来年さらに力をつけてもう一度ALIVEに戻ってくるので見に来てもらえたら嬉しいです。」とコメントした。 ©マイナビDANCEALIVE 2026 FINAL SHOW-GOインタビュー 優勝おめでとうございます。率直な感想を教えてください。ありがとうございます。でも、自分にはまだまだ足りない部分が多すぎて、決勝でも達成できなかったことがあまりにも多かったです。だから、どこか「もやっとした気持ち」のままの、複雑な心境ですね。 最近、自分と向き合って練習すればするほど、本当にすごい人たちがどれだけやばいかが分かってくるんです。それと同時に、自分がいかにできていないかも痛感します。世界で活躍する先輩ポップダンサーたちのように、自分もさらなる高みへ行きたいという思いが強いんです。 SHOW-GOさんが目指す「理想の踊り」とは、どのようなものですか?僕はPOPPINGもアニメーションもダンス全部が好きなんです。だから、それらを自分の中で良いバランスで混ぜ合わせたい。でも、そのスタイルを完成させるにはまだ時間がかかっていて、現時点では完成に向かっている途中です。 常に解決できていない課題が自分にまとわりついているような感覚です。でも、バトルを途中でやめることも、逃げ出すこともしたくない。だからこそ、納得がいかない状態であっても出続けることを選んでいます。 今後の展望についてお聞かせください。まずは、自分にできていない部分を一つひとつ、丁寧に磨き直すことが先決です。今はアウトプットする時間が足りていないので、しっかりと自分を見つめ直し、修正していく時間を実行に移したいと考えています。突き詰めたからこそ見えてきた先輩方のすごさを改めて研究し、そこに近づき、いつかは超えていけるように取り組んでいきたいです。これからも挑戦は止めず、バトルもコンテストも、すべて本気でぶつかっていこうと思います。 BREAKING 優勝「NORI」 ©マイナビDANCEALIVE 2026 FINAL BREAKINGの決勝戦はNORI対SKEEのカードに。20年以上のキャリアを持つベテランのBBOY、NORIが決勝戦を2:1で制し今大会初優勝を飾った。NORIは「やっと獲れました。BREAKINGは若い子の方が体が効くし、長く踊るのは大変なんですよ。今年で40歳になるんですけど24年バトルに出続けていて、辛いことも多かったですが良いこともありました。他のジャンルで先輩も踊ってかましていていいなと思いますし、BBOY、諦めずに踊りましょう。あまり良い踊りができなかったので僕も来年またリベンジします。」とコメントした。 ©マイナビDANCEALIVE 2026 FINAL NORIインタビュー 優勝おめでとうございます!今の率直な心境はいかがですか?やっと優勝できた、という気持ちが一番強いですね。 優勝という結果でしたが、ご自身の踊りには納得がいっていない部分もあったとお聞きしました。具体的にはどのような葛藤があったのでしょうか?踊り方をリニューアルしている最中なんです。その真っ只中で今大会に出ることを決めたため、本番ではどうしてもリニューアル前の感覚で踊ってしまう部分がありました。練習しているものとは違う感覚で踊りながら、構成がぐちゃぐちゃにならないよう気を引き締めてパフォーマンスをしていたので、今自分が磨いている本当のダンスを完全に見せることができず、納得のいく踊りにはなりませんでした。 そのような制約があった中で、ご自身で評価できる「攻め」のポイントはどこでしたか?普通の人が遊ばないような感じで遊べたことは、良かった点だと思っています。 さらなる高みを目指すNORIさんの、今後の目標を教えてください。まずは、自分自身が納得できるダンスに少しでも近づけるように頑張りたいです。また、ALIVEをはじめとする自分が良いと思うイベントを、出場することでさらに盛り上げていければと考えています。 ALL STYLES 優勝 「GUCCHON」 ©マイナビDANCEALIVE 2026 FINAL すべてのダンススタイルで戦うALL STYLESカテゴリー。決勝戦のカードはGUCCHON対Booと、WATER BOYzのチームメート同士のPOPPING対決となった。決勝戦の最後には2名で同時に振りを行うシーンも生まれ、リスペクトあふれる戦いとなった。GUCCHONが決勝戦を制し、ALL STYLESで5度目の優勝という快挙を成し遂げた。GUCCHONは「Booのムーブにはマジで食らいました。まだこれからもバトルの最前線でやっていきたいと思っているので応援よろしくお願いします。」とコメントした。 ©マイナビDANCEALIVE 2026 FINAL GUCCHONインタビュー 今の率直な感想をお聞かせください。もう、率直にめちゃくちゃ嬉しいです!いつもギリギリの戦いではあるんですけど、今回は本当に超ギリギリな感覚があって。その中で、自分を出し切ることができたのが何より誇らしいし嬉しいですね。 今大会で、特に印象に残っている対戦相手はいますか?正直、バトルの相手はみんな凄まじいクラスばかりでした。本当にヤバいやつらばかり。でも、その中でもやっぱり決勝戦のBooは食らいましたね。リスペクトし合う中でバトルできて最高に楽しかったです。僕らはWATER BOYzというチームをやっていて、そのメンバーも見守ってくれている中で、ALL STYLESの決勝という最高のステージでバトルができた。それが本当に嬉しかったですね。 今回で5度目の優勝となります。これほどまでにGUCCHONさんを突き動かす、この大会の魅力とは何でしょうか。やっぱり、夢がある場所だからですね。1万人以上のお客さんが見守る中で、たった一人でステージに立って1on1で戦う。あの瞬間の歓声や反応を一度味わってしまうと、もうやめられません。自分の中ではエンドルフィンがドバドバ出ているような感覚なんです(笑)。あの高揚感があるからこそ、また次も、と駆り立てられるんだと思います。 今後の目標、これからのダンスとの向き合い方について教えてください。ステージに立ってみて改めて思いましたが、あと数年、行けるところまでこうして戦い続けたいと思っています。ただ、ダンスにはまた別の楽しみ方もあります。僕が教わったのは、「パーティー」「サイファー」「バトル」という3つの要素です。今は世界中でバトルが熱狂的に流行っていますが、バトルだけにフォーカスするのではなく、パーティーとサイファー、この3つの「弾」を込めてショットするのが本当のバトルだと思っています。 パーティーやサイファーを経験することで、その人のパーソナリティが出る。それを大事にしたいんです。だから、これからはバトルだけじゃなく、パーティーやサイファーにもしっかりとアンテナを張って、踊り続けていきたいですね。 DANCEALIVE プロデューサー TATSUKI インタビュー Tatsuki 新しいトラック(取り組み)も含め、盛りだくさんの内容だったと思います。イベントを終えたばかりの今、率直な感想を教えてください。ひとまず、無事に終わってホッとしています。このイベントは計4箇所のステージが同時進行するスタイルなので、例年だとどこかしらでトラブルが起きたり、進行が押してしまったりすることが多いんです。 過去には雨で一部のプログラムが実施できなかったり、予期せぬ事態に振り回されることも多々ありました。ですが、今年は驚くほどスムーズに進行することができました。 今回、セネガルやガーナの選手を招致したり、当日予選のSTILL IN THE GAMEを行ったりと、新しい試みもありましたね。セネガルとガーナの選手の登場は、かなりの衝撃だったと思います。ジャンル分けされた流れの中に彼らが飛び込んできたことで、良い意味でむちゃくちゃになりましたが、自分から楽しもうとするお客さんの熱量と上手くマッチして、素晴らしい盛り上がりを見せてくれました。 また、STILL IN THE GAMEは初の試みでしたが、当日予選を勝ち抜いた選手が裏に送られる様子は、僕が想定していたM-1グランプリの敗者復活戦そのものでした。対戦カードを事前に一部発表してワクワクを作りつつ、当日の勝ち上がり枠を残すことで、理想通りのドラマチックな展開を生むことができました。これは今後もぜひ続けていきたいですね。 今年のDANCEALIVEを振り返って、どのような変化を感じましたか?去年20周年を終え、21年目からのさらなる飛躍を考えた時、大事なのは新たなアイコンを生み出すことだと思っていました。かつての僕らが憧れた先輩たちのような、かっこいいアイコンをここから作っていかなければならない。 結果として、今年はKIDS、HIPHOP、HOUSE、BREAKING、そして新設されたPOPPINGを含む6ジャンル中、5ジャンルで初優勝者が誕生しました。まさに新時代の幕明けにふさわしい結果になったと感じています。負けたプレイヤーが次はあそこに立ちたいと悔しさを糧にする、そのサイクルを今後も生み出し続けていきたいです。 今後の目標や、見据えている展望について教えてください。まずは、新設されたPOPPINGサイドを、ポッパーの皆が目指すべき場所として確立させることが目下の目標です。そしてその先には、今始まっている「ワールド(世界大会)」をさらに整えていきたい。将来的にはオリンピックのように、今年は日本、来年はアメリカというように、所属国を回る「ワールドファイナル」を実現させたいですね。そこで優勝すれば人生が変わるような、夢のある仕組みを作りたいと思っています。 ダンサーだけでなく、一般の人へのDANCEALIVEの広がりについてはどうお考えですか?ダンスに詳しくない人が見ても、このイベントは絶対に面白い。だからこそ、ダンサーが歩み寄って分かりやすくするのではなく、仕組みとしてその魅力を伝える努力を僕らがしていくべきだと考えています。ストリートダンスがストリートダンスのまま、ちゃんと飛躍できること。この誇り高さや熱狂をマンネリ化させず、試行錯誤を続けていけば、自ずと人はついてくると信じています。 最後に ©マイナビDANCEALIVE 2026 FINAL 『マイナビDANCEALIVE 2026 FINAL』は、新設されたPOPPINGカテゴリーの追加や当日予選「STILL IN THE GAME」などの新たな試みにより、これまで以上にドラマチックな展開を生み出した。各ジャンルで多くの初優勝者が誕生し、次世代のスターが台頭する新時代の幕開けを印象付ける大会となった。 さらに、セネガル対ガーナのエキシビションバトルに象徴されるように、DANCEALIVEは世界規模での広がりを見せている。トップダンサーたちの熱量と観客の熱狂が交差するこの舞台は、今後もストリートダンスシーンの中心として進化を続けていくだろう。次のシーズンではどのような物語が生まれるのか、引き続き注目していきたい。
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culture430/Fourthirty 30周年記念連載:第4弾~「継続」という価値の先へ。上原洋が描く、仲間と共に切り拓くFourthirtyの未来~日本国内のストリートカルチャーシーンにおいて、BMXライダーを中心に深く愛され続けているアパレルブランド「430/Fourthirty(フォーサーティー)」が、今年でブランド設立30周年を迎える。 1996年に5名のプロBMXライダーによって発足し、その一員である上原洋を中心に歩みを進めてきた同ブランド。彼らが長年にわたるBMXとの関わりや数々の旅を通じて得た経験、そして機能性を追求した素材選びや時代ごとのテーマを反映したグラフィックなど、周囲のアーティストたちと共創したエッセンスがアパレルに落とし込まれている。現在ではBMXライダーをはじめ、ストリートカルチャーを生きる多くの人々に寄り添うデザインを展開し、シーンから絶大な支持を集めるブランドだ。 そして5月2日(土)にFourthirtyの創業30周年を記念するイベント「みどりな夜 2026 – 430 30th ANNIVERSARY」が開催される。この度、FINEPLAYでは当イベントに先駆けて、Fourthirty創立メンバーである上原洋氏に行ったインタビューを全4回の連載企画としてお届けする。 最終回となる第4弾では、30周年という大きな節目に開催される伝説的イベント「みどりな夜」の復活にかける想い、そしてブランドがこれから向かう「未来」と「展望」について語ってもらった。 7年ぶりに復活。5月2日、渋谷club asiaで交差するカルチャーの祭典 財満:いよいよ連載も最終回です。今回は、目前に迫った30周年記念イベント『みどりな夜 2026』と、その先の未来について伺いたいと思います。このイベント、実に7年ぶりの開催なんですね。 上原:そうなんです。2019年までは毎年恒例だったのですが、コロナ禍でタイミングを逃してしまって。でも今回、Fourthirtyが30周年で、会場の『club asia』も30周年。その奇跡的な重なりもあり、「じゃあ、やるか!」と決まりました。 財満:深夜23時スタートという、まさにストリートの夜が戻ってくる感じですね。 上原:最近は昼のイベントが主流ですが、1年に1回くらいは夜に無理して遊びたいじゃないですか(笑)。逆に「そういうイベントを待っていました!」という声もいただいています。 今回はJ-REXXXやDJ BAKU、幼馴染でもあるHOME MADE 家族のU-ICHI、さらにはスペシャルゲストとしてあの人や、TikTokで人気のユニットK&Kなど、旬のアーティストから長年一緒に走ってきた仲間まで、最高のメンツが集まってくれました。 右:J-REXXX 財満:Fourthirtyの歴史を彩ってきた「ハブ」としての繋がりが、そのままステージになるわけですね。 上原:キャスティングは本当に悩みました。でも結局「今の旬」を追うよりも「共に歩んできた仲間」を大切にしたかったので、BMXのジャムセッションでは、僕や(田中)光太郎といったベテランに加えて若手も登場します。「おじさん頑張ってるな!」という姿をぜひ見に来てほしいですね。 お世話になってきた方々や様々な業界の人も集まるので、自分たちが培ってきた文化をしっかり見せていきたいと思っています。 「30年のバリューを作るには、30年かかる。」430が示す継続の価値 財満:4月4日で49歳になったんですよね。僕より2ヶ月半早い。 上原:そうそう。気づけば「来年50歳です」と言える年齢になっていました(笑)。 財満:そんな上原さんが30年続けてきたFourthirty。FINEPLAYは今13年目ですが、その倍以上。立ち上げるのも大変ですが、継続するというのはマインド、人、お金、すべてを考え抜かなければならない、凄まじいことだと思います。 上原:悪い意味で言えば「適当」、良い意味で言えば「ゆっくり、落ち着いている」。そんな空気感でやってきたのが良かったのかもしれません。若手が能動的に動いて、いろんなものが形になっていく。逆に「30年いくぞ!」と最初から意気込みすぎていたら、きっと持たなかったでしょうね。やりたいことと、やらなきゃいけないこと。そのバランスをずっと見てきた結果です。 2000年代後半~2010年当時のスナップ でも、やっぱり30年のブランドバリューを作るには30年かかるんですよ。こればかりはショートカットできません。続けることが一番難しいからこそ、やれるところまでやりたいですね。 財満:その「継続」の価値は、ファンにもしっかり伝わっている気がします。 上原:「30年やっていて、あのクオリティを維持しているのはすごい」と言ってもらえるのは嬉しいですね。SNSを駆使するよりは、現場で会ったり、お店に来てくれたり、イベントで一緒になったりする「フィジカルな出会い」でファンが増えている感覚です。 展示会もある種のコミュニティになっています。SNSが発達して人間関係が希薄になりがちな時代だからこそ、人はどこかでちゃんと繋がっていたい。そんな「人間対人間」の体温があるやり取りを大切にしたいんです。 展示会の様子 仲間を上げ、カルチャーを繋ぐ「船」の行方 財満:今後の展望としては、どんなことを仕掛けていきたいですか? 上原: まさに「Everything is fuel to our energy」という言葉の通りで、僕は周りの人に引き上げられてここまで来れたと思っています。なので、これからは僕が周りを引き上げていけるようにしたいです。若手が憧れるようなブランド、チームにしていくことが目標です。 たとえばFINEPLAYを通じて若手をフックアップしていると思いますが、別の道や繋がりを提示してあげることはすごく重要だと思います。Fourthirtyも同じで、メンバー構成は少しずつ変化していて、光太郎がお守(店)や育成に集中し、制作には新しい若手が出てきている。それを「進化」と捉えて、新しい化学反応を楽しんでいきたいですね。AIのような便利なものも活用しつつ、最後はフィジカルな付き合いを大事に、このFourthirtyという船で行けるところまで行きたいです。 財満:全4回にわたって、上原洋さんに話を伺ってきました。過去から現在、そして未来へ。 Fourthirtyはこれからも形を変えながら、ストリートに欠かせないカルチャーとして続いていくはずです。本当にありがとうございました。 上原:ありがとうございました!とても楽しかったです。 今回のインタビューはPodcast「SESSIONS Presented by FINEPLAY」でも! FINEPLAYがスタートした新音声メディア「SESSIONS Presented by FINEPLAY」にて今回のインタビューもお聴きできます。 上原洋プロフィール 元プロBMXライダー。現在はアパレルを中心に、BMX、関連商品を販売する430 co.,Ltd の代表。2021年の東京オリンピック組織委員会でBMXの技術マネージャーを担当。またUCI BMX FREESTYLE 国際大会審査員も務める。2010年に原宿キャットストリートに430のヘッドショップであるDECADE TOKYOをオープンさせ、2024年に同じキャットストリートにDECADE TOKYOがリニューアルオープンした。 「みどりな夜 2026 – 430 30th ANNIVERSARY」 イベント概要 430 30th ANNIVERSARY “みどりな夜 2026”今回は430の30周年も重なる、特別な一夜。 クラブエイジアのフロアをフルに使い、BMX、LIVE、DJが交差するお祭り的な一夜。“みどりな夜”名物、BMXフラットランドのジャムセッションも開催。クラブという異空間で繰り広げられるライディングは、ここでしか見れない景色です。今回集まってくれたのは、これまで430と共にシーンを作ってきた仲間たち。長年ステージを共にしてきた太華くん、岡山の繋がりも深いレゲエアーティストJ-REXXX、ミクスチャーバンドのGAS MARIA、大分からはケンチンミン、金沢からはVUE DU MONDE、そしてさすがのパフォーマンスで魅せるK&K。それぞれのスタイルで、この夜を彩ってくれます。 DJ陣も特別なラインナップ。長年共にイベントを作ってきたDJ BAKU、高校時代からの仲間であるホームメイド家族のDJ U-ICHI、みどりな夜を支え続けてきたDJ DAI-5、DJ TOYODA。岡山からはDJ ZEEK、名古屋からはコースケ。現場を共にしてきたDJ PONY。田中光太郎の平成チューンもあります。そして新たな出会いから参加するDJ TIMESLIP GOなど、それぞれのバックグラウンドが混ざり合う一夜になります。 さらにスペシャルゲストも控えていますが、こちらは当日までのお楽しみ。30周年を祝うために集まってくれた、本当に大切な仲間たちです。このメンバーで迎えられることに感謝。当日が楽しみです。— Text by Hiroshi Uehara/上原洋 DATE:5.2 (Sat) 23:00 STARTTICKET:ADV ¥3000 / DOOR ¥4000(430枚に達すると終了します )430/Fourthirty 30周年記念連載:第1弾 〜Fourthirty代表 上原洋が語る創業秘話〜チケットはDECADE TOKYO & ONLINEにて販売中です。記事最下部のリンクより購入できます。VENUE:CLUB ASIA(渋谷)東京都渋谷区円山町1-8STARRING:430 BMX LIVE SESSIONJ-REXXX,太華,GAS MARIA,KEN TIN MIN,VUE DU MONDE,K&K,DJ BAKU,DJ U-ICHI.,DJ DAI-5,DJ TOYODA,DJ TIME SLIPPER GO,DJ ZEEKDJ PONY,DJ KOTARO TANAKA…and more
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culture430/Fourthirty 30周年記念連載:第3弾~「DECADE TOKYO」始動と30年変わらない信念「 Everything is fuel to our energy」~2026.04.30日本国内のストリートカルチャーシーンにおいて、BMXライダーを中心に深く愛され続けているアパレルブランド「430/Fourthirty(フォーサーティー)」が、今年でブランド設立30周年を迎える。 1996年に5名のプロBMXライダーによって発足し、その一員である上原洋を中心に歩みを進めてきた同ブランド。彼らが長年にわたるBMXとの関わりや数々の旅を通じて得た経験、そして機能性を追求した素材選びや時代ごとのテーマを反映したグラフィックなど、周囲のアーティストたちと共創したエッセンスがアパレルに落とし込まれている。現在ではBMXライダーをはじめ、ストリートカルチャーを生きる多くの人々に寄り添うデザインを展開し、シーンから絶大な支持を集めるブランドだ。 そして5月2日(土)にFourthirtyの創業30周年を記念するイベント「みどりな夜 2026 – 430 30th ANNIVERSARY」が開催される。この度、FINEPLAYでは当イベントに先駆けて、Fourthirty創立メンバーである上原洋氏に行ったインタビューを全4回の連載企画としてお届けする。 続く今回の第3弾では、ブランドの拠点である原宿のショップ「DECADE TOKYO」が誕生した意外な舞台裏や、30年間変わらずに掲げ続けてきたブランドスローガン「Everything is fuel to our energy」に込められた真意を深掘りしていく。ストリートの最前線で「ハブ」として機能し続ける上原氏のコミュニティ哲学、そしてチームとしての新たな挑戦に注目してほしい。 仲間達の「ハブ」が店舗へ。「DECADE TOKYO」誕生秘話 旧 DECADE TOKYO 財満:前回は香港での生活から日本に帰国するまでを伺いましたが、いよいよ原宿に「DECADE TOKYO」が誕生するまでの経緯を教えてもらえますか? 上原:香港にいた頃は、台湾、シンガポール、韓国など、アジア圏を中心に世界中の人々が行き来する環境にいたので、自然とフットワークが軽くなっていました。そうして世界中に仲間ができたタイミングで、日本に帰ってきました。帰国後は、自分のブランド(Fourthirty)やBMXをもっと真剣に突き詰めたいと考え、ストリートカルチャーの中心である原宿に古いアパートを借りて住み始めたんです。 香港時代もそうでしたが、街中に身を置いていると、仲間が遊びに来て、さらに新しい仲間を連れてくる。そこから常に新鮮な情報が入ってくる、というスタイルが自分には合っているなと思っていました。案の定、原宿の自宅もメンバーや様々な友人が絶えず集まる「ハブ」のような場所になりました。 旧 DECADE TOKYO 財満:そこから、どうやって「ショップ」へと発展していったのですか? 上原:当時、キャットストリートに「DBA」というお店があったんです。老舗スケートショップの「arktz(アークティーズ)」の姉妹店で、Fourthirtyを主力ブランドとして扱ってくれていました。Fourthirtyのメンバーも働かせてもらっていた縁もあり、家族のような付き合いをしていたんです。 ところがある時、渋谷の区画整理による立ち退きが決まってしまい、「Fourthirtyを置く場所がなってしまう!」という状況になりました。 財満:それはかなりのピンチですね。 上原:急いで原宿界隈で物件を探しましたが、立地も賃料も条件に合う場所がなかなか見つからなくて。その時、「じゃあ、いっそここ(自宅)でやろう」と決めたのが、以前のDECADEなんです。 財満:あそこは元々ヒロシくんの家だったんですね! 上原:そうなんです(笑)。1階の柱を抜いて店舗風に改装して、後から2階や目の前の建物も借り増していきました。大家さんに「ショールームのように使いたい」と相談したら快諾してくださって。結局、あの場所では15〜16年ほど活動しましたね。 30年間揺るがない信念「Everything is fuel to our energy」 財満:2010年頃はストリートシーンも激動の時代でしたよね。 上原:帰国したのが2006年頃。まだiPhoneすら普及していない時代でした。当時の原宿は同世代のストリートブランドが活気に溢れていましたし、20代半ばの動ける若手ライダーも増えてきて、本当にエネルギッシュで楽しい時期でした。 VICE撮影時の様子 / 左:新田 右:上原 並行して、雑誌『VICE』の小池ゆきおさんという日本の代表の方とも交流があり、イベントの運営をお手伝いしたりしていました。そこでテリー・リチャードソンや新田桂一さんのような世界的なフォトグラファーとも繋がりができて、可愛がってもらいました。 財満:現在のFourthirtyは、多彩なブランドとのコラボやアーティストサポートでも知られていますが、そういった動きはいつ頃から始まったのですか? 上原:今も昔も変わらないのですが、「このアーティストが旬だからコラボしよう」というビジネスライクな考えではないです。昔からの付き合いがあったり、展示会に遊びに来てくれた仲間と「これ、いいね」「着たいんだけど」といった自然なやり取りから始まることが多いです。金銭的なサポートというよりは、仲間内で「良いもの」を共有している感覚に近いですね。 2000年代後半~2010年当時のスナップ 財満:30年続く活動の中で、ここだけは「ブレさせていない」という430の信念はありますか? 上原:ブランド創設時にメンバーの伊東高志が決めた「Everything is fuel to our energy(周囲のモノ、事柄、人、すべてが僕らの原動力)」というスローガンです。結局、僕一人では何も成し遂げられていません。支えてくれる皆への感謝だけは、一瞬たりとも忘れたことがないですね。 財満:そのマインドがあるからこそ、自然と人が集まってくるんですね。 上原:若い世代が「何かをやりたい」と言ってきたとき、否定するのではなく「こういうやり方もあるんじゃない?」と建設的に対話したいと思ってます。それが僕らのモードですし、チーム全員が共通して持っている想いです。 BMXというバックボーンを超えて。誰もが楽しめるファッションブランドの強み 財満:ブランドの30周年を振り返ってみて、今どのようなフェーズにいると感じていますか? 上原:自分自身、まだそこを客観的に俯瞰できるほど大人にはなりきれていないというか(笑)。ただ、ブランドの在り方には多様な形があるんだなと実感しています。 例えば、大手商社と提携して流通を拡大し、自分たちはデザインに専念する、といった海外で主流の「ブランドを成長させて売却し、また新しいことを始める」というスタイルも日本で増えてきました。 でも、僕にはそのやり方は合っていなくて。この「泥臭い継続」こそが、430のチャームポイントだと思っています。 財満:実際に(買収などの)話があったわけではなく? 上原:全くなかったわけではないですが、あまりないです。僕がそういうモードを出していないからだと思いますし、出すつもりもありません。今ある形を絶やさないよう30年間走り続けてきましたし、これからもそうありたいです。 変化した部分もあって。今はチームで動かしているので、メンバーから自分では思いもよらないアイデアが出て、それが形になる。最初は違和感を覚えることもありましたが、今はそれを純粋に楽しめています。「こういうアイテムを出すなら、こんな要素を足してみたら?」と、自分からも新しいアイデアを乗せていく。そんな化学反応が起きています。 制作時の様子 財満:毎シーズンのコレクションも、チーム全員で意見を出し合っているのですね。 上原:基本的には制作チームがベースを作り、そこにみんなでアイデアを加えていく形です。モデルを務めてくれる子たちも何年も一緒にやってくれている仲間ばかりで、そうした「繋がり」は年々深まっていると感じますね。 財満:展示会にも、ジャンルの垣根を超えて多様なカルチャーの人たちが訪れています。 上原:先輩や仲間たちも、展示会という場を通じて生まれる「横の繋がり」に期待して来てくれている部分があって、それはすごく嬉しいですね。430という場所が、面白い人たちが交差するプラットフォームになればいいなと願っています。 展示会の様子 バックボーンにBMXがあることは周知の事実ですが、「自転車に乗っていないから関係ない」ではなく、誰もが楽しめる。それこそが、ファッションブランドとしてのFourthirtyの強みだと思っています。 今回のインタビューはPodcast「SESSIONS Presented by FINEPLAY」でも! FINEPLAYがスタートした新音声メディア「SESSIONS Presented by FINEPLAY」にて今回のインタビューもお聴きできます。 上原洋プロフィール 元プロBMXライダー。現在はアパレルを中心に、BMX、関連商品を販売する430 co.,Ltd の代表。2021年の東京オリンピック組織委員会でBMXの技術マネージャーを担当。またUCI BMX FREESTYLE 国際大会審査員も務める。2010年に原宿キャットストリートに430のヘッドショップであるDECADE TOKYOをオープンさせ、2024年に同じキャットストリートにDECADE TOKYOがリニューアルオープンした。 「みどりな夜 2026 – 430 30th ANNIVERSARY」 イベント概要 430 30th ANNIVERSARY “みどりな夜 2026”今回は430の30周年も重なる、特別な一夜。 クラブエイジアのフロアをフルに使い、BMX、LIVE、DJが交差するお祭り的な一夜。“みどりな夜”名物、BMXフラットランドのジャムセッションも開催。クラブという異空間で繰り広げられるライディングは、ここでしか見れない景色です。今回集まってくれたのは、これまで430と共にシーンを作ってきた仲間たち。長年ステージを共にしてきた太華くん、岡山の繋がりも深いレゲエアーティストJ-REXXX、ミクスチャーバンドのGAS MARIA、大分からはケンチンミン、金沢からはVUE DU MONDE、そしてさすがのパフォーマンスで魅せるK&K。それぞれのスタイルで、この夜を彩ってくれます。 DJ陣も特別なラインナップ。長年共にイベントを作ってきたDJ BAKU、高校時代からの仲間であるホームメイド家族のDJ U-ICHI、みどりな夜を支え続けてきたDJ DAI-5、DJ TOYODA。岡山からはDJ ZEEK、名古屋からはコースケ。現場を共にしてきたDJ PONY。田中光太郎の平成チューンもあります。そして新たな出会いから参加するDJ TIMESLIP GOなど、それぞれのバックグラウンドが混ざり合う一夜になります。 さらにスペシャルゲストも控えていますが、こちらは当日までのお楽しみ。30周年を祝うために集まってくれた、本当に大切な仲間たちです。このメンバーで迎えられることに感謝。当日が楽しみです。— Text by Hiroshi Uehara/上原洋 DATE:5.2 (Sat) 23:00 STARTTICKET:ADV ¥3000 / DOOR ¥4000(430枚に達すると終了します )430/Fourthirty 30周年記念連載:第1弾 〜Fourthirty代表 上原洋が語る創業秘話〜チケットはDECADE TOKYO & ONLINEにて販売中です。記事最下部のリンクより購入できます。VENUE:CLUB ASIA(渋谷)東京都渋谷区円山町1-8STARRING:430 BMX LIVE SESSIONJ-REXXX,太華,GAS MARIA,KEN TIN MIN,VUE DU MONDE,K&K,DJ BAKU,DJ U-ICHI.,DJ DAI-5,DJ TOYODA,DJ TIME SLIPPER GO,DJ ZEEKDJ PONY,DJ KOTARO TANAKA…and more






