昨年11月に開催されたアジア選手権(公式アジア大会)で優勝に輝いたフリースタイルフットボーラー、Yu-ri(伊豆 優李)。昨年アジアチャンピオンとなった彼は、Red Bull Athleteとしてのキャリアもスタートした。
今最も勢いのあるフリースタイルフットボーラーである彼に、FINEPLAYはインタビューを実施。同じくフリースタイルフットボーラーである筆者に対して、自身のスタイル、練習やバトルにおける考え方、今後の展望などを存分に語ってくれた。
「フリースタイルフットボール」との出会い
―フリースタイルフットボールを始めたきっかけを教えてください 。
きっかけの出来事っていうのははっきりあるわけではなかったんです。もともとサッカーをやっていて 、リフティングが好きだったんですよ。とにかくリフティングを練習していて。最初は回数を増やそうと頑張っていて、そこからやべっちFCなんかをみて技を練習し始めて、できるまで練習を繰り返してました。だけど全部すんなりできてしまって(笑)。最初から「あ 、俺これ得意なんだな」って思ってやってたら、いつの間にか基礎の技はほとんど習得していました。アラウンド・ザ・ワールド(atw)だったり、クリッパーだったり。そういう技が全部揃ってる状態で「これは何なんだろう」ってずっと思っていました。

そしたら中学2年生の頃に、アッパー(主に体の上半身を使ってボールを扱う技のジャンル)を街のめちゃくちゃ人通りのあるところでやってる人がいて、「なんだこいつは!?」みたいな感じで話題になっていたんです。それでお母さんが「これあんたがやってるやつじゃないの?ちゃんとやってる人いるんだから、1回見に行きなさい」っていう感じで教えてくれて、車出してもらって見に行かせてもらいました。めちゃくちゃその時緊張したんですけど、その時話しかけに行って初めてフリースタイルフットボールという競技に出会いました。
―最初にフリースタイルフットボールを知って始めたわけではなかったんですね。
最初はフリースタイルフットボールっていうのを知って始めたわけじゃなくて、自分がやっててこれが何なんだろうっていう答えを探す感じでしたね。それから初めて出会ったそのフリースタイラーのことを「師匠」と呼ぶことにして、2、3年付き合って一緒に練習とかしてもらっていました。
師匠はもうやめてしまったんですが、当時いろいろ学ばせてもらいました。技ももちろん教えてくれたんですけど、知識とか考え方、魅力だったり何か概念的なものも教えてくれました。そこで師匠に教えてもらって知ったのがKamalio(南アフリカ共和国のレジェンドフリースタイラー)だったみたいな。
―自身のインスタグラムのユーザー名にも入っていますよね?
そうです。インスタのユーザー名にも入るくらい僕にとっては大きい存在ですね。Kamalioからこの名前を貰ってずっと使い続けています。
最近の若手は特にこの名前の由来を知らない人も増えてきていて、その中で自分がこの名前を使い続けてKamalioっていう名前が残ってることに関してはすごい意味があると思っていますね。自分にとって神様みたいな存在であるフリースタイラーの名前が、自分のキャリアとともに残り続けるので。子供の時に名乗ってしまって、後悔した時もありましたけど(笑)。
―現在所属するチーム「Air Technician」へ加入した経緯を教えてください。
もともとフリースタイラーとして1番最初に自分が憧れたのがKazane君なんです。自分は彼のファンになって、そんなKazane君が作ったチームがあるっていうところから「Air Technician」を知りました。日本のとんでもないスーパーキッズ達を集めて活動するみたいなことを耳にして、「このチームかっこいいな」っていうイメージをずっと持っていました。
それから高校生の頃はエアテクの動画を見てそれをモチベーションにして練習しました。Kazane君とも連絡を取って一緒に蹴ったりしていました。「エアテクかっけえだろ」「お前もがんばれよ」みたいなやり取りがあって。そして高校3年生の時に高校生日本一決定戦で優勝したときに声をかけてもらって、エアテクに正式に加入しました。

「バトルへの熱が冷めたことはない」Yu-riが語ったバトルへのこだわり

―フリースタイルフットボールのバトルにはいつ頃から興味を持ち始めたのですか?
バトルは始めた頃から興味を持っていて、KamalioやKazane君の映像を見て「すげえ」「かっこいい」と思って見ていました。とにかく早くバトルに出たかったので、初めて半年くらいですぐにバトルにチャレンジしました。
その時は、勝ちに行こうというよりかは、Yu-ri atw(Yu-riのオリジナルトリック)だけ決めてやるって意気込んで出ていました。その時何回もトライして1発メイクできて、会場もめちゃくちゃ沸いてくれて。その負け方をしてからもうバトルの虜になりました。どんな負け方にも意味があるし、言葉では表せないくらいバトルには面白味があるんだと気づいてからずっと出ています。14歳の頃からなので、もう12年くらい経ちます(笑)。

―相当長い期間バトルに出続けていますね。
ぶっ飛んだフリースタイラーですよね(笑)。バトル歴でいったらめちゃくちゃベテランです。
―そんな中で近年は徐々に結果を残し始めてきていますが、バトルにおける自分の強みというのはどの部分だと感じていますか?
みんなが期待するのはやっぱり後ろ系のエアームーブですね。Yu-ri atwとか4回転とか。だけどここ数年自分が意識しているのは、その技に至るまでの過程の部分なんです。その技だけ持っていてもバトルは勝てないので、火力の高い技とのバランスの取り方が今では自分の強みになってきているのかなと感じています。
―具体的にその強みを生かすために取り組んでいることはありますか?
自分のカルチャー以外のバトルを見て、その人の戦い方を見ることです。特に自分と戦い方が似ているような人を見ます。フィギュアスケートとかも見るんですけど、それこそ4回転やる人ってそれ以外の動きはどうなんだろうっていう視点で見たりしますね。「この過程があるから4回転がすごく魅力的に映るんだ」とか。そういったものから取り入れられるものを勉強して、自分のムーブに活かせるようにしています。
―そういった過程を大事にする戦い方をバトルで実際にするために、普段の練習で意識していることはありますか?
過程を大事にするためにはやっぱりその火力のある技の精度が高くないと話にならないので、まずは自分のシグネチャーの精度上げをひたすらやっています。自分は技の精度に関してはやり方とかコツも大事ですけど、経験値が1番大事だと思っています。自分は練習でありえないくらいやり込むんです。技ができるようになったなと感じたら、その技を連続で30回くらいやって、やり方があってるかどうか確認するみたいな(笑)。

そういった練習を通して技が確実に決まるものになったら、その間の過程をメモとかに書き起こします。物語のように自分のムーブが繋がるようにして構成を練っています。あとはそのムーブが、今のバトルのジャッジ基準に対してしっかり評価されるかどうかも考えています。
―一緒に練習させてもらうと、Yu-riさんは技の習得が速いと感じます。技の習得にもやはり経験値が影響していますか?
そうですね。技を習得するスキルが上がっていけば、フリースタイルも上手くなっていくと思います。技が成長するのはもちろん、練習の仕方が上手くなっていくことにも繋がっていくので。経験と常に考えながら練習しているのが、技の習得が速いポイントだと思います。
あとはやっぱり基礎力ですね。自分は、子供のころからとにかく基礎をやって全部のスタイルを上手くなろうと思ってやっていたので、今はその時代から積み上げてきたものが活きている感じです。

―Yu-riさんといえば誰も見たことのないような新しいムーブを生み出すのも魅力の1つだと思います。その発想を生み出すために工夫していることはありますか?
最近は勝手に生まれてくるような状態です。昔は技を足し算するように考えてやっていました。ここ数年は考える力が強くなって、フロアの技とかは突発的に生まれることが多いです。ただそのアイデアが全部良いとは限らないですけどね。今は結構打率いいです。それもまた経験値の部分で、良い技が生まれやすくなっているのかもしれないです。
―練習のモチベーションや練習するときのルーティンはありますか?
モチベーションという言葉はあんまり自分には当てはまらなくて。フリースタイルフットボールが、自分が生きてくうえで勝手にやっちゃってるものになっています。多分トッププレイヤーの人達はみんなそうだと思うんですけど、やりたくてしょうがないものだからモチベーションというのがそもそもよく分かっていないような感じです。
だからフリースタイルに対する熱量だったり練習量は減ったことがなかったですね。自分の場合は、その中でたまに練習に対する熱量がものすごく上がるときがあります。どうしてもやりたくなってしまって、学校を抜け出して公園で練習したこともありました(笑)。
―練習に行き詰った時や疲れているときはどのようにリフレッシュしていますか?
そういう時は練習の仕方を変えています。最近は特に1つ1つのバトルに対する責任が増えてきて、好き勝手練習できていなかったりするんです。勝つための練習にこだわらなければいけなくて、それに悩まされることもあります。
自分が1番理想とするフリースタイルと勝つためにやるフリースタイルとでは被ってるところは多いんですけど、やっぱり少し違っていて。その少し外れたフリースタイルをやる時間をとることが、自分にとってリフレッシュになったりしています。
―具体的にはどんなフリースタイルなんですか?
昔はよく自分の好きな場所で、好きな音楽をかけて振付を作って動画を撮ったりしてました。SIRUPとかBIMとかでよくやっていました。最近は動画を撮るまでいけないこともあるんですが、定期的にそういうフリースタイルをして自分のストレスを解消してます。逆にそれがバトルの場面で活きる時もあるので自分にとってすごく大事な時間だと思っています。
―Yu-riさんのフリースタイルする際の服装のこだわりがあれば教えてください。
できるだけ自分の好きなファッションでやろうとしています。フリースタイルは特に服によって技に制限がかかってしまう競技なので、その中で自分が探して見つけたフリースタイルができて好きなファッションができる限界の服でやっています。
これからもっとフリースタイル界が発展していって、専用のブランドが出てきたりしたらもっと服の選択肢が広がるなと思っています。それこそ自分で作れたりしたら理想ですね。
数々の世界大会を経験して
―アジア大会優勝おめでとうございます。そのアジア大会を通して感じたことはありますか?
ありがとうございます。これはアジアに限らず、日本人が少し海外勢に押されているなと感じました。昔は日本ってすごい強い国だって言われていて。それが近年は日本が世界に圧倒されているように感じています。
そしてそれは今回のアジア大会でも実感しました。明らかにアジアの日本以外の国のレベルが上がっていて、日本も調子に乗っていられないなと。だから今回僕が優勝できて本当に良かったです。

―バトルにおいて意識している相手はいますか?
国内だとYo君、海外だとJayとJesseですね。
Yo君は国内ではずっとトップで誰も勝てないみたいな存在だったんです。でも最近はチームの活動にシフトしてバトルシーンでは見なくなってしまって。ずっと目標にしていつか超えてやろうと思っていた人だったので、今でもすごく意識しています。
Jayは、自分があこがれていた舞台である、23年の冬に開かれたRed Bull Street Styleで優勝した時に衝撃を受けました。正直あのトッププレイヤーたちの中で勝ち上がるとは思っていなくて。その時からJayは倒さないといけないと思って意識している相手です。Jesseに関しては自分と同い年でもあって、ずっと自分の格上にいる存在です。前回当たった時に悪い負け方をしてしまったので次は絶対勝たなきゃいけない相手だと思っています。
フリースタイラーとしての生き方

―SNSでの活動もYu-riさんの特徴の1つだと思います。何か意識していることはありますか?
唯一無二の映像を作ることです。自分には映像の編集技術はないので、技でやるしかないと思って新しいものをとにかく意識していました。最近はもうそれも限界に近い気がしているので、また新しいアプローチも探しつつやっていきたいと思っています。それでも人と被ったものをやっても面白くないので、クリエイティブであることが1番大事ですね。
―最近は他のカルチャーとの絡みも増えてきています。そういった活動を通して実現していきたいことはありますか?
アーバンスポーツってたくさんある中でフリースタイルフットボールの規模はまだまだ小さいほうだと思っていて。カルチャー全体を押し上げていくためにまずは自分が先頭に立って他カルチャーとの関係性を築いていこうと思っています。
カルチャーをどうこうするのって1人じゃ絶対できないことなので、みんなが何かしらトライできるきっかけを作るために、影響力を持つ自分がフリースタイルフットボールをいろんな場所でアピールできたらなと思っています。
―Red Bull Athleteにもなられました。率直な感想は?
子供の時に短冊に書いた夢が1つ叶って、最初は全然実感がなかったです。「ほんとに帽子被れんのかな?」みたいな。でも実際に活動していくうちにその感覚が後付けで付いてきて、今はその感覚が全部新鮮で楽しいです。
それこそ優勝したアジア大会でも、正直レベルの高さに驚いたんですけど、ホテルに戻って当日の衣装を着て鏡を見たときに、「これで負けるわけねえだろ」っていう気持ちになれて。自分を鼓舞してくれるような感覚も新鮮でした。ほんとに翼授けてもらっています(笑)。

―フリースタイル以外の趣味はありますか?
車を運転することと、キャンプですね。車は子供のころから好きで、キャンプは最近できた趣味です。アニメの影響を受けてハマりました。この2つは相性が良くて、よく道具を車に乗せてキャンプしに行っています。でもキャンプしに行っていても、景色のいいところでボール蹴って動画撮ったりしちゃって。何やるにしてもボール持って行っちゃうので、結局フリースタイルから離れられてないですね(笑)。
「シーンを代表する顔になりたい」

―現在のフリースタイルフットボールシーンについて思うことはありますか?
先ほどはバトルにおいて日本が押されていると話しましたが、逆にそれ以外では日本は世界で断トツでいい位置にいると思っています。カルチャーとしても、プレイヤー1人1人の質としても日本はすごくいいと思えています。その意識がちゃんと海外にも伝われば、大会の軸が少し変わったり、考え方が理解されてまた別の軸での世界大会ができたり、何かしら変化を与えられると思っています。
だから世界基準っていうのを意識しすぎることはしないで、各々好きなことをやって発信し続けることが大事だと感じています。だからこそ、日本の良さを残していくためにも自分が勝ち続けなきゃいけないなと思っています。
イベントなんかも日本が世界をリードしていると思います。ショーケース等のカルチャー寄りなイベントも増えていますし。日本がそういった部分における世界の軸になって、海外から人を集めるとかできたら面白いんじゃないですかね。日本のいい文化をうまく海外にも伝播させていきたいですね。
―Yu-riさんのキャリアの中で今後のビジョンがあれば教えてください
シーンのためにやることとしては、専用のスタジオを作ることです。みんな昔から練習場所に悩んできたので。下の世代のためにも、みんなが安心して練習できる場所を作るっていう目標が1つあります。それができたらさらにレッスンもできて、全国にも展開していけたらいいなと思っています。
個人としてはまず世界大会を取ります。そしてフリースタイルを代表する顔になりたいです。もっとSNSにも力を入れて有名になって、テレビにも出れるようになっていきたいですね。ずっと貪欲でいたいです。
Profile

Freestyle Footballer Yu-ri (伊豆 優李)
リフティングを披露する事が好きだったサッカー少年時代、TVにて「Red Bull Street Style 2012」で優勝したTokuraに憧れ、「将来Red Bull Athlete になる」と宣言し、フリースタイルフットボールのキャリアをスタートした。
とにかく練習が好きだったYu-ri は高校進学のタイミングでサッカーを引退し、フリースタイルに専念。その後、高校生日本一決定戦(High School No.1)で優勝を果たした。高校卒業後は、最も権威のある世界大会Super Ballに出場し、Best32にランクインし頭角を現すと翌年Tokura が主催する全国大会(Wing crush of freestyle)で優勝を果たす。その後、12大会で優勝・準優勝を果たし、2024年7月には、Red Bull JapanとAthlete契約を結んだ。昨年11月に開催されたアジア選手権(公式アジア大会)は、世界初となる4回転トリックを決勝で決め、日本人では5年ぶりのアジアチャンピオンという快挙を成し遂げた。またSNSでは、総フォロワー30万人を達成し、多くの人にフリースタイルフットボールの魅力を発信している。
SPECIAL EDITION

FINEPLAYはアクションスポーツ・ストリートカルチャーに特化した総合ニュースメディアです。2013年9月より運営を開始し、世界中のサーフィン、ダンス、ウェイクボード、スケートボード、スノーボード、クライミング、パルクール、フリースタイルなどストリート・アクションスポーツを中心としたアスリート・プロダクト・イベント・カルチャー情報を提供しています。
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●今日 ○イベント開催日
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culture福岡のストリートカルチャーを繋ぐ架け橋【DECADE FUKUOKA店長 和田裕司インタビュー】2025.04.28福岡のストリートカルチャーシーンにおいて、長年にわたり重要な役割を果たしてきた「DECADE FUKUOKA」。単なるストリートアパレルショップという枠を超え、ローカルコミュニティと多様なカルチャーを繋ぐ架け橋として、多くの人々にとってかけがえのない場所となっている。 今回、その舵取りを担う店長、和田裕司氏にインタビューを実施。お店の誕生から、目まぐるしく変化してきた福岡のストリートシーンの変遷、そして未来への熱い想いを語っていただいた。 立ち上げ当初からDECADE FUKUOKAを見つめ、その成長に深く関わってきた和田氏の言葉を通して、福岡のストリートカルチャーの過去・現在・未来を紐解く。 DECADE FUKUOKAのルーツと情熱 DECADE FUKUOKA DECADE FUKUOKAを立ち上げた経緯を教えてください。 今年で14年目を迎える DECADE FUKUOKAですが、実は僕は立ち上げメンバーではなかったんです。当時、近所の別の洋服店に勤務しており、そこでストリートアパレルブランド「430」を取り扱っていました。 その縁もあり、DECADE FUKUOKAがオープンした当初から近い距離で見てきました。 自分がDECADE FUKUOKAに加入したのはオープンから3年後で、6年前に現在の店舗に移転しました。立ち上げに携わったわけではないですが、この店をどう育てていくかをずっと考えてきて、移転の際には主導的な役割を担いました。単なる服屋というよりはいろんなシーンが自然に繋がれる場所になればという思いがずっとありました。 立ち上げ当初の福岡のストリートシーンはどのような雰囲気でしたか? それぞれの分野で強い個性を持つ人々がおり、先輩世代が多い時代でした。その濃い人たち同士で仲はいいんですけど、当初はがっつり手を組んでいる印象ではなかったです。 自分もシーンの中心にいるわけではないですが、近くで見させてもらう中で現在ではBMX、ダンス、スケボー、音楽をやっている若い子たちが多く出てきたりと変化を感じています。 DECADE FUKUOKAで販売している430の商品 ストリートアパレルブランド「430」に対する想いを聞かせてください。 僕は430と出会ってもう20年近くになります。単なるブランドというより、「生き様」や「姿勢」を表しているようなブランドのイメージを持っています。 僕自身はBMXライダーだったわけではないものの、ブランドに関わる先輩たちの動きに憧れてきて自分も背筋がピンとするという430はそんな存在です。 福岡としてもそのような芯のある空気感を伝えていけたらと思います。 シーンとの関わり・カルチャーへ向けて これまで10年以上、福岡のストリートシーンを見てきてどのような変化を感じていますか? DECADE FUKUOKAができて10年以上が経ち、本当に大きく変わったなと思います。以前はストリートにリアルに生きているような雰囲気が重視されていた印象があったのに対し、現在ではもっとオープンで多くの人が気軽に飛び込める環境になっていると感じています。 ライダーやダンサーなど、どのようなジャンルの人たちがDECADE FUKUOKAに集まってきますか?また彼らにとってDECADE FUKUOKAがどのような場所になっていると感じますか? DECADE FUKUOKAに来店される方は、BMXライダーやスケーター、ダンサーだけでなく、絵を描かれているアーティストの方や飲食店をされている方など本当にさまざまですね。 近年では、洋服だけでなくコーヒーやアルコールも提供しているため、服を買いに来るだけじゃなくて、ちょっと話したくて寄ってくれるとか。みんなにとっていろんなジャンルの人が気楽に入ってこれる場所になっていれば嬉しいです。 お店を通して、ストリートカルチャーと地域がどのように交差してきていると感じますか? この形を作った6年前からするとDECADE FUKUOKA自体が公民館のような一つの交差点になっていると感じるようになってきました。 特に、移転の際に併設したコーヒースタンド「ARCH」を通じて、これまで繋がりのなかった人々が服やコーヒーだけでなくそれが入り口になってつながる大切な場所になってきました。 カルチャー醸成の後押しとコミュニティ形成 DECADE FUKUOKAに併設されているARCH DECADE FUKUOKAとしてイベントやコラボなど、これまでに行ってきたカルチャー支援があれば教えてください。 ARCHというコーヒースタンドを併設していて、店の外にちょっとした休憩スペースのようなのも用意しています。そこで飲食の出店をやったり地元や県外のアーティストとのコラボアイテムの作成、展示会をさせてもらったりしています。 そういったことでつながった方から声をかけてもらって、外部のイベントに僕たちがコーヒーを入れに行ったり洋服を売りに行ったりできるようになってきました。 店舗を続ける中で生まれる「人とのつながり」で大切にしていることはありますか?またどのような「コミュニティ」づくりを目指していますか? プライドは大事なんですけど、余計なプライドは持たないようにしています。僕自身がそのBMXもスケボーも触れてはいるけど、しっかりとプレーヤーとしてやってきているわけではないので、僕自身上から目線で語れるような立場じゃないと思っています。 だからこそ、どんな人とでもどんなカルチャーやシーンに携わってきた方でも対等でいたいと思っています。親しき中にも礼儀ありじゃないですけど、礼儀礼節などをちゃんと持った関係からコミュニティは生まれていくのかなと思っているので、そこはすごく大事にしています。 お店に通われている若手世代のライダー・ダンサーたちに対して、どんな想いを持って日々接していますか? 僕自身も子供を持つ親なので子供たちがこういうカルチャーに自然と触れられるのがいい時代だなと実感しつつも、カルチャーにいた人間の価値観で、子供たちの選択肢を狭めたくはないなという思いも同時に持っています。 僕たちがかっこいいと思ってきたものや憧れてきたものをちゃんと伝えつつ、新しい世代のやり方にも耳を傾けていきたいです。 今後の展望 和田 裕司 DECADE FUKUOKAの今後の展望や挑戦したいことがあれば教えてください。 地域貢献だったりと地元にもっと根付く動きって何だろう?とすごく考えています。保育園や小学校とつながって、福岡のストリートカルチャーの若手になっていくであろう子供たちがもっと早い段階でこのシーンに触れることができる架け橋的な存在になっていきたいです。ARCHとDECADEはニコイチの店なのでもっと人が交わる空間としての幅は広げていきたいと思っています。 福岡のストリートシーンがこれからさらに盛り上がっていくためにはどのようなことが必要だと思いますか? 福岡はこだわりを持っている方が多く、ローカル同士の横のつながりが広いようで狭い街なのでプライドがぶつかることが多く、ちょっとしたピリ付き合いとかが多いんですよね。そのバランスをとりながらジャンルを飛び越えて気軽にコラボしたり面白いイベントなどを気軽にできる雰囲気は必要だと思います。 かっこつけすぎずに、それでもちゃんとこだわりがあるというのを見せられるのが福岡かな思っています。 430の商品 最後に、430やストリートカルチャーを愛する人たちへ一言お願いします! 誰かに認めてもらうとかではなくて、自分がこれかっこいいなって思えたらそれが正解かなと思っているのでそのためには続けること、ブレないことが大事だと思います。それは結構難しいことなんですけど、430はブラさずに続けてきたブランドだからこそ30年って続いてきたんだろうなと思っています。 430の福岡という大切な街のブランドを背負っているのでお店として、これからも皆さんとシーンを作っていきたいです。 インタビューを終えて インタビューを通して、和田氏のDECADE FUKUOKAと福岡のストリートカルチャーへの深い愛情と、開かれた場所であり続けたいという強い想いが伝わってきた。 多様な人々が集い、新しいカルチャーが生まれるDECADE FUKUOKAは、これからも福岡のストリートシーンにとって重要な存在であり続けるだろう。 和田裕司プロフィール 和田 裕司 和田 裕司(ワダ ユウジ) 430FLAGSHIP SHOP「DECADE FUKUOKA」店長。株式会社BEN(ベン)代表取締役。 11年前にDECADE FUKUOKAに加入。現在の福岡市の今泉の店舗には6年前に移転し、同時に「ARCH」を併設。コーヒー、アパレル、アート等、その企画・運営を通じて、ストリートカルチャーとローカルコミュニティの橋渡し役として日々奮闘中。福岡のBMXやスケート、ダンスなどのカルチャーを近くで見つめ続けながらも、自身は「好きな人たちを応援する立場」としてシーンに関わっている。 DECADE FUKUOKA〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-7-6092-716-2430
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surf満点ライドから涙の初優勝までドラマが生まれたS.LEAGUE最終戦2025.04.242025年4月16日から19日の4日間、さわかみS.LEAGUE24-25 最終戦GRAND FINALSが東京五輪の会場にもなった千葉県長生郡一宮町釣ヶ崎海岸(通称:志田下ポイント)で開催された。今大会は、ショートボード、ロングボード、マスターズに加え、ボディーボードの特別戦も実施され、多彩なカテゴリーが繰り広げられる豪華な舞台となった。 ショートボード女子は、今大会を待たずして中塩佳那が初代S.LEAGUE チャンピオンに決定。ロングボードは浜瀬海と田岡なつみがすでにS.LEAGUEチャンピオンに確定しており、GRAND FINALSではショートボード男子とマスターズクラスのS.LESGUE初代チャンピオンが確定する。さらに、来季からS.LEAGUEは、「S1(1部)」と「S2(2部)」の2部制に移行。今シーズンのランキングで翌シーズンの所属リーグを左右する重要な1戦になる。 波の方は大会初日は肩から頭サイズの波が押し寄せていたが、日が進むにつれて徐々に落ち着き、波数の少ないコンディションへ。選手たちはその変化に対応すべく、小波用のサーフボードに切り替えるなど細やかな調整を重ねながら熱戦を繰り広げた。 悲願の優勝を勝ち取った塚本勇太 塚本勇太 ©︎S.LEAGUE ショートメンズのファイナルは塚本勇太と古川海夕の対決に。塚本勇太はこれまでのヒート、点数が狙える良い波をじっくり待つスタイルで試合に挑み、残り時間がわずかという場面で見事な演技を披露し、逆転で決勝まで勝ち上がってきた。ファイナルでも、古川海夕が積極的に波に乗ってスコアを重ねるのに対し、塚本勇太は波を厳選する戦法を貫く。後半に入ったところで、塚本勇太がエクセレントスコアとなる8.00ポイントをマークし逆転。古川海夕は優勝に必要な9.00ポイントを追い求める展開に。そのまま試合は終了し、塚本勇太が悲願の初優勝。試合終了後には感極まって男泣きを見せた。 稲葉玲王と喜びを分かち合う塚本勇太 ©︎S.LEAGUE 古川海夕 ©︎S.LEAGUE 安定した試合運びで野中美波が優勝 野中美波 ©︎S.LEAGUE ショートウィメンズのファイナルは野中美波と川合美乃里の戦いに。川合美乃里は1本目に6.00ポイントをマークし、バックアップを4.60ポイントと揃える。一方の、野中美波は徐々にスコアを伸ばす試合運びで、5本目に6.75ポイントをスコア。さらに終盤には7.25ポイントを叩き出し、自らのハイスコアを塗り替え、見事優勝を飾った。 野中美波 ©︎S.LEAGUE 川合美乃里 ©︎S.LEAGUE マスターズ優勝とS.LEAGUEチャンピオンを手に入れた牛越峰統 牛越峰統 ©︎S.LEAGUE マスターズ決勝は牛越峰統、今村厚、佐藤千尋、山田桂司の4名によるヒートとなった。この決勝で2位以上に入ればS.LEAGUEチャンピオンが確定する今村厚は序盤から積極的にスコアを重ねリードを広げる。しかし、牛越峰統が8.50ポイントをスコアし一気にトップへ浮上。そのままリードを守り切り、見事GRAND FINALS優勝とS.LEAGUE初代チャンピオンの座を手に入れた。 牛越峰統 ©︎S.LEAGUE 森大騎が圧巻の“満点”パフォーマンス! 森大騎 ©︎S.LEAGUE ロングボードメンズファイナルは森大騎と初ファイナル進出を果たした西崎公彦の戦いとなった。ファイナル序盤、西崎公彦が積極的に波にアプローチをしていく。 一方の森大騎は波をじっくり見極めながらチャンスを待つ展開に。そして迎えた2本目、完璧なラインディングでパーフェクトスコアの10.00ポイントを叩き出す。勢いに乗った森大騎は、3本目に掴んだ波でも再びパーフェクト10.00ポイントをスコアし、なんと満点の20ポイントをスコアする。西崎公彦も、9.00ポイントをスコアし健闘を見せるが、試合は終了。見事、森大騎が最高の形で優勝を飾った。 西崎公彦 ©︎S.LEAGUE 森大騎 ©︎S.LEAGUE 吉川広夏が涙の優勝 吉川広夏 ©︎S.LEAGUE ロングボードウィメンズのファイナルは吉川広夏と田岡なつみのマッチアップとなった。吉川広夏が序盤にエクセレントスコアとなる8.25ポイントをマーク。一方、田岡なつみは小波ながら形の良い波をキャッチし6.75ポイントをスコア。さらに後半には9.00ポイントを叩き出し、逆転を狙う。しかし吉川広夏も終盤に8.15ポイントを出し、バックアップを塗り替え、田岡なつみが逆転するために必要なスコアが7.4ポイントに差を広げる。田岡なつみは残りわずかのところで波をキャッチしたが、6.65ポイントとわずかに届かず。吉川広夏が見事、S.LEAGUE最終戦で優勝を果たした。 田岡なつみ ©︎S.LEAGUE 吉川広夏 ©︎S.LEAGUE ボディーボード特別戦も白熱した戦いに 粂総一郎 ©︎S.LEAGUE ボディーボードの特別戦はJPBAランキング上位7名とアマチュア1名で行われた。メンズは2024年度のグランドチャンピオンに輝いた、粂総一郎が最後の1本で逆転し優勝に輝いた。一方、ウィメンズは我孫子咲良がプロ初優勝を飾った。 我孫子咲良 ©︎S.LEAGUE 粂総一郎 ©︎S.LEAGUE ショートボード男子初代S.LEAGUEチャンピオンは稲葉玲王 稲葉玲王 ©︎S.LEAGUE S.LEAGUEチャンピオン争いをしていた小林桂がR2で敗退し、残るは稲葉玲王と西優司に。稲葉玲王はR3で敗退し、西優司が優勝すればS.LEAGUEチャンピオンの可能性が残る状況。しかし、西優司はQFで塚本勇太に敗れ、稲葉玲王が見事初代S.LEAGUEチャンピオンを獲得した。 来シーズンは6月からスタート! ©︎S.LEAGUE S.LEAGUE25-26ツアーは2部リーグ制に分かれて開催。S2 TOURは6月19日から21日にS.LEAGUE 井戸野浜海岸でスタート。マスターズのトライアルも同時開催で行われる予定。S1 TOURの開幕戦は7月10日から13日に北海道勇払郡厚真町の浜厚真ポイントで開催。来シーズンのS.LEAGUEにも注目! GRAND FINALS結果 《ショートボード男子》優勝:塚本勇太2位:古川海夕3位:和氣匠太朗、大原洋人 《ショートボード女子》優勝:野中美波2位:川合美乃里3位:中塩佳那、川瀬心那《ショートボードマスターズ》優勝:牛越峰統2位:今村厚3位:山田桂司4位:佐藤千尋《ロングボード男子》優勝:森大騎2位:西崎公彦3位:堀井哲、中山祐樹 《ロングボード女子》優勝:吉川広夏2位:田岡なつみ3位:菅谷裕美、小林恵理子《ボディーボード男子》優勝:粂総一郎2位:加藤優来3位:近藤義忠4位:蛭間拓斗 《ボディーボード女子》優勝:我孫子咲良2位:山下海果3位:相田桃4位:大木咲桜
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skateイレギュラーな厳しい条件下で優勝を勝ち取ったのは池田大暉「第3回マイナビスケートボード日本OPEN supported by Murasaki Sports」ストリート男子決勝2025.04.142025年4月12日(土)に「第3回マイナビスケートボード日本OPEN supported by Murasaki Sports」ストリート種目 が松阪市総合運動公園スケートパークにて開催された。3年後に開催されるロサンゼルスオリンピックを見据えた新たなシーズンのスタートとなる、2025年シーズン最初の公式開幕戦。今大会は国際大会派遣選手の選出や2025年強化指定選手の選考に関わる重要な大会ということもあり新世代も含めた実力者が全国からエントリー。大会当日は翌日の13日に予定されていた決勝のスケジュールが雨天予想されたことから、本来予定されていた準決勝を取り止め、予選の結果から上位8名が決勝に進出、予選同日の12日中に決勝も実施する展開に。そんな本決勝は全46名の出場者の中、予選を勝ち上がった合計8名で競われ、スタートリストは宮本浬央、竹下煌輝、八島璃央、酒井太陽、渡辺星那、安倍来夢、池慧野巨、池田大暉。 ラン1本目 強風や明るさが変化し、見え方が変わっていく変則的な環境の中非常に苦戦することが予想される決勝。最初のフルメイク者となったのが、世界レベルのライダーを輩出し続ける静岡の新世代期待の竹下。スピードに乗ってメインのハンドレールに入っていくと「キックフリップフロントサイドボードスライド」でスタートしていくと、バンクトゥオーバーのダウンレールで「バックサイドテールスライド」、ギャップ状のバンクトゥバンクでの「フロントサイド360」からバンク飛び出しで「ノーリーインワードヒールフリップ」、ラストはメインのハンドレールで「フロントサイドテールスライド」と非常に正確なデッキコントロールを見せフルメイクし最後はジャッジに小さく手を合わせてお辞儀するなどその丁寧さが人柄にも表れており、69.65とまずまずの滑り出しだ。 @WSJ 続いてスコアメイクを見せたのが。昨年の日本選手権3位で福島の雄、八島だ。メインのハンドレールで「キックフリップフロントサイドリップスライド」という高難易度トリックからスタートしていくとギャップ状のバンクトゥバンクでは「ノーリーヒールフリップ」、スロープレールアップを「バックサイドビッグスピンフロントサイドボードスライド」と繋ぎ、ダウンレールで「スイッチフロントサイド270フロントサイドリップスライド」を決め、ラストのダウンレッジでの「バックサイドクルックドグラインドノーリーフリップアウト」をミスするも72.03をマーク。フルメイクとはならなかったがポテンシャルでハイスコアを叩き出したのが優勝候補の池田。バンクトゥのフラットレールで「キャバレリアルインバックサイドテールスライド」でスタートしていくと、返しのダウンレールでは「バックサイド270リップスライド」から「バックサイド270アウト」を完璧に繋いでいき、着地後すぐにボディバリアルし体勢を整えると会場は少しざわつかせ、そのままメインのハンドレールで「フロントサイドノーズブラントスライド」、ギャップ状バンクトゥバンクでは高さのある「360フリップ」、カーブで「バックサイドクルックドグラインド」から掛け替えを狙ったが少し浅かったか、ラストはダウンレッジで「バックサイドノーズスライドノーリーフリップアウト」を決め、そのままボルケーノでスピンするスコアとは関係ないがサービス精神も忘れない池田の真骨頂を見せ、会場を盛り上げ77.69と暫定首位に立った。 @WSJ ラン2本目 中々スコアを伸ばせない中、1本目から修正してきたのが渡辺。メインのハンドレールを「ヒールフリップフロントサイドボードスライド」でスタートすると、アールでは「アーリーウープのバックサイドリップスライド」、バンクトゥのカーブでは「ヒールフリップノーズグラインド」、バンクトゥのフラットレールで「バックサイドビッグスピンフロントサイドブラントスライド」を1本目から見事リカバリー、ラストはステアからフラット面まで全越えの「バックサイドヒールフリップ」を決め74.07と暫定2位に浮上。1本目と同じく1ミスながらスコアを伸ばしてきたのが池だ。ギャップ状のバンクトゥバンクを「スイッチフロントサイド180キックフリップ」で越えていくと、バンクを使った「ノーリーハーフキャブヒールフリップ」、メインのハンドレールで「フロントサイドフィーブルグラインドフロントサイド180アウト」、バンクを使ってステアを「インポッシブル」で登ると真ん中のバンクトゥバンクについたレールで「フロントサイド270リップスライド」から返しのダウンレールで「キャバレリアルバックサイドテールスライド」をミス。このセクションは練習中から各ライダーが「照明の関係で見えづらい」と言っていたがその影響が出たか。フルメイクではないが繰り出していたトリック難易度もあり72.10と暫定3位でトリックセクションに望みを繋いだ。 @WSJ トリック1本目 1本目でまずハイスコアを出したのが優勝候補の一人、八島。メインのハンドレールで正確なデッキコントロールを見せ、「キックフリップフロントサイドスミスグラインド」を1発で仕留め、87.43。これに続いたのが福岡の新鋭、酒井だ。スイッチスタンスでメインのハンドレールへ向かうと、「スイッチフロントサイドスイッチオーバークルックドグラインド」を決め、会場をどよめかせた。スコアも85.31とハイスコアを叩き出した。トリックセクションを得意とする池がこの流れを凌駕する。フェイキースタンスでメインのハンドレールに向かうと「フェイキーキャバレリアルバックサイドテールスライド」を決め、ここまでの最高スコア89.13をマークした。 @WSJ ランを終え暫定首位の池田は1本目を決めきれず、池を追いかける形になった。 トリック2本目 1本目の成功者もここでスコアを揃え勢いに乗りたいところだが誰も決められない流れが続いた。2本目もスコアメイクに各ライダーが苦戦する中、唯一のスコアメイク者となったのが勢いに乗る池のみだった。得意のスイッチスタンスでメインのハンドレールに向かうと、「スイッチフロントサイドフィーブルグラインドスイッチフロントサイド180アウト」をこれまた一発で仕留め、今大会初の90点台となる92.68。 @WSJ 優勝争いにはここで離されたくない「池田も1本目同様、メインのハンドレールでシュガーケーングラインド」を狙うもこれもミスし流れは完全に池に向いているか。 トリック3本目 予選1ヒート目のトップバッターから決勝に残った大阪の新星、宮本がここでようやくスコアをマーク。メインのハンドレールで「バックサイドフィーブルグラインドキックフリップアウト」を決め87.54とハイスコア。ランセクションで好位置につけた渡辺もようやくスコアメイクする。ロールインから勢いよくスタートするとバンクトゥオーバーのダウンレールで「ヒールフリップバックサイドリップスライド」を着地で少し態勢を崩したがなんとか成功させ、80.82と優勝争いに望みを繋いだ。愛知のテクニカルライダー、安倍もこの流れに続いた。1本目からトライしているメインのハンドレールで「フロントサイド180スイッチバックサイドフィーブルグラインドスイッチフロントサイド180」、通称グレープフルーツグラインドからのリバースアウトという超高難易度を決めここまで3番目のハイスコア88.75とこちらも優勝争いに踏みとどまった。ここまでスコアメイクに苦戦していた池田は何か閃いたようにメインのステアからかなり幅のあるトランスファーでのダウンレッジでフロントサイド50-50にトライするも惜しくもミスとなったが本人は何か手応えを掴んだ様子にも見えた。 トリック4本目 何かを感じ取った不気味な池田を突き放しておきたい池はメインのハンドレールで「バックサイドフィーブルグラインドフロントサイドビッグスピンアウト」を狙うも決まらず。 ここで3本目に何かを感じ取った池田がついに目を覚ましたか。3本目同様メインのステアからかなり幅のあるトランスファーでのダウンレッジで「フロントサイド50-50グラインド」を見事2回目の挑戦で成功、これは練習でも一切やっていなかったという圧巻の発想力とスキルで90.64と暫定首位の池を射程距離に捉えた。 @WSJ 暫定首位は唯一スコアをフルマークしている池、2位に池田、3位安倍となり、最終トライまで混戦模様となった。 トリック5本目 全ライダーに表彰台のチャンス残った最終トライ。宮本はメインのハンドレールで「バックサイドテールスライドビッグスピンフリップアウト」を狙ったが惜しくもアウトが合わず、6位で終えた。竹下はバンクトゥオーバーの「ダウンレールでキックフリップバックサイドリップスライド」を見事に決め81.77とスコアを揃えることに成功し暫定3位に浮上した。 @WSJ 優勝候補の八島もメインのハンドレールで「キックフリップフロントサイドノーズグラインド」を狙うも決めきれずに5位。酒井もメインのハンドレールで「スイッチオーバークルックドグラインドからビッグスピンショービットアウト」を狙ったが決まらず8位。渡辺はメインのハンドレールで「ヒールフリップフロントサイドブラントスライド」に挑んだがうまくハマらず、7位。逆転表彰台を狙った安倍はバンクトゥバンクで全越えの「バックサイド360」を狙ったが惜しくも決まらず4位で今大会を終えた。猛追を見せる池田を引き離したい池もメインの「バックサイドフィーブルグラインドフロントサイドビッグスピンアウト」に再度挑むも回転が合わず池田の結果を待つ形に。 @WSJ こうなると流れは完全に池田に傾いたか、メインのステアからかなり幅のあるトランスファーでのダウンレッジで今度は「フロントサイド5-0グラインド」を一発で決め、92.26をマークし逆転優勝となった。 @WSJ 大会結果 優勝 : 池田大暉 260.59pt2位 : 池慧野巨 253.91pt3位 : 竹下煌輝 220.73pt4位 : 安倍来夢 160.29pt5位 : 八島璃央 159.46pt6位 : 宮本浬央 156.55pt7位 : 渡辺星那 154.89pt8位 : 酒井太陽 148.54pt 最後に 天候によるスケジュール変更や、男子の予選の時間に強風や照度の変化など非常に難しい環境の中開催された今大会。優勝した池田大暉は世界レベルのスキルを保持していることは周知の事実だが、それ以上に自分のペースに引き込む上手さは天性のものだと今回改めて確信した。2年前に笠間で開催された第2回大会の同大会でもスコアメイクできるセクションと見るや否や、徹底的にそこを攻め2位になった過去と今大会が非常に重なって感じた。世界で戦う上で、高難易度を実行できるトリックスキルは当然必要だがその場でこういったポイントにアンテナを張り、いち早くキャッチすることも非常に重要な要素だ。池田のもう一つの魅力は、本人が狙ってかどうかはわからないが会場を自分の空気に変えてしまうパーソナリティだ。ただ底抜けに明るい人間性だけでなく、裏付けされた実力と相まってその場のオーディエンスを完全に引き込んでいる。筆者が昔から魅了されてきたスケートボーダーの要素だと感じた。その上でコンテストも勝ち切るあたりスター性としか言いようがない。型にハマらないそのスケートボードスタイルは今後も世界各地を引っ掻きまわすことが楽しみだ。今大会、苦手のランセクションでも強さを見せた池慧野巨。苦手克服と元々の強みであるスイッチスタンスでの高難易度トリックに独特のトリックチョイスとその脱力スタイルから繰り出される確かな技術と内に秘めた力強いライディングスタイルは世界でも評価が高いことをコンテストでも証明しつつある。今後世界トップのコンペディターにどんな戦い方で応戦し、またそれらを優っていく姿を想像するだけで非常にワクワクした気持ちが止まらない。これは初めてSLSに日本人として出場し世界を切り拓いてきたパイオニア、瀬尻稜を初めて見た時の感情に非常に類似している。 これまで日本のトップ争い常連となった八島璃央、安倍来夢、渡辺星那らも今後まだまだ伸びしろしかなく、このまま終わるような実力者たちではない。一方、歴代日本王者である佐々木来夢、海外経験も豊富な松本浬璃、日本のトップ争い常連の甲斐穂積、繁延亜周らが予選で敗退する波乱も起こった。注目はこの常連組に変わって決勝に入った新世代の台頭だ。決勝に残った宮本浬央、酒井太陽、そして見事3位で表彰台に登った竹下煌輝の13歳トリオをはじめとして世代だ。このメンツを見てもストリート日本男子の層の厚さがより一層増したことを意味している。日本が世界に誇る筆頭格、堀米雄斗、白井空良、小野寺吟雲、根附海龍、青木勇貴斗らが頭一つ抜けていることは現時点では変わりはないが間違いなくその距離が少しずつ縮まってきてはいると感じる。女子同様、ワールドスケートの「年齢制限」の規定は非常に気になるが、ロサンゼルスオリンピック2028の戦いは開幕したので今後の代表争いに一戦一戦目が離せなくなりそうだ。最後に、今大会も日本強化指定選手選考会という位置付けの大会であることから、みんな同じ条件とはいえ天候やコースコンディション、明るさなどに左右されない本当にスキル勝負のできる環境での開催を心から望む。実際予選では1ヒート目と5ヒート目ではコースの照度や風の強さ気温などが全く異なる環境となっていたように感じる。さらにはライダーから「このセクション暗くて見えづらい」などの意見も多数聞こえてきた。これでは自然環境に依存することのない競技スケートボードとは違い、ストリートシューティングのような環境に思えてしまう。これだけスケートボードパークが建設され、屋内全天候型のパークも多数出来ているのに、スケジュールを圧縮してまでやらなければならない状況は勿体無いと感じている。やはりスキルを競い合うフォーマットであれば筆者は純粋にスキルや発想で勝負できる環境での戦いを見たいと強く願う。
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skate思い出の地、松阪で悲願の初優勝というドラマが!「第3回マイナビスケートボード日本OPEN supported by Murasaki Sports」ストリート女子決勝2025.04.132025年4月12日(土)に「第3回マイナビスケートボード日本OPEN supported by Murasaki Sports」ストリート種目が松阪市総合運動公園スケートパークにて開催された。3年後に開催されるロサンゼルスオリンピックを見据えた新たなシーズンのスタートとなる、2025年シーズン最初の公式開幕戦。 今大会は国際大会派遣選手の選出や2025年強化指定選手の選考に関わる重要な大会ということもあり新世代も含めた実力者が全国からエントリー。大会当日は翌日の13日に予定されていた決勝のスケジュールが雨天予想されたことから、本来予定されていた準決勝を取り止め、予選の結果から上位8名が決勝に進出、予選同日の12日中に決勝も実施する展開に。そんな本決勝は全22名の出場者の中、予選を勝ち上がった合計8名で競われ、スタートリストは綿引愛留、中山楓奈、榎並琴音、福田碧、尾関萌衣、大西七海、伊藤美優、松本雪聖の順となった。 ラン1本目 まずは緊張感のあるトップバッターでスタートした綿引愛留がいきなり先制する。メインのハンドレールを「フロントサイド50-50グラインド」でスタートしていくとギャップ状のバンクトゥバンクで「キックフリップ」、再びハンドレールで「バックサイドフィーブルグラインド」、ダウンレールで「バックサイドスミスグラインド」とテンポよく繋いでいくと、ラストはバンクからのフラットレールで「キックフリップフロントサイドボードスライド」までフルメイクし62.59といきなり60点台をマーク。13歳とは思えないメンタルの強さを見せ、期待感を持たせると同時に後続へのプレッシャーをかけた。1本目で頭ひとつ抜けたのが、同じく13歳の松本雪聖だ。メインのハンドレールを「バックサイドスミスグラインド」を素晴らしいスピード感でスタートしていくと「キックフリップフロントサイド50-50グラインド」、バンクトゥフラットレールでは「キックフリップバックサイドリップスライド」、ギャップ状のバンクトゥバンクではフラットまで届く飛距離の完璧な「キックフリップ」、再びメインのハンドレールでは「フロントサイドフィーブルグラインド」と回しトリックを複数入れ込んだランをフルメイクし67.08となった。暫定2位の綿引と約4ポイントしか差がつかなかったのは、トリック難易度を考えると疑問に残るが1本目を暫定トップで折り返した。 松本雪聖のライディング@WSJ ラン2本目 ランセクションが1つマスト採用となるルールなので1本目でフルメイクできなかったライダーは巻き返しを図りたいところ。2本目でしっかり修正してきたのは尾関と大西だ。尾関はメインのハンドレールを「バックサイドリップスライド」でスタート、ダウンレールをバンクオーバーで「バックサイドフィーブルグラインド」、ステアを「ヒールフリップ」、1本目でミスしたギャップ状になっている幅の広い方のもしっかりカバーし64.59をマーク。 尾関萌衣のライディング@WSJ 大西もメインのハンドレールを「フロントサイドオーバークルックドグラインド」で飛び出すとダウンレールで「フロントサイドブラントスライド」、メインのハンドレールで「バックサイド50-50グラインド」、ギャップ状の広い方のバンクトゥバンクで「キックフリップ」、ラストはスロープレールで「バックサイド50-50キックフリップアウト」までフルメイクし65.65と暫定2位につけた。 大西七海のライディング@WSJ 世界大会経験豊富な中山と伊藤だが、中山はフルメイクできず、伊藤もランの構成は非常に高得点に期待できたが要所で精細を欠いてしまい、暫定4位でトリックセクションで巻き返しを狙う。 トリック1本目 綿引、榎並らがメインのハンドレールでしっかりスコアをマークする中、1本目でハイスコアを叩き出したのは尾関と松本だ。首位争いでプレッシャーをかけたい大西はメインのハンドレールで「バックサイド5-0グラインド」を成功させ65.73とランに続きハイスコアをマークした尾関は得意のバンクから飛び出しトゥ超えでのダウンレールで「バックサイド5-0グラインド」をハイスピードで成功させ今大会初めての70点台となる70.10のハイスコア。 尾関萌衣のライディング@WSJ トリックセクションで逆転を狙う伊藤はメインレールで「フロントサイドブラントスライドショービットアウト」を狙うがミス。これらのプレッシャーをものともしなかったのが松本だ。メインのハンドレールで「キックフリップフロントボードスライド」を寸分のブレもなく完璧に成功させ今大会のハイエストスコアを更新する77.88をマークし暫定首位をキープした。 松本雪聖のライディング@WSJ トリック2本目 パークスタイルとの2刀流に挑戦している福田がバンクトゥレールをフラット部分からダウン部分まで全流しの「バックサイドクルックドグラインド」で57.38をマーク。表彰台争いで優位に立っておきたい尾関はメインのハンドレールで「バックサイドフィーブルグラインドフロントサイド180」を狙うもミス。この隙を逃さなかったのがここまで抜群の安定感を見せている大西だ。メインのハンドレールで「フロントサイドブラントスライド」を決めると小さくガッツポーズを見せ、スコアも67.31と揃え暫定2位につけた。 大西七海のライディング@WSJ さらに後続を突き離したい松本は、バンクから飛び出した「キックフリップバックサイドリップスライド」をフラット部分からダウン部分にまで全流しを決め75.76と独走体制に入った。 松本雪聖のライディング@WSJ トリック3本目 3本目を決めたのはここ最近で成長著しい姿を見せる北陸の新鋭、榎並と表彰台圏内につける尾関だ。榎並はメインのハンドレールで「フロントサイドブラントスライド」を成功させ66.21をマークしスコアを揃えた。尾関は2本目でミスしたメインのハンドレールで「バックサイドフィーブルグラインドフロントサイド180アウト」を見事リカバリーし63.42と暫定3位につけた。 尾関萌衣のライディング@WSJ 4本目は全員決められずスコアを出したライダーなしで最終トライへ。ここまで暫定首位は松本、2位に大西、3位尾関と続いた。 トリック5本目 綿引は2トライ目から果敢にトライしていたバンクトゥのフラットレールで「キックフリップフロントサイドブラントスライド」を最後まで決めきれず6位で今大会を終えた。福田と榎並も最後までスコアアップを狙うも惜しくも決めきれなかったがスコアは揃えられ福田が5位、榎並が4位となった。世界王者の経験もある優勝候補の伊藤は1本目からトライしていたメインのハンドレールでの「フロントサイドブラントスライドショービットアウト」を最後まで決めきれず7位。オリンピックメダリストで主要国際大会経験豊富な中山も終始トリックが定まらずトリックセクションでのスコアメイクはなしとなり8位で今大会を終えた。注目の表彰台のプレイス争い。暫定3位につける尾関はバンクトゥオーバーのダウンレールで「バックサイドリップスライド」を決め65.34と大西を上回り暫定2位につけた。 尾関萌衣のライディング@WSJ 大西も逆転優勝を狙い、バンクトゥのフラットレールで「フロントサイドブラントスライドキックフリップフェイキーアウト」を狙うも決めきれず3位となった。ウイニングランとなった松本は3トライ目から挑戦していた「キックフリップフロントサイドノーズグラインド」に挑戦するも決めきれなかったが、ワールドスケートジャパンの大会では初優勝となった。 大会結果 @WSJ 優勝 : 松本雪聖 220.72pt2位 : 尾関萌衣 200.03pt3位 : 大西七海 198.69pt4位 : 榎並琴音 176.18pt5位 : 福田碧 165.76pt6位 : 綿引愛留 121.17pt7位 : 伊藤美優 61.98pt8位 : 中山楓奈 48.47pt 最後に 今大会、終始強さが光った松本雪聖。初めてワールドスケートジャパンの大会に参戦したのが今回の開催地となった松阪総合運動公園スケートパークで、その地で初優勝というなんともドラマチックな展開となった。天候によるスケジュールの変更、強風による砂塵と花粉によって気管支炎を発症し、ここ数日は満足に睡眠が取れなかったという決して盤石ではなかった状態でのこの結果は今後も非常に期待感を抱かずにはいられない。世界王者やオリンピックメダリストのトリックセットと比較しても勝るとも劣らない難易度で、特に回しトリックからのセクショントリックでの安定感は以前にも増して完成度と安定感を感じられた。さらには予選で2回しかトライできない中、1本目をミスし追い込まれた状況にも関わらず、2本目でしっかりリカバリーし首位通過するあたり、メンタル面の成長も見受けられた。今後、世界のトップ争いをする上でどのようなスキルアップ、トリックチョイスをしていくのか非常に楽しみだ。新世代の台頭も目を引いた今大会、3位となった大西七海は安定感という面では今大会の出場全ライダーの中でナンバー1だと感じた。あとは一発の爆発力を磨けば今後世界のトップ争いに十分に加わることが予想される。日本の女子ライダーでは唯一と言っても良いハイスピード、ぶっ飛びスタイルで会場を沸かせた尾関萌衣も今後非常に注目だ。海外ではブラジルのパメラ・ロ-ザ、アメリカのポエ・ピンソンらを彷彿とさせるそのライディングスタイルは世界でも評価されていくことは間違い無いだろう。あとはトリック精度と、難易度をどこまで上げられるかが世界トップレベルで戦う上で重要になってくるのではと考える。新世代の活躍とは対照的に精細を欠いた世界トップ常連勢の伊藤美優と中山楓奈。フィールドやコンディションがフィットしなかったのか、戦略的にも上手く立ち回れていなかったように感じた。とはいえ、実力は誰もが知る世界トップレベルということもありすぐに修正してくると予想する。さらに今回新世代の台頭を象徴したのが、こちらも世界大会経験豊富な上村葵が予選で敗退したことだ。こちらも目まぐるしく変更されるスケジュールやコンディションに泣いた結果となったがこのままで終わる実力ではないので今後の巻き返しに期待したいところ。ここに今大会には出場していないが、歴代オリンピック金メダリストの吉沢恋、西矢椛、世界最高スコアを保持する織田夢海らがいる日本のロサンゼルスオリンピック出場争いはこれまでにない戦国時代を迎える幕開けとなった。ついに始まったRoad to ロサンゼルスオリンピック2028、1大会も目が離せなくなりそうだ。ここでワールドスケートから気になる情報が発表された。「パリオリンピックが終わり、包括的な競技の結果、2028年以降、ワールドスケートボードツアーに参加する選手の最低年齢を14歳とする」旨の内容だ。これにより「2014年1月1日から2014年12月31日の間に生まれた選手は2025年1月1日から12月31日の間に開催されるすべてのイベントで11歳とみなされ、この年齢が2028年ロサンゼルスオリンピックの選考大会に関する最低年齢となり、それ以降に生まれた選手は対象外となります」選考会を実施した後にこの決定発表は非常に混乱、困惑を招きかねる事案と筆者は感じた。こちらの情報は今後も引き続き注視する必要があると同時に、これらを目指して日々努力しているライダーが落胆することのない結果となることを心より願います。