ユーモラスでアイコニックな作風を描く注目のアーティストMASAKO.Y インタビュー

2019.07.22
MASAKO.Y photo by Tabasa
MASAKO.Y

1つのジャンルにとどまらずコラージュ、ペインティング、彫刻、グラフィックなどの幅広い手法を使った作品を発表し注目を浴びているアーティストMASAKO.Yに渋谷フリークス ストア(FREAK’S STORE)で開催されたエキシビション「フリーク.Y(FREAK.Y)」のコンセプトや自身の話を聞いた。

ー今回の展示のコンセプトについて

MASAKO.Y:最初のきっかけになったのが、私の友人が聞いてきた「FREAK’S STOREのfreakってどんな意味?」と言った事でした。「奇妙」とか「驚かす」とか、「奇人」とか「変わってる人」とか、そういう意味なんだよって言ったら、「なんでそんな名前なんですか」って。 それが、確かに言ってることが面白いなって思って。

そもそもなんでFREAKって言うんだろうって思ったんですね。FREAK’S STOREさんに行ったり、社長さんとお話しをしたりしていくなかで、私なりに、FREAK’S STOREさんにとってのFREAKを知り始めて。じゃあFREAKというテーマで何かできないかなっていう風に思ったのがきっかけです。

photo by Tabasa

最初、FREAK’S SOTREさんと打ち合わせをしてる時、開催時期が夏なので、架空のバンドを作って架空のライブTシャツを売ろうってなったんです。Tシャツっていうのは言われてたので、どうしようってなった時に、架空のバンドTシャツって私っぽくないし、私自身コンセプト重視で作品を制作してきたので、まずコンセプトがないと。どうしよって思った時にその「FREAK」の話になって、じゃあ目に見えないもの、FREAKYなものを表現しようって思って。私がMASAKO.Yって名前でやらせてもらってるので、FREAK.Y。点を抜いたらFREAKYになるんです。「変わり者」って。それで、FREAKYさを5体で表現しようってなりました。

私、目に見えないもの、妖怪がめちゃくちゃ好きで、水木しげるさんの妖怪大辞典とかも全部持ってるぐらい妖怪好きで。その妖怪の好きなことを作品では表してこなかったんですけど、コラージュの奇妙な雰囲気だったり、ちょっとトリッキーな雰囲気を表すんですが、がっつり妖怪を表すのも面白いなって思って。

それにインスピレーションを得て、全てFREAKYなもの、奇妙なものを、私らしくちゃんと可愛く落としこもうと思ったのが始まりなんです。今回、初めてインスタレーションにして、原画を一つも展示しませんでした。そこも目には見えないにこだわりました。これは本当に描いたのか、果たして存在するのかってことまでFREAKYにしたくて。

photo by Tabasa

ー作品のインスピレーションはどこから生まれてくるの?

MASAKO.Y:日常ですね。

ー何か意識してること 

MASAKO.Y:もともとコンセプト重視なので常に考えてるし、言葉でもなんでもいいなと思ったらメモしてる。でもインスピレーションは日常ですね。妖怪に興味を持ち始めたのもNHKの連続ドラマの「ゲゲゲの女房」です。あとは日常で感じるかっこいい!や可愛い!などの感情を大事にしています。あと、周りに自分と同じ職業の人を置きません。見ている視点も違うし、会話がこうやって生まれるんだとか、常に考えてます。

ー興味あることをどんどん深掘ってるんですね

MASAKO.Y:常にリサーチしてます。大好きな場所は代官山の蔦屋です(笑)。

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ーアートを始めたきっかけ

MASAKO.Y: 当時真剣にやっていたダンスを極めるために高校生で単身オーストラリアにダンス留学をしたのですが、初めての海外生活はダンスよりも魅力的な事が沢山あり、いつしかダンスを辞めたいと先生に言ったら、あなたはアップルのパソコン持ってるから、グラフィックデザインのクラスに入れって言われて、何もわからずグラフィックのクラスに入ったんですよ(笑)。正直ダンスのクラスを辞めた埋め合わせで取ったクラスだったので、何にもできないし、先生が何を言ってるかわかんないし、バウハウスとかアンディウォーホールとかわかんないし、どーしよって思ったんです(笑)。一週間後に課題を提出しろって言われて、一番仲良い友達の彼氏がPhotoshopやillustratorを使えて、教えてくれて、チャチャチャってやったら賞とったんですよね。

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その後、大学進学を考えていなかったのですが、グラフィックのクラスで学んでいる事が楽しくてその様子を見た母が美大を勧めてくれたんですけど無理だと思っていたら、先生がグラフィックの才能あるから試験を受けてみろって言われて。オーストラリアの国立大学が首都のキャンベラにあって、そこの試験を受けたら、おいでって言われて、そこに行ったんです。

みんなトップの美大目指してる子達ばっかなので、最初は何もできなくて。あまりにも恥ずかしくて、こんな屈辱ないと思って、キャンバス持って逃げたんです。そしたら先生が追いかけてきて、見せてみろっていうんで見せたら、素晴らしい、君はピカソだって言ったんです(笑)。

先生が、君のようなタッチでかける子はこのクラスにはいないって言ってくれて、これが美術だって言ってくれて。日本だと美大に受からなかったと思うんですけど、ちゃんと自分の個性を自分で認めてあげないと誰が自分の絵をうまいって言ってくれるの?って言ってくれて。その後、オーストラリアの美大を受験して、受かったんです。

合格報告を両親にした時に、このままオーストラリアの大学に行くならニューヨークに行ってこいと唐突に言われて、合格を蹴ってすぐチケット取って、ニューヨーク飛びました。

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高校生の時に授業で「I LOVE NEW YORK」のロゴを作った人「ミルトン・グレイザー」を知り、世界中で使われているものを作った人に一度会ってみたいと思って、ニューヨークに着いて手紙を送りまくったんです。でも返信は当然帰ってこなくて。ニューヨークに着いた時に友達もいなくて、私が会いたい人に手紙を送りまくってたら、今では私のニューヨークのおじいちゃんのような存在になったフォトグラファーから連絡が来て。食事をして、誰に憧れているのって聞かれて、ミルトン・グレイザーが好きですって言ったら、マイフレンドとか言って、電話して会えたんです。

彼にインタビューさせてもらって、最初の友達になってほしいって言ったら、僕に新しいことを毎日教えてくれるならいいよって言われて、彼のところに通い始めて。ある時、君はグラフィックデザイナーじゃない。デザイナーじゃなくアートをやれって言われて。ロンドンの芸術大学の教授が来るから作品見せてみなって言われたんです。そこで今まで自分が授業とは別で作ってきた作品見た教授がそれを見て、セントマーチンズに呼んでくれたんです。ロンドンはめちゃくちゃ楽しくて友達も最高でした。そこで彫刻専攻で学んだ事もいい経験でした。

ー自分が創作してる中で伝えたいものは?

MASAKO.Y:私がいつも言ってるのは、「I’m just a happy girl」。私は現実的なことよりも、楽観主義なことを応援してるんですよ。ちゃんと毎日生きてることが大変だから、それをちょっとでもハッピーになれればなって思って。ちょうどハッピーなのか程よくハッピーなのかわかんないけど、必ずハッピーでいればいいこと起きるし、私もいろんなご縁があって、こうやって今があるので、それもハッピーでいなければできなかったことだと思うので。だから、「I’m just a happy girl」をスローガンに掲げてやっていますね。

photo by Tabasa

MASAKO.Y プロフィール
1994 年生まれ。ロンドン芸術大学 Central Saint Martins に在籍中。 現在、東京を拠点にアーティストとして活動中。 1つのジャンルに留まらず、コラージュ、ペインティング、彫刻、 グラフィックなど幅広い手法を使って作品を発表している。 ラフォーレグランドバザール、写真集、ファッションブランドへ作品提供 を行うなど活動の場を広げている。
今回の展示では、MASAKO がコラージュ作品でいつも掲げている
No rule in my collage のもと、今見ている世界にとらわれない自由な表現で 平面だけではなく立体作品も展示販売。

執筆者について
FINEPLAY編集部
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