ネクストレベルへの突入を感じた今年の日本一を決める大会「第8回全日本BMXフリースタイル選手権」フリースタイル・パーク種目

2024.11.05
photograph by Naoki Gaman /Japan Cycling Federation/JFBF

「第8回全日本BMXフリースタイル選手権」フリースタイル・パーク種目が岡山県岡山市の岡山市役所前にて2024年11月1日(金)~4日(月)の4日間に渡り開催され、男子エリートでは中村輪夢選手が大会5連覇、女子エリートでは小澤美晴選手がエリートカテゴリー自身初の全日本タイトルを獲得した。

毎年行われているこの日本一を決める大会には、今年も子どもから大人まで各カテゴリーのトップライダーたちが全国から集まり、各カテゴリーの全日本タイトルの座を狙い熾烈な戦いを繰り広げる中で、昨年よりアップデートしたトリックとライディングで会場を沸かせ、更に日本のBMXフリースタイル・パーク種目のレベルが向上している様子を目の当たりにすることができた。

昨年と同様に今回の大会会場となったのは岡山市役所前。岡山市役所の駐車場に設置された特設パークは、市役所という立地上、大通りに面した十字路の角に位置していることもあり、会場にはBMX関係者だけではなく一般のお客さんもふらっと訪れては大勢の方がコース横から選手たちに向けて大きな拍手と歓声を上げて観戦している様子も見られた。

以下は、今大会最高峰カテゴリーである男女エリートクラス決勝の大会レポートである。

解説が間に合わないネクストレベルの新技を魅せた中村輪夢が6連覇、女子は小澤美晴がエリートカテゴリー初タイトルを獲得。

男子エリートクラス決勝

決勝進出メンバー
photograph by Naoki Gaman /Japan Cycling Federation/JFBF

雨天の影響もあり大会最終日に開催された男子エリートクラス決勝は12名で争われた。ここ最近は高い実力を持つ10代の若手選手が増えている一方でベテランや長年トップで活躍している選手も現役で参戦するなど、さらにトップレベルの層が厚くなっているのが日本のBMXフリースタイル・パークシーン。選手たちがそれぞれ異なる得意分野を持つ中でその個性が光り見応えのある決勝となった。

中村輪夢のライディング
photograph by Naoki Gaman /Japan Cycling Federation/JFBF

そんな中、他の選手たちと大差をつける圧倒的なライディングを魅せて前人未到の大会6連覇を優勝したのは中村輪夢。つい先日ワールドカップで優勝した中村は勢いそのまま、今大会ラン1本目から超大技「バックフリップバースピン to バーバック to ターンダウン」「ダブルダウンサイド・テールウィップ」そして「720・バースピン」をメイクするパーフェクトランディングで早速90.75ptをマークし暫定1位へ。

2本目では世界初とも言える新技を加えたライディングを魅せる。最初から「バックフリップバースピン to バースピンバーバック to ダブルバースピン」を皮切りにスタートしたランでは、「720・タックノーハンド」「ダブルバースピン・720」、そして1本目でも決めた途中でバイクを蹴って回す「ダブルダウンサイドテールウィップ」など数々の超大技を組み込んだ貫禄のあるランで94.62ptを叩き出した。この後このスコアを上回られることなく完全優勝で大会6連覇を達成した。

小澤楓のライディング
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準優勝はJFBFシリーズランキングトップを走る小澤楓。世界中からそのスタイルが高評価されている彼は、ラン1本目はボックスジャンプでの「バックフリップダブルテールウィップ」「トラックドライバー to ダウンサイドテールウィップ」、クオーターでの「フレア」。そして最後には時間ギリギリで「バックフリップバースピン」をメイクしてスコアを76.00ptとした。

その後1本目を上回るべく挑んだラン2本目では惜しくも途中でボトム落ちしたことからバイクトラブルに見舞われるも、最後は会場を沸かせるべく「540・フレア」にトライするも失敗。タイムアウト後は何か魅せないと終われないと感じたのかスペアバイクに乗り換えて「フレアバースピン」をメイクして会場を沸かした。残念ながらスコアアップはならなかったが2位入賞という形で全日本選手権を終えた。

高木聖雄のライディング
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3位はこの日本のBMXフリースタイルシーンを長年牽引している大会最年長のベテランライダー高木聖雄。ラン1本目では一発目で失敗してしまったハイエアーの「フロントフリップ」をアップデートした「フロントフリップタックノーハンド」をメイクすると、「バックリップダブルバースピン」「フレアキャンキャン」、そして終盤には「フロントフリップフレア」など他の選手がトライしない大技をメイクし、トップスコアを75.62ptとして久しぶりの全日本選手権の表彰台を獲得した。

女子エリートクラス決勝

女子エリートクラス決勝は8名で争われ、今回はディフェンディングチャンピオンの内藤寧々や東京オリンピック日本代表の大池水杜に加えて、今年からエリートクラスに上がったにもかかわらず国際大会で表彰台を数々獲得している若手ライダーの小澤美晴など世界を舞台に活躍する選手も集まり今年の全日本タイトルの座が争われた。

小澤美晴のライディング
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今年圧倒的な強さを見せ続けており見事今回全日本タイトルを獲得したのは小澤美晴。彼女も先日のワールドカップで準優勝を果たすなど良いコンディションで今大会を迎えた。

ラン1本目ではボックスジャンプで「バックフリップ・バースピン」や「バースピン to クロスアップ」そして「360・テールウィップ」を綺麗にメイク。その後クオーターでの「テールウィップ」も完璧にペダルキャッチし、トリックアフタートリックが目立った見事なランで78.75ptというスコアを収める。

その後もスコアを上回れることがなく、ラストランを迎える前に優勝が決まり、ウィニングランとなったラン2本目では、ボックスジャンプで「バックフリップ・テールウィップ」をメイクすると「トリプルトラックドライバー」や「360・テールウィップ」など男子顔負けのを大技を決め切るライディングで89.50ptというスコアを叩き出し完全優勝でエリートカテゴリーにて自身初タイトルを獲得した。

内藤寧々のライディング
photograph by Naoki Gaman /Japan Cycling Federation/JFBF

準優勝は昨年の全日本チャンピオンである内藤寧々。連覇をかけた中で挑んだラン1本目では強い気持ちが前に出過ぎたのか、最初のボックスジャンプでの「バックフリップ」で転倒。

なんとか挽回したい2本目では、最初のボックスジャンプでの「バックフリップ」をしっかりメイクすると、クオーターでの「バースピン」やボックスジャンプでの「360」を綺麗にメイクし、終盤は過去大会では苦戦していたクオーターでの「テールウィップ」も完璧に決め切るランで66.25ptというスコアを収めた。惜しくも大会2連覇とはならなかったが得点には満足しているような表情を見せており、内藤自身今後に繋がる納得いくライディングができたように思えた。

山本結花のライディング
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3位は今回エリートカテゴリーでは2年目を迎える山本結花。前回は準優勝だった彼女はタイトルを獲得するべく、ラン1本目から攻めのライディングを見せる。ボックスジャンプでの「バックフリップ」をメイクすると「キャンキャン・タイヤグラブ」やクオーターでの「テールウィップ」を決める。終盤では「360」で転倒してしまい2本目に望みをかける形に。

しっかりフルメイクしたい中でトライした2本目ではボックスジャンプでの「バックフリップ」やクオーターでの「テールウィップ」をメイクすると、その後もクオーターでの「540」や「ノーフットキャンキャン」など様々なバラエティのトリックを決め切りフルメイクでランを終えると1本目のリベンジと言ったライディングで65.50ptと暫定2位にジャンプアップしたが結果的に3位入賞で大会を終えた。

優勝者コメント

優勝した中村と小澤
photograph by Naoki Gaman /Japan Cycling Federation/JFBF

中村 輪夢 選手 (男子エリートクラス)
パリオリンピックでの悔しさは残っていますが、その後に少しずつ切り替えて X Gamesやワールドカップでも表彰台を獲得できていたので、いつもとは違うプレッシャーを感じながら大会に臨みました。ワールドカップでも出していた大技を今大会本番で成功させられたことが、大会結果以上に収穫であり嬉しく思っています。 12月の世界選手権でもタイトルを狙えるよう練習を積んでいきます。 応援ありがとうございました。

小澤 美晴 選手 (女子エリートクラス)
「今大会ではラン1本目に予定していたルーティーンを成功させ、ラン2本目のウィニングランでは更に良いライディングができたので、タイトル獲得も嬉しいですし、今日の大会は自分に100点をつけたいです。もっと実力をつけて、ワールドカップなどでも活躍できるように頑張ります。」

大会結果

photograph by Naoki Gaman /Japan Cycling Federation/JFBF

<男子エリート>
優勝: 中村 輪夢 (ナカムラ・リム) / 所属:ウイングアーク 1st 94.62pt
準優勝: 小澤 楓 (オザワ・カエデ) / 所属:岐阜第一高等学校 76.00pt
第3位: 高木 聖雄 (タカギ ・トシオ) / 所属:大垣共立銀行 75.62pt

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<女子エリート>
優勝: 小澤 美晴 (オザワ・ミハル)  / 所属:本巣市立糸貫中学校 89.50pt 
準優勝: 内藤 寧々 (ナイトウ・ネネ)  / 所属:ipu環太平洋大学 66.25pt
第3位: 山本 結花 (ヤマモト・ユイカ)  / 所属:龍谷富山高等学校 65.50pt

<キッズ4アンダー>
優勝: コジマ・ハル / 62.50pt
準優勝: フカマチ・コウト / 54.75pt

<キッズ5-6>
優勝: サカキバラ・カナタ / 64.25pt
準優勝: ハットリ・ハヤト / 56.88pt
第3位: サカノ・エマ / 55.00pt

<ボーイズ7-8>
優勝: マスイ・チアキ / 82.33pt
準優勝: コジマ・ルカ / 71.33pt
第3位: コバヤシ・アラタ / 70.33pt

<ボーイズ9-10>
優勝: サイキ・タスク / 79.33pt
準優勝: ヤブシタ・イッセイ / 72.67pt
第3位: サカキバラ・タケル / 69.33pt

<ガールズ7-9>
優勝: ウメバヤシ・ユマ / 71.33pt
準優勝: ハシモト・コトハ / 71.00pt
第3位: ニワ・ココロ / 50.33pt

<ガールズ10-12>
優勝: ホソカワ・イロハ / 69.67pt
準優勝: イノウエ・アオイ / 57.17pt
第3位: ノノウエ・レナ / 57.17pt

<ボーイズ11-12>
優勝: タニモト・リョウガ/ 80.00pt
準優勝: ニワ・コウキ / 79.33pt
第3位: イラブ・ルナ / 77.33pt

<男子13-15>
優勝: マツウラ・アオウ / 88.00pt
準優勝: シミズ・ハル / 72.67pt
第3位: アカツカ・ヒロキ・グスティ / 70.33pt

<女子13-15>
優勝: オクザキ・トモカ / 72.67pt
準優勝: ヨシダ・ミオ / 72.33pt
第3位: シライ・レエナ / 70.67pt

<男子30オーバー>
優勝: シモノ・マサシ / 57.50pt
準優勝: イシイ・コウスケ / 55.67pt
第3位: ハマダ・タカシ / 48.67pt

大会概要

⼤会名称 :「第8回 全日本BMXフリースタイル選手権」
開催期間:2024年11月1日(金)~4日(月) – 4日間 –
※詳細は公式HPをご覧ください。
大会会場:パーク会場- 岡山市役所 構内駐車場 (岡山市北区大供1丁目 1-1) 
主催:公益財団法人 日本自転車競技連盟 (JCF)
主管:一般社団法人 全日本フリースタイル BMX 連盟(JFBF)
後援:岡山市、岡山商工会議所、公益財団法人 JKA、 一般社団法人日本アーバンスポーツ支援協議会、一般社団法人岡山県アーバンスポーツ協会
特別協賛:ライト電業株式会社

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