2023年 10月22日(日)、ダブルダッチの学生日本一決定戦であり、国際大会の選考会である『Double Dutch Delight Japan 2023』が、神奈川県川崎市・カルッツかわさきで開催された。
Double Dutch Delight (ダブルダッチデライト) は毎年開催される、ダブルダッチの学生大会。
上位チームは12月にアメリカ・ニューヨークで開催される国際大会『National Double Dutch League Holiday Classic』(以下、NDDL)に進出する権利が与えられる。
大学生のOPEN部門、小学生から中学1年生までのNOVICE部門、中学2年生から高校生までのADVANCED部門、社会人混合の一般部門の4つに分かれる。
(※一般部門は国際大会選考非対象)
注目ポイント
毎年大盛況となるOPEN部門は、今大会の最注目部門。
例年であれば東西南北の地区予選を勝ち抜いた12チームと、当日決まる“敗者復活チーム”の1チーム、計13チームが出場することになるのだが、出場辞退があったため、急きょ敗者復活が2チームに増枠。

異例の幕開けとなったなかで、Japan大会は前年度 OPEN部門の優勝チームの出場地区で開催されることが慣例となっており、どのチームがトロフィーを掲げ、このJapan大会が来年はどの地区で開催されるのか…?
多くの愛好家が固唾を呑んで見守る、戦いの火蓋が切られた。
一般部門
最初に行われた一般部門。
各地区から前線を走るプレイヤーが出場し大いに盛り上がった今回、優勝に輝いたのはWest地区の「NEWJERSEY BOBCATS」(ニュージャージ ボブキャッツ)。

プロチームに在籍しているメンバーをはじめとした、関西屈指の若手プレイヤーたちが一同に集結。
パフォーマンスのテンションが観客にも伝播するような、スキルフルかつファニーなショーで優勝を掴み取った。
NOVICE部門
続くNOVICE部門、優勝はNorth地区・HKR JUMPROPECLUB 所属「ABLAZE」(アブレイズ)。

バスケットボールを小道具として使用し、ドリブルと並行しながらジャンプするなど、これまでになかった独創的なショーケースで見事NY行きの切符を獲得!
もちろんダブルダッチのスキルも文句なし。最後まで完成度の高いショーケースを披露してくれた。
ADVANCED部門
ADVANCED部門の優勝に輝いたのは、West地区・DDFAM 所属「BAN FOOT」(バンフット)。

ロッキンスタイルをベースにしつつも、オリジナル色を強めたBAN FOOTのパフォーマンスは、技術に加えて表情や仕草など、ショーケースを一つにまとめる鮮やかな表現力が特徴。
大人顔負けの完成度の高さを見せ、優勝に輝いた。
OPEN部門
そして最注目となるOPEN部門。どのチームもミスが少なく、完成度の高いパフォーマンスが次々と披露。
勝敗の行方が分からないなか、その結果は審査員に委ねられることに——。
見事激戦を潜り抜け3位に躍り出たのは、East地区・東京大学 D-actの2年生チーム「黄金パンダ艦隊」(おうごんパンダかんたい)。

チーム名のインパクトに劣らない、耳に残るキャッチーな音源とパフォーマンスの技術力の高さが印象的だった彼ら。
ダイナミックなショーケースで、敗者復活からの躍進劇を果たした。
続く2位はEast地区・comrade 所属の「Millennium Collection」(ミレニアム コレクション)。

こちらも高い技術力とまとめ方で、玄人から初見の人にまで刺さるような渋みのあるショーを披露。
シンプルな技にもチームらしさの光る細かな創意工夫が施されており、最後の1秒まで心奪われるショーケースで準優勝に輝いた。
そして栄えある1位に輝いたのは、East地区・東京大学 D-actの3年生チーム「Bølge」(ボルグ)。

昨年もJapan大会に進出し、準優勝で国際大会進出を決めた彼らがカムバック。
“普通に跳んで普通に回す”というレールから外れた奇想天外な発想でありながらも、1つのミスもなくパフォーマンスを完遂させ、ダブルダッチとして完成されていた彼らのパフォーマンスに、会場からは大歓声!
圧倒的な発想力と見せ方の巧さ、そして昨年を超えるインパクトに、まだ掴みきれていなかった“日本一”のタイトルをもぎ取った!

また、GUEST SHOWではプロチームの最前線を走る「REG☆STYLE」と「FLY DIGGERZ」のコラボショーを披露。
学生たちに夢を与える彼らのパフォーマンスが、大会を最後まで熱く盛り上げてくれた。

Delight開催スタート時からMCを務めるKENSAKUも「史上最高のレベルの大会だった」と語るほど、高水準での激戦が繰り広げられたJapan大会。
ただ間違いなく言えるのは、どの選手も、どのチームも本気だった。
そしてあの会場には、本気のプレイヤーにしか生み出せないであろう空気感があり、感動があり、熱狂があった。
全ての選手に心からの感謝を送りたい。本当にありがとう!
なお、全パフォーマンスは後日YouTubeチャンネル「DOUBLE DUTCH TV」に掲載される予定ということで、公開を心待ちにしたい。
OPEN部門優勝「Bølge」にインタビュー!
優勝直後のBølgeに独占インタビュー!
2年連続のJapan進出を果たし、念願の優勝に至るまでの経緯を訊いた。

――まずは優勝おめでとうございます! 今の率直なお気持ちを聞かせてください。
ショウゴ
信じられない気持ちです。
グッチ
僕もショウゴと同じです。僕たちは「Japan大会で1位」というタイトルをずっと目指してきていたので、本当に嬉しいです。
コーセイ
チームとしては今まで1位を獲れていなかったので、学生の一番大きい大会でその目標を叶えられたことが嬉しいです。
そして個人としては、高校時代に世界一になったことはあるのですが、その時も“ノーミスで完璧な演技”は出来ていなかったので、それがダブルダッチを続ける原動力になっていました。
どちらも叶えられたということが、めっちゃ嬉しかったです。
――Bølgeのみんなと言えば、昨年もJapan大会に進出し、準優勝に輝いていました。そこからすぐに今シーズンに向けて切り替えられましたか?
ヒカル
割と早かったかなと思います。
それぞれで原動力は色々あったと思うのですが、それこそ昨年は準優勝だったので、残るは「優勝」というタイトルだけだったので、じゃあそこを目指したい!と。
カザネ
「1位になる」ということって難しいですし、なかなか容易に目指せるものでは無かったと思うのですが、Bølgeがそれを現実的な目標にしてくれました。
チームメイトの存在が大きかったです。
――輝かしい戦歴ですが、大変なことも色々とあったことと思います。
Bølgeのみんなを見ていましたが、昨年“追う立場”として出た大会に、今回は“追われる身”として参加したことにプレッシャーもあったのではないかな… と思ったのですが、いかがだったでしょうか。
ヒカル
本当にその通りです(笑)。
Bølgeは“勝って当たり前だよね”ってよく言って頂けるのですが、それが嬉しくもあり、反面「みんなと同じスタートラインなはずだし、おれたちそんなんじゃないけどな…」と思うこともありました。
コーセイ
毎年5月にサークル日本一を決める『Pathos Drive』という別の大会があったのですが、昨年は僕らのサークルである「D-act」が優勝して、その後にBølgeとしてDelightで準優勝と、良い波に乗れていた気がします。
ですが、気づくと自分たちが追われる立場になっていて、今年はPathos Driveで一歩及ばず準優勝。勝ち続けることの難しさを強く感じました。
何よりも気持ちを保ち続けることが本当に難しくて、結果を残せるイメージもそこまで強く湧いていなかったんです。
そこを乗り越えられたことは非常に大きい経験でした。

――なるほど。みんなの思う、乗り越えられた“原動力”って何でしたか?
ハヅキ
私は周囲の応援ですね。応援されるって当たり前でなく、本当に凄いことだと思うんです。
頑張らないとなと何度も鼓舞されました。
ヒカル
応援もそうなんですが、僕的には一言で言うと…「背水の陣」でした(笑)。
Japan大会の前に地区予選があって、そこで5位以内に入らないといけないのですが、僕らは今年も昨年も5位通過。
ギリギリで掴み取って、ここからどう上位チームに追いついて追い越そうか、という感じでした。
ショーゴ
追われるプレッシャーも大変さの一つではありましたが、去年に比べると時間も無かったです。
昨年は2年生だったので、まだダブルダッチに割ける時間も多かったのですが、バランスを取ることが難しかったですね。
コーセイ
地区予選の1位通過は目標ではなかったので、Japan大会に進出できればそれが何位でも良かった… というのが本音です。
ただ割ける時間が昨年に比べて限られていて、パフォーマンスを完全な状態にまで仕上げられずに臨んだ感覚はあったので、不安もありました。
Japan進出が決まってほっとしたと同時に「むしろ追う立場から再スタートだ」とも思いましたね。
――今回Japan大会で披露したパフォーマンスって、地区予選の時から結構変わったなと思ったのですが、どのような背景があったんでしょうか?
コーセイ
先ほどの話の通り、地区予選では不完全な状態だったので、そのままJapan大会に臨むつもりはありませんでした。
ベースはそのままですが、一部作り変えて“Bølgeの強み”を大きくさせたいと。
僕が思っているこのチームの強みの一つは「観客を巻き込めるパッション」だと思っています。
技術力という部分では他のチームとそこまで大きく差は付かないだろうと思っていたので、あとはいかにパッションが活きる見せ方をできるかどうか考えました。
――なるほど。逆に“そのまま臨む”という選択肢は無かった?
ショーゴ
無かったです。だよね?
カザネ
そうだね。
地区予選のレベルも高かったことは感じていて、「このままでまたNYに行けるのか」という不安は強かったです。
――そうだったのですね。では、今回のパフォーマンスのこだわりがあれば聞かせてください。
ヒカル
一つはターナーが意図的に姿勢を崩して披露する3倍のパートと、もう一つは2本のロープを結んで一本にしながら、その中で跳ぶ大縄のパートです。
やっていることの根本は昨年と同じなのですが、Bølgeらしさを残しつつ、レベルアップさせられたかなと思っています。

――“同じようなこと”というのは一見すると印象を悪くする可能性もあると思うんだけど、Bølgeのみんなはちゃんと昨年を超えてきたことが、本当にすごいと思っていて。
どのように練習をしていたのでしょうか?
グッチ
僕のパート以外もそうですが、その場で閃いたムーブを見てもらって、チームメイトが湧くかを大切にしていましたね。
ハヅキ
かつ、技術面のことは細かく指摘しあっていました。
ジャンプスキルの面で「こういう風に跳んだら上手くいくよね」とか。
カザネ
例えば私のパートは縄の回転を少し遅くしてもらって、その中を跳ぶというムーブなのですが、ジャンプする時に私が少し足を引いてみたり、ロープと脚の軌道を合わせるとより綺麗に見えるかも、といった細かい指摘や修正をしていました。
コーセイ
昨年もJapanのステージに立った経験があるので、強みと同時に「弱み」も理解していたと思います。
強みを極限まで大きくすることももちろんですが、弱みも適宜補っていったイメージです。
――去年の経験に苦しんだ部分もあるけど、確かに大きなアドバンテージでもあるよね。
そして今回のJapan本番、コーセイが冒頭で言ってくれていたように、見事ミスのないパフォーマンスでした。最中を振り返ってみて、どうでしたか?
ハヅキ
楽しかったです。あっという間でした。
カザネ
でも正直あまり記憶がないです(笑)。
ヒカル
人前やステージでやることは楽しいんです。だから、かえっていつもに比べて逆に力んだり調子に乗ってしまうこともあるので「調子に乗らず練習の時のように…」ということを強く意識していました。
あとは本当に気持ちですね。

――最後に、Bølgeのみんなのこれからについて伺おうと思うのですが…
まずは12月に再び国際大会「NDDL ホリデークラシック」に臨むことになりますね。意気込みなどがあれば教えてください。
カザネ
「日本一」を目標にしてきたので、正直今はまだ考えられていないですね。
だけどとりあえず、またパフォーマンスは変えることになりそうだよね?(笑)
コーセイ
同じものをより極めてやるか、はたまた少しファニーに振り切ってもいいのかもね。
僕らは正直「Japan大会で1位」を見据えてここまで駆け抜けてきたので、その先のことはあまり考えられていないというのが正直なところです。
国内では評価してもらっていることも、アメリカではそうではない… ということも経験があって、だからこそ「日本で1位になりたい」という目標が明確になったこともあるので。
――ここまで本気になったからこそ、そうだよね。
ただパフォーマンスを変えるかも… という話もあったので、少し休んでまた次の内容も楽しみにしていたいと思います。
国際大会以外で思ったことなどはありますか?
ヒカル
このDelightやPathos Driveなどで、結果の面で「めちゃくちゃ良いものを作り上げたい」という欲望はある程度満たされたと感じているので、次は経験なのか楽しさなのか…
正直、それが何かすらもまだ分かっていないですが、順位とはまた異なることをゴールにしたいなと思っています。
グッチ
Bølgeとしての活動は国際大会で一区切りになってしまいますが、僕はもっと上手くなりたいです。もっともっとダブルダッチをやりたい。本当に良いものに出会えたなと思うんです。
楽しいし、見ている人も楽しいだろうし、実際僕も見ているだけでも楽しい。
まだまだプレーし続けたいですし、そう思わせてくれたBølgeに、本当に感謝しています。

大会結果

OPEN部門
1位 Bølge(東京大学 D-act)
2位 Millennium Colleciton(comrade)
3位 黄金パンダ艦隊(東京大学 D-act)
NOVICE部門
1位 ABLAZE(HKR JUMPROPECLUB)
ADVANCED部門
1位 BAN FOOT(DDFAM)
※以上「National Double Dutch League Holiday Classic」国際大会 出場権獲得
一般部門
1位 NEWJERSEY BOBCATS(関西)
大会概要
「Double Dutch Delight Japan 2023」
日時: 2023年 10月22日(日)
会場: 神奈川県川崎市・カルッツかわさき
主催: 一般財団法人 日本ジャンプロープ連合(JJRU)
共催: 川崎市
協賛: コムテック株式会社 / カシオ計算機 株式会社(G-SHOCK)
主管: 日本学生ダブルダッチ連盟(JSDDL)/ OVER THUMPZ
SPECIAL EDITION

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●今日 ○イベント開催日
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danceセイコー初のブレイキンイベント【Seiko 5 Sports Showdown】いよいよ明日開催!2023.12.022023年12月3日(日)ららぽーと堺 1階 Fansta XROSS STADIUMにて、セイコー初のブレイキンイベント「Seiko 5 Sports Showdown」が開催される。 1on1 バトル形式で行われる本イベントは、日本・米国・欧州・アジアの世界各国から選ばれた10名のトップBBOYが日本に集結し、5つのバトルを繰り広げる。会場となる「ららぽーと堺」、そしてYouTubeのライブストリームにて観戦(無料)が可能となっており、バトル終了後にWEBサイトのオンライン投票によってベスト・ブレイカー(1名)、ベスト・バトル(2名)の2部門にて優勝者が決定する。 日本からはBattle Of The Year World Finalの3連覇や、Red Bull BC One World Finalでの活躍をはじめ、世界大会でも多くの実績を誇るBBOY TAISUKEが参戦。アメリカからはRed Bull BC One World Finalで2度の優勝の実績、さらに来年に開催されるパリ五輪 ブレイキン種目にて、アメリカ代表として出場権を獲得したBBOY Victorも本イベントに参戦する。 そのほか名だたるBBOYたちが激戦を繰り広げる予定だ。感動と興奮間違いなしの「Seiko 5 Sports Showdown」、世界トップレベルのブレイキンバトルに是非ご注目いただきたい。 本イベントの各バトルカード、そのほかイベント概要は下記からご確認ください。 1st Battle LIL KEV vs KID COLOMBIA 2nd Battle PHYSICX vs STRIPES 3rd Battle PHILIP vs SUNNI 4th Battle TAISUKE vs LIL ZOO 5th Battle BRUCE ALMIGHTY vs VICTOR イベント概要 日程: 2023年12月3日(日)時間: 15:00~17:30(予定)場所: ららぽーと堺 1階 Fansta XROSS STADIUM料金: 観覧無料招待ダンサー: LIL KEV(フランス)/KID COLOMBIA(オランダ)/PHYSICX(韓国)/PHILIP(USA)/LIL ZOO(オーストリア)/TAISUKE(日本)/SUNNI(イギリス)/STRIPES(ドイツ)/VICTOR(アメリカ)/BRUCE ALMIGHTY(ポルトガル)視聴・投票方法:イベント公式サイトからご視聴・投票いただけます。
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skateSkateboarding Unveiled vol.7 ~スケートボード写真の「ちょっと違うんだよなー」感~2023.11.30スケートボードを長年撮影していると、こんな質問をされることがある。 「この技ってボードが裏返ってる瞬間を使うんじゃないんですか⁉︎」 「踏み切りも着地も、どんな技なのかも全部わかるのにどこがダメなんですか?」 それらの写真について、選手や専門家と話すと、こんな会話になる。 「なんか技に失敗してるみたい」 「あのセクション(障害物)の意味ないじゃん」 まず、ここまでの流れでピンと来た方はかなりのスケートボードマニア。 そう、これは昨年Yahoo!ニュースエキスパートに公開し、驚異的な閲覧数とともに月間MVA(Most Valuable Article)も獲得した『スケートボード写真の「それじゃない」感 選手や業界関係者と、スポーツ報道のズレ』と同じ構成だ。 当時と比べれば、今は伝える側(卓越した人が伝える専門メディアではなくマスメディア)の知識や経験も増えたので、選手や専門家の意図を汲んだ写真にしようという意図が伝わるカットも増えたが、それ以上にスケートボード写真の世界は奥深く、上記の記事内容も氷山の一角に過ぎないので、今回はさらに掘り下げた内容をお届けしていきたい。 まずは前回のキーポイントとなった「暗黙のルール」からおらさい。それは以下の2点になる。 ・トリックのピーク (1カットで何のトリックを行なっているのかわかる一瞬) を押さえる ・アプローチと着地点 (どこで踏み切ってどこに着地しているのか) を収める 前回はこれらについて自分の写真を用いて解説したのだが、今回はそこを理解した先に陥りやすい誤認識や疑問について説明していく。 「どんな技かわかりやすい」がピークではない まずスケートボードの撮影をする時、最も重要となるのが、何のトリックをしているのかがわかることだ。もちろんそれは間違いではない。 ただそればかりに囚われると、今度はスケートボードで最も重要な個性やスタイルが表現できなくなる。 次の2枚の写真を見比べてほしい。 裏返っている瞬間は確かにわかりやすいが、ピークかと言われると⁉︎ これはキックフリップというつま先を背中側前方に擦り抜いて、ボードに縦回転を加えるトリックにになるのだが、それであればこの裏返っている瞬間が、どんな技であるのかが最もわかりやすいし、馴染みのない人でもすぐに理解できるだろう。 ではこの写真はどうだろうか。 このように身体を屈めて、最も高い位置に足がある一瞬こそピーク。そこには選手の個性も詰まっている。 今にも1回転し終わるタイミングなので、一見どんなトリックなのか分かりづらい人もいるかもしれない。 だが、「トリックのピークを押さえる」という暗黙のルールに従うと、実はこちらの方がふさわしいのだ。 その理由として注目してほしいポイントは足とボードの位置。 上の写真は前足で擦り抜いた直後になるので、ボードが裏返ってはいるものの、まだ跳ね上がっている途中で、前足も上方に擦り抜いたまま。後ろ足も引き上げている途中になる。それなのにピークというには無理があるだろう。その1テンポ前といった方が正しい。 対して下の写真は、ボードがほぼ回りきる瞬間ながら、両足を引き上げながら前方へ突き出し、ボードを捉えようとしていることがわかるし、1テンポ前と比べても高い位置にあるので、高さも最高潮を迎えている。 この技はハンドレール(手すり)を跳び越える瞬間が醍醐味なので、それであればボードも人間も最も高い位置にある瞬間をピークと見るのが妥当だろう。 でも、「このタイミングでは何のトリックかわからない」という人もいるかもしれないので補足しておくと、 「前足のスナップを効かせて背中側前方に擦り抜き、写真から見て反時計回りにボードを1回転させたところを両足でキャッチする」というキックフリップの動作を正確に把握できているかが重要になってくる。 そこを完全に理解していると、ピークの写真はどう見えるだろうか。 前足は背中側前方につま先を突き出したような構えになっているので、前足のスナップを効かせて背中側前方に擦り抜いた直後だとわかるし、反時計回りに回転するボードの軌道がわかっていれば、この後右側が上がってきて真上から捉えにきている両足に収まるんだなということが推測できる。そうやって成功している姿が想像できるからこそ、下の写真が”ピーク”となるのだ。 他の技を組み合わせるとどう見える⁉︎ では「他の技だとどう見えるの⁉︎」という人もいるかもしれないので、キックフリップバックサイドテールスライドという複合技でも見てみよう。 これは上記のキックフリップに加え、背中側にある対象物にテール(ボードの後端)を掛けるバックサイドテールスライドという動作も加わった非常に難易度の高いトリック。そこでボードが裏返っている瞬間はどうなっているのか見てみよう。 複合技の場合は対象物の高さに合わせ、高さを抑えたピンポイントなキックフリップが必要になることも多い。するとピーク手前の裏返っている瞬間は、ボードは明らかに低い位置にある。 ボードが対象物のレールよりもかなり低い位置にあるのがわかるだろう。 これではどの部分を掛けようとしているのかがわかりづらいだけでなく、ここまで距離が離れていると対象物にボードが届かずに失敗しているようにも見える人もいるだろう。冒頭の「なんか技に失敗してるみたい」の意図はここにあるのだ。 身体を回転させながら後ろ足はつま先からボードを捉え、前足はボード上に戻ろうとしている。それだけでキックフリップ・バックサイドテールスライドとわかる ではどの瞬間がピークになるのかというと、縦回転したボードをキャッチして後端をレールに掛けようとするこの写真になる。 ボードが裏返っていなくても、足とどのように触れているかで前後の動きがわかるため、ピークのタイミングとなる。 これを動作分析すると、まず後ろ足のつま先がボードの後ろ部分を捉えているのは、写真から見て反時計回りにボードを1回転させきった瞬間だからだ、400°くらいのところでキャッチしているといえばわかりやすいだろうか。 前足がボードから少し離れているのは、背中側前方に擦り抜いた足を戻そうとしているからで、この2点からキックフリップの動作入れていることが確認できる。 さらに身体は背中を進行方向に向けて80°くらい回っている状態であるし、レールのすぐ上にボードの後端があるので、この1テンポ先の動きかバックサイドテールスライドであることも推測できる。以上の要素から2つのトリックを入れた複合技であることがわかるため、ピークであるということができるのだ。 これが最初のキックフリップの説明も含め、冒頭の「この技ってボードが裏返ってる瞬間を使うんじゃないんですか⁉︎」という問いに対しての答えとなる。 アプローチと着地点の”全体像”が大切 となると、次は当然「踏み切りも着地も、どんな技なのかも全部写ってるのにどこがダメなんですか?」に対する答えとなるのだが、まずはこの写真を見てほしい。 一見なんの問題もないように見えるが、アプローチをよく見ると⁉︎ これはキックフリップでバンク(斜面)から上部のフラット部分に跳び移っている写真だ。どこから入ってどこに着地したかも確認できるので暗黙のルールにも則っている。 一見何の問題もないように思うかもしれないが、こちらの写真を見たらどう思うだろう⁉︎ こんなにバンク面が長いと当然人物は小さくなってしまう。ではどうするのが良いのだろう? 同じ選手、同じセクション、同じトリックであるにも関わらず与える印象は別モノになる。実はバンク面がすごく長かったのだ。 これだけ長ければ、当然アプローチは速いスピードが必要になるし、その分ボードコントロールがしづらくなり、難易度も高くなる。となれば、どちらの方がすごく見えるかは一目瞭然だろう。 スケートボードのライディング写真では、アプローチと着地のポイントを、”点”で見るのではなく”全体像”として捉えることが非常に重要なのだ。 これが、上記質問の答えとなる。 どこから撮るか!? がすごく重要 ただここまでバンク面が長いと、構図内に収まる人物は当然小さくなってしまう。 専門誌ならばそれでも全く問題ないが、一般に向けたマスメディアではトリックの難易度よりもわかりやすさの方が重要とされているし、第一に表情を捉えることを基本としているので、こういった類いの写真が選ばれることはないだろう。 ではどうすれば良いのだろうか!? それはあらかじめベストポジションを確保して構えておくことだ。 以下の写真を見てほしい。 フォトセッションイベントで撮影したフロントフットインポッシブルのライディングカット。先ほどよりバンクは小さく、人物は大きい。 着地点側から撮影すると、バンク面を小さく見せれるので、アプローチと着地を全体像として捉えながらも、人物をより大きく見せることが可能になるのだ。 ただこれはコンテストではなくフォトセッションイベントで撮影した写真になるので、事前にどこでどんなトリックをするのかを確認してアングルを決め、その上でフラッシュもセットすることができるのシチュエーション。 そうなるとこのように印象強い写真に仕上げることができるのだ。 動きを予測して事前に動く コンテストでは選手の目線や助走、スタンス(身体の向きや足を置く位置)から動きを予測し、予め撮影ポジションに移動することがとても大切だ。 ではコンテストのは時はどうすればいいの⁉︎ というと、さすがにライティングをするのは無理でも、着地点側に立つことは運営サイドの許可さえとれれば可能だ。 だがそれだけで良い写真が撮れるわけではない。自分の狙ったアングルで都合よく選手が技をやるなんてことは、まずないからだ。 そこで必要になるのが、動きを予測して事前にベストポジションに移動しておくことだ。 そのためには選手の得意技も把握しておかなければならないし、どういう流れでランを構成していくのかも、直前練習を見るなりして確認しておく必要がある。そうした経験を積み重ねて知識を身につけることで、初めて選手も含め、より多くの人が好む写真を撮影することができるのだ。 ただ中には突然技を変えてくる選手もいるし、何が起こるかは本番になってみないとわからない。そのため予測が百発百中で当たることなどまずない。 だからこそ自分は、今まで培ってきた経験と知識を活かして、頭をフル回転させながら常に動き回って撮っているのだが、それが本当に楽しいし、気が付けば毎回夢中になっている。 そうして思い通りに最高の写真が撮れた時の高揚感は、何にも変え難い至福の瞬間でもある。 では最後にひとつ質問をさせていただきたい。自分に以下の2つの撮影オファーがきたとします。 ひとつは有名な国際大会だけど、オフィシャルではなく取材申請が必要で、撮影ポジションが定められた自由度が低いオファー。 もうひとつは、地区大会だけどオフィシャルのポジションで、自分の好きなように動き回って撮影できるオファー。 皆さんならどちらを選びますか? 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dance世界トップダンサーたちが大阪府堺市に集結!【SAKAI DANCE FES.】ららぽーと堺にて開催2023年12月2日(土)、3日(日)の2日間にて、【SAKAI DANCE FES.】が大阪府のららぽーと堺にて開催され、世界トップダンサーが集結し、熱いダンスバトルを繰り広げる。 12月2日は、世界No.1を決める世界最高峰のPOPPIN'の世界大会 “SAMURAI (サムライ)”と、日本で誕生したキッズのNo.1を決める大会 “NINJA (ニンジャ)”が開催。12月3日は世界的時計メーカー、セイコー初のブレイキンイベント“Seiko 5 Sports Showdown” が、開催される。 当日は、世界16カ国から世界トップダンサーが大集結し、それぞれの国を背負って戦う熱い2日間となる。観覧は無料となっており、気軽に世界トップレベルのダンスを体感することができる。 イベントの概要は以下詳細からご確認ください。 7年目を迎えるポッピン世界No.1決定戦!アジア最高峰の戦い POPPIN’ 1on1 Battle “SAMURAI” ポッピンは1960〜70年代に生まれたストリートダンスの1種。筋肉を弾くという意味の「ポップ」がジャンル名の由来となっている。ブガルースタイル、アニメーションスタイルなど、個性豊かなスタイルに注目! ポッピンの世界No.1を決める大会!大会当日、男性部門・女性部門の2部門の予選オーディションを実施し、それぞれの優勝者に世界からの招待ダンサー8名を交えてWorld Finalを開催。 日程: 2023年12月2日(土)時間: 12:00~20:00(予定)場所: 1階 Fansta XROSS STADIUM料金: 観覧無料招待ダンサー:NELSON(フランス)/GREN TECK(カナダ)/ MT POP(ベトナム)/ GUCCHON(日本)/HOJIN(韓国)/Loko Yoko(日本)審査員ダンサー:YUKI(日本)/KAZU(日本)/Boogie Frantick(アメリカ)/POPPIN J(韓国)/PARIS(UK) この投稿をInstagramで見る POPPIN' 1on1 Battle "SAMURAI"(@samurai_poppin)がシェアした投稿 世界トップレベル!日本のキッズダンサーの頂点を決める!KIDS 1on1 Battle “NINJA” 世界的にもトップレベルとされる日本のキッズダンサー業界。世界から注目されている日本発の大会だ。世界で活躍するキッズダンサーたちがしのぎを削る。 日本一をかけてキッズダンサーがバトル!当日は、キッズダンサー(15歳以下部門・10歳以下部門の2部門)の予選オーディションを実施し、招待ダンサーも交えて日本のNo.1を決定する。※既にエントリーは終了 日程: 2023年12月2日(土)時間: 15:00~19:00(予定)場所: 1階 Fansta XROSS STADIUM料金: 観覧無料招待ダンサー: 武蔵(日本)審査員ダンサー:TAISUKE(日本)/BOO(日本)/Youki(日本)/MEME(日本)/MEI(日本) この投稿をInstagramで見る NINJA(@ninja_kidsbattle)がシェアした投稿 DJの音楽に合わせた即興ダンスバトル!Breakin’ 1on1 Battle “Seiko 5 Sports Showdown” ブレイキンは、1970年代のニューヨークで誕生したストリートダンスの1種だ。抗争を平和的に解決する手段としてダンスで競い合ったのが起源とされている。 リアルタイム配信のオーディエンス投票!日本を代表する時計メーカーSEIKO初のブレイキンイベント!日本・米国・欧州・アジアの世界各国から選ばれたトップクラスのダンサー10名により、5つのバトルが繰り広げられます。リアルタイムで世界配信を行い、オーディエンスの投票により、世界No.1を決定する。 日程: 2023年12月3日(日)時間: 15:00~17:30(予定)場所: ららぽーと堺 1階 Fansta XROSS STADIUM料金: 観覧無料招待ダンサー: LIL KEV(フランス)/KID COLOMBIA(オランダ)/PHYSICX(韓国)/PHILIP(USA)/LIL ZOO(オーストリア)/TAISUKE(日本)/SUNNI(イギリス)/STRIPES(ドイツ)/VICTOR(アメリカ)/BRUCE ALMIGHTY(ポルトガル)視聴・投票方法:イベント公式サイトからご視聴・投票いただけます。 「SAKAI DANCE FES.」イベント概要 イベント名:SAKAI DANCE FES.(サカイダンスフェス)日程:2023年12月2日(土)~12月3日(日)観覧:無料時間:12月2日(土)11:00 開場 20:00 終了 12月3日(日)15:00 開場 17:30 終了場所:〒587-8577 大阪府堺市美原区黒山22番1 ららぽーと堺 1F Fansta XROSS STADIUM(ファンスタクロススタジアム)開催コンテンツ:12月2日(土) ・世界No.1を決める世界最高峰のPOPPIN'の世界大会 “SAMURAI(サムライ)” ・キッズの日本一を決める全国大会 “NINJA(ニンジャ)” 12月3日(日) ・セイコー初のブレイキンイベント “Seiko 5 Sports Showdown”主催:一般社団法人Performing Arts Community後援:堺市協賛:SEIKO/三井不動産/Dickies/BreaKin' “NinJA”
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culture今年も川崎が熱い!世界レベルのストリートの祭典「ISF KAWASAKI 2023」が大盛況で閉幕2023.11.28「若い世代が集い賑わうまち」を目指す川崎市が世界へ向けてストリートカルチャーやアーバンスポーツを含む様々な若者文化を発信するイベント「ISF KAWASAKI 2023」が開催され、11月26日(日)は神奈川県川崎市の「チッタエリア」にて、様々なストリートカルチャーやアーバンスポーツのコンテンツが実施された。 今年で6度目の開催となった「ISF KAWASAKI 2023」。長かったコロナ禍を経て、進化して戻ってきた昨年の第5回から早1年。今回のイベントで体感できるストリートカルチャーやアーバンスポーツの各コンテンツは昨年以上にグレードアップされており、イベント期間中終始観客や参加者たちを魅了した。 また当日は冬の訪れが近づいていることを感じさせる寒さで冷え込み、屋外会場では時折雨が吹きこんでは選手たちや一般のお客さんの身体を冷やしたが、それ以上に選手たちから湧き出る熱気や、DJによる音楽とMCの実況で盛り上がる会場がその寒さを吹き飛ばし、改めてストリートカルチャーとアーバンスポーツが街に与える溢れるほどのポジティブな力を肌で感じることができたイベントとなった。 以下は大盛況で終えたDay1(10月14日 ルフロン杯)、Day2(11月25日)を経て、本イベント内大注目コンテンツが行われたDay3の様子だ。 イベントの様子 ブレイキンの国際大会「SUPER BREAK」では韓国の「JINJO CREW」が優勝! 優勝したJINJO CREW ©ISF KAWASAKI 2023 ISF KAWASAKIにおいて毎年大注目のコンテンツである、日本発のブレイクダンス国際大会ブランド「SUPER BREAK」がCLUB CITTA’にて開催され、韓国のJINJO CREWが優勝に輝いた。 今年のSUPER BREAKは、3 ON 3 のCREWバトル形式で行われ、海外から7チーム、国内から1チームの招待枠に加えて、当日予選を勝ち上がった8チームによる、合計16チームで本戦のトーナメントが行われた。 海外の招待枠からは、アメリカの「RENEGADES ROCKERS」や、韓国の「JINJO CREW」などの名だたるCREWが来日。そして当日予選を勝ち上がったCREWも、日本を代表する京都の「BODY CARNIVAL」や世界大会3連覇の実績を持つ「THE Floorriorz」、北海道の若手CREW「AREA COMBINATION」などと、国内トップレベルの顔ぶれだ。そして先日開催された「Battle Of The Year World Final 2023」にて優勝に輝いたロシアの「PREDATORZ CREW」も出場し、世界レベルのBBOY / BGIRLがCLUB CITTA’の会場で激戦を繰り広げた。 決勝戦は「JINJO CREW」vs「PREDATORZ CREW」 JINJO CREW ©ISF KAWASAKI 2023 決勝戦は韓国の「JINJO CREW」とロシアの「PREDATORZ CREW」の対戦となり、8分間の制限時間の中で行われた決勝戦は、両者ともにヒートアップを極め、観客からも多くの歓声が飛び交った。 先行のJINJO CREWは、BBOY Veroのエネルギッシュなムーブ、BBOY ZOOTY ZOOTのハイレベルなパワームーブ、そしてBBOY WINGの長い手足を活かしたスタイリッシュかつダイナミックなムーブでバトルを展開していく。 対するPREDATORZ CREWも、BBOY DIASのスタイル全開のムーブを中心に、BBOY ARSXの細かくクリアなミュージカリティ、そしてBBOY SHAMILのトラッシュトークを交えた攻撃的なスタイルが印象的であった。時には至近距離で両CREWが睨み合うなど、国際大会らしい緊張感のあるバトルの雰囲気が作り上げられていた。 BBOY ARSX(PREDATORZ CREW) ©ISF KAWASAKI 2023 バトル後半では、PREDATORZ CREWのペットボトルの水がフロアにこぼれるなどのハプニングもあったが、両者ともに連戦の疲れを感じさせない完成度の高いムーブをラストラウンドまで踊り切り、世界最高レベルのバトルを締めくくった。 結果はJINJO CREWに軍配が上がり、大会初優勝。JINJO CREWのメンバーである、BBOY WINGは優勝直後のインタビューで「私はSUPER BREAKには過去に2回出場していて、直近の結果は2位でした。今回は優勝できたので、とてもいい思い出になったし、今はとても嬉しいです。」と、優勝した喜びをコメントに残した。 フリースタイルバスケットボール「BET」はKengoが優勝! Kengo ©ISF KAWASAKI 2023 フリースタイルバスケットボールのバトル「BET」が今年も開催。オーディション形式の予選から、ピックアップされた8名によるトーナメントを勝ち上がり、決勝に勝ち上がったのは、Kengo(MONSTER BALLAZ)と前回大会覇者のYOH(REAL AKIBA JUNIORZ)。 3ラウンド制で行われた決勝戦では、先行のKengoが音楽に乗せて高難度の技をノーミスで決めていく。若干ミスが目立ったYOHに対して、Kengoは2ラウンド目以降も高いクオリティのムーブで会場を沸かせていく。3ラウンド目に流れた「Busta Rhymes - Break Ya Neck」では完璧な音ハメを見せて会場をロック。見事大会初優勝を果たした。 ©ISF KAWASAKI 2023 ダブルダッチシーンの変革を匂わせた一戦「DOUBLE DUTCH ONE’S」 2本のロープの中を跳ぶダブルダッチの個人戦「DOUBLE DUTCH ONE’S」。回し手を固定することで個人スキルのみを純粋に競い合うこのイベントは、年間5回の予選を経て決勝大会「ONE'S FINAL」に出場する選手を選出し、男女別にシーズンでの優勝者を決める。 これまでの予選史上、過去一番の盛り上がりと言っても過言ではない白熱したバトルの連続に、オーディエンスも大熱狂。シーンの重鎮たちが不動の強さをアピールするような展開が続くなか、決勝戦で大波乱が起こった! KO-YA ©ISF KAWASAKI 2023 ■WOMEN’S SECTION 決勝に駒を進めたのは、ダンサー出身という異色のバックグラウンドを持つ前回のシーズンチャンピオン・Elina Mizunoと、大学2年生ながらシーンにその名を轟かせる期待の若手・KOKORO。 KOKORO ©ISF KAWASAKI 2023 流れるように跳躍するElina Mizunoと、緩急を持たせパワフルにジャンプするKOKORO。WOMEN’Sシーンを牽引する両者の一戦は、3ラウンドに持ち込まれる甲乙付け難い大接戦に。 ジャッジも頭を悩ませるなか、優勝に輝いたのはKOKORO! ONE’S出場から3年、念願となる初めての“予選優勝”を果たし、涙ながらに優勝の喜びと感謝を伝える姿に多くの感動を呼んだ! ■MEN’S SECTION 決勝はREG☆STYLEのKO-YAと、Millennium Collectionのikkyon。プロチームの一員として最前線を駆け抜けるKO-YAと、その背中を追いかけて育ったikkyonという間柄。これまたシーンにその名を轟かせる2名のマッチアップが実現。 ikkyon ©ISF KAWASAKI 2023 HIPHOPを軸としたプレースタイルにおいても共通点を持つ両者。これまた見応え抜群の白熱した一戦となったが、見事優勝に輝き、FINALへの進出権を得たのはikkyon! 彼の所属する学生チーム「Millennium Collection」は先日の全国大会を勝ち抜き、12月に国際大会に出場することが決まっている。勢いづいたikkyonのこれからに注目だ! この一日を総括すると、まさに”温故知新”という言葉がピッタリではないだろうか――。シーンを牽引するプレイヤーたちが不動の強さを見せつけるなかで、優勝に輝いた2人の期待の若手たち。 シーズン2回目となった今回の開催だが、今季は何か大きな地殻変動が起ころうとしているようにも感じる。しかし、この物語はまだ始まったばかり。これからどのような展開が待っているのか…。是非ともジャンプロープ最高峰の個人戦・DOUBLE DUTCH ONE’Sに、引き続きご注目いただきたい。 狭いスペースでスタイルを表現!「OCTAGON 1on1 Cypher」 BBOY Kai ©ISF KAWASAKI 2023 ブレイキン1on1 バトルコンテンツの「OCTAGON 1on1 Cypher」。BRONXのレジェンドBboy Alien Nessが開発したバトル形式であり、狭いスペースの中でボディーコントロールを駆使し、どれだけBBOYとして表現できるのか、BBOYならではの発想とスキルが問われた。 そこで優勝に輝いたのは、BBOY Kai(Sweet Coast BreakBoys Club)。カラーコーンとテープで囲まれた空間の中でもスキルやミュージカリティ、ムーブの中での遊び心も見せ、自身のスタイルで会場を盛り上げていた。 未来のスケートボーダーに光を当てる「XLARGE SKATE SESSION」 ©ISF KAWASAKI 2023 L.A発のストリートブランド「XLARGE」が贈るスケートボードイベント。「未来のスケートボーダーに刺激と成長の機会を提供する特別な日」をコンセプトとした本イベントでは、「スクール」と「ベストトリックジャムセッション」を2部制で開催された。 スクールでは6歳以上の未来を担うキッズスケーターたちが、楽しさと安全性を重視した上で、世界で大活躍する山下京之助を含む豪華講師陣からアクションスポーツのエッセンスを直接学ぶといった貴重な時間に。 ©ISF KAWASAKI 2023 そして、その後のベストトリックジャムセッションでは男女年齢関係無く、スキルとスタイルに自信のあるスケーターたちが集まり、持ち技を披露してジャッジや観衆を魅了した。このセッションには佐川海斗や西宮ジョシュアなどの国内外で活躍する人気スケーターたちも飛び入りで参加し会場を盛り上げ、まさに未来のスケートボーダーに刺激と成長の機会を提供する特別な1日となった。 ランニングバイク「ROCK’S CUP」ではキッズたちの小さな身体に秘めた熱い闘志が激突 ©ISF KAWASAKI 2023 今回は2歳から4歳までの未就学児童を対象としたランニングバイク(ペダルなし自転車)によるレースイベントが開催された。年齢別のカテゴリーにて、チネチッタ通りの石畳の上に設けられたミニコーンとコーンバーでレイアウトした1周約120mのコースをキッズたちがスタートから全力疾走し順位を競いあった。 各々自分好みにカスタマイズされたランニングバイクと、一こだわりのギアを身にまといコースを見つめる姿はもうアスリートそのもの。近年はランバイクからBMXレースへステップアップする子どもたちも多いことから、BMXレーシングの未来の日本代表がここにいるかもしれない。 究極の鬼ごっこスポーツ「パルオニ」で寒さも忘れ、親子や友達同士で楽しむ ©ISF KAWASAKI 2023 「鬼ごっこ」×「パルクール」を組み合わせた究極の鬼ごっこスポーツ。子どもなら誰でもやったことがあるこの遊びにパルクールの要素を組み合わせて競技化したのが「パルオニ」。安全面が配慮された運動機能を自然と向上させるキッズ用の障害物が置かれた指定エリアの中で「追う側」「追われる側」に分かれて繰り広げられるのが1対1の「20秒間鬼ごっこ」。 どちらが早くつかまえることができるかを競うのだが、イベント内では子ども同士や親子同士で楽しくプレーする様子も見られた。また時折、若者など大人同士でのプレーもあったが、プレー後はみんな笑顔になっており「パルオニ」が老若男女に楽しまれるスポーツとして今後更に浸透していく予感を感じることができた。 ライブペイント「Graffiti Live Paint」では世界レベルの作品に触れながらグラフィティ体験 ©ISF KAWASAKI 2023 世界で活躍するグラフィティアーティストである「KAZZROCK」「COOK」「SUGAR」の3名による路上ライブペイントが今回も開催。雨天の影響でチネチッタ通りからアレーナチッタへ会場を移した本コンテンツでは、選手たちや観客の前でプロの巧みな技術が披露された。 様々なカラースプレーや画材を使いながら、アーティストたち各々が触れてきたカルチャーや今までの経験から培われた独特な感性を作品として昇華させていく姿に、同会場で他コンテンツを観ていたお客さんや選手たちも足を止めて目を奪われている様子が印象的だった。 また今回、会場には一般観客向けの体験用キャンバスが用意され、アーティストたちと一緒に子どもから大人までたくさんの観客がグラフィティを体験し、参加者みんなで一枚の作品を完成させた。 イベント概要 タイトル:INTERNATIONAL STREET FESTIVAL KAWASAKI 2023開催日時:11/25(SAT) ラゾーナ川崎プラザ ルーファ広場 (※雨天時 KAWASAKI BRAVE THUNDERS COURT) 11/26(SUN) CLUB CITTA’, KAWASAKI BRAVE THUNDERS COURT, チネチッタ通り内容:Breakdance Dream Cup : 日本最大のキッズブレイキンコンペティション Let`s Play DOUBLE DOTCH : ダブルダッチの無料体験 RIDE ON!ENJOY BMX & Skateboard : BMXとSkateboardの無料体験 SUPER BREAK : ブレイキン3ON3クルーバトル Graffiti Live Paint : 有名アーティストによる路上ライブペイント CROSS RUMBLE : 3つのストリートカルチャーによるバトルイベント ROCK`S CUP : キッズランニングバイクレース パルオニ : パルクール鬼ごっこの無料体験 XLARGE SKATE SESSION:スケートボードスクールとコンテスト出場料:無料(一部有料)主催:INTERNATIONAL STREET FESTIVAL KAWASAKI実行委員会共催: 川崎市後援:公益社団法人日本ダンススポーツ連盟 / 一般財団法人日本ジャンプロープ連合 / 川崎商工会議所 / 一般社団法人川崎市観光協会 / 川崎駅広域商店街連合会運営:株式会社I AM / 有限会社OVER THUMPZ / 株式会社ロックス / STUDIO S.W.A.G.
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culture世界レベルのストリートの祭典『ISF KAWASAKI 2023』今年のブレイクダンスキッズ日本一が決定!2023.11.262023年11月25日(土)にラゾーナ川崎プラザ ルーファ広場にて、ストリートカルチャー系アーバンスポーツのフェス「INTERNATIONAL STREET FESTIVAL KAWASAKI 2023(以下:ISF KAWASAKI 2023)」が開催された。 11月25日は、ブレイクダンスキッズ日本一決定戦となる「Breakdance Dream Cup 2023」、ダブルダッチの無料体験会「Let`s Play DOUBLE DOTCH」、BMX & スケートボードの無料体験会「RIDE ON」と、3つのコンテンツが行われた。 世界レベルのキッズが頂点をかけて争う!「Breakdance Dream Cup 2023」 © ISF KAWASAKI 2023 11月らしい冷え込みが川崎市を包むなか、180名のBBOY / BGIRLが会場のラゾーナ川崎プラザ ルーファ広場に集結し、ブレイクダンスキッズ日本一 を決める「Breakdance Dream Cup 2023」が開催された。 小学校低学年(1~3年生)の部は BBOY JULYと BGIRL mitsuki が優勝(両者ともに2連覇)。小学校高学年(4~6年生)の部ではBBOY Lil Kong(2連覇)と BGIRL HARUが優勝。中学生の部では BBOY RA1ON(2連覇)と BGIRL Cocoa が優勝し、計6名のBBOY / BGIRLが各部門の日本一に輝いた。 小学校低学年の部 小学校低学年の部 優勝 BBOY JULY © ISF KAWASAKI 2023 小学校低学年の部 優勝 BGIRL mitsuki © ISF KAWASAKI 2023 小学校低学年の部ではBBOY JULYとBGIRL mitsuki が優勝し、両者ともに大会2連覇を達成した。BBOY JULYからは時折キッズらしいパッションを感じつつも、その小柄な体から繰り出されるハイレベルなパワームーブで会場を盛り上げた。BGIRL mitsukiも、体の柔らかさを活かしたスタイルで攻めるBGIRLが多い中、スピード感のあるフットワークやパワームーブを活かしたスタイルが印象的であった。 小学校高学年の部 小学校高学年の部 優勝 BBOY Lil Kong © ISF KAWASAKI 2023 小学校高学年の部 優勝 BGIRL HARU © ISF KAWASAKI 2023 小学校高学年の部では BBOY Lil KongとBGIRL HARU が激戦を勝ち抜いて優勝。THE FLOORRIORZに所属し、今や世界の舞台でも活躍の場を広げるBBOY Lil Kongは、圧倒的なムーブの完成度で見事大会2連覇を達成。クオリティの高いパワームーブはもちろんのこと、BBOYとしてのフレーバーも感じさせるスタイルは、出場者の中でも頭一つ抜けていただろう。BGIRL HARUは持ち前の柔軟性を活かした動きに加えて、ムーブの構成力もパワーアップしていた印象があった。彼女は惜しくも昨年のBreakdance Dream Cupで準優勝となっており、小学生部門ラストとなる今大会でリベンジを果たし、見事優勝を勝ち取った。 中学生の部 中学生の部 優勝 BBOY RA1ON © ISF KAWASAKI 2023 中学生の部 BBOYでは BBOY RA1ONが優勝。BBOY RA1ONは、中学生離れしたムーブの数々で大会2連覇を達成した。世代屈指のスキルと、豊富な経験値に裏付けされたBBOYとしての完成度は、他を寄せ付けないほど圧倒的であった。今後も彼は現U15世代の中心人物として、ブレイキンシーンの「BBOYING」としてのレベルを更に上に引き上げていく存在になっていくのではないか、そういった可能性を感じさせるほどの風格であった。 中学生の部 優勝 BGIRL Cocoa © ISF KAWASAKI 2023 中学生 BGIRLの部門ではBGIRL Cocoaが優勝。彼女は今年の「SHIROFES.2023 - "THE JAM"」や「JJBC2023」にて優勝するなど、多くの実績を残している世代屈指のBGIRLだ。昨年のBreakdance Dream Cupは惜しくも準優勝であったが、今年は見事チャンピオンの座を勝ち取った。決勝戦においても多彩なスキルやミュージカリティに加えて、ダイナミックなフローを途切れさせずに踊り切ったのが印象的であった。パワームーブ、フットワークなどの繫ぎの部分にもフローがあり、「ダンス」におけるスキルも兼ね備えたBGIRL Cocoaには、引き続き注目していきたい。 Let`s Play DOUBLE DOTCH Let`s Play DOUBLE DOTCH © ISF KAWASAKI 2023 日本学生ダブルダッチ連盟 (JSDDL) が運営する「Let`s Play DOUBLE DOTCH」。子供向け、学生向けの2部で分けて実施され、多くの来場者がダブルダッチを楽しんでいた。 BMX & スケートボード体験「RIDE ON」 RIDE ON © ISF KAWASAKI 2023 RIDE ON © ISF KAWASAKI 2023 ラゾーナ川崎プラザルーファ広場 ステージ裏スペースでは、BMX & スケートボードの無料体験会「RIDE ON」が実施された。初めて挑戦するスケートボード / BMXに少し戸惑いながらも、笑顔で楽しむ子どもたちの表情が印象的であった。 © ISF KAWASAKI 2023 ISF KAWASAKI 2023は、既に開催されたDay1(10月14日) ルフロン杯に続き、Day2(11月25日)はラゾーナ川崎プラザ ルーファ広場にて開催された。Day3となる本日、11月26日(日)は、ラ チッタデッラ一帯にてイベントが開催される。国内最高峰のブレイキンバトル「SUPER BREAK」をはじめ、ダブルダッチの1on1バトル「DOUBLE DUTCH ONE’S」や、世界で活躍するアーティストのライブペイント「Graffiti Live Paint」など、注目のコンテンツが引き続き開催されている。 イベント概要 タイトル:INTERNATIONAL STREET FESTIVAL KAWASAKI 2023開催日時:11/25(SAT) ラゾーナ川崎プラザ ルーファ広場 (※雨天時 KAWASAKI BRAVE THUNDERS COURT) 11/26(SUN) CULB CITTA’, KAWASAKI BRAVE THUNDERS COURT, チネチッタ通り内容:Breakdance Dream Cup : 日本最大のキッズブレイキンコンペティション Let`s Play DOUBLE DOTCH : ダブルダッチの無料体験 RIDE ON!ENJOY BMX & Skateboard : BMXとSkateboardの無料体験 SUPER BREAK : ブレイキン3ON3クルーバトル Graffiti Live Paint : 有名アーティストによる路上ライブペイント CROSS RUMBLE : 3つのストリートカルチャーによるバトルイベント ROCK`S CUP : キッズランニングバイクレース パルオニ : パルクール鬼ごっこの無料体験 XLARGE SKATE SESSION:スケートボードスクールとコンテスト出場料:無料(一部有料)主催:INTERNATIONAL STREET FESTIVAL KAWASAKI実行委員会共催: 川崎市後援:公益社団法人日本ダンススポーツ連盟 / 一般財団法人日本ジャンプロープ連合 / 川崎商工会議所 / 一般社団法人川崎市観光協会 / 川崎駅広域商店街連合会運営:株式会社IAM / 有限会社OVER THUMPZ / 株式会社ロックス / STUDIO S.W.A.G.