記念すべき初開催はここ日本で「第1回FIGパルクール世界選手権」歴史的な一戦を収めた1日目・2日目レポート

2022.10.16
パルクール女子スピードラン種目の入賞者たち
text by 畠山大樹 / photograph by Kazuki Murata,©SHUNGIKU

現在「第1回FIGパルクール世界選手権」が有明アーバンスポーツパーク(東京都)にて2022年10月14日(金)~16日(日)の3日間に渡り開催されている。

今大会は「URBAN SPORTS TOKYO 2022」内で行われ、サイドコンテンツとしてBMXフラットランド、ブレイキン、ダブルダッチ、ヒップホップ、パルクールデモンストレーション及び一般体験会が開催中だ。

そして記念すべき初開催となった「第1回FIGパルクール世界選手権」は海外から名だたるトップ選手たちを迎え、東京五輪ではスケートボード競技において歴史を作りアーバンスポーツの聖地となった有明アーバンスポーツパークに特設会場を設置。スピード種目フリースタイル種目の2種目で世界チャンピオンの座をかけた戦いが繰り広げられている。

また同時にレガシーとして残された隣の東京五輪スケートパークではスケートボード競技ストリート及びパーク種目の大会として「URBAN SPORTS TOKYO 2022 Skateboard Festival」も併催中。

以下は、今大会「第1回FIGパルクール世界選手権」の1日目と2日目のリポート。

1日目リポート

見事準決勝へ駒を進めた泉ひかり
photograph by Kazuki Murata

大会初日は惜しくも朝から天候に恵まれず雨が降り、タイムスケジュールの大幅な変更が余儀なくされた。その影響から男子フリースタイル予選は翌日に延期されるも、無事オープニングセレモニーと女子スピード予選が行われた。

オープニングセレモニー

photograph by ©︎SHUNGIKU

オープニングセレモニーでは全ての参加選手が各国ごとにフィールドに入り国旗を掲げて観客たちにアピール。そしてMCにより国名がコールされ参加国が紹介された。その後FIG会長である渡辺守成さんによる開会の挨拶を皮切りに記念すべき第1回FIGパルクール世界選手権が幕を開けた。

女子スピード予選

泉ひかりの豪快なジャンプ
photograph by Kazuki Murata

今大会最初の競技となった女子スピード種目には今年7月に行われたワールドゲームス2022で優勝したミランダ・ティブリング(スウェーデン)と準優勝のノア・マン(オランダ)を筆頭に世界中のトップ選手たち18名が参加。日本代表からは泉ひかり(TOKIOインカラミ所属)、山本華歩、近藤凪紗の3名が参加した。

当種目はオブスタクル(障害物)を駆け抜け、スタートからゴール地点までのタイムを競う競技。2名ずつタイムを競い全体の上位10名が翌日の準決勝に進出となる。予選トップタイムノア・マン(オランダ)の36.72秒。日本人選手は泉ひかりが40.78秒で7位で準決勝に進出した。

2日目リポート

大健闘を果たした鈴木智也
photograph by Kazuki Murata

大会2日目となった15日は男子フリースタイルが振り替えられ、朝早い時間から競技が進行された。なおフリースタイル種目は90秒間の中で選手がオブスタクルを駆使しながら自由に演技を行う。その演技を審査員が2つの基準(実施点・難易度)に従い採点して順位を決めていく。トリックの難易度やオブスタクルさばきなど、ラン全体の構成の完成度を高さを求められる種目だ。

本日はそんなスピードを争う競技と高難度のランを演技する競技という全く異なる2つのカテゴリーにて世界一の座が争われ確定した。

男子フリースタイル予選・決勝

日本代表として素晴らしいランを見せた朝倉聖
photograph by Kazuki Murata

当種目には世界中から選出された50名が参加。その中には現在ワールドカップ3大会連覇中のエリス・トゥールハール(スウェーデン)も出場しまさに世界最高レベルの戦いがここ有明で繰り広げられた。日本人は朝倉聖(TOKIOインカラミ所属)、鈴木智也(TOKIOインカラミ所属)、勝乗志音の3名が代表選手として出場した。

自分たちのランを披露する中で納得のいかない場合に一度だけやり直しができるという競技ルールの中で決勝進出に必要な上位8名の枠を獲得するために、このルールを最大限活用しながら各選手が自身最高のランを披露するハイレベル戦いとなった。
そんな接戦の中予選1位で通過したのはディミトリオス・クリサニディス(ギリシャ)。日本人選手は朝倉鈴木が共に見事決勝進出を果たした。

ディミトリオス・クリサニディスのトリック
photograph by Kazuki Murata

そんな狭き門を見事勝ち抜いた上位8名によって争われた決勝ではまさかの展開。優勝候補と思われていたエリス・トゥールハールがラン中盤に回転系の大技にトライした際に転倒。ランを中断する展開となった。

そしてトゥールハール以外の全ての選手が各々前後1点未満の差で争う接戦の中で、「ダブルバックフリップ」「ダブルコーク」をはじめとした高難度トリックを組み込みながらほぼ全てのオブスタクルでトリックを加える高難度のランをメイクし、優勝を収めたのはディミトリオス・クリサニディス。唯一の26点台を叩き出しフリースタイル種目にて初代世界チャンピオンの座を獲得した。

接戦を制し優勝したディミトリオス・クリサニディス
photograph by Kazuki Murata

2位には25.5ptを叩き出したガオチェン・テング(中国)3位に24.5ptをマークしたダビデ・リッジ(イタリア)が入った。日本人選手勢も大健闘を見せるも鈴木智也が4位朝倉聖は7位で大会を終えた。

2位入賞を果たしたガオチェン・テング
photograph by Kazuki Murata

3位入賞を果たしたダビデ・リッジ
photograph by Kazuki Murata

女子スピード決勝・決勝

決勝で対峙したミランダ・ティブリング(左)と泉ひかり(右)
photograph by Kazuki Murata

先日の予選を勝ち抜いた10名で争われた準決勝では予選と同様に2人1組のヒートで争われ、その中から上位6名に絞り込まれた。トップ通過のミランダ・ティブリング(スウェーデン)は34.39秒、2位につけた泉ひかりが37.63秒としたが後続の4名は全員38秒台と僅差で誰が勝ってもおかしくないヒートとなった。

そんな緊張感の中で行われた決勝ではやはり準決勝同様に誰か勝ってもおかしくない展開に。ほとんどの選手が35秒台をいう準決勝の結果を大きく上回ったタイムを叩き出していく。

圧倒的なスピードで最速タイムを叩き出したミランダ・ティブリング
photograph by Kazuki Murata

そして最終ヒートに現れ、圧倒的な力を見せて優勝したのが準決勝トップ通過のミランダ・ティブリング。パワフルさとしなやかさを兼ね備えた走りでスピーディーにオブスタクルをこなし準決勝の34.39秒を大きく塗り替える32.82秒で優勝。2位と2秒以上の差をつけ完全勝利を果たし見事初代世界チャンピオンとなった。

オブスタクルを素早く越えるステファニー・ナバホ(左)とリルー・ルエル(右)
photograph by Kazuki Murata

なお2位には35.03秒を叩き出したステファニー・ナバホ(スペイン)3位には35.65秒でフィニッシュしたリルー・ルエル(フランス)が入賞した。日本の泉ひかりはルエルにコンマ1.5秒足りず惜しくも4位で大会を終えた。

優勝者コメント

ミランダ・ティブリング(スウェーデン) / 女子スピード種目
「初代世界チャンピオンになることができてとても嬉しいです。
この大会に向けてコンディショニングもしてきましたし、スピードの練習もいつも以上に取り組んできました。その中での細かな動きも意識して何度何度もトレーニングを重ねてきたのでその結果が成績に表れて嬉しいです。
今後はパルクールだけで生活できるように活躍したいですし、パルクールがオリンピック種目になった時には出場することが私の夢です。」

大会結果

photograph by Kazuki Murata

女子スピード
優勝 : ミランダ・ティブリング / スウェーデン
準優勝 : ステファニー・ナバホ / スペイン
3位 : リルー・ルエル / フランス
4位:泉 ひかり/ 日本

photograph by Kazuki Murata

男子フリースタイル
優勝 : ディミトリオス・クリサニディス / ギリシャ
準優勝 : ガオチェン・テング / 中国
3位 : ダビデ・リッジ / イタリア
4位:鈴木 智也 / 日本
7位:朝倉 聖 / 日本

*女子フリースタイル/男子スピードは翌日16日に開催。

大会概要

大会名称 : 第1回FIGパルクール世界選手権 presented by Yahoo! Japan
開催期間 : 2022年10月14日(金)~16日(日) – 3日間 –
※詳細は公式HPをご覧ください。
大会会場:有明アーバンスポーツパーク(東京都江東区有明1丁目7番2)
主催:国際体操連盟(FIG)、公益財団法人日本体操協会(JGA)、一般社団法人日本アーバンスポーツ支援協議会(JUSC)
共催:東京都
後援:日本オリンピック委員会(JOC)
主管:第1回FIGパルクール世界選手権実行委員会(LOC)
特別協賛:ヤフー株式会社
協賛:株式会社みずほフィナンシャルグループ、イオン株式会社、日本航空株式会社、ミズノ株式会社、富士通株式会社、LED TOKYO、オムニインターナショナル株式会社、TSP太陽株式会社、株式会社デジタルワレット、東武トップツアーズ株式会社、FINEPLAY、イオンディライトセキュリティ株式会社

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