名古屋のド真ん中、高架下に“挑戦できる遊び場”をつくる。「RIDE BASE KASADERA」プロジェクト始動

2026.07.25
  • LINE
  • Copy

今年9月には、4年に一度の祭典「アジア競技大会」が開催されることで、国内外から注目が集まっている愛知県名古屋市。その名古屋市を通る国道23号線の高架下という「今まで誰も使っていなかった空間」を、BMX・スケートボード・パルクール・キックスケーターなど、アーバンスポーツ全般が楽しめる拠点に変えていくプロジェクトが、名古屋市南区で動き出している。その名も 「RIDE BASE KASADERA(仮称)」

場所はJR東海道線・笠寺駅から徒歩5分。国道23号線の高架下、約30m×15mの空間を活用し、名古屋市南区出身の現役BMXプロライダー勅使川原大地(てしがはら・だいち)氏が中心となって進める地域創生プロジェクト。

この場所は単なるアーバンスポーツ施設ではなく、複数の役割を担う場所として、子どもたちが安心して挑戦できる居場所でありながら、世代を超えた交流が生まれる地域のコミュニティ拠点という、この南区の新しい「目的地」になることを目指している。現在、この構想を実現するためのクラウドファンディングが進行中だ。

アーバンスポーツは盛り上がっているのに、練習場所は増えていない現状

なぜ今、このプロジェクトが必要とされているのか。背景には、アーバンスポーツを取り巻く環境のギャップがある。

BMX、スケートボード、キックスケーター、パルクールといった、まちの中で生まれ、まちの中で楽しむ「アーバンスポーツ」は、2021年の東京オリンピック2020でスケートボード競技とBMX競技フリースタイル・パーク種目が正式種目に採用されて以降、世界的に注目度が上がり続けている。またロサンゼルスオリンピック2028やアジア競技大会の開催も控え、日本国内でも競技人口・関心層は年々広がっている。

これらのスポーツの特徴は、サッカーや野球といったチームスポーツと違い、一人からでもすぐ始められること。また年齢・性別関係なく、自分のペースで挑戦できる。そんなカルチャーの懐の深さが、アーバンスポーツが世代を超えて支持される理由だ。

ところが、その「盛り上がり」に環境が追いついていないのが実情である。日本全国のスケートパーク数は2025年5月時点で約747ヶ所、愛知県内には29ヶ所程度のスケートパークがあるが、県内の本格的な競技・育成環境として機能しており公的にBMXやスケートボード使用に対応している施設はわずか6件。

名古屋市南区に至っては、公表されているスケートパークが0件という状況にあり、南区から一番近い練習施設まで自転車で50分・10km以上かかることも珍しくない。

また練習場所がないということは、単に「不便」という話では済まない。安全に練習できる場所がなければ、公共施設や公道での危険な滑走や近隣トラブルにつながりやすくなり、さらには行き場のない若いスポーツ愛好者たちが孤立し、放課後や休日を安心して過ごせる「居場所」を持てないという課題にもつながっていく。

裏を返せば、安全で開かれた練習環境を一つ用意するだけで、「子どもたちが安心して挑戦できる居場所としての機能」をはじめ、「若者が不良・非行につながりかねないリスクを未然に防ぐ効果」が期待でき、その上で「世代を超えた交流が生まれ、地域のコミュニティ拠点」となる。

その先には、そのまちに新しい「目的地」となることで、地域そのものの価値が上がるといった、スポーツ振興を超えた社会的な効果を生み出せる可能性がある。

高架下だから、できることがある

RIDE BASE KASADERAが高架下という立地を選んだのには理由がある。高架下は、都市型のアーバンスポーツパークにとって理想的な条件が揃っているのだ。

・雨の日でも滑れる —— 天候に左右されず通える貴重な環境
・駅や幹線道路から近い —— 徒歩でも自転車でもアクセスしやすい
・遊休スペースの活用 —— 使われていなかった空間に新しい価値を生む
・「行きたい」と思える目的地に —— 南区にはこれまで少なかった、まちの目的地になる

BMXとスケートボードだけじゃない「アーバンスポーツなら何でもウェルカム」なパーク設計

本構想では、BMXやスケートボードだけでなく、パルクール、インラインスケート、WCMX、キックスケーターまで、幅広いアーバンスポーツ競技に対応できる設計を目指している。

イメージ図には、ミニランプ、パンプトラック、スラックライン、パルクール用セクションなどが並び、子どもから大人まで、初心者からガチ勢まで、それぞれのペースで挑戦できる場所にしたいという狙いが見える。

また安全面への配慮も抜かりない。ヘルメット着用義務、利用時間は8:00〜20:00、防犯カメラ完備、初心者向け講習の定期開催など、安全に長く使われる施設にするための仕組みが用意されている。

近隣への騒音対策としても、利用ルールの掲示や防音を意識した資材選定、地域との対話窓口の設置まで踏み込み、地域と一体となって作り上げていくことを目指している。

プロジェクト仕掛け人は、現役BMXプロライダー勅使川原大地

この構想を率いる勅使川原大地氏は、BMXプロライダーとして国内外で活動し、全日本大会優勝の実績を持つ。オリンピックBMXフリースタイル競技の解説も務め、年間800〜1000名が参加する体験会・スクール事業を主宰するなど、育成の現場を長年見続けてきた人物だ。

「気軽に集まれる場所がなく、若者が孤立しがち」「安全に練習できる環境がなく、危険やトラブルの原因になる」と彼が語るこの課題感は、まさに現場で子どもたちと向き合ってきたからこそ見える実態だろう。

実家が日本最古のBMXショップであるというルーツに持ち、競技・育成・運営・発信のすべてに関わってきた立場から、「単なるスポーツ施設」ではなく、地域と共に育てていく文化拠点を目指すというのがこのプロジェクトの軸になっている。

現在、クラウドファンディングを実施中

プロジェクトの総事業費は約2,000万円。ネーミングライツプラン、ゴールドプラン、シルバープラン、ブロンズプランなど複数の協賛プランに加え、クラウドファンディング(通常型・ふるさと納税型)を組み合わせて資金を集めていく計画だ。

現在、クラウドファンディングも絶賛実施中。今後も体験イベントを通じてプロジェクトの熱を伝えていく予定になっている。下記は主なスケジュールだ。

・〜8月31日 クラウドファンディング実施中
・8月1日・2日 水袋夏祭りにて体験イベント開催
・8月8日 クラファン促進体験イベント(イオンモール熱田)予定
・8月15日 クラファン促進体験イベント(ミライタワー下)予定
・9月〜 一次施工開始
・11月 プレオープン / 12月 公式オープン(予定)

すでに国土交通省・名古屋市南区との連携も進んでおり、行政の支援によって運営負担が軽減される見込みも立っているという。なお、彼が1人で本プロジェクトを立ち上げてきてからここまでたどり着くために勅使川原が注いできた期間は約4年。ここから先、実際にこの場所を完成させるには1人の力だけではなく、みなさんのご協力が必要ということで、今回クラウドファンディングとスポンサー募集に踏み切った。

旧態依然な「作って終わり」になりがちな箱モノではなく、地域と一緒にルールを作りながら育てていく。そんな強い姿勢がプロジェクト全体を貫いているのも勅使川原の活動から見て取れる。

生きている間に、楽しい場所を作って残していく

最後に、勅使川原が本プロジェクトを伝えたいこととして印象的な言葉がある。「オーストラリアでは1駅に1個はアーバンスポーツを練習できる場所がある。そのくらい日常的なもの。ただ僕たちにとってまだ日常的なものではないだけ。」

名古屋のまちなかに、子どもも大人も、初心者もベテランも、気軽に挑戦できる場所を。 高架下という誰も見向きもしなかった空間から、世界に羽ばたく次世代のトッププレイヤーたちが生まれるかもしれない。

また本プロジェクト内にてスケートパークの名称となっている「RIDE BASE KASADERA」はあくまでも仮称。現在、名前案も絶賛募集中とのことだ。この施設が完成した暁に是非使用したいと思っているアーバンスポーツ愛好者の皆様には是非一緒に名称を考えてもらえたら幸いだ。

このプロジェクトに共感した人は、ぜひ下記のクラウドファンディングページもチェックしてほしい。

執筆者について
FINEPLAY編集部
FINEPLAY は世界中のサーフィン、ダンス、ウェイクボード、スケートボード、スノーボード、フリースタイル、クライミングなどストリート・アクションスポーツに関する情報を発信するスポーツメディアです。
ピックアップフォト
アクセスランキング
FINEPLAY
アクションスポーツ・ストリートカルチャー総合メディア

FINEPLAYはアクションスポーツ・ストリートカルチャーに特化した総合ニュースメディアです。2013年9月より運営を開始し、世界中のサーフィン、ダンス、ウェイクボード、スケートボード、スノーボード、クライミング、パルクール、フリースタイルなどストリート・アクションスポーツを中心としたアスリート・プロダクト・イベント・カルチャー情報を提供しています。

アクションスポーツ・ストリートカルチャーの映像コンテンツやニュースを通して、ストリート・アクションスポーツの魅力を沢山の人へ伝えていきます。

おすすめのイベント
イベントスケジュール
7月 2026
   1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31   
« 6月   8月 »

●今日 ○イベント開催日

ピックアップフォト
編集部おすすめ記事
アクセスランキング
FINEPLAY
アクションスポーツ・ストリートカルチャー総合メディア

FINEPLAYはアクションスポーツ・ストリートカルチャーに特化した総合ニュースメディアです。2013年9月より運営を開始し、世界中のサーフィン、ダンス、ウェイクボード、スケートボード、スノーボード、クライミング、パルクール、フリースタイルなどストリート・アクションスポーツを中心としたアスリート・プロダクト・イベント・カルチャー情報を提供しています。

アクションスポーツ・ストリートカルチャーの映像コンテンツやニュースを通して、ストリート・アクションスポーツの魅力を沢山の人へ伝えていきます。

配信先メディア一覧